トップレベルの完璧な無痛内視鏡検査と
手術をあなたに提供します

The best quality of endoscopic examination and surgery will be given to you

田淵正文院長

Director Dr Masafumi Tabuchi
院長 田渕正文

Associate Professor of Tokyo University
東京大学医学部講師

 

従来のピットパターン診断、縫合技術に加えて、新たに核パターン診断と毛細血管パターン診断により 

より精緻で正確でリスクの低い診断と治療をあなたに提供します。(2010年8月)

クリニックの近辺の放射線濃度を知りたいときはここをクリック  click here to know the radiation level around our clinic

クリニックのある関東平野の風向きを知りたいときはここをクリック  click here to know the wind direction in the Kantou Plain

〒153-0043 東京都目黒区東山1-10-13    TEL 03-3714-0422

We will give you more definite more safe and more precise endoscopic diagnosis and treatment

with the novel system of nucleus-pattern diagnosis and capillary-pattern diagnosis,

adding to the previous pit-pattern diagnosis system and suturing method. (Aug 2010)

 

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Guidance and Mapcheck-up of GI tract with no pain Curriculum vitae of Director

Works by DirectorAbout GI-tract diseaseHIFU: treatment of prostate cancer with ultrasonic power | E-mail |

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ご挨拶

 

 高齢化社会、食生活の欧米化等に伴い我国においても大腸癌の発生件数が増大しております。特に女性の死因のトップは大腸癌です。また、潰瘍性大腸炎やクローン病といった大腸疾患も急増しております。
 今までの大腸の内視鏡検査は苦痛を伴うものとされてまいりましたが、1987年に私が開発した
内視鏡挿入システム(ストレイト法、別名、無挿気浸水挿入法)クリックすると1994年秋に日本消化器内視鏡学会で教育用に発表した挿入法のビデオの一部を御覧いただけます(画像がうまく出ないときは右クリックで 動画を保存してからご覧ください)ではほとんど痛みがなく無痛で、楽に大腸内視鏡検査が受けられると患者の皆様に大変好評をいただいております。後輩の後小路世士夫君や後藤利夫君、草場元樹君や鈴木雄久君、その他おおくの先生がたが、私からこの方法を学び、いまや大腸内視鏡の名医として活躍されています。その現状をみると、この方法がいかに優れていたかがわかるというものです。 1988年には、フジノンと協力してスコープを開発して、大腸ポリープのピットパターン診断の臨床応用・ルーチン化に世界で始めて成功しました。現在、ピットパターン診断は大腸内視鏡診断に必須のものとして定着しています。

これまでに(2003年8月現在)約33,000例の内視鏡検査、約2,250個の大腸癌、約127,000個の大腸ポリープを切除してまいりました。これらは1人の医師としては全世界的にもトップレベルと自負しております。また、発見しにくい平坦陥凹型腫瘍を、自ら開発した近接型深焦点深度型高解像電子内視鏡と色素二重染色法を用いて、他院ではあまり発見できなかった時代からずっと多数発見してきました。陥凹型腫瘍が、隆起型腫瘍とは異なる遺伝子変化のパターンを持つことを、1992年に共同研究者と世界で始めて証明しました。また、1994年厚生省からの研究補助金を頂いて、コンピュータによるデータ解析から、陥凹型癌が隆起型癌よりずっとすばやく浸潤することも証明しました。1996年から、破れた腸を内視鏡で縫いあわせる治療を行い、国際的にも大変注目されました。この縫合技術が基礎となって、内視鏡的粘膜剥離術といったかなり危険だった内視鏡手術も安全に施行することができるようになりました。
 さらに、大腸ポリ―プ患者の長年にわたる経過観察から、「大腸に腺腫のできる方は他の臓器にも癌が発生しやすい」こともわかってきました。特に、食道癌、胃癌、肺癌、前立腺癌などは注意が必要です。初期のころは、私は大腸のみ診ていましたが、大腸ポリープ切除後の患者が食道癌や胃癌に倒れる姿を多数みて、7−8年前より、上部消化管にも重点を置き、胃癌予防のためピロリ菌退治や、拡大色素内視鏡による食道癌の早期発見も積極的におこなってきました。上部消化管内視鏡検査は約2万例、ピロリ菌除菌療法は約2500例の経験を積んでいます。1999年ごろに、大腸で磨いた色素二重染色法を食道に応用して、欧米で近年急激に増加したバレット腺癌の早期発見法を開発しました。その方法は、米国のスタンフォード大学のヴァンダム教授やオランダのアムステルダムのティトガット教授により広く紹介されて、現在、国際的に大変注目されています。
業績詳細参照。
 「楽に検査を行い、正しい治療に至る」という信条より、医療法人を「至楽正会」と名付けました。患者の皆様の不安を少しでも早く、楽に取り除き、癌を予防することが私の使命だと考えております。1例1例十分な時間をかけて、丁寧に内視鏡をおこなってきました。私の指示通りに当院で内視鏡検査をお受けになっている方で、大腸癌、胃癌、食道癌でお亡くなりになった方は1人もいません。皆様の信頼に応えるため、これからも全力をつくしてまいります。
ハイレベルで無痛の精密な消化器内視鏡診療をお望みの方は、どうぞ御来院ください。クリニックの案内・地図

2003年夏には、招かれてチェコとドイツに出かけて、陥凹型大腸腫瘍の見つけ方や、拡大色素内視鏡検査のやり方を教えてきました。関連記事1)関連記事2)関連記事3)。 テレビの出演(61MB約5分)も依頼されて、大腸癌予防には、便潜血反応や内視鏡による検診が重要であることをチェコの皆さんに呼びかけてきました。チェコは食事が脂っぽくて、ヨーロッパの中でもとりわけ、大腸癌の頻度が高く、人口1000万人で、毎年7500人ぐらいの方が大腸癌に苦しめられています。ちなみに、日本は人口12000万人ぐらいで、毎年約8万ないし10万人が大腸癌になり、3万5000人から4万人が大腸癌で死亡しています。 大腸癌は小さなうちに早期発見すれば、内視鏡でとって簡単に治ります。症状が出てからでは死ぬ確率が7割以上になりますので、癌年齢に達している人や、家族に癌のある人は、症状のないうちに内視鏡検査をお受けください。そうすれば、前癌病変のポリープ・腺腫を内視鏡的に切除して、大腸癌死は100%近く予防できます。

2006年3月から、友人の鈴木誠先生に協力して、泌尿器科、超音波による前立腺がん治療HIFUを始めました。詳細

 

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2012/01/01   謹賀新年! 去年は、震災・原発事故など大変な一年であったが、今年はどんな年になるのやら。

 西暦2011年、平成23年が終わり、西暦2012年、平成24年を迎えた。2011年は3月の大震災・福島原発事故と戦後最大の天災が起こり、欧州の共同体に発する経済危機 が世界に及んだ、大変な一年であった。個人的にも事故・病気・税務署の横暴・経済不況などなど、月替わりで災厄がめぐってきた。一休和尚の歌うように、「正月は、冥土の旅の、一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし」といった心境であるが、いつまでも悪いことは続かないはずであろうから、日々努力を怠らず、健康に注意して過ごし、今年は少しでも良い年にしていきたい。

 私は癌撲滅の理念の下、長年、努力を続けてきた。実際、中目黒消化器クリニックに通院して内視鏡検査をきちんとうけている人たちは、食道癌・胃癌・大腸癌の予防に、完全に成功している。しかし、日本全国で見ると、癌はますます増加して、ここ2−3年は、毎年約55−58万人が癌に罹患し、約33−35万人が癌で死んでいる。癌の一次予防が社会的に、ますます、重要になってきた。癌の発生を減らす方策を実行しなければならない時代が到来している。まずは、今年は、ピロリ菌退治、たばこ禁止、飲酒の抑制、大腸ポリープ切除の徹底、大気汚染抑制、がん関連ウィルスのワクチン投与、放射線被ばくの軽減などの癌発生予防の施策を実行すべき年だ。

 癌の発生が抑制されれば、癌による人々の苦しみが減るのは勿論のこと、癌にかかる医療費も抑制されて、政府の経済的負担も総合的に軽くなるであろう。日本経済にもよい。

2011年11月、富士山と玉を抱えた雲竜。

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2011/11/11   TPP(trans-pacific strategic partnership)について 今度はフジテレビからインタビューを受ける。

 11日の昼休み、今度はフジテレビの岡本歩さんから電話がかかってきた。TPPに関する取材であった。今夜のFNNスーパーニュースに間に合わせたいから、今から取材したいといわれた。20分だけならOKということで了解。午後2:00からカメラがまわった。内容はテレ朝とほとんど同じ。夕方からの放映は約15秒。内容はオバマ政権の医療改革の部分が中心であった。木村太郎キャスターがコメントの形で、私と同じ様な主旨の内容を発言していた。

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2011/11/10   TPP(trans-pacific strategic partnership)について テレ朝からインタビューを受ける。

 野田首相がTPPへの参加表明をするということで、農業系議員連や日本医師会などがと「TPP参加絶対反対」と随分と盛り上がっている。農業系の議員連は、野田首相がTPP参加を表明するなら、民主党から離脱すると言っている。農業の自由化は、安い農作物が入ってきて農家が困るということだ。また、日本医師会は、アメリカの利潤追求の医療制度を押しつけられると、日本式の社会保険医療制度がつぶされるないかと考えて、反対している。また、混合診療の解禁を迫られ、金持ちでなければ医療が受けられなくなるのではないかと危惧している。一方、産業界は製品の輸出にプラスになるので、賛成している。

 10日の昼休み、テレビ朝日のモーニングバードのディレクター門上晋一朗さんから突然電話がかかってきた。「TPPについて、先生のお考えはいかがですか?」「私はTPP参加には賛成です。」と答えたところ、あれこれと事細かに質問してきた。それはこう、それはああと、答えているうちに、「きょうの夜7:00にインタビューに伺いたい。」ということになった。

 午後七時の約束であったが、六本木からの道が混んでいて、到着は60分ほど遅れ、8時であった。カメラスタッフもついて来ていた。早速、インタビューが始まる。インタビューヤーは、 テレビ朝日のモーニングバードのレポーターの清水貴之さん。

Q「医療が自由化されると、アメリカの医療が入ってくるでしょうか?」

A「自由化されると、部分的には入ってくるところもあるでしょうが、大きく入ってこないと思います。日本の医療水準は臓器移植以外の分野では、ほぼ世界最高のレベルで、アメリカに引けを取るものではありません。とくに、私が専門としている消化器内視鏡や消化器手術の分野では、日本の医療レベルのほうがアメリカよりもずっと上です。これは私が長年、アメリカや欧州の学会に参加して、直接見聞きしたことですから間違いないでしょう。しかも安価に提供されています。ですから、アメリカの医療と競争すれば必ずや日本の医療が勝つでしょう。したがって、アメリカの医療機関が日本に入ってくるということは、まず、現実には起こらないでしょう。むしろ、消化器内視鏡などの世界トップレベルの日本の医療が海外に進出していくことが予想されます。わたしも、アメリカで内視鏡をしたいくらいですから。」

Q「日本の医療は、すべての分野で本当に世界レベルですか?」

A「たしかに、臓器移植などの日本が遅れている分野では海外勢が参入してくるかもしれません。しかし、入ってくることができる分野は、つまりは、日本の医療の遅れているところですから、病気が治らなくて困っている患者さんが助けられるということになり、それはそれでいいことだと思います。」

Q「地方の開業医のレベルでは、太刀打ちできないこともあるのではないですか?」

A「保険診療を行う日本の開業医は、アメリカにくらべて、安い価格で診療しています。ですからそんな利益の薄いところに、もしかしたら、赤字になるかもしれないところに、しかも「日本語」という文化障壁もあるのに、利益追求の企業が参入してくるとは、とても考えられません。それに地方の開業医の先生方も勉強している方はほんとうによく勉強していらっしゃいますよ。」

Q「TPPに参加したら、アメリカから押しつけられて、日本の医療が営利主義になってしまうのではという危惧がありますが、先生はいかがお考えでしょうか?」

A「アメリカの営利主義的な医療体系は、非人道的な悲劇をもたらし、アメリカ国内でも反省されています。たとえば、骨髄移植を受ければ治る可能性が高かった白血病の少女がいましたが、彼女は貧乏で、彼女の加入していた保険は骨髄移植をカバーしていませんでした。そのため、保険会社は彼女に骨髄移植の治療を認めませんでした、結局、少女は骨髄移植を受けられないまま、白血病で死んでしまいました。少女が死んだあと、少女の母が保険会社を訴えて勝利しました。保険会社の社長は財産を抱えてメキシコに逃亡、保険会社は解散となりました。この事件は、社会保険がよくゆきと届いている日本では、ちょっと考えられないような事件です。クリントン国務長官やオバマ大統領は、こんな自国の非人道的な医療体系を憂慮して、むしろ日本型の社会保険制度を医療に導入しようという医療改革を推し進めています。そんな人たちが政権を取るくらいですから、アメリカが日本に営利主義的な医療体系を押しつけてくるとは思えません。」

