麝(じゃ)あれば香し(かんばし)。 解釈:麝香(じゃこう)とは、麝香鹿の雄の下腹部にある袋を乾燥して作っ たもの。この香りは大変人を惹き付ける。転じて、才能のある者は、黙ってい ても世に表出してくるという意。 類義:紅(くれない)は園生(そのう)に植えても隠れなし。 蛇(じゃ)が出そうで、蚊(か)も出ぬ。 解釈:大変なことが起こりそうで、結局何でもなかったという意。 類義:大山鳴動(たいざんめいどう)、鼠一匹。 釈迦(しゃか)に経(きょう)。 解釈:全てを知っている人に対して、知ったかぶりをして知識をひけらかす 愚かさをたとえていう。 類義:河童に水練。孔子(こうし)に悟道。孔子に論語。極楽の入り口で念 仏を売る。猿に木登り。 参考:Teach your grandmother how to suck eggs.(お婆さんに卵の扱い方 を教える) 釈迦に宗旨(しゅうし)なし。 解釈:釈迦の教えが仏教の全ての派の源。宗派の争いは無意味であるという こと。 類義:宗旨の争(あらそい)、釈迦の恥。宗論(しゅうろん)はどちらが負 けても釈迦の恥。 釈迦に説法。 解釈:自分より知り尽くしている人に教えることの愚かさ。「孔子(こうし) に悟道]と続く。 類義:河童(かっぱ)に水練。猿に木登り。 釈迦にも経の読み違い。 類義:弘法(こうぼう)にも筆の誤り。 杓子定規(しゃくしじょうぎ)。 解釈:他に当てはまらない基準を設けて、無理に当てはめること。また、形 式に捉われて応用融通の利かないこと。 杓子で腹を切る。 解釈:とても不可能なことをすること。また、形式だけの事をすること。 類義:杓子腹。擂粉木(すりこぎ)で腹を切る。 杓子は耳掻きにならず。 解釈:大は小を兼ねると言うけれど、そうとばかりは言えないという意。 類義:長持(ながもち)は弁当箱にはならぬ。長持、枕にならず。 反義:大は小を兼ねる。 弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)。 解釈:強い者が弱い者を侵略、併合していくこと。弱い者が強い者の餌食に なること。 麝香(じゃこう)は臍(へそ)故、命を取らる。 解釈:長所やよい個性が逆に仇(あだ)になるたとえ。麝香鹿は下腹部に芳 香を発する鶏卵大の袋を持っている。雌を惹き付けるための物だが、これが猟 師に狙われて命を落とすことをいったもの。 類義:孔雀は羽ゆえ人に獲らる。翠(すい)は羽を以てその身を害す。象は 歯ありて以て其の身を焚(や)かる。 車軸を流す。 解釈:豪雨。車の軸のような大雨が降ることをいう。 類義:車軸を下す(くだす)。車軸を降らす。 社稷(しゃしょく)の臣(しん)。 解釈:国の重要な臣。「社」は大地の神、「稷」は穀物の神、「社稷」で国 家の意味となる。 鯱鉾立(しゃちほこだち)も芸の中(うち)。 解釈:余興の隠し芸がなくて、逆立ちで誤魔化すことを皮肉った言葉。 類義:鯱鉾立ちは芸に非ず(あらず)。 尺蠖(しゃっかく)の屈(かが)めるは、伸びんがため。 解釈:大きな飛躍のためには、忍従し屈辱に耐えることも必要という意。尺 取り虫が縮むのは伸びるためである。 弱冠(じゃっかん)。 解釈:男子の年齢の二十歳を弱といった。古代中国では、男子は二十歳で元 服し冠を被り、三十歳は壮といって妻を迎え、四十歳を強として官に仕えた。 参考:「若冠」と書くのは誤り。 借金は身上(しんじょう)の薬。 解釈:借金は考えようによっては財産作りの発奮の材料となるという意。借 金のある人は、返済のために一生懸命に稼ぐ。