Star Trek the Next Generation 2nd season


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ホログラムデッキの反逆者
Elementary, Dear Data

第2シーズン 第29話
宇宙暦:42286.3

コンピューターにウィルスが感染してしまったエンタープライズはロミュランの攻撃を受けそうになる。そしてピカードたち上陸班は、調査のため遺跡に転送降下する。

ホログラムデッキの反逆者-あらすじ-


ポラスキーにそそのかされ、ジョーディはうっかり「デイタを打ち負かせるような相 手を出せ」とホロデッキに命じてしまう。そして、その一言がエンタープライズを大 きなトラブルに巻き込んでしまう。
ジョーディはU.S.S.ビクトリー?の船長に贈る帆船模型ホレーシォを制作する。

実は、撮影前には放映されたのとは異なる結末が想定されていたらしい。具体的には・・・
ホロデッキ内の物質がホロデッキの外でも実体化できるようになってしまう(これにデイタたちが気付くのが BLOOPERにあたるシーン)。これをモリアーティに気付かれないようにピカードたちがモリアーティをうまくだまそうとする。
そう考えるとなんとなく駈け足で消化不良な印象を与えるストーリー展開を受けることにも納得が行く。スタートレックの生みの親であるGene Roddenberryがピカードたちが「ぺてん師」のような振る舞いをすることに反対したためであるが、実際に制作にあたっているスタッフの猛反発にあったようだ(このあたりの経緯は Captain's Log に詳しく載っている)。ちなみに、ロンドンの街並みを再現するのに莫大な金額がかかったこと、そのため経費を抑える理由から撮影日が一日短くされたこと(600万円節約できるらしい)も関係しているようだ。

なんとなく第1シーズンの「宇宙空間の名探偵」を連想させるエピソード。これはホロデッキ内の人物が外に出たいと願う姿が描かれているせいかもしれない。

デイタがはじめてホームズに扮したのは「姿なき宇宙人」シャーロキアンにはたまらない話なのだろう。おそらくポラスキーもシャーロック・ホームズ・シリーズなのだろうが、筆者には彼女がどのキャラクターにあたるのか判らなかった(ご存知の方は教えてください)。
モリアーティ教授がこの後しばらくスタートレックに登場しないのはホームズ関係の版権を握っているThe Arthur Conan Doyle Estateからキャラクター使用料を求められため。
再登場は第6シーズンの「甦ったモリアーティ教授」で、これは実際に支払うべき金額が低いことが判ったためらしい(NiftyServe、FSTREKより)。だが、「甦った〜」のモリアーティにはあまり危険な印象はなく、他にもっと良い出来のエピソードがある第6シーズンのなかでは印象の薄いものとなってしまった。

BLOOPER
デイタがモリアーティの書いたエンタープライズの絵を持ってホロデッキから出て行 く。ホロデッキ内の物質は外では実体化出来ないはずがが・・・(これは前述のように結末が撮影中に変更されたためである)。

監督:Rob Bowman
Cast

キャサリン・ポラスキー:Deanna Muldar
モリアーティ教授:Daniel Davis


ホログラムデッキの反逆者


エンタープライズはU.S.S.ビクトリーとのランデブーポイントに予定よりも三日早く到着した。そして、一部の乗員たちは時間を持て余すことになってしまった。
デイタはジョーディに呼び出され機関部に向かった。ジョーディはビクトリーの艦長にプレゼントするつもりの帆船を披露した。そしてデイタにパイプをプレゼントし、二人は余った時間を利用してホロデッキでシャーロック・ホームズごっこをする約束をした。
早速ホームズとワトソンに変装した二人はホロデッキに向かった。ホロデッキの中に入ると、そこにはホームズの書斎が再現されていた。デイタは興奮した面持ちで部屋の中を歩き回る。ホームズになりきっているデイタはおいてあったバイオリンを何気なく弾きはじめ、ワトソン役のジョーディを驚かせる。レナード警部たちがやってきた。今回の事件は外国の密偵が暴漢に襲われ書類を盗まれたという。デイタはすぐに自称「密偵」の正体を見破ってしまった。むっとしたジョーディはプログラムを停止させ、出ていってしまった。

テンフォワード。デイタは「なぜ出ていってしまったのか」とジョーディに尋ねる。ジョーディにしてみればホームズの解決した事件をすべて記憶しているデイタが「推理」の過程を省略してしまうのが気に入らないのだ。別のテーブルで二人の話を聞いていたポラスキーが笑い出す。そしてデイタには呼んだことのないミステリーを解くことはできないとからかう。それを聞いたデイタは彼女の挑戦を受けることにした。
三人はホロデッキに向かい、コンピューターにホームズ・タイプのミステリーを作らせた。だが、デイタはホームズの事件を組み合わせ、あっけなく解決してしまった。ポラスキーは「やっぱりデイタにはひらめきが無い」と嫌みを言う。ジョーディはそれならデイタの知らないような全く新しいタイプの事件をコンピューターに作らせ、デイタにも勝てないような敵を登場させようと提案した。

