1999年11月中旬の日記

この10日間で「TSとTGを支える人々の会」の催しが2回もあったりして、なにかと忙しい日々。20日(土)にMac関連のメーリング・リストのオフ会に出席したのがいちばん楽しいできごとでした。(1999年11月22日記)

11月11日(木) 二度と行く気になれないホームページの条件(笑)。
[日記]今日の出講校舎では先週、チョークの不備についてかなりきつくクレームをつけたのだけど(11月4日の日記を参照)、今週はちゃんと改善されていて気分もすっかり和らぐ。
今日は軽いネタを。この半年、すっかりインターネット依存症で、たくさんのWebサイトを見てきた。でも、二度と見る気がしないものも多かった。というわけで、銀河が二度と行く気になれなくなるホームページ(特に個人サイト)の特徴を書いてみますね(もっとも大好きなサイトのなかにも以下の条件のひとつかふたつにあてはまるものもあるから、一概には言えないんですけどね)。
(1)トップページから全体の構成を把握できないサイト。たとえばね、トップページにはサイト名とENTERとかいう文字くらいしかなくて、ENTERをクリックするとやっと目次のページにたどりつけるもの。なんであんなムダなことをするんだろう。理由が知りたい。こういうサイトを「お気に入り」に入れるときは当然、目次のページを登録することになる。
(2)「あなたのコンピューターにはなんたらかんたらというプラグインがインストールされていないから、このページは正しく表示されない可能性がある」とかいう警告が出るページ。単純に悲しくなるし、なんだか損をした気になる。
(3)リンク先のサイトも自分のサイトの一部のように表示されるページ。たいていのページはいちばんうえに「**のホームページ」とかいうタイトルが出てますよね。でもって、リンクされている他のサイト名をクリックして飛んでいっても、やっぱりいちばんうえに「**のホームページ」ってのが表示されたままのページ(こういうのを「同一フレームに表示される」って言うんでしたっけ)。リンク先のURLもわかんないし、リンク先のページを「お気に入り」に登録することもできない。すごく不便。
(4)これはTV(用語についてを参照)系のページに多いんだけど、写真ばかりのページ(写真以外のコンテンツも充実してればOKだけど)。特別カワイイとか特別愉快な顔とかいうんじゃなかったら、一枚見たらそれで永遠に終わりだ。
(5)トップページにアクセスすると、画像が動きまくって派手なんだけど、動き終わるまでなにもさせてくれないページ。一度目は楽しいかもしれないけど、二度目からは苦痛だ。
(6)バックで音楽が鳴ってるページ。うるさい。銀河は自宅からしかインターネットに接続しないけど、会社とかでは絶対に見られないよね。
(7)いちばん下のステータスバーのなかを電光掲示板みたいに文字が流れていくページ(JavaScriptを利用したやつですね)。うざったい。ページのなかならいいんだけど。
以上、あくまでも銀河の主観にすぎませんので、怒らないでね。よっぽど該当ページへのリンクを張っとこうかと思ったけど(笑)、ヤバイからそれはやめた。個人サイトの場合、デザインがダサくてもローテクでも、日記が充実してれば(たとえ電波系の日記でも)何回もくり返して見に行きたくなるんだけどね、銀河は。
[BGM]Frank Zappa,"Make A Jazz Noise Here." 私にとって最高のロック・ミュージシャン。それが故フランク・ザッパだ。膨大な録音を残しているし、その音楽性も幅広いので、とても1枚のCDで代表させることはできないが、このサイトの掲示板に来てくださる方々にはプログレ・ファンの方が多いようなので、プログレ色の強い91年発表の2枚組CDを取り上げてみる。ザッパのコンサートで古くからおなじみの名曲のうち、インストゥルメンタルの曲を中心に、ライヴテープにスタジオでの緻密なオーヴァーダブを重ねて仕上げたのが本作。名曲「キングコング」(オリジナルは"Uncle Meat"に所収)の再演が圧巻。ユニゾンを多用する演奏は、オーネット・コールマンよりもずっとフリー・ジャズ。でも(あまりだれも指摘してないけど)単なる前衛音楽家に終わらないザッパの最大の魅力は、ユーモア感覚が濃密なことなんじゃないのかな。