Q「TPPに参加しても、今の日本の国民皆保険の社会保険制度は大丈夫でしょうか?」

A「まちがいなく大丈夫です。社会保険制度をかえるには、健康保険法の改正が必要です。国会の議決なく現行の制度を変えるわけにはいきません。日本人は元来、相互扶助の精神がつよい国民性を持っていますから、アメリカ型の医療体系を選択することはまずないでしょう。それに、さきほども申し上げましたように、アメリカの民主党は日本型の社会保険制度を高く評価していますから、アメリカが日本に営利主義的な医療体系を押しつけてくるとは思えません。むしろ、TPPを利用して、アメリカ政府が国内の医療制度を日本型に変更するかもしれません。」

Q「先生の話を聞いていると、たしかに、医療制度は大丈夫かもしれませんが、TPPに参加するとアメリカの高い薬を買わされて、日本が損をするということはないでしょうか?」

A「アバスチンやレミケードなどの分子標的薬剤のことですね。たしかに、それらは月に数十万円します。これらの分子標的薬剤は、輸入額としてすでに1兆2000億円もかかっているという話が今年の博多のJDDWで出ていました。TPPに参加するしないに関わらず、この問題はすでに発生しています。ですからこの問題でTPP参加に反対というのは筋違いです。アバスチンもレミケードもここ数年で保険収載されました。それは、これらの薬がよく効くことがあるからです。治る薬を評価して採用することは、日本の医療レベルを高める上で是非必要なことです。治らなかった患者さんが治ってくるのですから。これらの薬の成功に釣られて、今や、多数の分子標的薬剤が開発されています。今後、多数の分子標的薬剤が臨床状に現れてくるでしょう。しかし、分子標的薬剤の効果は限定的なものもあり、薬によって微妙に異なります。特定の癌が完全に治ってしまうという夢の抗がん剤もあれば、ちょっとだけしか延命できないという薬もあると思います。これからは、費用対効果の点から取捨選択や競争による価格の低下が起こってくるでしょう。」

Q「TPP参加は、医療を受ける国民にとってどのような影響があるでしょうか?」

A「現在の日本における保険医療の最大の問題点は財政的な問題です。社会保険では企業の作る保険組合が医療費を支払うわけですが、業種によっては黒字のところもあるようですが、全体として赤字が多いようです。30年前は社会保険の自己負担割合は通常1割でしたが、不況が長く続き、経済が悪化していったため、自己負担分が切り上げられて、今は3割となっています。ちなみに、もし、TTPへの参加によって企業の業績が良くなれば、保険組合の財政もよくなって、自己負担分が昔のように下がるかもしれません。」

 インタビューは約45分であった。翌朝のモーニングバードでは編集されて、約45秒間放映された。アメリカの医療改革について、マスコミの人たちはあまりご存じでなかったらしく、その部分が大きく取り上げられていた。

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2011/11/03   大腸癌の原因は腸内微生物か? 

 今年のUEGWの発表で、注目された分野は、腸内細菌であった。腸内のゲノムと肥満や糖尿病、各種疾患の関係が研究され始めていた。もともと、大腸内には、細菌をはじめとするおおくの微生物がいて、ゲノムの種類は300万にも達するのだそうだ。人間の遺伝子の数10倍の種類があるという。それらが近年の解析技術の進歩によって、網羅的な解析が可能になったのだ。

  中でも興味深かったのは大腸がんと腸内内容物(ゲノム)の話だ。腸内細菌がいないねずみは大腸がんにならないそうだ。そこで、腸内細菌のいないねずみに、大腸がん患者Kの腸内内容物と、大腸腫瘍のない人Nの腸内内容物をいれて、各々におけるAberrant crypt fociという、小さな大腸腫瘍の発生個数を調べたところ、図のごとく、大腸がん患者の腸内容物を入れたものの方が、よりたくさん、Aberrant crypt fociという、小さな大腸腫瘍が発生したという。なお、図の中にあるAOMというのは、発癌物質のことである。ねずみに大腸腫瘍のない人の腸内内容物を入れた場合は、ほとんど腫瘍は出来ないが、ねずみに大腸がんの人の腸内容物を入れた時は、腫瘍が出来て、AOMという発癌物質により、腫瘍は更に多く出来てきた。

 

 また、その原理を解明するために、各種の細胞変異因子がどのように誘発されるかを測定したのが下の図である。大腸がんの患者の腸内内容物は、大腸腫瘍のない人の腸内内容物に比べて、ELF3、KFL4、MATH1、HES1などの増殖因子を多く誘導していた。

 この研究から類推すると、数年後には、「xxx細菌が大腸がん・大腸腫瘍の原因である」という可能性もある。つまり、「ピロリ菌が感染しなければ、胃癌は、ほとんどまったく発生しない。 」と同じように「xxx菌がなければ大腸がん・大腸腫瘍は発生しない」ということになっているかもしれない。

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2011/10/24   UEGW2011 欧州消化器病週間ストックホルムに参加  

 平成23年10月22日から平成23年10月26日まで欧州消化器週間がストックホルムであった。JDDWと一部重なっていたので、24日から参加してきた。ストックホルムは群島の街で、 陸地に海が虫食い状に入り込んでいて、運河のようになっている。日本にはちょっとない地形 だ。写真はストックホルムの超高級住宅街で、すぐ前は海で、高級なクルーザーが並んでいた。

 今まで、開催された19回のUEGWの中で、ストックホルムは最も北の都市で、10月はすでに薄暗く寒かった。強い風が吹くと黄色くなった木の葉がサーと落ちてくる。日本の晩秋から初冬といった風情だった。地下鉄が御茶ノ水駅の3倍くらい深くて驚いた。

 宿は、ノーベル賞受賞者が泊るというグランドホテルにした。ホテルからは海と王宮や教会の塔の織りなす素晴らしい景色がみえ、スパやプールも整い、素晴らしいホテルだった。

 自分の今までの医学研究の中で、ノーベル賞に最も近い研究と言えば、贔屓目に見て、GUTに載った「大腸平坦陥凹型癌・腫瘍の発見とその癌遺伝子の特徴」ぐらいか・・・。

 私が大学を卒業した1984年当時は、大腸腫瘍・大腸ポリープといえば隆起しているものと相場が決まっていた。1987年、私は富士写真光機の大浦部長ら(当時)を指導して、世界初の臨床に実用できる拡大電子内視鏡EC-HM改を開発した。そして、多数の大腸平坦陥凹型癌・腫瘍を発見した。それを多田正弘先生によって当時開発されたばかりの胃のEMRの技術を、初めて大腸に応用し、大腸平坦陥凹型癌・腫瘍を一括全切除して、完全な形の標本を得るのに成功した。そして、大腸平坦陥凹型腫瘍の癌遺伝子を、東京女子医大の長廻助教授(当時)と神戸大学病理部の藤盛助教授ら(当時)と共同研究して、大腸平坦陥凹型癌・腫瘍は、VOGELSTEINらの唱えていた隆起型癌・腫瘍の遺伝子変異と違って、K-RAS遺伝子の変異がないことを世界で初めてつきとめたのである。

 大腸平坦陥凹型癌・腫瘍は1990年代初頭、欧米では内視鏡で発見できなかったので、その存在が疑われていた。その後、繊細さを重んじる文化の欧州では比較的早くにその存在が認知されたが、 繊細さよりもプラグマティズムのアメリカでは、なかなか、認知されなかった。しかし、2004年にアメリカのFDAに製造販売が承認された、大腸がん治療薬、EGFR阻害剤のセツキシマブ(cetuximab)がK-ras変異陰性の大腸癌に 対して、特に効果あると判明してきて、われわれが唱えた平坦陥凹型の発がん経路も、ようやく、アメリカで認知され るに至った。

  しかし、VOGELSTEINですら、ノーブル賞をもらっていないので、 この研究でノーベル賞をもらうのはやっぱり無理でしょうねえ・・・・・。

 

 UEGWでは、世界中のいろんな新しい治療技術や薬の発表があった。日本人の参加も多く、日本人の発表を聞いていると、JDDWよりも力が入っているように感じる。印象に残った議論は、分子標的薬剤のコストのことである。高額な分子標的薬剤は、値段が高いので使えないといっていた。薬の種類にもよるが、1アンプルで約10数万円が相場。1クールの治療を行うと車を買うくらいの経費がかかってしまう。

 今後、がん罹患者数の増加すると予想されるが、分子標的薬剤は「車」と同じような貿易品となりそうだ。 車に続き、抗がん剤をはじめとした分子標的薬が、貿易の主体となる時代が到来しようとしている。日本では既に1兆2000億ぐらいの市場となっているらしい。

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2011/10/21   JDDW2011 日本消化器病週間 博多に参加   

 平成23年10月20日から24日まで日本消化器病週間があり、博多に飛んだ。もともと消化器内視鏡が専門であるが、学会では各種の分野に参加しているようにしている。 「知るは楽しみ」ということであるが、消化器の分野の最新知識や動向をチェックしておくという目的もある。日常診察においては、総合的な知識が適切な治療に結びつく。

 C型肝炎の治療は現在、ペグインターフェロンとリバビリンがゴールデンスタンダードであるが、今後はインターフェロンが不要となり、いくつかの酵素製剤だけで治るようになるらしい。また、膵臓癌の化学療法は、ジェムシタビンが主流であるが、ジェムシタビンよりも、FOLFOXの変法のほうが治療成績が勝るらしい。TGF-β(腫瘍成長因子β)の阻害薬がいろんな段階でいろいろと開発されていて、脳腫瘍の培養細胞には治療効果があったらしいが、消化器がんの培養細胞に対しては今一歩であった。などなど。21日の金曜日、博多は急な嵐で、学会場の間の移動時、結構濡れた。

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2011/09/08   緊急出血症例を救う。怪しい原因・・・・パンに針?!  

 中目黒は土地柄か、海外と行き来する人が多いらしい。外国から帰ってきたのだけれど、調子悪くなったから見てほしいという患者が結構多い。大概は、アジアから帰国してきた人の下痢症状である。

 さて、先日来院した患者さんはいささか趣を異にしていた。30歳代の近所の会社員が、イカ墨のような便が2回でたので見てほしいと、予約もなく、ふらりと時間外に来院。聞けば、さっき出張先の香港から帰国したばかり で、飛行機を降りるころからイカ墨だという。あれこれと20−30分診察しているうちに、来院時にはなかった冷や汗が出てきた。みるみる唇からも血の気が失せて、白くなっている。来院時には110あった血圧も70ぐらいに下がっている。「気持ち悪くて座ってられません」緊急事態である。間違いなく、大量の出血が進行中だ。 60を切れば心臓はいつ止まっても不思議ではない。40を切れば死は数分後に訪れる。

 関連病院に電話して連絡を取っている間にも血圧が下がってくる。

 イカ墨ということだから、出血元は上部消化管の可能性がたかい。また、急激な血圧低下は大出血で、大出血は大概 、上部消化管出血である。急速輸液で、血圧を確保しながら、緊急の上部消化管内視鏡を実施。

 胃の中に入ってみると、想定通り、血の海。出血源は食道と胃の接合部近辺で真っ赤の血がどくどく噴いて出てきている。運よく、視野の確保できる場所からの出血で、すぐにクリップ3本で 、出血している血管の根元を縛り、止血に成功。一命を取り留めた。クリップ開発者の故蜂須先生に改めて感謝。出血源が見えない場所だと、胃洗浄をおこなわないと、どこからの出血がわからないで、その間に出血が進行して、全身状態の維持が大変なのであるが、この人はラッキーだった。

 食道胃接合部の出血と言ったら、マロリーワイス症候群や食道静脈瘤が代表的である。そこで、患者さんに、イカ墨が出る前に、激しく嘔吐することがあったかと尋ねたところ、「香港から帰る機内で、クロワッサンがでたので、それを食べたら、胸に詰まって、無理に飲みこんだことはありましたが、嘔吐したことは一度もありません。」。その2−3時間後から、イカ墨が始まったとのこと。マロリーワイス症候群にしては、ちょっと違う。