そして金儲けのコツを覚えて金 持になる。 蛇(じゃ)の口に蝿。 解釈:敵としてはあまりに小さな相手。ひとたまりもないことをいう。 類義:鬼に煎餅(せんべい)。 蛇(じゃ)の道は蛇(へび)。 解釈:同じ種類の人間同士には、同類のやったことは直ぐ分かるということ。 類義:悪魔は悪魔を知る。蛇の道はくちなわが知る。泥棒を捕まえるには、 泥棒を使え。餅は餅屋。 蛇は寸(すん)にして人を呑む。 解釈:人並外れて抜きん出ている人は、小さいときから普通と異なるという たとえ。蛇はほんの一寸くらいの小さい頃から、大きい物を呑むという意。 類義:牛を食らうの気。栴檀(せんだん)は双葉より芳し(かんばし)。蛇 は生まれ乍らにして、牛を呑む気あり。竜は一寸にして昇天の気あり。 邪魔(じゃま)にならぬ一人前(いちにんまえ)。 解釈:役に立たない人間をいう。仕事はできないが、居ても邪魔にはならな いということでは、一人前だという意。 沙弥(しゃみ)から長老。 解釈:飛躍的に出世すること。一足跳びに偉くなってしまうこと。「沙弥」 は仏門に入りたての修行僧で、「長老」は高僧のこと。沙弥から長老に一足跳 びになることをいう。 類義:てんから和尚。納所(なっしょ)から和尚。 反義:沙弥から長老にはなれぬ。 沙弥から長老にはなれぬ。 解釈:一足跳びの出世などなく、それ相応の修業と努力が必要なのだという たとえ。物事には順序があるという意。 類義:沙弥を経て長老に至る。仏になるも沙弥を経る。 反義:沙弥から長老。 三味線と蛸(たこ)は血を狂わす。 解釈:遊び心は一寸したきっかけで触発される。三味線の音色を聴いただけ で血が騒ぐこと。「蛸」は単なる語呂合わせ。 三味線も弾き方。 類義:物は言いよう。 舎(しゃ)を道傍(どうぼう)に作れば、三年にして成らず。 解釈:意見が多くて纏まらないことのたとえ。道路際に家を建てて、通る人 の意見を一々聞いていては、何時まで経っても結論が出ないという意。 類義:室を道に築きて謀るが如し。船頭多くして、船、山へ登る。 十月の投げ木。 解釈:木の移植時期についての言い伝えで、木を移植するなら旧暦の十月、 落葉した後にするとよい。投げ出すような乱暴な植え方をしても根付くという 意。 十月の昼間(ひるま)なし。 解釈:旧暦十月は日が短いという意。 類義:十月の中の十日には、濡れ馬が乾かぬ。 衆寡(しゅうか)敵せず。 解釈:小人数では多人数に太刀打ちできないこと。勝負にならない数の差。 類義:多勢に無勢。 習慣は第二の天性(てんせい)なり。 解釈:日常の生活習慣は繰り返しているうち、やがて生まれ付きのようにな ってしまう。 類義:習い、性(せい)となる。 参考:Custom is a second nature.の訳語。 秋毫(しゅうごう)。 解釈:ほんの僅か。僅少(きんしょう)の意。「秋毫」とは秋になって生え 替わったばかりの細い動物の毛。 衆口(しゅうこう)、金(きん)を鑠す(とかす)。 解釈:まちがった話、もしくは讒言(ざんげん。告げ口)が多くの人に伝わ ると、正しい内容や正義は滅びてしまうというたとえ。 宗旨の争(あらそい)、釈迦の恥。 解釈:仏教の各宗派が互いに自分の正当性を主張して争うことは、大基(お おもと)である釈迦を辱めることになるという意。 類義:釈迦に宗旨なし。宗論はどちらが負けても釈迦の恥。 修身斉家(しゅうしんせいか)治国平天下(ちこくへいてんか)。 解釈:自分の行いを正せば、家庭が安定し、国も治められ、ひいては天下も 平和になる。自分の徳が天下国家の基本となるという意。 秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)。 解釈:刑罰や権威などが正しく、非常に厳しいこと。 舅(しゅうと)の物で相婿(あいむこ)もてなす。 解釈:姉妹の婿同士が舅に呼ばれて宴席で一緒になり、舅の振る舞ってくれ た酒食で義理を果たす、ちゃっかりした行為。 類義:人の牛蒡(ごぼう)で法事する。人の褌(ふんどし)で相撲とる。 姑(しゅうとめ)無ければ村姑。 解釈:嫁いだ先に口のうるさい姑が居なくて安心だと思ったら大間違い、ち ゃんと周囲に口うるさいのがいるという意。 姑に似た嫁。 解釈:嫁に行くと実の親子でもないのに、姑に段々似てくることをいう。 類義:姑に似たる嫁が来る。嫁は姑に似る。 姑の仇(かたき)を嫁が討つ。 解釈:姑に苛(いじ)められた嫁は、やがては自分の息子の嫁を苛めること で恨みを晴らす。 姑(しゅうとめ)の十七、見た者がない。 解釈:姑が若い頃のことを引き合いに出して、嫁に小言を言ったり自慢した りするが、どこまで本当のことかは分らない。 類義:親の十七、子は知らぬ。 姑の三日(みっか)誉め。 解釈:姑が嫁を褒めてもせいぜい三日と続かない。姑が嫁を褒めるようなこ とは滅多にないというたとえ。 類義:姑の朝笑い、後が怖い。 姑は嫁の古手(ふるて)。 解釈:嫁もそのうち姑になる。 十人十色(じゅうにんといろ)。 解釈:十人いれば、皆異なるということ。考え方、容貌など一人として同じ 人間はいないたとえ。 類義:頭が違えば心も違う。十人十腹。十人寄れば十国(とくに)の者。人 の心は面の如し。 十人寄れば十国(とくに)の者。 解釈:人が集まれば、いろいろな地方の出身者がいること。 類義:十人寄れば十里の事。十人寄れば十国の客。十人寄れば十国の咄(は なし)。 十年一昔(ひとむかし)。 解釈:社会現象の諸々は、十年を単位にして大きく移り変わるという意。 類義:十年経てば一昔。 秋波(しゅうは)。 解釈:色目。媚(こ)びた目つき。 重箱(じゅうばこ)で味噌を擂る(する)。 解釈:大まか。大局的に見て、細かいことには干渉しないこと。 類義:重箱の隅を杓子(しゃくし)で払う。重箱を擂粉木(すりこぎ)で洗 う。 反義:重箱の隅を楊枝(ようじ)で穿(ほじ)る。 重箱に鍋蓋(なべぶた)。 解釈:ぴたりと嵌(はま)らないことのたとえ。 重箱に煮締(にしめ)。 解釈:入れ物ばかり立派で、中身が粗末なたとえ。 類義:錦の袋に糞を包む。 重箱の隅を楊枝(ようじ)で穿(ほじ)る。 解釈:本質とかけ離れたどうでもいいようなことを穿り出しては口にし、詮 索(せんさく)すること。 反義:重箱で味噌を擂る(する)。擂粉木で重箱を洗う。 十八後家は立つが、四十後家は立たぬ。 類義:二十(はたち)後家は立つが、三十後家は立たぬ。 秋波(しゅうは)を送る。 類義:秋波。 十分は零(こぼ)るる。 解釈:ほどほどにして、あまり欲を出すなという教え。水を容器一杯に入れ ると零れることをたとえにした。 類義:十分は零るる月、盈(み)ちれば欠く。満は損を招く。盈つれば虧 (か)く。物は八分目。 十目(じゅうもく)の視る所、十手(じっしゅ)の指す所。 解釈:誰が見て判断しても、同じ見解に達するところ。 類義:千人の指す所は違(たが)わず。 柔(じゅう)よく剛(ごう)を制す。Flexibility might manage the valor. 解釈:弱い者が柔軟性を持つと、かえって強い者に勝つことをいう。 類義:強大は下に処(お)り、柔弱は上に処る。