[読書記録]梶田正巳『勉強力をつける―認識心理学からの発想』(ちくま新書)。約1年前に発行され一部で話題になった本。読もう読もうと思いながらついつい後まわしになっていた。筆者は「教える」「学ぶ」という行為を臓器移植にたとえて「意味移植」と呼ぶ。移植された意味(当初は「異物」に過ぎない)がそれぞれの人の認識体系にどうなじんでいくのか。さまざまな分野のエキスパートたちが培った「勉強法」を認識心理学の視点から普遍化しようとする試み。その試みのすべてが成功しているとは言えないが、ものを教えることを生業とする者にとっては示唆されるところの多い書物となっている。

11月12日(金) 「TSとTGを支える人々の会」ビデオ上映会に参加した。
[日記]「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」の催しに参加するために、午後7時過ぎに会場へ(今回は非公開の催しなので場所は明らかにできない)。本当は6時10分開始だったのだけど、所用があって遅れてしまった。今回は正規の催しではなく、特別企画として9月3日の公開シンポジウム(9月3日の日記を参照)の記録ビデオの上映会。当日の司会役が予定されていたものの急病で欠席となった斎藤有紀子さん(明治大学法学部非常勤講師)が特別ゲスト。急遽決まったものらしくて、「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」のWebサイトでも広報されていなかった。銀河が知ったのも、2日前に自宅に郵送されてきた郵便物でのことだった。
会場に到着すると、参加者が10人程度しかいないので、ちょっとビックリ。先週の公開ワークショップ(11月6日の日記を参照)で200人以上の参加者を集めたのがウソのようだ。まあ急遽決まったものだし、一度やったもののビデオ上映会だから、仕方がないか。でも参加者の方々はみなさんとても熱心だったし、ビデオ上映後の斎藤有紀子さんとのディスカッションもなごやかな雰囲気のなかでおこなわれた。斎藤さんとのディスカッションは「トランスジェンダー(用語についてを参照)が自分の子供を作ること」が大きなテーマになった。でも、自分の精子がアクティヴであること自体に嫌悪感を抱いていた銀河にとって、この話題はまったく理解できないものなので(10月2日の日記を参照)、特に積極的にコメントすることはない。
思いがけなくうれしかったのは、T's九州の会(北九州を拠点に活動するTS/TG/TVの自助グループ)の主宰者である藤吉しのぶさんにお会いできたこと。たぶん1年半ぶりぐらいだ。お元気そうでなにより(二次会でもいちばんはしゃいでいらっしゃった)。
二次会は少人数だっただけに濃密に盛り上がった。礼(あや)さんのお話がいつもながらとてもおもしろくて興味深かったし、「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」の主宰者の森野ほのほさんに銀河の名前を覚えてもらえていたのがうれしかった(この会ではすみっこで小さくなって目立たないようにしてたのに)。
二次会終了後、0時過ぎに新宿へ。「ジュネ」(いわゆる女装スナック)にいた長*さんを呼び出して(また当分、トランス系の飲み屋さんに行く気にはなれなくなったので)歌舞伎町の「シエン」(深夜喫茶)でお茶。その後、屋台村の「一歩」(飲み屋さん)に寄って、3時頃タクシーで帰宅。

11月13日(土) 美容師さんとでトランス関係の雑談を。
[日記]夕方から近所の美容室へ行く。この美容室を利用しはじめて10年近く(短髪のお兄ちゃんの頃からだ)。5年ほど前にロングヘアーのロックのお兄ちゃん風に。3年ほど前から徐々に中性的な姿へと変化していき、このところは完全に女性の姿で通っているけど、いつの間にか「なしくずし」的にトランス(用語についてを参照)していった銀河をいちばん簡単に受け入れてくれたのは、この美容室かもしれない。先月に行ったときのつづきで、担当の美容師さんとメンタルクリニックでのGID(用語についてを参照)のカウンセリングや、ホルモン療法(用語についてを参照)の話をする。