 さて、翌日、止血確認のため、再度、上部消化管内視鏡検査をおこなったところ、出血部の対側に縦に走る線状の潰瘍がある。昨日の検査の時、大量に吐血したので、その時できた潰瘍かもしれないが、それにしては、微妙に歪んでいて、異物が引っかかって出来た潰瘍のようにも見えた。

 クロワッサンの中に針が入っていたのか?来院時にすぐX−pを取っておくべきであった。患者いわく「もう2度とxxx航空には乗りません。」

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2011/09/01  8年8か月ぶりの患者に深達度sm3の大腸癌を発見 定期チェックは欠かさないようにしましょう。 

 11年前から、9年前まで、多発性大腸ポリープがあって、大腸内視鏡検査に通っていた82歳のおばあちゃんが、おなかがすこし張るということで、8年8か月ぶりにやってきた。いろいろな事情で来院できなかったが、昨年出した経過観察のお勧めのはがきをみて、また見てもらいたいと思ったそうだ。本人いわく「もう、としだからいいかとおもってたけんど、やっぱりすんぱいだからさ 。先生はじょうずでいたくないからさ、くたよ。」82歳でも元気な人は元気なのである。早速、大腸内視鏡を行ってみると、横行結腸に、約2.5cm大の表面隆起型(IIa型)の大腸がんが見つかった。表面のピットパタ―ンはp5nで、核パターンはn3だった。とりあえず、 年齢と全身状態を考慮して適応拡大症例として、ESDを行い成功し、局所の癌切除はきれいにできた。切除標本の深達度はsm3だった。

 想定通り、大腸内視鏡検査間隔、8年8か月は空け過ぎである。大規模研究によると、大腸にポリープがない人で、がん死を防ぐための検査間隔は、日本の研究では3年ごと、アメリカの研究では5年ごとの全大腸内視鏡検査が勧められている。大腸にポリープが多発する場合は、その多発具合によって異なるが、それよりも密に行うことが望ましい。

 ちなみに、自説であるが、クリーンコロン(大腸ポリープをすべて切除してポリープがなくなった大腸のこと)後の大腸腫瘍の発生頻度と大きさの検討からは、 腫瘍の平均増大速度は大腸腺種で年に1mm、大腸癌で月に1mmである。大腸がんのうち、平坦陥凹型のものは平均7.5mmで粘膜下に浸潤し、隆起型は平均12.5mmで粘膜下に浸潤していた。100%の大腸がん予防 を望むなら、やはり1年1回がお勧めだろう。

 数年前、とあるお役人から、「君がいなくても誰も困らないよ」と言われて、医師として診療妨害と名誉棄損を受けた。「5mm以下のポリープは癌化しない」から、それを取っている医師は医療資源を荒らしている悪者だと決めつけられたのである。が、このおばあちゃんは間違いなく、私がいなくて困った人の一人だった。「小さなポリープは癌化しないから、取らなくていい」などと権力におもねった間違った概念がはびこるから、このおばあちゃんのような症例が増えて、この10数年、日本の大腸癌死亡者数は増えているのだ。

 1988年から1990年代後半まで、東急百貨店の保険組合では、わたしが乗り込んで、50歳代の社員全員のポリープをすべて取った。結果、それまで毎年2人ずつ大腸がんで死んでいたが、それがピタリと止まり、大腸がんの開腹手術すらもなくなったのである。

 健康を願う人にとって、だれがほんとの悪者だったのか、この大腸がんが黙示している。

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2011/07/13  梅雨明け 猛暑始まる。 首都圏に人工降雨を 

 東京が梅雨明けして、猛暑が始まった。日陰に入ると少し過ごしやすいが、日向の車の上の温度は49度。林間学校から帰ってきた末っ子が熱中症になった。首都圏で救急車で運ばれる熱中症患者は100名弱だそうだ。今年の夏も去年の夏と同様、猛暑になりそうだ。震災で節電の世相で、日よけの葦頭は、近くのホームセンターではすべて売り切れていた。扇風機は大変な売れ行きで、ドンキホーテにはもう大きな扇風機はない。

 自然と調和して生きるという日本的発想だけでは、生き抜けない自然の猛威だ。首都圏に人工降雨を降らせて、首都圏の温度管理をする必要がある。

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2011/06/16  内視鏡的に直腸膀胱瘻閉鎖手術・直腸尿道瘻閉鎖手術に成功 世界初?! 

 HIFU後の直腸膀胱尿道瘻患者の、瘻孔閉鎖を内視鏡的に行った。今日で、術後3日目であるが、症状から見て、瘻孔閉鎖にどうやら成功したようだ。

 HIFU後の直腸膀胱尿道瘻は100人に1例ぐらいの割合で起こる。3年前、クリップを用いて経肛門的に縫合した症例があった。そのときは、クリップで閉塞できたのであるが、今回は、クリップではうまくいかなかった。孔のサイズが大き過ぎた。結局、内視鏡で張り糸を巧みに動かして縫いつけて、クリップとo-ringを用いて締めあげた。

 鈴木誠先生によれば、泌尿器科の世界では、内視鏡的に縫合に成功したのは世界初かもしれないという。大腸の世界でも、聞いたことはない。

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2011/06/15  菅直人総理 一事不再議の慣例を楯に居座る。 内閣信任決議案の提出を! 

 6月3日の菅直人総理の嘘は、多くの日本人の心に強い衝撃を与えた。嘘で政治は成り立たない。まして、日本国のこの危機において、信頼 と日本国民に対する愛情の欠落は、数多くの日本人を殺すことになる。自民党、公明党、は言うまでもなく、民主党の幹部ですら菅直人さんにはついていけないと思い始めて、菅直人さんに早期退陣を迫っている。しかし、菅直人さんは、「不信任決議案が否決されて、私は信任されたのだから、震災復興の責任を果たす。」と、国会答弁で述べている。そして、一事不再議の慣例から、国会を長引かせて、自らの総理の座に居座る期間をできる限り長引かせようとしている。

 そこで、日本国憲法の条文を読み直してみた。

第六九条【内閣不信任決議の効果】
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
 

 内閣不信任決議の可決とは別に、内閣信任決議の否決でも、菅直人さんを辞めさせることはできるのではないだろうか?

 内閣不信任決議は行ったが、内閣信任決議案はまだ行っていない。早速、内閣信任決議案を提出して否決してもらいたいものだ。憲法の条文に悪知恵をゆるさない、 日本人を守る、ご先祖さまの知恵があった。

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2011/06/09  難治性食道癌術後吻合部狭窄の内視鏡的治療にまた成功! 第2例目 

 食道癌術後の難治性線維性狭窄で食べることは勿論、飲むこともままならなくなった患者さんが、関連施設病院からまた送られてきた。

 前回の第1例と同様の方法で、拡張した後、着脱式のステント挿入して、手術は成功。患者さんは食べられるようになった。狭窄部の軸がずれているとか、狭窄部の長さが3センチぐらいと少し短いなど、1例目とは細かな点で違いがあったが、大筋では同様の治療で成功した。

 患者さんはすいすい飲んだり食べたりすることができるようになった。

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2011/06/03  菅内閣不信任案をめぐる大騒動 菅首相はうそつき! 

 3月11日から85日目。その後調査が進むにつれて、大地震、大津波に誘発された福島第一原発事故は、当時の政府の発表にくらべてはるかに深刻なものであることが分かってきた。炉心は事故当時 は壊れていないといわれていたが、事故当初6〜12時間に壊れ始めていて、核燃料は原子炉ばかりでなく、周囲の原子炉密閉格納容器も貫いていた。 事故当初、政府は事態を十分掌握できていなかったのである。当時の枝野官房長官の発表には嘘が多く、国民の命にかかわる本当に大事な情報がいろいろと隠されていた。 なかでも衝撃的だったのは、菅首相が放射能の汚染速報システムspeediの情報を自分だけが利用して国民に知らせなかったことだ。原子炉爆発当時、放射能を恐れて、逃げ惑った国民は、汚染の低いところから、汚染の高いところ逃げた人もいて、政府と菅直人という人物に大きな失望 と恐怖を抱いた。

 菅直人さんは心の奥底では、日本の国民のことなど露ほども考えていない。彼にとって国民は自分のための道具にすぎない。彼はほんとうに日本人なのか? こんな人物が総理大臣をしていれば、被害はますます拡大し、死なずに済む人も死んでしまう。

 今日は、政治の世界は大混乱だった。昨日、自民党と公明党から菅内閣不信任案が提出された。採決に先立って、民主党の代議員大会が開催されて、テレビ中継された。民主党のなかからも80名以上の賛成者が出て不信任案は可決されるということで、劣勢に立っていた菅首相は、自分は自ら退陣するので、党を割るような行動をとらないでほしいと民主党の代議員に訴えた。退陣するという言葉を聞いて、民主党内の菅首相に反対する勢力は、不信任案に賛成する動きをやめて、不信任案に反対した。そのため、不信任議決案は否決された。

 ところが、否決されるとすぐに、原発事故が解決するまで、少なくとも来年までは、首相を続けると言い始めたので、みんな、驚いた。誰もが詐欺だと思った。こんな詐欺を働く人が、総理大臣だなんて、なんてことだ。

 欧州では、今回の放射能事故で、日本では四十万人が死亡するだろうという予測が出ている。

 たしかに、癌死亡者数が5〜10%ぐらい増えて、10〜20年続けば、そのくらいの死亡者数になるだろう。

 この危機にこの首相では日本国民が危ない。

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2011/05/16  児玉清さん(77)、胃癌で死去 

 長年、テレビの司会などで活躍していた、俳優、児玉清さんが、胃がんのため16日に死去した。2年前から出題を担当してきた加藤明子アナウンサー(35)によると、「11日にお見舞いしたとき、『去年10月に胃カメラをのんでおけばよかったんだよね』とポツリ。ショックが大きくて、あとはちゃんと聞けなかった」とのこと。

 みなさん、胃癌で死なないため、症状がないうちに内視鏡検査を受けましょう。ピロリ菌のチェックも大切です。

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2011/05/13-15  日本消化器病学会 東京 に参加 

 シカゴから中一日の移動日を置いて、13日から新宿の京王ホテルで、日本の消化器病学会が開かれた。3月11日の大震災の影響で、日本医学会、日本内科学会、日本外科学会、日本消化器内視鏡学会が、それぞれ、中止、中止、紙上開催、延期となる中で、日本消化器病学会は、会長の慶応大学教授日比先生の「こんな時こそ科学的に勉強することは大切」という強い意向で開催された。他の学会が開始されなかった影響もあるのか、約8000人にも及ぶ参加者で、近年では一番の参加人数であったという。私は炎症性腸疾患のセッションを中心に参加したが、抗TNFα抗体が話題の中心であった。2005-6年ごろのアメリカDDWと同じような内容であった。アメリカに遅れること約6年、日本でも、クローン病のトップダウン治療が市民権を得たようだ。

 日比先生の意気に応じたなかなか良い学会であった。

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2011/05/11  DDW2011 Chicago に参加 

  アメリカの学会に行くと世界各地からひとが集まり、新鮮な情報が手に入る。今年は2年ぶりにシカゴで開催された。学会の前半は寒かったが、後半は気温が上がってすがすがしい五月晴れとなった。学会は5月7日から5月10日までの4日間と従来より、一日短縮された。その代わり、初日の朝7:00から最終日の午後5:30まで充実した内容の発表が続いていた。従来は、最終日の午後ともなると学会上から人が消えていたが、今回は最後まで多くの人がいた。やっぱり5日間は長すぎる。今回の変更は成功したようだ。

 ミシガンavenueは通りにきれいに花が植えられていて感心した。山の手通りもこのくらいきれいにしたいものだ。

 さて、今回の内視鏡の分野における技術的なテーマは、内視鏡下の縫合と肥満治療であった。NOTESの技術的な第一の障害は、腹腔内に入った侵入部の縫合である。いくつもの新たな縫合技術が紹介されていた。

 また、肥満の治療でも、内視鏡的な工夫がいくつも発表されていて、その新たな工夫の成果は素晴らしいもので、今後の臨床に広まることが十分に期待できる内容であった。アメリカ消化器病学会の会長はその会長講演の中で、「糖尿病とか肥満とかの代謝疾患は、今後消化器医が診ることことになるであろう。」と述べたが、その通りだと私も思った。

 最終日には内視鏡ビデオのワールドカップが初めて開催された。気楽な気分で、大変な臨床症例をいかに克服したかを楽し見ながら、評価して、勝ち負けを競っていた。日本代表は惜しくも4位でメダルを逃した。1位はアメリカ、2位が中国、3位がインドであった。座長はスタンフォードのヴァンダム教授で、彼らしい気さくな企画で、楽しく勉強ができた 。


右端がヴァンダム教授

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2011/04/28  東京の放射線は安全範囲。長期的な放射能の障害を和らげる食材は? 

