地域情報化に関連したトピックスを掲載します。
バックナンバー1 バックナンバー2 バックナンバー3 バックナンバー4 バックナンバー5
バックナンバー6 バックナンバー7 バックナンバー8 バックナンバー9 バックナンバー10

2004/3/26 『消防庁eラーニング』
 消防庁が今月から「防災・危機管理e−カレッジ」というコンテンツの配信サービスを開始しています。これは、消防職員・消防団員、地方公務員だけでなく、国民が広くできるものであり、インターネット上で防災・危機管理に関する学びの場を提供するeラーニングになっています。利用者登録をする必要はなく、インターネット上で、いつでも、どこでも、誰でも、無料で学習できるそうです。学習内容は「基礎を学ぶ」、「深く学ぶ」の二階層に分かれており、初心者から基礎的な知識を有する人にまで対応しています。
(私見)このような社会生活に関わる事項で、しかも非常時に関わる事項に関しては体系的に学習する機会があまりありません。仕事をしていてもオフィスで一年に一回程度、防災訓練がある程度で、内容も、非常ベルを聞いて、非常階段から外に出て、消化器等を使ってみるぐらいです。そういう意味で、今回のコンテンツは非常に有用であると考えられ、是非、多様な手段によって広く国民に周知し、利用してもらいたいと考えます。最近流行の「生活の知恵」系のテレビ番組等で取り上げてもらうのも良いかも知れません。
http://www.e-college.fdma.go.jp

2004/3/8 『真似すれば遅れる』
 情報化計画リンクを更新するために自治体のホームページを調べていたところ、ある自治体のホームページが目にとまりました。理由は、そのホームページが、シンガポール政府の開設している市民向けポータルサイトである“eCitizen Center”というホームページの以前のデザインに酷似していたからです。“eCitizen Center”のホームページはゆりかごから墓場までと言われるように、進学、出産等、生涯のイベントをベースに地図を模したメニューが表示されるデザインでした。私が見付けた自治体のホームページはシンガポールのように生涯イベント型の流れにはなっていませんでしたが、地図を模したメニューのデザインは非常に似ており、明らかに真似したことがうかがえます。
 このような画像を多用したデザインは最初に訪れた人には易しい反面、慣れた人、情報を検索に長けた人にはかえって使いにくくなる場合もあり、アクセシビリティの観点からも望ましくありません。実際、本家であるシンガポール政府の“eCitizen Center”はデザインを一新し、テキストベースのディレクテリー構造のメニューへと変わっています。
 私も一時期、シンガポール政府の地図を模したデザインが分かり易いと思った時があるので、この自治体の方がそれを真似た気持ちも分からないことはありません。しかしながら、今となっては陳腐化した感は否めません。真似すること自体を否定する気はないのですが、真似をすると模した相手よりも一歩遅れることは確実であり、模した相手が適切でない(その評価自体も難しいのですが)場合はその差が更に大きくなるという感じがします。

2004/3/3 「WiMAXは間に合うか?」
 無線技術の高速化が進んでいることから「ユビキタス」という言葉も現実味を帯びてきています。しかし、その一方で、依然として過疎地にブロードバンドが利用できない地域が存在するのも事実です。そんな中、ブロードバンドのディバイドを解消できる可能性がある無線技術が立ち上がりつつあります。ご存じの方も多いと思いますが、掲題にあるWiMAXとは、米国の非営利団体「World Interoperability for Microwave Access (WiMAX) Forum」が提唱するFWA(固定無線通信)の規格であり、IEEE802.16として2003年1月にIEEEによって標準規格化されました。その通信能力は、アンテナから半径約50km(30マイル)まで到達し、最大で70Mbpsの通信速度が出るそうです。
 一方、電力線によるインターネット通信も実用化に向けて進んでおり、我が国では先頃、実証実験の申請が行われた模様です。電力線は電話回線よりも普及しているネットワークであり、これが通信に利用できればディバイドはなくなるに等しいとも考えられます。実際には高圧線があるとダメとか、色々と制約があるようですが。
 WiMAXの普及は2006年頃からではないか、と専門家は言っており、そうなると電力線インターネットや他の技術の導入を見越してもその有効性は微妙ではないでしょうか。現時点において手元にWiMAXがあったらすぐにでも使いたい地域がたくさんあるでしょうが、2年先だとちょっと分からないというのが個人的な印象です。
 いずれにしてもブロードバンドのディバイドに関しては、技術革新によって徐々に解消されていくと考えられ、「待つ」ことの価値についても検討する必要があるかも知れません。つまり、早まって既存の技術を採用してしまうと費用の割に効果の低いインフラになる恐れがあるということです。