ところで今日初めて知ったんだけど、3年前、銀河の後頭部の髪の毛、薄くなりはじめる徴候を示していたんだって。「ホルモンを始めてからフサフサになって、毛質もよくなりましたね」って言われた。ふうん、知らなかった(危ないところだったんだ!)。
[BGM]ベツニ・ナンモ・クレズマー『アヒル』。日本ジャズ界最高の鬼才(ということは世界最高だ)ドクトル梅津こと梅津和時を中心とするプロジェクトの96年の作品。クレツマー(クレズマー)という音楽をモチーフにした楽しく切なく懐かしい音楽世界。大熊亘、関島岳郎、板谷博、中尾勘二、向島ゆり子、巻上公一といったメンバー名をあげるだけで、ワクワクしてしまう方も多いはず。いまや世界最高のジャズグループ、渋さ知らズと同傾向の音だ。クレツマーというのは今世紀前半の東ヨーロッパのユダヤ系のブラスバンド音楽。1980年代後半、ニューヨークの前衛ジャズミュージシャンたちがこの魅力的な音楽を再発掘し、クレツマー的要素を取り入れたジャズを演奏しはじめる。それだけでなく現代化されたクレツマーそのものを演奏するグループも現れた。でもこうしてこのアルバムに耳を傾けていると、結局クレツマーの真髄をしっかりとらえ、同時代音楽へと昇華させていったのは、梅津や渋さ知らズのような日本のジャズミュージシャンたちだったんだなあと再認識した。とにかく日本のジャズが世界最高だということを確認できるアルバム。続編の『ワルツ』もおすすめ。

11月14日(日) 精神的不調で、長*さんに心配をかけた。
[日記]解散するネーネーズの東京でのラスト・コンサート(於渋谷公会堂)に行きたかったのだけど、チケットはかなり早い時期に前売りで完売。当日券(たった80枚)は朝から並ばないと手に入らないというので、残念ながらあきらめた。今日のコンサートのライヴ盤が来年2月に出る予定なので、それに期待。新メンバーによる新生ネーネーズも楽しみにしよう。
今日は目の痛みからくるひどい頭痛に悩まされ、精神的にも不調で、長*さん(銀河の彼氏)にかなり心配をかけた。長*さんのちょっとしたひとことがきっかけで気持ちがどんどん沈み込んでしまったのだ。悲しそうな顔をして一所懸命に謝ってくれる長*さんを見ていると、気分が浮上していかない自分に腹が立ってきた。長*さんの事務所でずっと抱きしめてもらっているうちに、落ち着いてくる。自然に笑顔が出るようになったので、近所の定食屋でいっしょに夕食をいただいてから帰宅。ごめんね、心配をかけて。甘えていただけなんだ、きっと。
[BGM]Quarteto Em Cy,"Vinicius Em Cy." BGMの方はネーネーズじゃなくって、ブラジルのネーネーズ(笑)、クアルテート・エン・シー(大好き!)。ボサノーヴァ黎明期の1964年にデビューして以来、常にブラジル音楽界のトップ・コーラス・グループでありつづける女性4人組だ(世界のポップ音楽コーラス・グループのなかでもベストスリーには入るだろう)。93年の本作は近年屈指の名盤。「おいしい水」「イパネマの娘」「想いあふれて」など、詩人ヴィニシウス・ヂ・モライスの作品をうたう。アントニオ・カルロス・ジョビンやシコ・ブアルキ、トッキーニョといったゲスト陣も豪華。国内盤は1600円という廉価なのもうれしい。

11月15日(月) 長*さんとりのと3人で大久保の飲み屋さん。
[日記]夜の現役生クラスの授業を終え、長*さんの待つ大久保の飲み屋さんへと向かう。電車のなかで「前田暴行され失神」という見出しの東京スポーツを読んでいる男の人がいた。その見出しに惹かれ、2年ぶりに東スポを購入(すごく恥ずかしかった)。14日に東京ベイNKホールでおこなわれたUFC-JAPANの大会終了後の会場で、フリー格闘家(もとUWFインターナショナル)の安生洋二が、リングス社長の前田日明を背後から襲い殴打。転倒した前田は顔面を強く打って失神。左目上を6針縫うケガを負ったというのだ。プロレスや格闘技ファンならだれもが知っているこの2人の確執。久々に格闘技ファンとしての血が騒いでしまった(だって最近、リング上でおこなわれている試合はおもしろくないんだもの、小川直也を除いて)。