その頃ブリッジではウォーフがセンサーに出力の乱れが観測されたことに気づいていた。センサーはすぐ正常に戻った。
デイタたちが改めてホロデッキの中に入るとロンドンの町並みが表現されていた。確かに今までとは雰囲気がどこか違うようだ。三人はジョーディが「アーチ」を消す様子を建物の影から見ていた「教授」と呼ばれる男の存在にはまだ気づかなかった。
三人が遠ざかった後、「教授」はアーチの消えたあたりへ行き、「アーチ」と言ってみた。するとアーチが出現した。一緒に見ていた女は「黒魔術だ」と怯え逃げていってしまった。男の名はモリアーティ、彼は自分が新たな力を得たことに気付いていた。

デイタとジョーディがぶらぶら街中を歩きまわっていると女性の悲鳴が聞こえてきた。二人が声のした方へいくと女物の靴が転がっていた。どうやらポラスキーが誘拐されてしまったようだ。デイタは現場に残された足跡から犯人が二人組みであると推理し、「ゲームは始まった」とジョーディに言う。そして足跡を追って路地を駈けはじめた。
ジョーディはデイタがきちんと「推理」していることに気づき、驚く。再び足音が聞こえ、そちらへ向かっていくと、レストレード警部がやってきた。警部は事件が起ったと言って二人を現場に連れていく。年老いた男の死体の前で警部はデイタに事件の推理を頼む。だがデイタは「ポラスキーの事件とは関係ない」と言って立ち去りかけてしまう。ジョーディはデイタの代わりにこの事件の犯人は男ではないかと推理する。するとデイタは一人の老女を指差した。彼女は死体の男の妻で、確かに犯人だった。野次馬の喝采を受ける中デイタは一人の男がこちらを見つめていることに気づいた。

デイタはジョーディを呼び、現場を立ち去った。二人はホロデッキが命令どおり新しいパターンの事件を作り出していることを確認した。デイタはさっきの男が立っていた家の前に立ち、今回の事件の犯人がモリアーティであると宣言した。ドアを開けると中は一見ただの物置のように見えたが、デイタは隠し扉を発見した。その奥は実験装置のならんだ部屋だった。
二人が中を見まわしていると「ゲームの時間は終わりだ」という声がして先程の男が現れた。デイタが「モリアーティ教授?」と尋ねると男は会釈をしてかえした。モリアーティはデイタたちがワトソンでもホームズでも無いことを見抜き、二人を驚かせる。なぜコンピューターの作り出した映像がそんなことまで知っているのか?

モリアーティはコンピューターの存在に気づいたと告げ、アーチを呼び出す。さらに「不思議なものを見つけた」と言い、デイタに一枚の紙切れを渡した。紙切れをみたデイタははっとして部屋を飛び出していった。
デイタは状況を把握しきれていないジョーディの質問には答えないままホロデッキを出て、プログラムを停止しようとするが、コンピューターは「現在のプログラムの実行が優先されている」と報告して命令に従わない。顔を見合わせた二人がホロデッキに中に入ってみると、やはりプログラムは進行中だった。

デイタたちは異常事態をピカードに報告すべくブリッジに向かった。その途中でデイタはモリアーティから渡された紙切れをジョーディに見せた。そこにはなんとエンタープライズの絵が描かれていた。あの男はどうやって艦のコンピューターにアクセスする方法を見つけたのか?このままではポラスキーが危ない。
観察ラウンジに上級士官が集められた。ジョーディはポラスキーの挑発に乗ってしまった自分の一言が今回の事態を招いてしまったことの気づき、経緯を皆に説明した。デイタはもしコンピューターが自分に勝てる相手としてモリアーティを作ったのなら彼も意識を獲得するはずだと推測する。

突然、エンタープライズに衝撃が走った。モリアーティは艦の慣性コントロール装置も掌握してしまったようだ。ピカードはモリアーティと会うためデイタと共にホロデッキに向かった。
その頃ポラスキーはモリアーティの部屋ですっかりくつろいでいた。彼は本来のホームズの作品の中に登場するモリアーティとは微妙に違ってきているようだ。彼は次々に知識を吸収し、何かを企んでいた。「コンピューターがあるなら私は用済みね」と言って外に出ようとするポラスキー。モリアーティは彼女を遮り、ピカードを呼び寄せるおとりになってもらうと告げた。

19世紀の衣装に着替えたピカード、デイタ、ウォーフの三人がホロデッキに入っていくと、本来見えないはずの内壁がちらちらと見え隠れしている。そしてピカードは強盗に襲われそうになり、デイタに助けられる。モリアーティが内部の環境設定を変え、安全装置も機能していないのだ。
くつろぎながら菓子をつまんでいたポラスキーは、部屋に入ってきたピカードに気づき、あわてて姿勢を正す。ピカードはホロデッキのプログラムが終了してしまえばモリアーティも消えてしまうことを彼に告げるが、モリアーティは動揺する様子も無く、部屋の隅にあった装置のレバーを引き、エンタープライズをゆすって見せた。

しかしモリアーティは「自分にも意識はある。外に出ても生きていたい。今まで学んだことは無駄だったのか」とピカードに訴える。いまや彼はホロ映像などではなく、自分の無力さを思い知らされ、うちひしがれた一人の人間にしか見えなかった。そしてモリアーティは自分から艦の慣性制御をブリッジに戻した。ピカードはモリアーティの人格・記憶などのすべてをコンピューターに記憶させ、いつかホロデッキの外でもホロ映像が存在できるようになるまで保存しておくと約束した。
ピカードの言葉を聞いたモリアーティは「別れは早い方がいい」とポラスキーに言い、消えていった。




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