  明日の3月11日の大震災から49日がたつ。古来の風習から言えば、明日で喪が明ける。さて、震災後、東京で何回か雨が降ったが、3月21日の放射能レベルの上昇以来、その後はほとんど上昇していない。もう、あまり放射能は出ていないようだ。外部被爆は大丈夫だが、後は内部被爆、すなわち、食材の問題である。食材はモニタリングされているようだが、放射能が基準値を上回っていても卸しに出す生産者がいて、困ったものだ。

 放射能障害は、基本的に遺伝子障害。放射線が通過することにより生じる活性酸素が遺伝子DNAを傷つけるのです。したがって、活性酸素を除去する物質を多く含む食材が、放射能障害を和らげる食材です。具体的には、強い日差しの下で育つ植物で、色の濃い食材の皮の部分がお勧めです。

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2011/03/30  あと10週間、梅雨の始まる前に、放射性物質の封じ込めを! 

 

 政府は、原子炉2号機の原子炉の破損と燃料棒の破損、核燃料の融解と放射能物質の漏れをやっと認めた。原子炉に爆発があったのは3月12日から15日ごろであったから、それ以来、放射性物質の漏れが続いている。垂れ流しを封じ込める方策も模索中で、政府・東電は放射線の漏れに対する対策を、アメリカやフランスの専門家にも打診しているらしい。今のところ、放射能の垂れ流しは、いつ終わるともしれないという。事態は深刻だ。

 

 放射性物質の被害は、汚染の程度の比例し、汚染の程度は風向きと天候と垂れ流しの期間に比例する。つまり、健康被害は風向きと天候と垂れ流し期間に比例することになる。関東平野の汚染が進行するのは、北東の風が吹いてしかも、雨が降るときだ。

 

 この1週間、東京の放射能レベルは下がり続けている。それは、北東の風が吹かなかったからだ。

 

 しかし、あと10週間経つと関東平野は梅雨に入る。梅雨になると低気圧が関東平野の南を通過して、その時、北東の風が吹き、雨が降る。つまり、東京にとっての最悪の風向きと天候になるのである。したがって、梅雨が始める前に放射性物質を封じ込めなければならない。

 

 福島原子力発電所の原子炉からの放射性物質の漏れに対して、政府はいろいろと対策を考えているようだ。官房長官は、汚染された廃液はタンカーに載せるとか、原子炉の上にテントを張るとか、放射能を帯びた瓦礫の表面を樹脂で固めるとかいっていた。「原子炉から立ち上る煙を巨大ダクトで吸い取って、数千個の空気清浄機にかける」のも手っ取り早い有効な方法だと思う。

 

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2011/03/30  放射性物質の被ばくによる健康被害は、発癌。一般的な癌の増加も理論的には否定できない。 

 

 放射性物質による医学上の健康被害は発がんである。汚染された食物や飲み物からの内部被ばくが一番の発癌リスクである。まず、第一に放射性ヨードによる甲状腺癌の発生が心配である。被ばくを受けて、1年から数年で甲状腺癌は発生してくる。定期的なエコー検査が必要だ。次に、その他の核種としては、やはり、プルトニウムによる肺癌が心配である。各地のプルトニウムの汚染の状況を正確に測定して、放射性ヨードのように情報公開してほしいところだ。

 

 その他の癌の発生も増加する可能性は理論上、十分あり得る。もともと、2人に1人は癌になる時代なので、増加したかどうか、確かめるには疫学的な調査を待たなければならない。5-10年して、この事故以来、癌発生が若年シフトしたとか、癌の罹患率が上昇したという形で立証されるだろう。癌検診の重要性は一層増したように思う。

 

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2011/03/27  福島原子力発電所からの放射性物質の流失が続く。放射性物質は原子炉本体から流出していると認識。一刻も早い放射性物質の封じ込めを! 

 

 3月12日、3月15日の連続爆発以来、福島原子力発電所からの放射能の流出が止まらない。東電はプランAにそって、冷却による核反応の停止を目指して、水を原子炉に注入し続けている。しかし、うまくいっておらず、放射性物質は大気と海水に放出され続けている。風向きにより東京地区にも放射性物質がやってくる。今のところ直ちに、体に被害が出るレベルではないが、1年も垂れ流しが続けば、健康被害がでる。

 今日、原子炉のわきのタービンの入っている建物の底にたまっている水から、極めて高濃度の放射性物質が発見されたとの発表があった。発見された核種から、原子炉の中では核燃料棒が壊れて、核反応が続いているのは間違いないようだ。その筋のとある患者さんがいうには、「1号機の燃料棒に制御棒がうまくはまっていなくて制御されていない。また、3号機の中にはプルトニウムがあって、プルトニウムも漏れているらしい。」真偽のほどは不明だが、プルトニウムは半減期が極めて長く、1グラムで肺癌患者50万人という、噂もある。

 原子炉が壊れてはいないものの、垂れ流しが続けば、チェルノブイリ以上の被害が予想される。放射能の垂れ流しは早急に解決しなければならない。テレビで見ると、東電の人たちはかなり疲れていて、ちょっと荷が重すぎるようだ。全日本チームを作って、早急に有効な解決策、プランBを示して、一刻も早く解決してほしいものだ。

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2011/03/23  難治性食道癌術後吻合部線維性狭窄の内視鏡的治療に成功 

 

 食道癌の術後に吻合部がときに狭窄して、食べ物が通らなくなることがある。どんなに手術の上手な施設でも時々起る厄介な術後合併症だ。狭窄には膜様の狭窄と線維性の狭窄がある。膜様の狭窄は、狭窄部位が短く、バルーンでの拡張を繰り返すと大半の症例で、改善してくる。しかし、線維性狭窄は難治で、治療は一筋縄ではいかない。食道癌手術で有名な順天堂大学の梶山教授( 大学の同級生)のところでも、このような症例は治療に大変苦労しているらしく、彼の弟子が書いた総論を読むと、バルーン拡張を何度も繰り返すしかないと書いてある。

 

 さて、今回、バルーン拡張を何回も繰り返したが、すぐに悪化して、4カ月も食事が食べられなくて困っている症例があるので、なんとか治してくれないかと、関連施設の病院から依頼された。大病院から小さなクリニックに紹介されて、患者はおっかなびっくりやってきた。いろいろと調べたところ、狭窄はほとんど閉塞しており、無理してやっと直径2mmのカテーテル型の超音波内視鏡が通せるぐらいであった。長さは約5−6センチで、線維幅は1cm以上であった。APC(アルゴンプラズマ)で線維を焼き、焼きかすを根気強く丁寧にはぎとり、トンネルを掘った。

 途中、何回も出血して大変であったが、なんとか成功し、直径10mmの内視鏡が貫通した。しかし、1週間ほうっておくと、線維が急速に増殖してきて、すぐに閉塞してしまう。そこで、十分広げた後に、着脱式の新型のステントを挿入して、治療に成功した。

 患者さんが喜んだのはいうまでもない。今回行った方法は優れていて、食道癌術後吻合部線維性狭窄の内視鏡的治療の標準方法となるのではないかと 考えている。

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2011/03/16  福島原子力発電所で臨界事故や爆発事故が続き、東京でも異常放射能が微量検出される。 ただし健康にはまったく影響のないレベル 

 

 3月15日未明に、発電所で爆発(使用済み燃料の臨界爆発?)があり、運悪く北東の風に乗って、その日の午前中には、東京でも異常放射能が検出されていたそうです。しかし、レベルはかなり低 く、健康にはまったく問題のないレベルでした。今日になって昨日の重大事を発表するといった、政府の対応のまずさに、あきれるばかりです。海外のメディアを読んでみると、米国やフランスやドイツ、イスラエル政府なども日本政府の対応を非難し心配しています。こういうときは想定される最悪の事態の説明を行って、その対策とその後の成り行きのシナリオを理路整然と国民に説明するべきだと思います。

 

  東京都のホームページには、うちのクリニックの近く新宿区で測定した放射線レベルの測定値が1時間ごとに速報されています。来院の際の、ご参考にしてください。政府に批判的な石原都知事の行っていることですから、うそやごまかしは一切ないと思います。

 

クリニックの近辺の放射線濃度を知りたいときはここをクリック

 

クリニックのある関東平野の風向きを知りたいときはここをクリック

 

 チェルノブイリの段階まで深刻な事態になる可能性は諸説あってよくわかりませんが、50%くらいありそうです 。東京は福島原発からは約250km離れているので直接の影響は考えにくいですが、東京はそのときの風向きが問題です。 私の判断では、低気圧が関東南岸を通過するとき以外は、大丈夫だろうと思っています。

 

 16日午後から、東京では強い北西の風が吹きました。東京都の測定値を見ると、強風が吹いて、放射能の値が下がりました。

 

 しかし、安定ヨウ素剤の配布をすべき時がきていると思います。

 

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2011/03/14  首都圏輪番停電開始、鉄道麻痺 当院は輪番停電ありません。 

 

 大地震のあと、電力が必要量の75%しかないということで、輪番停電が開始されて、鉄道が混乱しています。当院でも、看護婦さんは通勤不能、受付嬢は、10時出勤となりましたが、ほとんど、いつもどおりに診療できています。

 

 当クリニックは、自衛隊の基地のそばで、輪番停電からははずされています。

 

 遠方から来る再診の患者さんで、移動手段が難しい場合には、お電話にて、ご連絡してください。お薬もしくは処方箋を送ります。

 

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2011/03/12  大津波と福島原子力発電所で爆発 

 

 大地震のあと、東北の大津波(一部では15m)の被害が伝えられて、暗い気持ちになっていましたが、知り合いから生きているとのメールが入り、無事が判明して、ひとまずは安堵しました。しかし、家は津波で流されたそうで、これからのどうするのか心配です。

 

 午後に福島原発で爆発(水素爆発)があったと発表がありました。死傷者も出ている模様です。万一に備えて、家族のうち何人かを岡山へ向かわせました。

 

 チェルノブイリのときは、放射性ヨード131による子供の甲状腺がんが増えました。ただ、放射性ヨード131の半減期は8.1日と短いので対策は短期で済みます。問題は、放射性のセシウム137です。半減期が30年なので、これが環境にばら撒かれると、長期にわたる汚染で白血病や癌などの頻度が高くなるといった大変なことになりそうです。

 

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2011/03/11  大地震 しかし クリニックは無事 通常診療続行の方針 

 

 午後2時26分から、数分間大きく揺れました。ちょうど大腸内視鏡検査をしていましたが、一時中断。揺れが途中から強くなり、一瞬もうだめかと思いました。そして、2回目の地震が30分後に来て、激しい縦揺れで、だっだっだっだっだと10数秒続いときは、直下型で、今度こそだめかと思いました。しかし、建物は幸いにも何とか崩れずに済みました。揺れが終わったあと、大腸内視鏡検査は続行できました。

 そのほか、電気、水道、ガスなども無事で、今日、予定していた診療や内視鏡検査は、いつもどおりに終えることが出来ました。

 

 東北地方は大津波で壊滅したようです。相馬に、知り合いがいるのですが、連絡が取れません。生きているか心配です。

 

 首都圏では帰宅困難で、電車が動かず、多くの人が歩いて帰宅となりました。山の手どおりを7−8キロ先まで徒歩で帰っているという人が4人ほどトイレを借りに来ました。 災害のときは助け合いこそ基本ということで、喜んでお貸ししました。

 

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2011/03/08 東京大学消化器内科 第一回同窓会でささやかれた、厚生労働省の不作為の過失。その過失で約70万人の日本人が胃癌で死んだ。 

 

 1983年に「慢性胃炎はピロリ菌が原因の感染症だ」とオーストラリアのヲーレン教授が唱えた。そして、その後の疫学的研究で、胃癌の原因もピロリ菌であることが有力となり、1994年WHOは全世界に向けて「胃癌の一番の原因はピロリ菌である。」と宣言した。

 

 ところが、わが国の政府、当時の厚生省はこれを認めなかった。なぜなら、国立がんセンターに入院していた胃癌患者のピロリ菌の抗体価を測定してみると、約1/3が陰性であったのである。

 

 しかし、しかし、である。その後の研究で、重大な事実が判明する。オーストラリアのピロリ菌と日本のピロリ菌は、同じではなかったのだ。当時の測定方法は、オーストラリアのピロリ菌に対する抗体価に対するものであって、日本のピロリ菌に対する抗体価ではなかったのである。

 

 研究は続き、それでは、ピロリ菌を退治したら、胃癌の発生は減るのかと言うことになった。2000年代の前半、日本各地の大学や病院7−8箇所で、ピロリ菌を退治したグループでは、ピロリ菌を放置したグループに比べて、除菌したグループでは、除菌成功後3年たつと、胃癌の発生率が平均五分の一に下がることが判明したのである。症例対象は日本人で1300例を超える。しかし、厚生労働省はこれを一蹴して、香港のわずか100例前後のNew England Journal Of Medicine 論文を盾に、自らの無謬性を今でも貫いている。

 

 これが昨今、国会で取り上げられたらしい。三木先生の話によると、浅香教授が国会に呼ばれた。議員さんから「胃癌は感染症なのか?」と尋ねられて、北大の浅香教授が「そうです。その通りです。」と答えたそうだ。肝炎ウィルスと同じ、厚生労働省の不作為の過失。その過失で約70万人の日本人が胃癌で死んだという真実が、厚生労働省のお役人様に突きつけられる日がついに来たのだろうか?