2004/2/12 『バナー広告の活用』
 最近、自治体のホームページにバナー広告を掲載している事例が少しずつ増えてきています。先日、トピックスで取り上げた三鷹市もそうですし、佐賀市、清瀬市、八王子市、昭島市、大和市、葛飾区、豊島区等もそうです。三鷹市では、昨年7月に「三鷹市ホームページ広告掲載取扱要綱」と「三鷹市ホームページバナー広告掲載取扱基準」を定めて、ホームページに有料のバナー広告を掲載しています。佐賀市では、なんと一昨年の3月から「佐賀市公式ホームページ広告掲載基準」を定めているようです。私が気付くのが遅かっただけで、本当は早くから取り組んでいる地域もあったと思いますが、財政の改善や情報化の資金を確保するためにも是非このような取り組みを拡大するべきだと考えます。自治体が配布している広報紙に広告が掲載されていることは少なくありません。そういう面からもホームページにバナー広告を掲載することはなんら不思議ではないのですが。
http://www.city.mitaka.tokyo.jp/banner/index.html
http://www.city.saga.saga.jp/doc/64eb2579afbb8a8b49256bb200198933.html

2004/2/11 『セキュリティ認証取得について』
 三鷹市では1月26日に、情報セキュリティマネジメントシステムの国際的な規格である「BS7799-2:2002」と国内の標準規格である「ISMS認証基準Ver.2.0」の2つの認証を同時に取得したそうです。認証を受けた対象範囲は、住民基本台帳をはじめ、戸籍、印鑑、年金、住基ネットや各種の証明書交付等、市民の基本情報を取り扱っている市民部市民課や出先機関の窓口業務と、市の情報システム等を取り扱う企画部情報推進室の業務だそうです。
 自治体で、このような認証を取得したのは千葉県市川市に続いて二番目であり、この他にも自治体の情報処理を手掛けている公益法人や第三セクターがいくつか認証を受けています。
(私見)総務省がセキュリティ監査に関する報告書を発表する等、セキュリティ強化に向けた波は一層大きなものになってきています。これはネットワーク化がもたらした当然の帰結であり、ネットワークで複数の主体が結ばれる以上、すべてにおいて高いセキュリティ対策が望まれます。ただし、この場合、リスク負担のアンバランスが生じることに留意しなければなりません。これまで自治体は自地域の住民情報のみを情報資産として保有していました。したがって、情報漏洩等の問題が起こってもその賠償範囲は住民の範囲であり、リスクも所謂「等身大」でした。しかし、住基ネットのように全国が結ばれると、すべての国民情報のリスクを負うことになります。つまり、人口が少ない過疎地ほど、ネットワークで結ばれる前後においてリスク負担の乖離が大きく、セキュリティ対策費用が財政に対して大きくなる可能性が高くなります。
 したがって、理想としては、三鷹市や市川市のようにセキュリティ認証を取得することが求められるのですが、そのような対応は過疎地では難しく、今後「セキュリティ・ディバイド」が顕在化することが予想されます。
http://www.city.mitaka.tokyo.jp/a002/p003/g02/d00300007.html

