梅花(ばいか)は莟(つぼ)めるに香(か)あり。 解釈:梅の花は莟(つぼみ)のうちから香を放つところから、大成する人物 は幼児から人より抜きん出たところがあるというたとえ。 類義:栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)し。 反義:十で神童、十五で才子、二十(はたち)過ぎればただの人。 肺肝(はいかん)を摧(くだ)く。 解釈:古人は肺臓や肝臓に心があり、物事を考えると思っていた。心を砕い て考え抜くこと。非常に苦心すること。 類義:肺肝を尽くす。肺胆(はいたん)を砕く。 敗軍(はいぐん)の将は兵を語らず。 解釈:戦争に敗れた将軍は、軍事について発言する資格がない。失敗した者 は、そのことについて意見を述べる資格はないというたとえ。 類義:敗軍の将は敢えて勇を語らず。 売国。 解釈:自国の内情・秘密を敵国に通じ、又は自国に不利で敵国に利益となる ことを企て、私利を図ること。 背水の陣。 解釈:決死の覚悟で事に当たること。中国漢(かん)の韓信(かんしん)が 前方に山、背後に水と一歩も退くことができない位置に陣立(じんだて)をと り、味方に決死の覚悟をさせて、趙(ちょう)の軍に大勝した故事に倣った言 葉。 類義:糧(かて)を棄て舟を沈む。河を渡り舟を焼く。 吐いた唾は呑めぬ。 解釈:一旦口から出た言葉は、取り消すことはできないということ。無責任 な発言を戒めた言葉。 類義:口から出れば世間。覆水(ふくすい)盆に返らず。 反義:吐いた唾を呑む。 参考:A word once out flies everywhere.(一度出た言葉は何処へでも飛ん でゆく) 吐いた唾を呑む。 解釈:一度言ったことを、そうではなかったと言って翻(ひるがえ)すこと。 類義:二枚舌を使う。 反義:吐いた唾は呑めぬ。 盃中(はいちゅう)の蛇影(じゃえい)。 解釈:疑ってみれば、何でもないものにまで怯(おび)えてしまうものだと いうこと。中国の長官楽広(がっこう)の友人が、杯の酒に蛇が映ったと思っ て病みついてしまったが、楽広に、それは壁に掛けた弓が映ったものだと説明 されて病気が治ったという故事による。 類義:疑心暗鬼を生ず。病は気から。 “はい“に科(とが)無し。 解釈:人に何か言われたときは、はいはいと素直に従っていれば無難である。 イエスマンの勧め。 杯盤狼籍(はいばんろうぜき)。 解釈:酒宴の後、杯や盤(さら)などがごちゃごちゃと散乱している様子。 灰吹(はいふき)から蛇(じゃ)が出る。 解釈:一寸したことから、意外な結果が生じたり、思い掛けないものが出る ことをいう。 類義:灰吹から竜が上る。瓢箪から駒が出る。 肺腑(はいふ)を抉る(えぐる)。 解釈:「肺腑」は肺臓、心の奥底、又は身内の意で、心の奥底が抉られるよ うに、非常に強く心を痛めること。 類義:肺腑を衝く。 売名。 解釈:わざとらしい振る舞いをして、殊更に自分の名前を世間に広め、名声 や利益を得ようとすること。 売薬の効能書。 解釈:あれこれ並べ立てて自己宣伝をしても、あまり当てにならないことの たとえ。 類義:薬効能書ほどに効かず。薬の能書きのよう。御託(ごたく)を並べる。 枚(ばい)を銜む(ふくむ)。 解釈:「枚」は箸に似た棒状の物の両端に紐を付けたもので、昔、兵士や馬 がこれを口に銜(くわ)えて、頭の後ろで縛り、声を出させないようにして夜 襲のときに用いたことから、声を立てないこと。 蝿が手をするよう。 解釈:蝿が肢(あし)を擦(こす)り合わせて拝むような格好をするところ から、拝み倒すこと。懇願する様を蝿の動作にたとえていう。 蝿(はえ)が飛べば、虻(あぶ)も飛ぶ。 解釈:無闇に人の真似をすること。 類義:雁(かり)が発てば鳩も発つ。 這えば立て、立てば歩めの親心。 