 

 ただ、行政の混乱は医療現場にとって決して好ましくない。なんとか速やかに、人の輪も崩れず、胃癌も効果的に予防できる体制に移行できるように、願っているのは、三木先生も私も同じ考えだ。

 

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2011/03/08 東京大学消化器内科 第一回同窓会 第一回の不思議と消化管クループの憂鬱 

 

 東京大学消化器内科の第一回同窓会が、小池教授の下、後楽園ホテルで開催された。火曜日の夜であったにもかかわらず、ざっと、200名ぐらい集まっていた。

和気藹々とビール片手に旧交を温めてきた。

 

 さて、伝統ある東京大学で、消化器内科の同窓会がなぜ第一回なのか?それには少々込みいった事情がある。

 

 そもそも、私が東京大学を卒業した1984年には、東京大学に消化器内科はなかった。内科といえば、第一内科、第二内科、第三内科、第四内科、物療内科、神経内科、老人科の7つがあった。神経内科だけは、専門分化していたが、その他の6つの内科には、それぞれ、胃腸を研究対象とする内視鏡を担当する研究室があった。また、第一、第二、第三内科には、肝臓病を専門とする研究室があった。当時は、それぞれの内科教室で、全人的な医療が行われていたのである。ちなみに、私は物療内科の第15研究室、通称、消化器研に属していた。

 

 しかし、教授がインパクトファクターの合計点で選ばれる時代となり、全人的な医療よりも臓器別、疾患系統別に専門的な医療や医学研究がしたい、という時代の要請で、1998年に、内科が再編成されて、東京大学消化器内科が生まれたのである。

 

 初代の消化器内科の教授はなぜか千葉大出身の小俣政男先生であった。小俣先生の専門は肝臓病であった。私の学年で、内視鏡や消化管を専門としていたものは8名いたが、大学に残って研究していた4名は、残念ながら、全員大学を追い出された。当時の学内の内紛の様子は開業していた私にも、漏れ伝わってきていた。とても、同窓会といった雰囲気ではなかったのである。

 

 1998年の改変時に、なぜ、消化器内科でなく、肝臓内科と消化管内科に分けなかったのか?

 

 2009年に就任した二代目の小池教授の専門も肝臓病(肝炎ウィルス)である。小池先生は東大卒で一内の肝臓グループの出身である。消化管グループの憂鬱はまだまだ続いている。

 

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2011/01/26 健康保険の運用の問題点  

 

  先月の保険診療のレセプトの審査で、審査委員会と意見の異なることがあり、厚生労働省の出先機関、関東信越厚生局の見解を聞こうと思い、本日電話をした。担当官に対して、電話にて、問題点に関する判断の根拠となる文書は何かと聞いたところ、「医科診療表の解釈」と答えた。

 私もその資料は見ていて、そこには意見の相違を解決する内容は書かれていないことは知っていたので、そこで、さらに切り込んで、問題となった言葉の定義について、成文化されたものがあるかと尋ねた。すると、「ない」と回答した。それでは、成文化されないていない問題点はどう解決しているのかと、尋ねたところ、健康保険法の精神に基づいて解釈していると答えた。

 明文化されないことで、行政を行うのは、法治国家としては大いに問題があるのではないかと詰問した。実は、日本各地の地域によって、健康保険の運用状態が異なり、問題化している。明文化せずに行政を行うから、地域や担当官による運用の差が発生するのだ。それまで問題なかったことも、急に問題化される。

 しかし、この状態は、法のもとの平等をうたった憲法に反することは明らかである。法的に言うと、上位法である憲法に違反している法律や行政行為は効力を失う。担当官もちょっと問題だなと思ったらしく、成文化したものがあるかないか、しばらく探してから回答しますと返答を変えてきた。

 受け答えの内容に不信感をもったので、重ねて、担当官に、今の職に就いてから何年かと聞いたところ、「1年」と答えた。また、前任者からの引き継ぎはあるのかと尋ねたところ、「ない」と答えた。それはそうだろう、関東信越厚生局の前身は、あの年金のずさん管理で、廃止となった、社会保険庁なのである。しかし、経験の少ない人が、前職からの引き継ぎも受けずに、自分の解釈でその場その場であーだこーだと神の声を発するのはいかがなものであろう。神の声で振り回されると、現場は大いに困るのである。

 また、審査委員の氏名は、公表されない。そのため、審査委員と自由に議論をすることも困難である。このような黒い体質が、同窓に甘く、ライバルに厳しい審査の温床となっている。記憶に新しい、東京医科歯科大学の同窓会の社会保険審査委員汚職事件のからくりは、この構図であった。

  

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2011/01/01 拡大内視鏡 内視鏡的、核パターン観察の新工夫を発見  

  内視鏡下に核を観察する場合、核は透明なので、染色する必要がある。これまで、核染色に用いられていたのは、メチレンブルーである。メチレンブルーで、核を染色するには、2−3分かかっていた。この2−3分という時間は、内視鏡をしている場合、結構長い時間である。どうやって、この時間を短縮するか?これが、核パターン診断の一つの大きな臨床的課題であった。偶然、ある薬をまいた後であると、時間ほぼ0で核が染まることに気がついた。データをまとめて、今後の学会で発表します。

 下の図は、腫瘍にメチレンブルーを吹き付けた直後の写真である。腺管の辺縁に付着して、層をなしている核層が瞬間で明瞭に見えた。ちなみに、この核パターンはn2である。腺管口の形態は、大小不動で、異型がかなり強いが、核所見は比較的おとなしい。毛細血管のパターンは腫瘍のパターンである。異型性は結構強い。

 

 

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2011/01/01  謹賀新年  

 

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2010/12/13  お酒(アルコール)と大腸癌、胃癌、食道癌  

 

 今は、忘年会シーズンで、お酒を飲む機会も多い。せっかく、おいしくお酒を飲んでるあなたに、冷や水をかけるような野暮な話かもしれませんが、そんなことなら飲むんではなかったと後悔しないように、お酒と癌の関係を少しまとめておきましょう。

 

 大腸癌とお酒の関係については、授業ではあまり言われていないので、関係がないと思っている人も多いと思いますが、実は大ありです。私が昔まとめたデータでは、お酒を毎日5合飲む人は、お酒を全く飲まない人の2倍の大腸がんの発生率がありました。また、ビールを1500ml飲む人は、飲まない人の2倍大腸ポリープが出てきました。また、会社を辞めて、お酒を飲む機会がなくなると、大腸ポリープの発生率が下がります。

 

 胃癌とお酒の関係についても、これまで、あまりはっきりとしたデータがありませんでしたが、2000年代前半ごろから全国の様々な施設から、相次いで、その関係が指摘されました。ピロリ菌を退治すると、退治後3年目から、胃癌の発生率が下がりました。ピロリ菌を退治すると胃癌の発生率が約5分の1まで下がったのです。しかし、面白いことに、その下がり方に男女差がありました。全国のさまざまな施設のデータが、すべて、同じ傾向を示していました。男性の減少率は約3分の1で、女性の減少率は約10分の1だったのです。はじめ、この現象はGENDER MYSTERYと呼ばれましたが、再度、因子分析をしてみると、寄与度の大きなものは、飲酒量だったのです。つまり、ピロリ菌という最大の胃癌の原因がなくなると、次に胃癌の発生に大きく関与していたのは、酒だったのです。お酒を飲むと飲まないでは、約3倍の胃癌の発生率の差があったのでした。

 

 食道癌とお酒の関係については、昔から医学の教科書に載っていますので、関係があることは、みなさんも、よくご存じでしょう。

 

 以上、「アルコールを飲むと大腸癌、胃癌、食道癌、すべて出来やすくなる」ということで、アルコールは、大腸癌、胃癌、食道癌を予防する観点からは飲むべきではありません。みなさんの予想通り、おいしいお酒を飲んでいるあなたに、冷や水をかける話となってしまいました。

 

 ところで、どういうメカニズムで、アルコールは癌の発生を増やすのでしょうか?

 

 食道癌について、お酒の発がんメカニズムが少しわかってきました。お酒(エタノール)は体内で酸化分解されて、アセトアルデヒドになります。ちなみに、この反応をつかさどる酵素をアルコール脱水素酵素といいます。そして、アセトアルデヒドはさらに酸化分解されて、酢酸になります。この反応をつかさどる酵素は、アルデヒド脱水素酵素といいます。エタノールが体内に入って増加するこの3つの化学物質について、詳しく調べてみると、エタノールにも酢酸にも発がん性はなく、発がん性があったのはアセトアルデヒドでした。お酒の本当の悪玉は、アルコールそのものではなく、アルコールが代謝されて発生するアセトアルデヒドだったのです。

 

 一方、アセトアルデヒド脱水素酵素の活性の高い人は低い人よりも食道癌になりにくいということも大規模な疫学調査でわかりました。アルデヒド脱水素酵素の働きを強化しておけば、アセトアルデヒドがすぐに酢酸に代謝されるので、酒も安全ということです。言い換えれば、「アルデヒド脱水素酵素を強化する解毒剤」と一緒にお酒を飲めば、飲酒による癌発生が抑えるられて、おいしいお酒はやっぱりおいしいということになります。

 

 「アルデヒド脱水素酵素を強化する解毒剤」とは何か?この薬がわかれば!というわけですが、

 

 今日は朝早くからずっと働いていたので、もう眠たくなりました。薬の解答は次の機会にしましょう・・・・。

 

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2010/10/27  UEGW 2010 Barcelona  

 

 10月25,26,27とバルセロナでUEGWが開催されている。バルセロナは2003年に観光で訪れてから、7年ぶりである。

 

 

 今回の学会でも、ビデオセッションやライブをはじめとして各分野での日本勢の活躍は目覚ましい。26日に行われた矢作先生や井上先生のESDのライブデモでは、太い血管からの出血をうまく止めるたびに、会場は拍手で包まれた。EMRやEMR-cで簡単に取れるのに、出血させては止めてというマッチポンプのようなESDで、そこまで難しく しなくてもいいのではと思うのは、少々冷笑的に過ぎるかとも思うが、2人とも時間内に病変をとれなかった。会場の拍手とは裏腹に冷たい視点がヨーロッパにもあるように感じた。しかし、12年前を考えると日本人の活躍は素晴らしい。

 

 さて、今回の発表の中で最も感心したのは、USAのAkerman先生の内視鏡を自動的に挿入するスパイラルドライブであった。今後の展開が大いに期待される。

 

 ところで、スペインは荒っぽい。2003年、私と別れた千葉先生ご夫妻が、マドリードの王立美術館(ピカソのゲルニカのある美術館)の前の地下鉄に降りる階段で襲われて身ぐるみはがれたことがあった。私は、ゴヤの絵のある美術館の近くの広場ですりの集団に襲われた。さて、今回も問題が発生した。バルセロナの街をレンタカーで走っているとバイクに囲まれて、道脇に止めるように言われた。怪しいので無視してパーキングに車を入れたところ、なんとタイヤがドライバーのようなものでパンクさせられていた。道脇に止めたら、きっと、パンクしているとか言って、直してあげるとか言って、法外な金額を巻き上げられていただろう。やっぱり、スペインは少々怖い。

 

 

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2010/09/23  第69回日本癌学会学術総会出席  

 

 昨日まで、真夏日の連続であったが、秋分の日を迎えて、涼しくなった。季節の変わり目の雷がなり、しっかりと雨が降った。暑さ寒さも彼岸まで。異常な暑さであった今年の夏も、最後は格言に従いそうである。

 今日は、大阪国際会議場で開かれた、第69回日本癌学会学術総会に出席してきた。

 午前中はmiRNAの話を聞いた。

 午後は、「今 癌研究に求められること」 ―癌研究に対する提言―に参加。事業仕分けと同じような、形のイスの配置であった。こんな形の会は初めてであった。

 