大久保の飲み屋さんに到着すると、長*さんが「おなかが減っているなら、なんでも好きなものを食べろ、もちのいそべ焼きなんかおいしいぞ」と言う。「長*さんは何が食べたいの?」と訊くと、「おれのことはどうでもいいから、銀河が食べたいものを注文しろ」と答える。そこで「焼きおにぎりください」って注文すると、長*さんったら「ええっ、焼きおにぎりぃ?」って反応。しかたがないから「いまのはやめにして、おもちのいそべ焼きください」って注文し直すと、長*さん、満足そうにうなずく。「おれはどうでもいいから、銀河が食べたいものを注文しろ」って言ったのは長*さんなのにぃ。いつもの長*さんらしいエピソードです(笑)。
しばらくすると、長*さんが緑川りのちゃんに電話をかける。ちょうど仕事で秋葉原にいてこれから帰宅するところだったりのを呼び出す展開に。長*さんはせっかちだから、電話してまだ15分しか経ってないのに「りのは遅いじゃないか」って騒ぎはじめる。りのが到着すると、長*さんはご機嫌。長*さんはりのが大好きなんだ。もっとも先日、長*さんに銀河以外のMTF(用語についてを参照)の子でだれが好きなのかを尋ねると、なぜかりのの名前が出てこなかった。不審に思って「あれっ、りのは?」って訊くと、「ええっ、りのは男の子じゃないかぁ」だって。まあ長*さんにとって、りのは自分の息子みたいなものなんでしょうね(笑)。
りのと会うのは2ヵ月ぶり(前回は9月17日に3人で四谷三丁目にジンギスカンを食べに行ったときだ)。でも毎日ホームページを見てるから、しょっちゅう会っているような錯覚にとらわれる。いろいろ話せてすごく楽しかったけど、りのはちょっと疲れ気味な様子。りのの仕事ってこれから年末進行で忙しくなるから、体に気をつけてね。次は12月5日の銀河の誕生日に会うことを約束する。
[BGM]Los Chicas Mananeras,"Vol 1." 昨日のBGMのブラジルのネーネーズ、クアルテート・エン・シーにつづき、今日はペルーのネーネーズ、ロス・チカス・マニャネーラス(女性5人組)。といってもくわしい経歴とかはよくわからない。ペルーの音楽というとたいていの人がすぐに思いつくのはフォルクローレだろう。南米からの出稼ぎミュージシャンが街頭で「コンドルは飛んで行く」なんかを演奏している姿を思い浮かべるのではないだろうか。でもここで聞けるのは、ああいう通俗化した伝統的民俗音楽ではない。南米の国々のなかでも特にペルーは、インカ以来の先住民の音楽を現代的な大衆音楽としてみごとに再生し演奏するミュージシャンたちに恵まれていた(その最高の例がハイメ・グァルディア)。このロス・チカス・マニャネーラスの本作(おそらく94年か95年の作品)もそういう流れのなかに位置づけられる佳作。ラッパの音と地声コーラスが心地よく調和しているのが印象的。素朴だけど楽しいダンス音楽だ。

11月16日(火) 東大と京大が入試の合格発表での氏名公表をとりやめ。
[日記]東大と京大が来春の入試から、合格発表で氏名を掲示するのをやめることに決めた。いまやほとんどの大学で、合格発表は受験番号だけの掲示となっているのに、日本を代表するこの2つの大学は、受験番号に加え氏名も掲示していたのだ。プライバシー保護から考えても当然だけど、銀河の経験上、合格発表会場での氏名の掲示にはいろいろ問題が多いんだ。