2004/1/9 『アクセシビリティ向上へ向けた取り組み』
 西東京市では、11月末から同市ホームページを、視力の弱い方や色の識別が困難な方等が快適に閲覧できるように「ズームサイト」という補助機能を導入したそうです。同市のトップページにあるズームサイトのアイコンをクリックすると、ズームサイト操作ボタンが別ページで表示されます。ズームサイトではホームページの表示そのものの拡大や縮小ができるとともに、ホームページの色を白黒に変換したり、色を反転(ネガポジ反転)したりできます。
(私見)昨今、Webアクセシビリティのガイドラインを作成する等、自治体のホームページにおいてもアクセシビリティ向上に向けた取り組みが本格化してきています。しかしながら、課等の組織単位で情報が作成されている場合が多く、全体的な統制をとることは容易ではないようです。実際、アクセシビリティのガイドラインを設けている自治体でも、十分に配慮したホームページを作成しているのはガイドライン作成組織に限定されていたりします。このような現状を考慮すると、利用者側においてまとめて都合の良いよう変換してもらうという西東京市の取り組みは有効ではないかと考えられます。もちろん、このような視覚障害者を対象としたサービスだけでなく、他の障害(聴覚障害など)を持つ人や全盲の人に対応することも不可欠でありますが。
http://www.city.nishitokyo.tokyo.jp/

2003/12/12 『面白そうなホームページ』
 今回はちょっと指向を変えてたまたま見付けた面白そうな自治体のホームページを紹介したいと思います。今回、別の情報収集をしていて偶然見付けたのが北海道の北檜山町のホームページでした。興味を引かれた理由をいくつかご紹介したいと思います。
 まず、トップページを開いて気付くのが音楽を流す仕組みになっていることです。トップページだけでなく他のいくつかのページでも開くと音楽が自動で流れます。これはアクセシビリティの観点からは望ましくないとも言われていますが、北檜山町のホームページでは「音楽への扉」というメニューが設定されており、ページ全体の大きな特徴として位置付けられています。「音楽への扉」、および他のページで発信されている音楽は、町内在住のピアノの先生によるオリジナル作品だそうです。
 「きたひやMAN」と題する人物紹介ページがあり、非常にあたたかく、地元密着型のイメージがあります。個人情報の問題もありますが、個人的にはこういう取り組みは是非やっていただきたい気がします。広報紙とかではよくやっていますが、ホームページコンテンツとしてやっている事例は少ないのではないでしょうか。電子掲示板にも結構頻繁に書き込みがあるようで、人口規模を考えるとよく利用されている印象を受けます。
 あと、面白いのがホームページの更新履歴です。単なる更新履歴だけでなく、頻繁に変更されているトップページのデザインの変遷も紹介されています。こちらもアクセシビリティの観点からは頻繁にデザインが変わることは望ましくないのですが、北檜山町のホームページではこのデザインの変遷から「手作り」というイメージが大きく伝わってきます。
http://www.hokkai.or.jp/kitahiyama/

2003/11/6 『松本市電子自治体推進計画』
 策定されてから半年が経過しており、トピックスとは言えないと思いますが、掲題にある松本市の計画を取り上げたいと思います。この計画の大きな特徴は、単に施策について羅列するのではなく、組織として情報化全体の構成やマネジメントに焦点を当てているところです。それ故、対住民という点では、あまり好ましくないかも知れませんが、職員が情報化を推進する際には非常に有用な計画に仕上がっています。
 まず、目を引くのが「第4章 システム共通規約」として、情報システムに係る技術的なアーキテクチャをある程度規定するとともに、購入方式や開発・運用方法について触れていることです。現在、中央省庁では、経済産業省を中心に業務も含めてアーキテクチャの標準化を図るEAの取り組みが進められていますが、実際、これまで行政機関では、このような全体アーキテクチャを検討する機会がほとんどありませんでした。それ故、業務まで踏み込んでいないとは言え、このような項目が大きく設けられていることは非常に先進的だと感じます。
 また、「第6章 資産管理運用方法等」で資産管理について触れられているところも他の自治体の計画ではほとんど見受けられない部分です。これまで単式簿記で業務を処理してきた自治体では、資産管理という言葉自体が組織内に根付いていませんでした。しかしながら、行政経営の効率性を明らかにすることが求められている昨今、複式簿記を前提とした資産管理の概念を情報化にも取り入れていくことは不可欠です。
 この計画のとりまとめには外部組織が関わっていると推測されますが、その外部組織、およびこのような形で最終的にとりまとめを行った松本市の情報政策担当部門に敬意を表したいと思います。住民からすると分かりにくいですが、内部的な活用を意図したこのような計画もありではないでしょうか。
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/www_cbox/html/jouhou/sozokan/e-gov/suisin_k.htm