 

 司会は、門田守人さんと中村祐輔さん。この会では、みんな平ということで、先生という敬称は禁止であった。野田哲生さん(癌研)、江角浩安さん(癌センター東病院)、関原健夫さん(日本対がん協会)の3名が基調講演を行い、その後、参加者が意見を述べていくというスタイルで行われた。参加者は、国会議員、鈴木寛副大臣をはじめ3人、厚生労働省、通産省、文部省から、官僚が1人ずつ計3人、患者団体から6人、製薬会社から3人、メディア関係が2人、学会関係が9人、大学の教授が2人、日本医師会から1人という構成であった。

 いま、癌研究に求められていることは、画期的な新薬の開発である。では、どうすればよいか。研究予算のこと、研究の人材のこと、薬の開発のこと、制度的な仕組みのこと、患者団体の組織の仕方などなどが、議論のテーマとなった。次々と有効な分子標的薬を作り出して世界の新薬市場を席巻しているアメリカと、まだ一つも有効な分子標的新薬が開発できていない日本とが、対比される形で議論が進んでいた。結構、有意義な議論が行われていて、聞いていて大変面白く、毎年開催して、次回からは具体的な政策を掲げて議論をすればいいなと思った。

 

 ちなみに、常陸宮殿下も2列目で静かに議論を聞いておられた。

 

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2010/09/11  In 2010 National Conference on Therapy of stem cell & Diagnosis and Treatment of Endoscopy in Digestive Disease, I made a lecture on Nucleus pattern diagnosis  

 

 中国東北区の瀋陽軍総合病院の消化器内科の郭教授の主催する学会に招かれて、拡大内視鏡診断とくに「核パターン診断」の講演してきた。5月の北京の講演が好評であったので、呼ばれたようだ。聴衆は食い入るように話を聞いてくれた。新鮮な話であったらしい。

 

 

 しかし、このテーマの組み合わせは、いささか驚いた。消化器内視鏡と幹細胞治療はあまり関係のない分野であるからだ。ところが、なんと、来月開催されるヨーロッパのUEGWの学会のテーマもこれとそっくりなのである。郭教授は長年、スイスに留学して、幹細胞治療の研究もしていたらしい。「幹細胞を骨髄から取り出して、肝臓に入れると肝硬変が治る」とか言っていた。中国では幹細胞治療は、いままさに「地下から地上に出る」段階なのだそうだ。

 夜に歓迎交歓会が開かれたが、現役の看護婦さんたちが、14-15人ほど、素晴らしい表情で玄人はだしの踊りを踊ったのにはびっくり。通訳さんに言うには、患者さんに見せる最高の笑顔の練習なのだそうだ。

 

 

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2010/08/17  本日は記録的猛暑 14時半現在 クリニックの前は、温泉卵寸前 

 

 今年の夏は例年にくらべて暑いが、今日はとりわけ暑い。クリニックの前の日陰で、温度と湿度を測定したところ摂氏41度、湿度62%であった。日向ではもっと暑く、摂氏50度 湿度60%。お風呂なら 、とても入れない温度。白身も凝固し始める温泉卵寸前状態である。きっと今日は熱中症の嵐だろうなぁ・・・。 あすは、日向で卵焼きをつくってみよう?!

 

 地球温暖化が続いて、10年後、これがさらに5度上がったとしたら、真夏の東京は人の住めない環境になるだろう。

 

 田舎にくらべて都内でどうしてこんなに暑くなるのかというと、空調機からの廃熱と、植物や池、川などの熱バッファーである水分が少ないということがあげられると思う。大気中に廃熱しない冷房手段の開発は、地球温暖化のおり、求められる技術であり、家電メーカーは、優秀な開発者を投入して、次なる冷房手段として真剣に開発に取り組んでほしいものだ。

 

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2010/08/17  桑田佳祐さんの食道がんはなぜ早期発見できなかったのか?

 微小な食道がんを見つけるには、色素内視鏡もしくは、特殊光拡大内視鏡による丁寧な検査が必須!! 

 

毛細血管が斑点状になって見える部分が早期食道がん。FICEによって血管が強調されてみえる。

 

 今月2日に初期の食道がんの手術を受けたサザンオールスターズの桑田佳祐(54)が、14日夜放送のTOKYO FM「桑田佳祐のやさしい夜遊び」にメールを寄せ、近況を報告した。先週7日の放送でICU(集中治療室)に入っていることを明かしていたが、驚異の回復力で「本来なら1週間ぐらいいるのですが、(手術から)3日後には普通の病室に戻されました」と告白。「毎日1歩ずつ。点滴の管が取れ、おならやウンチが出て、数値もよくなっていっています」と順調に回復している様子を明かした。(夕刊フジから引用)

 

 先日、マスコミのテレビ業界の人が来て、「桑田佳祐さんは半年に一回、検診を受けていたというのに、どうして、手術するような食道がんがでたのですか?あんな有名な人が半年に一回検診を受けていたのにどうしてって、業界ではみんな疑問に思っています。」 と尋ねてきた。

 

 「初期の食道がん」と「早期の食道がん」は素人的には同じような語感がありますが、専門的にはかなり違うものです。早期の食道がんとは、癌の浸潤範囲が粘膜内に限られているもののことです。この範囲のうちに発見した場合、99%以上助かります。一方、初期の食道がんとは、専門的にはきちんとした定義はなく、病気の初期といった程度のあいまいな意味です。助かるかどうかですが、必ず、助かるとの保証はありません。

 

 早期の食道がんであれば、内視鏡で切除することとで98%以上治りますので、今回、桑田佳祐さんが、開腹開胸の手術を受けて大変に頑張っていらっしゃるということは、桑田佳祐さんの食道がんは、残念ながら、進行がんであったということです。

 

 これがわかっているから、業界の人が桑田佳祐さんの食道がんを疑問に思っているのである。

 

 癌が発生してから、半年で進行がんになるのは稀である。それでは、進行がんなるまで病変はどうして見落とされていたのか?答えは、検診の方法にある。

 

1) バリウム検診。レントゲンでバリウムを飲む方法では、早期がんは発見できないのが常識。レントゲンは凹凸を判断する検査であるため、凹凸のある病変がみつかる。一般に食道がんは早期のうちは、ぺラッとして平らであり、粘膜下に浸潤して進行がんになってはじめて、凹凸が出てくる。したがって、バリウム造影によるレントゲン検診では、食道がんは進行してからでないと、見つからない。

 

 私が授業時間の半分を割いて東大の講義で教えているのはこの常識。学生諸君が医師になって間違った説明をして多大な賠償金を払わなくてもすむように、また、患者さんがその意思に反して、早期発見されず、癌で死んでしまわないようにするためだ。

 

2) 内視鏡検診。一般の内視鏡検診の早期食道がんの発見能は、バリウム造影によるレントゲン検診よりは優れている。ぺラッとして色調が違うところ(食道がんには、赤いものや白いものもある)を見つけるのがコツだが、ときに食道がんは周囲と同じ色をしてることもあり、色の変化だけではかなり見つけづらい。桑田佳祐さんの食道がんは扁平上皮癌であったそうだが、このタイプの組織型の癌の場合、ヨードを含む色素散布が発見にきわめて効果的である。扁平上皮癌の部分はヨードに染まらず、正常部分は ヨードに染まるのである。

 

 この染色法、少々、面倒なため、全症例に実施しているのは、私一人くらい しか、この日本にはいないらしいが・・・・。(学会のワークショップで判明)

 

3) 最新・最高の食道がん検診(色素特殊光拡大内視鏡検診)。 それでは、現段階の最高の方法は、なにかというと、色素と特殊光 (NBI,FICE)を利用した毛細血管観察である。つまり、特殊光拡大内視鏡検査である。食道がんの毛細血管は、正常とははっきりと異なる構造を持っているので、毛細血管を丹念にみていけば、1mmの食道がんも 正確に見つかる時代になっているのである。 上の図参照。

 

 桑田佳祐さんは、おそらく、レントゲン検診か、精度の低い内視鏡検診しか受けていなかったために、半年に一度の検診でも、手術しなければならないほど浸潤するまで、 食道がんが見つからなかったのだろう。

 

 ちなみに、当院では 少し時間はかかりますが、色素と特殊光を利用した毛細血管観察を、全例に行ってい ます。

 

 

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2010/07/27  東京は猛暑。胃癌のレントゲン検診について   

 

 梅雨が明けてから、はや二週間ほど、東京の猛暑は尋常ではない。コンクリートとアスファルトの照り返しとクーラーの室外機からの熱風が強烈で、中目黒周辺の道の昼過ぎから5時ぐらいまでの温度は40度から45度ぐらいまである。クリニックの前の道路とクリニックのガラス窓に打ち水をすると、サーっと乾いていくが、それでも。すっと温度が下がるのがわかる。また、目黒川沿いの桜並木の下は少し温度が低い。

 

カプセル型小腸内視鏡で確認された空腸部の悪性リンパ腫。

この患者さんは若いころから、毎年バリウム造影によるレントゲン検診を受けていた。

 

 さて、話は飛ぶが、胃癌のレントゲン検診は海外ではどこでも行われていないのを、皆さん、ご存知だろうか?WHOが胃癌のレントゲン検診をしてはいけないと勧告しているのである。胃癌のレントゲン検診でX線を浴びて発生する白血病や悪性リンパ腫などの癌の数と、レントゲン検診を行って、早期発見によって助かる胃癌患者の数を比較すると、世界的には、前者が後者を上回るため、レントゲン検診を禁止しているのである。

 

 では、なぜ日本で胃癌のレントゲン検診が行われているのか?それは日本では、胃癌の患者が多く、レントゲン検診の精度が高く、早期発見で助かる人が多かったからである。(過去形であることに注意)。しかし、最近の日本は事情が少し違う。1983年にピロリ菌が発見されて、1990年に日本の学界では、ピロリ菌が慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因だとわかり、そして、疫学的考察から、胃癌との強い関係が指摘された。1994年には、ピロリ菌は胃癌の一番の原因であるとWHOが世界に向けて通知した。(わが国の厚生省はこの宣言を否定)。1995年ごろから、ピロリ菌退治の方法が確立されて、2001年ころには、ピロリ菌を退治すると、胃癌になる確率が、退治しない場合の約5分の1になることが、全国の大学、大病院の臨床研究で証明されているのだ。(厚生労働省はこの学会からの報告を香港からの論文を根拠に否定)。しかし、唯々諾々とレントゲンによる胃癌検診が日本では続いている。

 

 賢明な読者なら、私が何を言いたいのか、もうお分かりであろう。ピロリ菌にかかっていない人や、慢性胃炎になっていない人からの胃癌発生はきわめて低いのである。そういった胃癌のリスクが低い集団の人たちに対しても、レントゲン検診が、旧態依然と進められているのだ。これはよくない。即刻改善すべきだ。胃癌のリスクの低い集団の人たちに対して、レントゲンによる胃癌検診を行うべきではない。実は、リスクは簡単に評価できる。今は、ピロリの感染や慢性胃炎の存在は血液検査や便検査で簡単にわかるのである。ピロリ菌の抗体価、便中のピロリ菌抗原、血液検査(ペプシノーゲン1とペプシノーゲン2)などを調べればよいのである。

 

 レントゲン検診による早期胃癌の発見率は、昔のファイバースコープの時代ですら、内視鏡検診による早期胃癌の発見率の3分の1しかなかった。内視鏡は無痛で行う無痛内視鏡技術も進歩し、また、拡大内視鏡では病理所見に近い観察能力を持つまでにいたっている。

 

 しかし、日本政府の厚生労働省は、今年も、「胃癌検診の基本はレントゲン検診である」と宣言した。また、慢性胃炎のピロリ菌退治を社会保険診療で 治療できるように、学会は10年来頼んでいるのに、厚生労働省はまだ認めていない。国民の命と健康を守るために、厚生労働省の上級お役人は、目を覚ましてほしい。自分が天下りするかもしれないからといって、利益集団である検診施設組合や健康保険組合などの政治的圧力に屈して、国民の命を犠牲にしていいんですか?