柔弱は剛強に勝つ。 参考:Soft words win hard hearts.(柔らかい言葉は手強い議論と同じ) 雌雄を決す。 解釈:勝ち負けをはっきりさせる。決戦する。 菽麦(しゅくばく)を弁ぜず。 解釈:どうしようもない愚か者。菽(豆)と麦の区別さえつかないこと。 守株(しゅしゅ)。 類義:株を守りて兎を待つ。 主従は三世(さんせ)。 解釈:主人と従者の契りは過去、現在、未来の三世に亘るというもの。 類義:親子は一世、夫婦は二世、主従は三世。 主人と病気には勝てぬ。 解釈:自分の主人の命令と病気の二つには逆らうことはできないの意。 類義:強い者勝ち。長い物には巻かれよ。泣く子と地頭(じとう)には勝て ぬ。 数珠玉の穴から経文を読み取る。[守] 類義:群盲(ぐんもう)、象を撫づ。 参考:Reading Buddhist sutras before the bead hole. Buddhist scriptures are read from the hole of the bead. 手足(しゅそく)を措(お)く所無し。 解釈:安心して居られる所が無い。手足の置き場所も無いほど不安な状態。 首鼠両端(しゅそりょうたん)。 解釈:決心しないこと。迷っている状態。「首鼠」は鼠が穴から首を出し入 れして、左右を窺っていることから、進んだり後退したりすることをいう。 酒池肉林(しゅちにくりん)。 解釈:これ以上無いという贅沢な宴会。中国殷(いん)の紂王(ちゅうおう) が酒を湛えた池に、肉をまるで林のように並べて酒宴を行ったという故事によ る。 出家の念仏嫌い。 解釈:最も大切なことが嫌い。また、最も重要なことができないたとえ。 出藍の誉(しゅつらんのほまれ)。 解釈:弟子が先生より秀でること。 類義:青は藍(あい)より出でて、藍よりも青し。 朱に交われば赤くなる。It reddens if intersecting as the vermillion. One rotten apple spoils the barrel. 解釈:人は付き合う友人の感化を受けるようになること。 類義:墨に近付けば必ず緇(くろ)く、朱に近付けば必ず赤し。血に混じれ ば赤くなる。 参考:He who touches pitch shall be defiled therewitch.(ピッチに触れ る者は汚れる) 順境(じゅんきょう)は友を作り、逆境は友を試みる。 解釈:順調にいっているときは、友人は沢山できるが、逆境になると離れて いく友人が多い。その時に、真の友かどうかが分かる。 蓴菜(じゅんさい)で鰻(うなぎ)繋ぐ。 解釈:とてもできない馬鹿らしいこと。不可能も度が過ぎていること。 「蓴菜」はぬるぬるした水草。 類義:瓢箪(ひょうてたん)で鯰(なまず)を押さえる。 春秋に富む。 解釈:年齢が若く前途が長いこと。 春秋の筆法(ひっぽう)。 解釈:一見、的を突いていないように見えるが、案外に本質を突いている批 判の仕方。 春宵一刻(しゅんしょういっこく)、値千金(あたいせんきん)。 解釈:春の夜は最高に楽しく素晴らしいという意味。 順風満帆(じゅんぷうまんぱん)。 解釈:全てが順調にいっていること。万事好調な人や状態。 活用⇒順風満帆。Smooth sailing.人生も何もかも、全て順調である。 It goes well all also all lives. 類義:得手(えて)に帆を上げる。 春眠(しゅんみん)、暁を覚えず。 解釈:春は睡眠には最高の季節で、朝になっても目が覚めない。 |