2003/10/29 『自治体の情報システムマネジメントの変化』
 総務省から「地方自治情報管理概要」が公表されました。調査項目の多くは昨年と類似していますが、大きなトレンドとして、情報システムや予算だけでなく、体制や制度面の整備に注目が集まっているようです。調査自体は今年度の4月に実施した内容になっておりますが、以下のような結果が報告されています。
 CIOを任命しているのは、都道府県で36.2%、市町村で17.3%です。また、任命されているCIOの役職は、都道府県で副知事、市町村で助役が多く、それぞれ任命者全体の52.9%、67.4%を占めています。
 セキュリティポリシーに関しては、都道府県の80.9%、市町村の29.5%が策定しており、セキュリティ監査(内部、外部に関わらず)を実施しているのは、都道府県で23.4%、市町村で8.8%です。
(私見)CIOの設置に関しては、情報システムの組織全体としての統制や最適化を図る上で急務と感じていますが、やはりその役割に応じた権限を持つ役職者が望まれます。したがって、副知事や助役が多くなることが至って自然と言えます。なぜなら、部長や課長のレベルでは他の部課長とどうしても並列になり、横断的な統制が難しいからです。したがって、首長の下で、横断的な統制が可能な位置付けにある副知事や助役が適任になってくるわけですが、それ以外にも適任である理由があります。つまり、他の行政職員と異なり、首長による任命によって外部から人材を採用することが可能であることです。もちろん、他の役職(部長や課長等)においても外部の人材を採用する事例が出てきていますが、これを実現するためには昇進ポストの問題等、内部的な調整に時間を要すると予想されます。その点、助役に関しては、首長の判断で容易に外部の優秀な人材を登用することが可能になります。それ故、今回の調査で「CIOが外部の人材か行政職員か」を調査していないことは少し残念に感じます。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/031024_1.html

2003/10/8 『犯罪発生マップ公開』
 奈良県警はGISを利用して犯罪の発生状況に関する情報提供を開始しました。対象となっている犯罪は以下の三種類であり、1平方キロメートル当たりの犯罪発生件数を色分けして示す仕組みになっています。奈良県警では、このような犯罪発生状況と合わせて防犯対策に関する情報提供も行っています。
・携帯しているハンドバッグ等をひったくって盗む犯罪
・自動車等内の荷物等を盗む犯罪(車上ねらいなど)
・住宅内に侵入し、金品等を盗む犯罪(空き巣など)
(私見)既に警視庁、神奈川県警、京都府警等が犯罪に関する情報を地図情報と合わせて提供していますが、情報の内容や精度、提供形態にはバラツキがあり、必ずしも住民にとっては有用とは言えない状況にあります(各自治体が意識を持つという点では効果があるようですが)。その中でも奈良県警における犯罪発生マップは比較的精度が高く、住民による活用を意識したものではないかと思われます。
 犯罪発生状況は我々住民にとって非常に重要な情報だと思いますが、各地域でのビジネスに大きな影響を及ぼすため、行政機関としても取り扱いが難しい、というのが正直なところだと思います。ただ、犯罪検挙率が著しく低下している昨今、我々が自己防衛する必要性は日増しに高まっており、そのような意識醸成の観点からもこのような情報の公開や周知を促進することが望まれます。
http://www.police.pref.nara.jp/hanzaimap/hanzaimap.htm