 

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2010/06/20  しめ鯖食べた後の急な腹痛は、やっぱり、アニサキスでした。   

 

 生の海産物、しめ鯖、いかさし、マグロの刺身などを食べた後、数時間後から急に腹痛があるときは、アニサキス症を疑うのが定石。アニサキスは細長い1−4cm長の虫であり、魚など海の生き物の筋肉内に寄生する。主に胃壁に食いつくのであるが、壁の薄い小腸に食いつくと腸壁を破り、腹膜炎を起こすこともあり、その際はときに命に危険が及ぶこともある。今は亡き、名優 、森繁久弥さんもかつてアニサキスに襲われて、小腸を食い破られそうになり大変だったそうだ。

 先日の深夜、カプセル小腸内視鏡のデータを整理していると、近所の人から電話がかかってきた。しめ鯖を食べた後、数時間後から、腹痛が発生し続いているという。、胃腸を洗浄して、内視鏡を行ったところ、やっぱりアニサキスがいました。内視鏡で取り出し、その後、腹痛から回復。アニサキス症は来始めると続きやすい。土曜日の深夜まで、がんばってくれたスタッフに感謝。

 

 

画面をクリックするとビデオになります。

アニサキスが粘膜内に潜り込もうとしている動作が観察できます。

 

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2010/06/17  自民族に対する精神病理学的な虐待   

 

  私の母校である岡山芳泉高校の初代教頭、佐藤峰夫先生は、若かりし頃、あのインパール作戦に赴いた。佐藤峰夫先生は、 大変立派な先生で、人格者であり、教育に熱心であった 。運動会や文化祭などの締めとして行われた万歳三唱の音頭は、必ず、先生が行った。その鬼気迫る迫力は、とても印象深いものがあった。新設高校 の教頭として、何代にもわたって生徒たちから尊敬されていた。晩年の著作の中で、次のように、インパール作戦を述べていらっしゃる。

  「昭和19年3月、大本営でさえ成算に自信のなかったインパール作戦が東條の応諾でもって発動され、雨期と無補給と飢えのためにすべての兵士が、生きたまま幽鬼のように衰癆(すいろう)し、英印軍の砲弾で死ぬ以前に、大半がジャングルのなかで溶けるように死んだ。(中略)戦争の定義から外れた作戦で、自民族に対する精神病理学的な虐待としかいいようがないものであった。」

  今から、5年ほど前に、タイのバンコクの熱帯医学研究所を訪れた際、タイの教授が次のようにいった。「マラリアもデング熱も蚊で媒介されますが、蚊の種類が違い、マラリアを媒介する蚊は水のきれいなところ、デング熱を媒介する蚊は水の汚い所に発生します。かつて、日本軍が分け入ったタイとビルマの国境は、タイ国内でも有数の水のきれいなところ、つまり、マラリアの流行地です。タイ人はよく知っているので、そんなところに大切な軍隊を送り込みはしません。」

 無知で傲慢な政府役人などの権力者が非合理的な指令を出し、従わねば見せしめとして人々を懲罰し、自民族を虐待している精神病理は、確かに何も今に始まったことではない。しかし、いまは時代が違うはずだ。医療従事者や患者をHIV感染症の危機にさらすような指令を出す政府役人は、即刻、処分されなければならない。

 

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2010/06/15  医師と同じく医療のできる「特定看護師制度」は、今の日本では無理。 「特定看護師制度」よりも、手術前のHIVチェックを奨励し、HIVの蔓延を防いで欲しい。  

 

  厚生労働省は、特定看護師制度をどうしても推進したいらしい。大切な予算と人を割いて、特定看護師制度に関する大規模なアンケートを実施するという。この制度が、今の日本の医療にどれだけの恩恵をもたらすか、大変疑問だ。

 以前も述べたが、看護師と医師はその基盤において、大変大きな差がある。必要とされる基礎学力にも大きな差が歴然とあり、加えて、医師国家試験の合格は、サボれば、東大理V合格者にも簡単ではない。

 また、国家試験を受けるまでの習錬も、並大抵ではない。命を預かる重みを医師はその訓練課程から、また、長い実践経験から学びとっていく。チーム医療といえども、現場では厳しい選択を迫られる場合も多く、その際、最終判断を下すのは、そういった習練を積んだ医師であり、それは孤独で責任のある仕事である。

 アメリカ帰りの先生方が現場を知らぬ役人に働きかけて、アメリカと同じ粗悪で廉価な医療制度を日本に広めようとしているとしか思えてならない。このアンケートを実施する余力が政府にあるなら、手術前にHIVの血液検査をすることが、医療機関の負担になってしまう現実を改善するために、予算を付けてほしい。

 

 HIVは、目の届かないところで、ひそかに広く広まっている。渋谷にある診療所では、HIV陽性者が多すぎるため、血液検体の回収に特殊な容器が用いられるそうだ。当院でもまれであるが、若者の初診患者に、 時に、HIV陽性者がいる。HIVの確定検査を行い、保健所に届けようとするのだが、その前に患者は消える。

 まだ、社会保険庁があった数年前、東大病院に社会保険庁の恒例の監査が入った。外科では、手術前に全例HIV検査をしていたが、それは、社会保険では認められないといわれて、全額削られたことがあった。社会保険庁の指導に従い、東大病院の手術室は、HIVに対して無防備になってしまったのである。

 噂に聞くと、横浜のとある病院では、患者に同意を取った上で、HIVの検査を患者負担で測定していたが、それは、病院職員のためであって、患者のためではないから、患者にお金を返すようにと、政府からの指導があったそうだ。HIV患者の外見は普通の人と変わらない。HIVの感染チェックは決して病院職員のためだけでなく、患者のためでもあることは間違いない。薬で治る梅毒の術前の感染チェックは保険で認められていて、HIVは認められていないのである。不合理の極みと言わざるを得ず、日本政府がこんなに情けないかと思うと、日本人であることに涙がでる。

 

 

肛門部に見つかった大きなパピローマ。HIV陽性であった。

 

ちなみに当院では、器具の洗浄には公式に認められた「オゾンとオートクレーブ」を用いていて、院内感染には細心の注意を払っています。

 

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2010/06/13 菅首相誕生、施政方針演説で、ライフイノベーションも第3の道。  

 

 6月はじめに、鳩山総理大臣と小沢幹事長が退陣して、菅直人さんが民主党の代表になった。6月4日に国会で総理大臣に選出されて、6月8日に組閣した。そして、6月11日に施政方針演説を行った。「今の日本には、雇用の悪化、財政の悪化、社会保障の悪化、という大きな3つの問題がある。自民党内閣当時の市場原理主義では、この3つの問題は解決せず、『社会保障に税金をつぎ込むことで、雇用を生み出し、子供を作り、経済を浮揚させて、財政を改善する。』という第3の道で日本を再生させる。」と述べた。その中で、3つのイノベーションに言及したが、そのうち、ひとつがライフイノベーションであった。

 ただし、これに言及したものの、具体策は述べなかった。一生のうち癌にかかる人が6割、死因の4割が癌という今の日本にあって、癌予防はライフイノベーションの重要なパートである。知恵のある効果的ながん予防政策を、菅直人民主党は提出できるのであろうか?

 

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2010/05/15 北京大学で講演。テーマは1)拡大内視鏡による[optical biopsy]の可能性(ピットパターン診断と核パターン診断) 2)5mm以下の微小ポリープの取り扱いについて  

 

 5月14日から5月16日まで、北京に出かけてきた。北京大学第3医院(=病院)消化器病中心(=センター)林三仁教授が主宰する学会に呼ばれて、約一時間の招待講演を行ってきた。2年ぶりの北京は相変わらず、晴れても空が白かった。依然きたときには気がつかなかったが、空が白いのは、単に車排ガスによる大気汚染だけでなく、ポプラの綿毛のせいだった。マスクをしないと、危うく吸い込んでしまうほど、綿毛が舞っていた。

 学会の会場は、オリンピックスタジアム、鳥巣のすぐ間近であった。1300人ほど消化器医が、中国全土、とくに中国北部を中心として、集まっていた。テーマは拡大内視鏡と決めていたが、前日の打ち合わせで、中国でも5mm以下の小ポリープの取り扱いについては、中国でも議論があるとのこと。以前、日本消化管学会で発表した「5mm以下の微小ポリープの取り扱いに関する検討」を追加することにした。

 当日の講演には約1000名が集まり、会場の中に入りきらずに、立ち見や通路座りが出るほどであった。翌日、学会のライブデモを見学させていただいたが、中国の消化器内視鏡のレベルは、国力の増大とともに、年々、よくなっていて、最先端のレベルは日本と遜色なし程度までになっているようだ。

 

 

 

講演後は、北京の町に繰り出して、王府井と天台に行ったが、大変賑やかであった。

 

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2010/02/19 藤田まことさん死去 食道がんから慢性閉塞性肺疾患、大動脈からの出血・・・で  

 

  2月19日11時31分配信 [eiga.com 映画ニュース] 俳優の藤田まことさん(本名・原田真)が2月17日、大動脈からの出血のため大阪・吹田の病院で死去した。76歳だった。葬儀は近親者のみで営む。藤田さんは1973年、「必殺仕置人」に中村主水役で出演。09年までのシリーズ31作品のうち16作品に名を連ねた。08年5月に食道ガンの手術を受け、「必殺仕事人2009」の撮影で復帰。昨年7〜9月を休養に当てて精力的にリハビリを続けていたが、TBS系連続ドラマ「JIN 仁」のクランクイン直前に「慢性閉塞性肺疾患」と診断され、降板していた。

 

 進行性の食道癌の治療で、化学療法と放射線療法を行い、その副作用で、肺にダメージが加わり、今回の大動脈出血につながったのは想像に難くない。食道癌は、内視鏡で完全に予防できる癌であるだけに、残念に思う。

 ちなみに、食道癌(扁平上皮癌)の高危険因子は、酒、たばこ、50歳以上、男性。これが私が学生の頃の解答であったが、最近の解答は、酒、たばこ、高齢、アセトアルデヒド脱水素酵素欠損。女性であっても、アルコールをたくさん飲む方は女性でも食道がんが多い。アセトアルデヒド脱水素酵素欠損は遺伝子で規定されている。2つの遺伝子がともに、欠損している人はお酒は全く飲めないが、一つの遺伝子だけが欠損しているときは、それなりに酒 を飲めるが、二日酔いをする。

 

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2010/02/19 微小癌と拡大内視鏡 NBIだけでなくFICEにも保険点数を認めるべきだ。 

 

  小さな癌を見つけるには、拡大内視鏡が欠かせない。下の図は最近見つけた微小胃癌である。1.5mmの発赤を拡大してみて、異常血管が見えるので癌だとわかる。私が卒業したころは、内視鏡ではせいぜい6mmぐらいまでしか、確実に胃癌を見つけることは出来なかったが、現在は、この毛細血管を観察することで、1mmでも、胃癌とわかるようになった。

 この4月の診療報酬改定で、オリンパスのNBI(狭帯域画像)に保険点数200点が付けるべきという中医協の答申は、早期癌の発見を日常の仕事としているものにとっては、大変うれしいことだ。ただ、同等の観察技術のFICE(富士フィルム)は、どうなのであろうか?ちなみに、下の図はFICEによる画像である。NBIだけでなくFICEにも 、癌の発見能を向上させたとする論文がすでにいくつも発表されており、実地の画像でも遜色はない。NBIだけでなくFICEにも保険点数をつけるという公平な取り扱いが 、国民の早期がん発見に寄与することは間違いないと思う。NBIだけでなくFICEにも保険点数を認めるべきだ。

 

画面中央の異常毛細血管と腺管構造の乱れで胃癌の範囲が正確にわかる。病理結果は高分化型腺癌。深達度m 大きさは1mm未満。

 

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2010/01/25  情報操作とグーグル問題と 癌罹患率57%癌死37%の日本 

 

  今日の日本では、一生における癌の罹患率が57%、また、死因の37%が癌であるそうだ。 こんなに高い数値は、どうして生じたのであろうか?単に、老人が増えたというばかりでなく、がん予防対策が正しく行われていないためだと、私は考えている。

 

最近、大手検索サイト会社、グーグルは、中国政府と対立している。グーグルは、「すべての情報に、アクセスできることは民主主義・自由主義の前提である。」との理念のもとに、世界各国で事業を展開してきた。この理念が中国政府と相いれないらしい。もめ始めてからずっと、日本での一連の報道を聞いていた。今日もNHK9時のニュースでグーグル問題を報じていた。天安門事件に蓋をしたい中国政府が、グーグルに圧力をかけているといった視点の報道ばかりである。

しかし、日本では、今回のもめるきっかけとなった事件が報道されていない。グーグルは、最近、中国現地で、地元の作家集団から著作権を侵害されたとして訴えられて、敗訴しているのである。この事件、中国では、はっきりと報道されている。では、なぜ、この事件について、日本のマスコミは報道しないのか?そうです。日本のマスコミにも、情報操作があるのです。すべての情報にアクセスできることが民主主義・自由主義の前提であるという理念を支持している日本のマスコミが、この事件を報道しないという皮肉。この辺の皮肉な構図のなかに、世界のパワーゲームと日本の見えざる権力システムが垣間見える。