解釈:わが子の成長を待ちわびる親の気持をいったもの。 羽織を引く。 解釈:寄席では、出演者が舞台で羽織を脱ぎ、次の出演者の準備ができると、 楽屋の者がそれを引っ込める仕来たりがある。つまり、次の出演者の準備がで きましたという合図。 破瓜(はか)。 解釈:瓜の字を二つに分割すると、八の字が二つできるところから、女性の 十六歳を破瓜という。思春期の年頃。 破壊は創造の始まり。Destruction is a start of the creation. 解釈:インドのヒンドゥー思想では、確かに、創造神、維持神、破壊神とい う三柱の神が立てられていますが、普通「輪廻の思想」というのは、こういう 三柱の神とは、また別の思想です。「輪廻の思想」はウパニシャッド哲学で出 てきたもので、三柱の神とは、また別の話です。 それはとまれ、「破壊は創造の始まり」の最初の出所は、人類誕生の薄明の 彼方にあるでしょう。何故なら、これが、「文化」の発展の基本的なパターン だからです。正確には、単に破壊するだけでは何も始まらないのであり、この 言葉には、西洋思想的な言葉ですが、「弁証法的展開」というものが前提にさ れています。(教えて!goo) 活用⇒強制的な破壊よりも、説得ある破壊を。脅威ある創造よりも、納得 出来る創造を。After it persuades from compulsory destruction, can do destroy it. The creation that can be consented is better than the creation with the threat. 類義:創造的破壊 化かす化かすが化かされる。 解釈:人を騙そうとして、かえって相手に騙されてしまうこと。 類義:誑(たら)しが誑しに誑される。 場数(ばかず)を踏んだ者には敵わぬ。 解釈:実地の経験を積んだ者には敵わない。実社会では知識よりも経験がも のをいうということ。 類義:亀の甲より年の功。 馬鹿と鋏は使いよう。 解釈:切れ味の悪い鋏は、普通に使っては少しも切れないが、力の入れ具合 や刃の当て方を工夫して使えば、結構切れるものだ。人もこれと同じで、愚か な者でも、その使い方次第では役に立つ。人を使うには、それぞれの個性や才 能に応じた適材適所が大切であることをいったもの。 類義:阿呆と剃刀は使いようで切れる。 馬鹿に付ける薬はない。 解釈:馬鹿な人間は、教え導く方法がないということ。ここでいう馬鹿は、 知能の低い人の意味ではなく、思慮分別に欠ける人を見放した言葉である。 類義:阿呆に付ける薬なし。 墓に蒲団は着せられず。 解釈:死んだ親の墓に蒲団を着せても、そういう子供の気持はもう親には伝 わらない。親孝行は親の生きているうちにしなければ意味がないということ。 類義:孝行をしたい時分に親はなし。 刃金(はがね)が棟へ回る。 解釈:刀の刃金が峰の方へ捲くれて、切れ味が悪くなること。知恵や気力が 衰えて働かなくなることたとえ。 類義:焼きが回る。 馬鹿の大足(おおあし)。 解釈:大きな足は、愚かな者の徴(しるし)だという俗説。不釣合いに大き いとスマートさには欠けるが、決して馬鹿の徴ではない。 馬鹿の大食い。 解釈:大食・暴食を戒めた言葉。無遠慮に大食すれば行儀作法にも反し、愚 か者に見えるということ。 類義:馬鹿の三杯汁。馬鹿の汁吸い、阿呆の茶飲み。 馬鹿の三寸、間抜けの一寸。 類義:下種(げす)の一寸、のろまの三寸、馬鹿の開けっ放し。 馬鹿の三杯汁。 類義:馬鹿の大食い。 馬鹿の一つ覚え。 解釈:愚かな者は一つ物事を覚えると、得意になってそれを何時までも振り 回すという意味から、一つの主義・主張、知識や方法などを固守して、他の事 を理解しようともしない、自分の事しか分からない人を皮肉った言葉。 