2003/10/7 『ホームページのユニバーサルデザイン』
 ユニバーサルデザインフォーラムは、ユニバーサルデザインに関する理解促進、技術向上等への寄与を目的として1999年7月に民間主導型の任意団体として設立された団体です。先日、同団体から「自治体のホームページとユニバーサルデザインに関する調査」の調査結果が発表になりました。
 同調査では、都道府県が行うパスポート発給事務を対象に、それに関する情報が各都道府県のホームページから速やかに取得可能かどうかについて独自モニターを対象に調べています。結果、2割弱の人が、目的となるページを見つけることができず、速やかに見つけた人は全体の6割弱にとどまっています。また、以下に示す41項目で評価を行った結果、特に公平な使用環境に関する評価が低かったようです。
・公平な使用環境について(8項目)
・使用法の柔軟性について(8項目)
・簡便かつ直感的な理解について(5項目)
・認知しやすい情報について(6項目)
・エラーへの配慮について(3項目)
・身体的負担が小さいについて(5項目)
・使用に必要な大きさやスペースの確保について(3項目)
・見た目の印象・デザインについて(3項目)
(私見)パスポートに関するページにたどり着けなかったモニターが2割近くいることは注目すべき点です。調査対象となったモニターの多くはブロードバンドを導入しており、毎日インターネットを利用しているようです。しかしながら、このようにインターネットの利用に慣れた人達でも情報を見つけられないのは、ホームページの構造上に問題があり、ユニバーサルデザインになっていないということに他なりません。特にパスポートの給付は、都道府県における行政手続の中でも利用頻度が高いもので、ニーズが高いと予想されるだけに、情報提供の仕方に課題があると言うことができます。
 私は、仕事柄、普段から自治体のホームページをよく利用しますし、情報検索には慣れている方だと思いますが、それでも希望の資料を見つけ出せないことはたまにあります。都道府県レベルでは、ホームページの情報の増大に、情報の整理が追いついていない感もありますが、インターネットが行政と住民のコミュニケーション媒体として着実に重要度を高めている中、ホームページでの情報提供のマネジメントを今一度見直す必要があるのかも知れません。
http://www.universal-design.gr.jp/act/jtitai.pdf

2003/8/23 『地域メディアコンテンツ研究会報告書』
 先日、総務省で昨年12月から開催されてきた「地域メディアコンテンツ研究会」(座長:小林宏一 東洋大学社会学部教授)の報告書が公開されました。
同報告書では、「地域に特化した情報や話題を、その地域の放送事業者等のメディア企業、行政、住民・NPOが主体となって制作し、地域のメディア(放送局やプロバイダー等)を通じて、その地域内または地域外に配信・放送されるコンテンツや放送番組」を「地域メディアコンテンツ」と定義しています。また、地域メディアコンテンツの意義として、大きく以下の4つを示すととともに、その現状、先導的な取り組み、および、今後の制作・流通促進のための提言を行っています。
・地域生活に必要な情報や地域文化に関する情報の提供
・地域産業のPR・振興
・住民活動の紹介・支援
・行政情報の普及
(私見)個人的には、同報告書で述べられている地域メディアコンテンツの更なる振興が必要と以前から感じているのですが、「これって中心市街地の議論の類似するのかな?」とふと考えてしまいました。つまり、総論では賛成なのですが、消費者側の行動が伴わないのです。中心市街地の重要性について住民に尋ねると「重要」と皆答えるが、答えた人のほとんどが買い物には郊外店を利用していたりします。地域メディアコンテンツも同様で、重要性は重々承知しているのだけれど、実際のコンテンツ消費者側は地域メディアコンテンツではなく、東京で作られたマスコンテンツを消費している場合が多いのではないでしょうか。同報告書は先進事例等も紹介され面白かったのですが、このような消費者側の視点が抜け、供給者側からの視点でのみ記述されているところに少し疑問の感じました。