銀河は実は東大を受験して落っこちた組なんだけど(自慢じゃないけど東大は4回も落ちたぞ。現役のときと浪人のときと、大学院の修士課程と博士課程の受験のとき。東大受験マニアだ)、出身高校は名の通った進学校だった(銀河の学年は東大合格者が100人近くいた)から東大の入試の日も合格発表の日も同級生がうじゃうじゃ。でもって、合格発表では氏名も公表されるから仲間うちのだれが受かってだれが落ちたか、一目瞭然なんだよね(おまけに当時の東大新聞は合格者を出身高校別に分類して、発表当日に号外を出してたし)。というわけで、発表を見終わって帰るときには気を遣わなければならない。少しおくれて発表を見にきた知り合いとばったり顔を合わせたりするからだ。見終わったこっちは、相手が受かってるか落ちてるかすでに知っているわけだしね。受かってる友だちに「キミ、受かってたよ」って言っちゃうのも、せっかくの感動を奪っちゃうようで悪いけど、困るのは相手が落ちてたとき(「落ちてたよ」って言うわけにはいかない)。一方、あとからやってきた方としては、見終わった友だちの顔つきで自分が受かってたか落ちてたかだいたい推察できちゃうしね。だからとにかく(見に行くときも帰るときも)むちゃくちゃ気を遣う。
というわけで、今回の決定、あまりに遅すぎた感があるけど、歓迎します、経験上ね(笑)。
[BGM]The Soul Children,"Genesis." 男女2名ずつの4人組ソウル・ヴォーカル・グループ。ゴスペル音楽のヴォーカル・スタイルをソウル・ミュージックのなかに開花させた彼らは、70年代のディープ・ソウルを代表するミュージシャンだ。ハーモニーを聞かせるというよりも、抜きんでた4人のソロ・ヴォーカルのぶつかり合いとでも言うべき、気迫あふれるサウンド。本作は72年に発表された名盤中の名盤だ。 
[読書記録]牧口一二『何が不自由で、どちらが自由か ちがうことこそばんざい』(河合文化教育研究所)。この本は何年か前にとあるところから(笑)、絶版にするので倉庫代のムダだからってことで大量にただでもらってきて自宅に積み重ねてあった本のうちの一冊。ふと目について読んでみた。筆者は幼児期に脊髄性小児マヒにかかり障害を負うようになったグラフィック・デザイナー。若い人たちを相手の講演会の記録だ。障害を個性としてとらえ、「ちがうことこそばんざい」と言い放つことのできる身体障害者の方々。一方、同じ「障害」とはいえ、「性同一性障害」用語についてを参照)を「オモシロイ」と肯定的にとらえることのできる人は少数派だ(10月24日、26日の日記を参照)。身体の障害と精神の障害の違いなのか。それとも、本書でも触れられていた「目立つ障害」と「目立たない障害」の違いなのか。あるいは同じように「障害」という日本語があてられていても、disabilityやdisfunctionとdisorderとの違いなのか(この違いは大きいような気がする)。いずれにせよ、「肉体は男性だけど心は女性の私って、すばらしい」なんて絶対に思えないものなあ。本書の内容からはずいぶん離れたところで、あれこれ結論も出ないことを考え込んでしまった。

11月17日(水) 入試が近づいてきたことを感じさせる季節。
[日記]今日の出講校舎では、午前中に90分授業を2コマ担当した後、夜の現役高校生のクラスまで5時間も待機時間がある。これまではずっと空き時間を持てあまして、本を読んだり睡眠をとったりしていたんだけど、ここのところ生徒の質問が増えて、少々忙しくなってしまった。質問といっても授業内容についてのものではない。銀河は、質問の出ない完璧な授業を心がけているので、授業に関する質問はほとんど受けたことがないのだ。質問の中心は生徒たちが自分で取り組んでいる受験大学の過去問に関するものばかり。毎年のことだが、そろそろ入試直前期にさしかかってきたんだなあと実感する。
週末の日曜日には早稲田大学政経学部のAO入試。月並みだけど生徒たちの健闘を祈る。
[BGM]Cat Stevens,"Teaser And The Firecat." ギリシア人の父親とスウェーデン人の母親の間に、ロンドンで生まれたキャット・スティーヴンス。ヤードバーズのベーシストだったポール・サミュエルスミスのプロデュースによる71年発表の代表作。「ムーン・シャドウ」(全米30位)、「ピース・トレイン」(同7位)、「雨にぬれた朝(モーニング・ハズ・ブロークン)」(同6位)の3曲のヒット曲を収録し、アルバム自体も全米2位を記録するゴールド・ディスク。とはいっても、70年代後半にはイスラム教に改宗し徐々に音楽活動を離れ、最後のアルバムが出たのが84年だったから、いまでは覚えている人も少ないだろう。70年代前半のシンガー・ソングライター・ブームのとき、イギリスではエルトン・ジョンに次ぐ活躍ぶりだった。ちょっと東洋的なニュアンスのあるサウンドが魅力的で、エルトン・ジョン(この人も大好きだった)を聴くと、かならずセットでキャット・スティーヴンスも聴きたくなったものだ。