類義:阿呆の一つ覚え。能無しの能一つ。 馬鹿ほど怖いものはない。 解釈:物事の分別を弁えない者は、常人の見当もつかないことをやってしま うから、恐ろしいということ。 類義:馬鹿に怖(お)じよ、火に怖じよ。馬鹿は火事より怖い。 馬鹿も休み休み言え。 解釈:下らないことを言うのも、いい加減にしろということ。 測り難きは人心(ひとごころ)。 解釈:人の思っていることは、外見から推し量ることができない。人の心は 変わりやすく、頼みにならないことをいう。 類義:人心測り難し。分からぬものは、夏の日和と人心。 謀(はかりごと)は密なるを尊ぶ(たっとぶ)。 解釈:計画は、秘密裡にしなければならない。事前に漏れるようでは成功は 覚束ない。 類義:謀は密なるをよしとす。謀泄(も)るるは事功無し。 謀を以て、謀を討つ。 解釈:敵の計略を上手く利用して、敵の裏をかく戦法。相手の計画を逆手に とって相手を叩く。 反義:策士策に溺る。謀を巡らす者は、謀に破る。 秤(はかり)に掛ける。 解釈:天秤(てんびん)に掛けて比べてみれば、どちらが重いかはっきり分 かるところから、二つの物事の利害・得失の判断をすることをいう。 類義:天秤に掛ける。 掃溜(はきだめ)と金持は溜まる程汚い。 解釈:財産が貯まれば貯まるほど欲深くなって心が狭くなるということ。 「掃溜」は、塵捨て場のこと。 類義:金持と灰吹は溜まる程汚い。 掃溜に鶴。 解釈:掃溜に清らかな鶴が舞い降りるように、その場に似つかわしくない、 際立って優れた人間が現れることのたとえ。 類義:鶏群(けいぐん)の一鶴(いっかく)。芥溜(ごみだめ)に鶴。 参考:A jewel in a dunghill.(堆肥の中の宝石) 馬脚(ばきゃく)を露す(あらわす)。 解釈:ぼろを出すこと。芝居では馬の役を人間が務めるが、その馬の脚が何 かの弾みで人間と分かってしまうように、包み隠していた事柄や正体が現れる こと。 類義:尻尾(しっぽ)を出す。尻が割れる。化けの皮が剥がれる。 破鏡(はきょう)。 解釈:夫婦が離別すること。昔、余儀なく夫婦が別れるときには、鏡を二つ に割って、それぞれ一片ずつ持って、後日の徴(しるし)としたという中国の 故事による。 破鏡、再び照らさず。 解釈:夫婦が一旦離別すると、再び元に戻ることはないということ。 類義:覆水(ふくすい)盆に返らず。落花(らっか)枝に還らず。 白眼(はくがん)。 解釈:人を冷遇する目付き。睨み付ける目付きのこと。中国晋(しん)の阮 籍(げんせき)は、気の合った人を迎えたときは、真っ直ぐに相手を見て青眼 (せいがん。黒目のこと)で対し、気に食わないときは上目遣いに相手を睨み 付けた(白眼)という故事による。 莫逆(ばくぎゃく)の友。 解釈:互いに、相手に逆らいの気持を全く持たない友。非常に親密な友人の こと。「莫逆」は「逆らうこと莫し(なし)」の意。 白玉楼中(はくぎょくろうちゅう)の人。 解釈:文人・墨客が死ぬこと。中国唐(とう)の文人李賀(りが)が臨終の とき、天帝の使いが現れて、「天帝が白玉楼を造られたから、貴方がその記を 作るように」と告げ、間もなく李賀が死んだという故事による。同意で「白玉 楼成る・白玉楼に上る」という。 麦秋(ばくしゅう)。 解釈:麦を収穫する初夏の頃の異称。麦の実る季節を、一般に穀物が実る秋 に準えた言葉。陰暦の四月。 麦秋の嘆(たん)。 解釈:亡国の悲嘆。中国殷(いん)の臣であった箕子(きし)が、国が滅び た後、旧都の跡が麦畑になっているのを見て悲しんで作った詩の一節。 白紙(はくし)を与える。 解釈:条件を付けずに、全てを任せること。白紙に署名して相手に渡すのだ から、全面的に相手を信頼する行為である。 博打は色より三分(さんぶ)濃い。 