http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/030819_2.html

2003/7/3 『ケーブルテレビの現状』
 先月の後半に総務省から掲題の資料が公開されました。同資料によると、現状におけるケーブルテレビの世帯普及率は30%を超え、1,514万世帯が加入しています。ただし、これらの世帯すべてがケーブルテレビからイメージする高度なサービスを享受しているのではなく、大容量の情報を伝送できる光ファイバーを整備している事業者は全体の約64%になっています。さらに、光ファイバーを導入している事業者に関しても、幹線すべてが光ファイバーになっているわけではなく、幹線総延長(光ファイバーを導入していない事業者も含む)に対する光化率は約28%になります。また、インターネット接続サービスを提供する事業者も着実に増えてきてはいるものの、事業者全体の42%にとどまっています。
 一方、ケーブルテレビ事業者の経営状況も徐々には回復しており、単年度黒字の事業者が約7割(5年前から約2割増)になっている他、累積黒字事業者も約3割まで増えてきています。
(私見)ブロードバンドという観点から見ると、英米、さらにはDSLで有名な韓国と比較しても我が国のケーブルテレビ経由のインターネット接続数は少ない状況にあります。DSLがあるから良いじゃないという議論もありますが、結局のところ都心に近いところ(NTT局舎に近いところ)の利用者がDSLに流れるのであれば、DSLがケーブルテレビに対してクリームスキミングを行っているようにも見えなくもありません。このような情報通信サービスにおける競争や、放送のデジタル化対応などを考慮すると、経営がようやく安定してきたケーブルテレビではありますが、今後、予断を許さない状況にあると言えるのではないでしょうか。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/pdf/030701_1.pdf

2003/5/8 『NPO法改正』
 1998年に制定、施行された特定非営利活動促進法(NPO法)が2003年5月1日に改正されました。これまでの法律運用の状況を踏まえた改正であり、大きな改正のポイントは「特定非営利活動の種類の追加」、「設立の認証の申請手続の簡素化」、「暴力団を排除するための措置の強化」の三つです。
一番目のポイントに関しては、設立が容易なNPOを「かくれみの」に使う暴力団が増えている状況を反映したものであり、特定非営利活動法人の要件に抵触する「暴力団等」の範囲を「5年前まで暴力団に在籍していた人」を含むところまで拡大した点が異なっています。二番目のポイントに関しては、NPO法人を設立申請するに際して必要な書類を一部省略したり、統合したりしたことが変更点になります。三番目のポイントでは、これまでのNPO法人の活動状況を踏まえ、従来の12分野に加え、以下に示す5つの分野が追加されています。
・情報化社会の発展を図る活動
・科学技術の振興を図る活動
・経済活動の活性化を図る活動
・職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
・消費者の保護を図る活動
(私見)情報化という観点では、もちろん三番目の改正ポイントが重要であると考えられます。これまでも情報化に関連したNPO法人は数多く設立されていますが、その数を正確にカウントする等に際して、従来の分野割りは役に立ちませんでした。そのため、公表されている組織名や設立趣旨等に一つ一つ目を通すことでしか、情報化関連のNPOを捕捉することができませんでした。もちろん、設立する側でもNPO法人の分野に「情報化」がなかったため、他の分野と関連性をもたせなければいけない等、少々抵抗があったことも考えられます。この改正によって情報化関連NPOが著しく増加するとは思えませんが、情報化関連NPOの状況把握が容易になったり、情報化関連NPO法人の設立負荷が少し軽減されることは確かでしょう。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/npo/new_npo/021211npo.html#contents