11月18日(木) お友だちが新しく開設したホームページの紹介です。
[日記]ここのところ、仲よくしていただいているお友だちが相次いで新たにホームページを開設した。そこで、今日はその紹介を。
まずは、小谷理美さんのホームページ。仙台在住の理美さんと知り合ったのは98年3月の名古屋旅行のとき。この旅行はあるトランス(用語についてを参照)系のパソコン通信ネット(当時の銀河はコンピューターなど所有していなかったので、どこのパソコン通信ネットだったのかよくわからない)が企画した食べ歩きツアーで、「ジュネ」(いわゆる女装スナック)の金曜日のスタッフ中山麻衣子さんに強く誘われて参加したのだ。初対面の理美さんは一瞬ネイティヴの女性かと思ったほどナチュラルで、ひどくショックを受けたのを覚えている。同世代ということもあって話も合い、その後もずっと仲よく付き合っていただいている。ホームページの方は旅行好きな理美さんらしく旅行記が充実(旅行先で撮った写真も)。子供の頃の思い出話も読みごたえがある。
次にWeb上で知り合った方のページを。文章に深みのあるけやきさんのホームページ。けやきさんとは窪田理恵子さんのホームページの掲示板で知り合った。銀河のページの掲示板にもたびたび書き込んでくださっているMTFTS(用語についてを参照)のMacユーザーの方だ。今のところ毎日更新されている日記にはTSとしての心情やお仕事のことが率直につづられていて、心に響くものがある。個人的にこういう日記は大好きだ。ちなみに、けやきさんも銀河と同世代。
マニアックな音楽がお好きな艶玲(いぇんりん)さんのホームページ。艶玲さんとも窪田理恵子さんのページの掲示板で知り合った(銀河の交際範囲が広がって視野がひらけてきたのは、なんといっても理恵子さんのおかげだ)。銀河のページの掲示板の超強力な常連さんでもある(というか、艶玲さんとタクさんと銀河の3人でだれもついてこれない音楽話を展開してるんだけどね)。女の子としてのデビュー話や男性モードでの韓国旅行記など、楽しく読ませていただいた。
銀河の場合、テキスト主体の個人ページが大好きってこともあるんだけど、毎日チェックすべき「お気に入り」のページがいきなり3つも増えた。理恵子さんのページ(これは前からある)も含めて、銀河のお勧めサイトです。どうかよろしくお願いします。
[BGM]The Rutles,"Archaeology." 最強のビートルズ・パロディー、それがラトルズだ。「モンティー・パイソン」のエリック・アイドルが企画し、裏ビートルズの異名をとるボンゾ・ドッグ・バンドのニール・イネスが音楽を担当して、1975年にイギリスBBCの番組に登場したラトルズ。1978年にはアメリカのNBCのテレビ映画"All You Need Is Cash."(日本でも東京12チャンネルで「4人もアイドル ラットルズ」の邦題で放映された)にリヴァプール出身の伝説のポップ・バンドという設定で主演。ミック・ジャガーが本人役で出演しライバルのラトルズの思い出を語るというぶっ飛んだ趣向も。そのラトルズが、ビートルズが未発表録音を『アンソロジー』シリーズとしてリリースしたのを受け、1996年に18年ぶりに復活して制作したのがこのアルバムだ。ビートルズの有名曲を連想させる曲調、いかにもジョン・レノンが書きそうな詞。ビートルズ・ファン、必聴。ちなみに本業の方のボンゾ・ドッグ・バンドやニール・イネスのソロ・アルバムも、ねじれたポップ感覚(キンクスのレイ・デイヴィス的)が魅力的。

11月19日(金) ドラフト会議と、電車のなかでの女の子たちの会話。