解釈:色欲は人間の奥深い本能だが、博奕の魅力は、その女道楽に輪を掛け て甚だしいものであるということ。 伯仲(はくちゅう)の間(かん)。 解釈:互いに極めてよく似ていて優劣のないこと。兄弟の順は上から伯(大 きい子)・仲(中の子)・叔(小さい子)・季(末の子)と呼び、長兄と末弟 (伯季)の間は違いが大きいが、長兄と次兄(伯仲)の違いはさほどではない こと。 類義:兄たり難く、弟たり難し。 白頭(はくとう)新の如く、傾蓋(けいがい)故(こ)の如し。 解釈:白髪になる年まで長い間つき合っても、心通わぬ者もいるが、一寸会 っただけでも意気投合して旧知の間柄のように親しくなれる者もいるというこ と。「傾蓋」は、車を止め、蓋(きぬがさ)を傾け親しむこと。 白髪三千丈(はくはつさんぜんじょう)。 解釈:積年の憂いの深さを誇張した言葉。 白馬は馬に非ず。 解釈:詭弁を弄すること。馬の形をしたものが馬で、白馬の白は毛の色をい うのだから、白馬はあくまで白馬であって馬ではない。つまり馬という抽象的 な概念と白馬という具体的概念は違うのだから、白馬は馬ではない、という詭 弁の論法の一つ。中国、戦国時代の趙(ちょう)の学者公孫竜(こうそんりゅ う)が唱えた。 類義:堅白同異(けんぱくどうい)の弁。 白眉(はくび)。 解釈:多くの人の中で最も優れた人のこと。中国三国時代、蜀(しょく)の 馬氏(ばし)の子は五人とも字(あざな)に常の字が付き、揃って秀才の誉れ が高かったので、馬氏の五常と呼ばれた。中でも長兄の馬良(ばりょう)の才 が最も優れていて、眉毛(まゆげ)に白い毛が混じっていたので、一番優れた 者を白眉というようになった。 薄氷を踏むが如し。 解釈:薄く張った氷の上を歩くように、非常に危険な事態に臨むこと。 類義:氷を踏む。虎の尾を踏む。 白璧(はくへき)の微瑕(びか)。 解釈:ほんの僅かな瑕のために、全体はよいのに完全無欠とは言えない。 「玉に瑕(きず)」の語源。「白璧」は環状の白い宝玉のこと。 反義:完璧(かんぺき)。 白面(はくめん)の書生(しょせい)。 解釈:本ばかり読んで経験の乏しい若年の学者。 伯楽(はくらく)。 解釈:古代中国の、馬の善し悪しを鑑定することに巧みであった人の名から 転じて、博労(ばくろう)又は馬医のこと。 博覧強記(はくらんきょうき)。Education and strong memory. 解釈:広く書物を読み、物事を見聞して、よく覚えていること。知識が豊富 で記憶力が優れていること。 類義:博学多才(はくがくたさい)。 禿(はげ)が三年、目に付かぬ。 解釈:好き合った者同士なら、相手の欠点など三年経っても目に付かないと いうこと。 類義:痘痕(あばた)も靨(えくぼ)。 化けの皮を現す。 解釈:今まで隠していた素性(すじょう)や物事の真相がばれてしまい、 正体を知られてしまうこと。 類義:馬脚を露呈す(あらわす)。化けの皮が剥げる。 化け物に面(つら)撫でられる。 解釈:思い掛けない目に遭うこと。とんでもない事態に直面することのたと え。 化け物も引っ込む時分。 解釈:お化けにも出どき退きどきがある。待っていても出てこないというこ とから、その時機はとうに過ぎた、待っていても意味がないということ。時機 を失するたとえ。 ハゴに掛かれる鳥。 解釈:鳥糯(とりもち)に掛かった鳥のことで、逃げようとして逃れられな いことのたとえ。「ハゴ」は細い木の枝や竹串などに鳥糯を塗ったもので、木 の枝などに仕掛けて、側に囮(おとり)の鳥を置き、小鳥を捕る。 類義:籠の鳥。 箱根知らずの江戸話(えどばなし)。 解釈:西国の人が箱根山を越えたこともないのに、江戸の話をさも見て来た ように得意げに話すこと。知ったか振りをからかっていう。 類義:知らぬ京物語。上り知らずの下り土産。見ぬ京物語。 |