+ NOTE +

＊ Essay ＊
縁は異なもの味なもの

　石との出会いはまさに「縁」のなせる技。
　それこそ、人と人との出会いのように。
　途方もない時間をかけて生成された鉱石が、地球時間にしてみたら瞬きにも満たないほんの一瞬しか生きていない私なんぞの手の中にころりんと転がり込んでくるのですから、不可思議なものです。
　よもや、こんなところへやってくるとは、石も思っていなかったことでしょう。
　気まぐれにパソコン周りにゴロゴロと置かれたり、旅先にまで持っていかれたり、コレクションボックスらしきものに詰め込まれては、時たま引っぱり出されたりと、目まぐるしく動かされるため、さぞや驚いているのではないでしょうか。
　日頃、のんべんだらりと過ごしている私ですが、そのことを考えると、自然と背筋がピンと伸びてしまいます。
　特に、「縁」を実感するのは、鉱物店や即売会に足を運んだり、早い者勝ちの鉱物通販サイトをチェックした時などです。
　「どうしてもこれが欲しい！」と思っても、縁（プラス、根性と財力？）がなければ手に入れられないのですから。
　……そう思わないと、入手しそびれた石を諦めきれない、という面もなきにしもあらずですが……。
　今、私の手元にある鉱物たちは、たまたま縁があった可愛い石たちです。
　その石の刻んだ歴史を透かし見るように、大切に愛でていきたいものです。

2001-05-19