[日記]仕事は午前中で終わり。金曜日にはいつも一緒にお昼をいただいている同僚の女性が、今日は娘さんが熱を出して寝込んでいるということで急いで帰宅された。というわけで急遽、お昼は長*さんと一緒に食べることにする。
待ち合わせは六本木。乗換駅の恵比寿へと向かう山手線の車内でたまたま銀河の隣に立っていた6人ほどの女の子たち(大学1年生という雰囲気)の会話が耳に入ってくる。「カズノリくん、すごい!」「田中先生のクラス、今日は大変だよ、きっと」。耳に飛び込んでくる少々興奮気味の声。「体は小さいけど足が速くて、塁に出たら必ず走るんだよ」。ふーん、野球の話か。「ハルとかいう選手にあこがれてたらしいけど、同じチームなんだって」「へえ、よかったじゃん」。なんだ、そのハルって。「ベイスターズの1位だから、すごいよ」。えっ、プロ野球のドラフトのことかな。ハルって波留選手(字はこれでよかったっけ)のことだろうか。その後、聞くとはなしに耳に入ってくる話を総合すると、彼女たちの出身校(たぶん高校)の先生(どうもご夫婦とも学校の先生をやってらっしゃるみたいだ)の息子さんがカズノリくんで、今日のプロ野球ドラフト会議(今日そんなものがあったなんて知らなかったよ)で横浜ベイスターズに1位指名されたというのだ。
家に戻ってからasahi.comで調べてみた(ここを参照。写真も大きく載っている)。なるほど、PL学園の外野手、田中一徳選手が横浜ベイスターズの1位指名だ。PLって大阪の学校だから野球留学なのかな。全然関係ない他人の話だけど、電車のなかの女の子たちの本当にうれしそうな会話が心に残る。きっと、田中先生って生徒たちにすごく好かれていらっしゃるんでしょうね。田中一徳くん、なんの縁もゆかりもないけど、がんばってくださいね。応援することにします。
[BGM]『T・レックス・トリビュート・アルバム』。日本のロック・ミュージシャンによる、マーク・ボラン&T・レックスのカヴァー・アルバム。97年にマーク・ボランの生誕50周年を記念して発売された。70年代前半に一世を風靡したグラム・ロック(元祖お化粧ロックだ)のスター。絶頂期はほんの一瞬で、アルバムのセールスが落ち込み世間から忘れかけられた77年に急逝。グラム・ロックのもう一方の旗頭、デヴィッド・ボウイの方はあまり好きではなかったけど、T・レックスは大好きだった。ペラペラのチープなサウンドに、マーク・ボランの人工的なヴォーカル。でも間違いなくホンモノのロックだった。こいつはヤバイと思った。リンゴ・スターがマーク・ボランに惚れ込んでいるという噂にホモセクシュアルの匂いを嗅ぎとって、ドキドキした。マーク・ボランにあこがれて、母親の化粧品入れからくすねた口紅を塗って学校に行った。混沌とした思い出。このアルバムはマーク・ボラン&T・レックスに特に愛情を抱くミュージシャンばかりが集結しただけあって、どのトラックも秀逸。頭脳警察(PANTA&TOSHI)、マルコシアス・バンプ、野宮真貴+サエキけんぞう、山本精一、高木完、暴力温泉芸者、ROLLY、ちわきまゆみなど(超強力な顔ぶれ)、いずれも甲乙つけがたい。なお、このアルバムに収録された曲のオリジナルを集めたアルバム『オルターネイト・トリビュート・アルバム』も同時に発売された。

11月20日(土) 第72回「TSとTGを支える人々の会」催しに参加した。
[日記]今日は2つのイベントが重なった。ひとつ目はMac系の某メーリング・リストのオフ会。ここのところ自助グループを除けば、トランス(用語についてを参照)系の人たちの集まる場所へはあまり立ち寄らず、女性としての日常生活を充実させようとしてきたのだけど、もう一歩進んで一般世間と能動的にコンタクトしていきたいと考えていた(ひとりの女性としてヴォランティアに参加するとか未知の人との出会いを積極的に求めるとか)。その第一弾というわけでもないのだが、参加しているメーリング・リストのオフ会があるとのことだったので、思い切って出席してみることにしたのだ(自分なりのリアルライフテストだ)。