2003/4/17 『地方公共団体における情報バリアフリーの取り組み』
 総務省では、情報通信技術(ICT:Information and Communications Technology)が高齢者、障害者も含め誰にとっても一層使いやすくなり、活用されるようになるための方策を検討するため、昨年12月から「高齢者・障害者によるICT活用の推進に関する研究会」(ICTユニバーサル研)を開催しています。現在、3月25日に開催されたICTユニバーサル研の資料が公開されていますが、その中に地方公共団体における情報バリアフリーの取り組みに関する資料が含まれています。『地方公共団体ホームページのアクセシビリティ向上の取組に関する調査』によると、開設しているホームページにおいてアクセシビリティに配慮していると回答したのは約18.9%であり、全体の2割に満たない状況にあります。また、ツールを使ってアクセシビリティをチェックしたり、実際に高齢者や障害者に使ってもらってテストしている団体は更に少なく、3%にも達していません。ただし、都道府県と政令指定都市に限定した場合、その取り組みは進んでおり、アクセシビリティに配慮している割合は4分の3であり、チェック等の実施も1割以上になります。
(私見)ブロードバンドの普及にともない、動画表示や双方機能等の複雑な機能を有したホームページも増えてきていますが、このような仕掛けは音声で情報を読み上げている視覚障害者等にとっては逆に使い勝手の悪いものになります。つまり、ある人には便利になる技術の進歩が他の人にとっては不便さを増すこともあり得るのです。情報化を進める際に、我々はこのような点に配慮しなければいけないことは前々から言われていますが、実際に対策が十分に行われているか、と言えば疑問も残ります。一部の企業では、視覚障害者ようのシンプルな作りのホームページと、そうでないCGI等を使った凝ったホームページ、双方を作成していますが、実際にはこのようなホームページ両方を維持するのは費用的に難しいのかも知れません。複雑なホームページを、アクセシビリティが確保されたシンプルなものへ自動変換するようなソフトウェア等が開発されると良いのでしょうが、データのリンケージ等を考慮すると難しいのかも知れません。幸い、自治体のホームページの中には複雑なつくりものがあまり見られないので、民間企業よりもアクセシビリティは優れていると思われますが、それでも見た目では分からない阻害要因も存在する可能性があり、アクセシビリティに関するチェックを行うことは今後不可欠ではないかと考えます。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/ict/030404_1.html

2003/3/8 『平成14年通信利用動向調査』
 昨日、総務省の方から平成14年通信利用動向調査の結果が発表されました。これによると2002年末時点における我が国のインターネット利用者数は6,942万人、人口普及率は54.5%になっています。世帯普及率の増加は人口普及率の増加よりも大きく、世帯人口の少ない人、単身者、二人世帯等における利用が進んだことがうかがえます。ブロードバンドの利用率は個人レベルで31.1%であり、昨年から倍以上に伸びています。また、ホットスポットを利用したことがある人も8.8%いるそうで、オンラインショッピングの利用率は20.8%になっています。
(私見)インターネットの用途として「電子メール」、「情報検索」が多く挙げられるのは当たり前なのですが、パソコンからのインターネット利用の用途において四番目に多く「政府・自治体情報入手」が挙げられているのには驚きました。私が予想しているよりも案外、行政のホームページって使われているものなのですね。
 人口普及率に関しては、我が国は携帯電話経由にインターネット利用者が多いので、また調査手法も異なるので一概に海外とは比較的できないと考えています。携帯電話経由のインターネット利用が進んでいるのは、今のところ日本と韓国だけなので、他の国のインターネット普及率はほとんどパソコン経由からの利用のみを計上していると考えられます。
 ちなみに携帯電話のみからインターネットを利用している人は今回の調査において1,061万人で、前回の657万人から約60%増加している。これは他の利用者より増加率が高く、すなわち携帯電話におけるインターネット利用が我が国のインターネット利用を牽引しているようにも見受けられます。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/030307_1.html

2003/3/1 『世界のネットワーク化ランキング』
 世界経済フォーラムという団体が、各国のネットワーク化がどれくらい進んでいるかランキングを発表しています。レポートのタイトルは“Global Information Technology Report 2002-2003 - Readiness for the Networked World”で、ネットワーク化のReadiness(進捗、準備)の状況について各国の現状を統計データから評価し、ランキングを行っています。今回発表された報告によると、ネットワーク化が最も進んでいるのは、フィンランドであり、次いで米国、シンガポール、スウェーデンと続きます。ちなみに日本はフランスの下で20位になっています。
レポートにおける評価項目は、「環境」、「準備(進捗)」、「利用」の3つに大きく分かれており、また、その中が以下のようにそれぞれ3つに分かれています。実際には、合計9つの項目を評価するのに、更に細かな評価項目が設定されており、その数は64になります。
・環境(市場、政策/規制、インフラ)24
・準備(個人、企業、政府)20
・利用(個人、企業、政府)20
(私見)評価項目の中には、電話、ファックス、ナローバンド、ブロードバンド、携帯電話等、技術的に先進性が異なるものが羅列されており、このランキングが情報化の進展度を正確に表しているかどうかは甚だ疑問ではあります。しかし、評価項目の中には、「理数教育のレベル」、「技術革新能力」、「政府の規制」等が入っており、インターネットの普及率のみで比較するという端的なランキングよりもよほど有用であると考えられます。規制の度合等をどれだけ客観的にランク付けしているかは怪しいところですが。
http://www.weforum.org/site/homepublic.nsf/Content/Global+Competitiveness+Programme
\Reports\Global+Information+Technology+Report+2002-2003+-+Readiness+for+the
+Networked+World">http://www.weforum.org/site/homepublic.nsf/Content/Global+
Competitiveness+Programme%5CReports%5CGlobal+Information+Technology+Report+2002-2003
+-+Readiness+for+the+Networked+World