12時45分に錦糸町で集合。1時から3時までランチをいただきながらお昼の部のオフ会。参加者は銀河以外は、女性が6人、男性が6人(ちょうどバランスがとれている)、女性のうちのおひとりが連れてこられたお子さんが2人(女の子と男の子)。計15人。30代の方が中心(若干名が20代)で、女性はご結婚されている方が多い。そういう落ち着いた大人のメンバー構成だったこともあってか、ごく自然に受け入れていただけてうれしかった。特に自分の素性を説明することもなくいきなり、トランスのことなどなにも知らないはずの一般の人たちのオフ会に参加するっていうのもすごく乱暴な話かなあとも思ったのだけど、ふつうの人がふつうにするようにそのまま参加。最初はかなり緊張してたのだけど、常連さん同士の暖かい雰囲気のなかにとけ込んでいくうちにだんだんとリラックスできてきた(小さいお子さんが2人もいたこともよかったみたい)。今日は7時から夜の部のオフ会もあるということで、それまでの時間つなぎに某ホテル(このホテルではちょっと***なヴィデオ撮影の思い出があるんだなあ、知ってる人は知ってると思うけど。まだ売ってるのかな)内の喫茶店へ。ここでも楽しい会話。6時から「TSとTGを支える人々の会(TNJ)」の催しがあるので、残念ながら銀河はみなさんよりもひとあし先においとまする(後ろ髪を引かれる思い)。
会場の最寄り駅(今回は非公開の催しなので場所は明らかにできない)でTくん(もと芹沢香澄)と合流。会場に着いたのは開始時間の6時直前だった。参加者は70人ほど。今日のテーマは「トランスジェンダーをめぐる海外事情」。まず、精神科医の針間克己先生が世界性科学会議の報告を。第14回世界性科学会議は今年(1999年)の8月23日から27日までの5日間、香港で開催された。針間先生は"Clinical and Social Aspects of Transgenderism."というタイトルのシンポジウムにシンポジストとして参加され、精神科医の阿部輝夫先生の臨床統計を発表された。今日はその発表内容の報告が中心だった。そのほか印象に残ったこととして、性同一性障害者(用語についてを参照)の脳のP300(事象関連電位)のパターンがMTF(用語についてを参照)では女性の、FTM(用語についてを参照)では男性のものに近いというイタリアのG.Della Giusta博士の発表や、総会で採択された「性の権利宣言」について触れられた。続いて虎井まさ衛さん(作家、TNJ運営委員、FTMTS)が、今年(1999年)の8月に1週間ほどサンフランシスコに滞在されたときの体験談を話された。現地のFTMのTG/TS(用語についてを参照)たちとの交流を貴重な写真の紹介も交えながら語ってくださった。
二次会は会場近くのイタリアン・レストラン。参加者は30人ほど。礼(あや)さんとポストオペ(用語についてを参照)の山奈ユカさんのやりとりが興味深かった。山奈ユカさんとお話ししたのははじめてだけど、実は1年半くらい前に某所でご一緒したことがあったらしくて、ユカさんはそのことを覚えていらっしゃった(どこでお会いしたのかはここでは書かない方がいいだろうけど、ユカさんのトランスのスピードの速さには感服してしまった)。Tくんは職場でいろいろと問題を抱えているようで(どう考えても会社側の言い分の方が理不尽なんだけど)、その相談に乗ってあげた。
二次会終了後、新宿へ向かう。長*さんの待つ「ジュネ」(いわゆる女装スナック)へ。長*さんと一緒に過ごせるのはなによりもうれしいし、あきひさん(「ジュネ」のスタッフ)ともゆっくりお話ができてよかったんだけど、他の客(特に男性客)がうざったい。長*さんが席をはずしているすきに、ナンパしてきたり体を触ったりするな。銀河をホステスさん扱いするな。思わず声を荒げそうになった。やっぱり、もう当分トランス系の飲み屋さんには行かない。そのためには(前々から考えていたんだけど)そろそろ長*さんと一緒に暮らす準備を始めなくちゃ。今年度の仕事がひと段落する3月には、銀河の自宅で長*さんとの同居を開始することにしたい。


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