2003/2/19 『eEuropeの評価』
 EC(Europe Commission)から、これまでECあるいはEUとして取り組んできた情報化の取り組みである「eEurope」の取り組みが順調に進んでいるというプレス発表が行われました。同発表によると2000年6月に作成された『eEuropeアクションプラン2002』で掲げられた64のターゲットは2002年松において達成されたとのことです。成果としては、9割以上の学校や企業がインターネットに接続するととともに、世帯のインターネット接続率も加盟国平均43%になっている他、欧州は世界で最も速い研究ネットワークとしてGEANT(本当はEの上に点が付くらしい)を持っていることを挙げています。また、これからの目標をブロードバンドの普及に設定することにも触れています。
(私見)欧州におけるインターネット利用は我が国と比較して必ずしも進んでいるとは思えませんが、このように政策目標を設定して定期的に評価し、その進捗を公開するような仕組みは有効だと思います。また、多くの国の間で同様の調査を行うことで正確性の高いベンチマーキングも可能になります。我が国においてもいくつか定量的な情報化指標が提示されていますが、その目標等はいまいち不明確ですし、他の国との比較に関しても、他のデータと調査手法が異なるため単純に比較できないのが実状です。
http://europa.eu.int/rapid/start/cgi/guesten.ksh?p_action.gettxt=gt&doc=IP/03/220|0|RAPID&lg=EN;

2003/1/14 『市町村合併時における情報システム統合の在り方』
(財)地方自治情報センターは、今年度の研究開発事業として、「市町村合併に伴う情報システムの在り方に関する調査研究」と題し、市町村が合併する際の情報システム統合の手法について調査分析するとともに、技術的/運用的課題について検討を行い、市町村合併にともなう情報システムの在り方について調査研究を行っているそうです。
 昨年12月末に、この調査研究の中間報告として『市町村合併に伴う情報システム統合マニュアル』、およびその概要版である『市町村合併に伴う情報システム統合の11のポイント』が公開されました。なお、中間報告は正会員団体向けになっております。
概要版によると、統合のポイントは以下の11だそうです。
1.首長から担当者まで「情報システム統合が最重要課題のひとつである」ことを理解する。
2.限られた時間で効率的な作業を行う必要があることを理解する。
3.意思決定の所在及びプロセスを明確にする。
4.予算措置を確実に行う。
5.情報システム面からみた統合時期を判断する。
6.アプリケーションのプライオリティ(優先度)を検討する。
7.安全かつ確実な統合方針を決定する。
8.情報システム開発時の機能拡張は、極力抑制する。
9.情報システム統合に伴う効果を把握する。
10.個人情報保護及びシステム統合作業の透明性に配慮する。
11.電子自治体の動向を注視する。
(私見)合併特例法の有効期限にともない、あせって合併作業を進めている自治体も多いように見受けられますが、実際、情報システムの統合は大きな労力と時間を要します。行政機関は銀行と同様に情報システムのヘビーユーザーであり、銀行の合併時における情報システムトラブルを考慮すると、慎重に取り組むことが望まれます。このようなレポートが提供されることは、難しい情報システム統合の一助となると考えられますが、ポイントにもあるように、首長自体が合併をあせらず、情報システムの重要性を認識することが必要と考えます。
http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/rdd/kokoku.htm

Copyright(C) Tadashi Mima  ALL Rights Reserved. 

  ホームへ    前のページへ