篤姫は、「一方聞いて、沙汰するな。」とNHK大河ドラマの中で言っていたが、まさにその通りで、今回のクーグル問題を正しく理解するためには、日本のマスコミの情報だけでは不十分 で、中国の報道も聞く必要がある。日本でもグーグルに、著作権や肖像権を侵害されたり、行き過ぎた報道で名誉を傷つけられて、辛い思いをしている人は、少なくない。今回のグーグル問題は、日本政府とアメリカ政府、アメリカ政府と中国政府の権力ゲームの黙示録だ。

 

がん予防の問題でも、実は、政府に都合のよいように情報操作がなされている。だから、その結果、癌死37%癌罹患率57%という不幸な現実 が日本に訪れたのである。マスコミが政府の言いなりになり、お抱え報道を繰り返した結果が、第二次世界大戦の敗北であった。癌との闘いも、いま、 一見平穏な中での、敗戦が続いている。

 

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2010/01/01  新年予想 2010 今年もよろしくお願い申し上げます 

 

 新年を迎えるにあたり、皆様の健康と繁栄をお祈り申し上げます。

2009年秋の富士山

 

 2008年の後半からの経済の落ち込みは日本経済を激しく揺さぶっている。「従来の経済モデルが壊れて 仕事にすることが無くなった。これから具体的に何をしたらいいのか?よくわからない。」 日本社会は大きな曲がり角に来た。

 経済が医療に与える影響は大きい。今後の医療の成り行きを考えるために、日経ジャーナルの2010年予想を読んでみた。いろいろな分野のことが書かれていたが、エコカーが次々と開発されて、景気は少しは良くなるらしい。そして、「従来の常識にとらわれない本質追及が次の時代を切り開く。」と書いてあった。

 

 さて、その本質追及からみた、従来の社会常識にとらわれない癌予防対策とは、何だろうか?

もちろん、それぞれの癌に対する特効治療(三次予防)ができれば、それが一番であるが、治療方法が必ずしも有効でない時は、一次予防(原因除去)と二次予防(早期発見)に努力するしかない。

1)肺がん・・・・・・・・・喫煙の禁止。たばこの販売中止。タバコに代わる健康に良い嗜好品の開発。

2)胃がん・・・・・・・・・ピロリ菌駆除および慢性胃炎の治療。造影レントゲン検診の限定化もしくは廃止。

3)大腸がん・・・・・・・過度なアルコール摂取や過度な脂肪摂取の禁止。遺伝的体質の検討。前がん性病変である大腸ポリープの切除。

4)食道がん・・・・・・・禁酒禁煙。アルデヒド脱水素酵素の活性の測定による高危険群の絞り込み。

5)原発性肝がん・・・B型、C型肝炎ウィルスの除去。慢性肝炎の治療。

6)膵臓癌・・・・・・・・・慢性膵炎の治療。RAS遺伝子異常の抑制。

7)子宮頚癌・・・・・・・パピローマウィルスの全員チェックとこまめな検診。

以上のうち、胃がん、大腸がん、食道がんは、技術の進歩により、拡大内視鏡を用いると、わずか1−2mmでも発見可能な時代となった。つまり、その気になって、しかるべき技術のあるところで、内視鏡検査を受ければ、大腸癌、胃がん、食道癌はほぼ100%予防できる。

 

 鳩山首相が「命を大切にする」というのなら、今年はまさに、科学的知性のもと、勇気を持って、前進して行くべき年であろう。

 

 

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2009/11/23-25  欧州消化器病学会 Gastro London 2009 

 

 今年の欧州消化器病学会は、ロンドンの新しいウォーターフロント、エクセルロンドンで開催された。日本の学界にはない、前日のレセプションパーティーにヘンリー8世(たぶん ?偽物)が現れて、大いに盛り上がった。学会には世界各地から4万人もの参加者があった。以前に比べて、中東諸国からの参加者の増加が感じられた。

 エクセルロンドンは大きな学会場で、わかりやすい作りでよかったが、ロンドンシティ空港のすぐそばで、飛行機が真上を通過し、時折、学会の部屋の中まで騒音が木霊して、うるさく、とても、気になった。

 今回は「陥凹型早期大腸癌は、ほかの形の癌よりもより早く浸潤する」「The Depressed Colorectal Cancer invades more rapidly than other type」をポスター発表した。WEBプログラム上では★★★★の評価をもらった。

  発表要旨は1994年の厚生省の班会議での発表と同じであるが、症例数はずっと増えた。症例数が増えても結論はかわらなかった。やはり、陥凹型大腸癌は見落とせない癌なのである。

 

 ロンドンの街は渋滞していて、オリンピック前景気に沸いているように見える。

 学会でも新しいmiRNAやsiRNAによる新薬、新検査法など、新薬、新治療法など、次の時代を感じさせる発表が種種、見受けられた。

 

 

 

2009/11/09  はまったレセプトプログラム作り 

 

 昨年秋から、社会保険医療も取り扱うようになった。いろいろとレセコンを見たが、「一連の行為」を分別するレセコンが市販されていなかった。「一連の行為」というのはプライベート的に大変意味深い概念なのだが、社会の扱いは小さい。そこで、周囲の反対を振り切って、自前でレセプトプログラム作りをおこなった。

 もともと、凝り性なので、この春に、なんとか曲がりなりのプログラムを作り上げることができた。その後、少しずつ改良、改善して、走っている。各種プログラムがうまく走った時の快感は、詰将棋を説いたときと同じものがある。苦しみからの開放感・達成感がなんとも言えない。今の社会保険のルール、細則は、難解で複雑で、麻雀の50倍ぐらいの複雑なルールである。まあ、業界人の閉鎖性を守るためにはこの複雑難解性しかないのだろうが、この複雑難解性をプログラムにしてしまう楽しみは格別であった。

 しかし、この官僚たちの考えた難解複雑性は、言うまでもなく、一般の医療界にとっては害悪だ。私の偏執癖は、プログラム作りに快感を見出したが、医師としては、本来は医学の研究や臨床に励むべきであったろう。

 一般的には、こんな複雑なルールのもとでは、業界は発展しない。皆さんの見ての通り、今の医療界は、ルールの複雑難解性につぶされ、「人の病気を治して、命を救う」という大義が、複雑難解なルールの森の蔭に埋もれてしまった。それは、まさに厚生官僚たちの狙い通りであった。

 ちなみに保険薬局のルールは極めて簡単で簡素なルールだ。だからこそ、政府に守られて、この15年、業界は未曾有の発展を遂げた。しかし、3兆円のこの業界、医療現場から3兆円の利益を奪ったに過ぎないような気がする。薬価差益が社会的に批判されて、保険薬局は生まれてきたのだが、薬価差益があれば、病院の労働環境はもうちょっとましであったことであろう。利益分配は、やはり、苦労して頑張っている現場の人たちに手厚くすべきだと思うがいかがであろうか?

 

 ところで、私の「一連の行為」の入るレセプトプログラムを商品化したい企業があれば、お申し出ください。

 

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2009/11/09  たばこ増税について 

 

 民主党政権が、たばこ増税策を打ち出した。大賛成だ。

 

 タバコの肺がん発生のオッズ比は、アメリカで20ぐらい、大気汚染の激しかったころの日本で4から5である。日本の大気汚染はかなり良くなってきているので、今の日本では、たばこの肺がん発生のオッズ比は、その間の10ぐらいと予想される。つまり、たばこを吸っていると10倍も肺がんになりやすいのである。そして、肺がんの死亡者数は日本全体で、年間約8万人。1日に直すと約230人ぐらいが肺がんで死んでいる。

 

 オッズ比が10ぐらいだから、もし、たばこが販売禁止にできれば、年間の肺がんの死亡者数は約11分の1に減ることになる。肺がんの医療費は、数兆円レベル。そのほどんどが高額医療で、国庫負担となるのだから、多少税収が減ろうとも、政府の財政的にも、増税策は理にかなった政策である。ところが、これまで、その政策が本邦で施行されなかったことこそが、我が国の官僚政治の後進性を如実に示している。肺がんは本人だけでなく、家族の悲しみも大きい。

 

 ちなみに、アメリカでは、10年くらい前に、「たばこ産業は健康保険の基金に、年7兆円支払え。」という判決がでた。その後、今はどうなっているかはよく知らないのだが、私が診た肺がん患者は、みな、愛煙家であった。そして、他人はともあれ、自分だけは肺がんにならないと考えていた。

 

 人の命を救うためにも、政府の財政を良くするためにも、やっぱり、大増税しかない!

 

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2009/10/21 Barrett's Cancer バレット癌(食道腺癌)の内視鏡診断 

 

 今日は東京大学病院で学生相手にクルズス(少人数相手の講義)をしてきた。講義のテーマは主に食道癌。

1)食道癌はsmに入れば進行がんであり、5年生存率は50%前後。したがって、食道癌はm癌のうちに見つけるのが大切。

2)一般に消化管の癌とくに食道癌は、m癌は「ぺら」としていいて、sm癌は「ごつ」としていると説明し、図譜で確認。

といったものであった。

 

 いつも、講義に使うディスクを今日は家に忘れてしまいました。いつも皆さんに見せているスライドを以下に載せておきます。

 

 日本では食道癌と言えば、90%ぐらいが扁平上皮癌である。しかし、欧米では、食道癌のうちバレット癌(腺癌)が増えていて、既に扁平上皮癌を超えて、食道癌の50%−60%がバレット癌である。食道腺癌もsmに入ると予後がm癌に比べて急速に悪化する。5年生存率は50%前後。

 ちなみに、米国では、約10年前の教授クラスの胃カメラ(上部消化管内視鏡)の一回の検査代が2000ドル(10年前は日本円に換算して約27万円)を超えていた。(ちなみに米国の研修医は無料か極めて低価格、日本ではどのレベルの医師が内視鏡検査を行っても見るだけでは1万3000円)。しかし、見逃して患者が死んだときは10億円単位の賠償が迫られることもあると聞く。

 ところが、このバレット癌(バレット腺癌)は、困ったことに、通常内視鏡観察では、「ぺラ」とした状態(=深達度m)では極めて見つけづらい。つまり、助かるうちに見つけづらい内視鏡医泣かせの病変なのである。扁平上皮癌は、ヨード染色陰性という感度がほぼ100%の検査法があるが、バレット腺癌(深達度m)には、感度100%の方法は、通常観察ではないのである。見逃し死亡の賠償金は10億円単位、このプレッシャーに対抗するために、欧米の内視鏡医はどうしているのか?

 

 「バレット上皮を1cm刻み、90度刻みに絨毯爆撃のように、バイオプシー」するのである。バレット上皮が20cmあれば、80個のバイオプシーを行うのである。手間がかかるのはいうまでもない。しかし、10億円単位の賠償金を考えれば、その手間を厭う人はいないだろう。絨毯爆撃バイオプシーのことを聞いたとき、私は賠償金をめぐる裏事情を知らなくて、欧米の内視鏡医のそんな面倒な行為の意味が理解できなかった。たしかに、そんな高額な賠償金があるとしれば、20センチのバレット上皮に対して、80個のバイオプシーといった、きちがいじみた行為も理解できる。しかし、それにしても、アホラシイ方法だ。

 

 1980年代後半から、1990年代の私の研究成果は、「ぺら」とした腫瘍を大腸で確実に見つける技術を開発したことである。そこで、平坦型大腸腺腫・腺癌を見つける技術(色素拡大内視鏡によるピットパターン診断)を、さっそくバレット腺癌に応用してみたところ、成功例が相次いだ。大腸癌で見られる悪性のパターンとバレット腺癌で見られる悪性のパターンが酷似していたのである。

 その事実を2000年から2−3年米国で発表したが、ポスター展示であったにも関わらず、質問の人たちが列をなして、朝から夕方まで、そのやり方について細かく訊かれた。バレット腺癌の色素拡大内視鏡診断について、論文を書いて、米国の内視鏡雑誌に載った写真が次のものである。

 

小さく細かく枝分かれして、ネットワークをなした、ピットパターンが浅く平らに陥凹した面(3mm×2mm)に認められる。

ちなみにこの写真は、米国の内視鏡学会により卒後研修の教材として採用された。

 

 ところで、その後どうしているかと言えば、バレット上皮には全例、お酢を散布している。お酢を散布すると、それだけで、構造が明らかになるのである。全例にお酢や色素を散布するというのは、日本では私だけだったらしい(当時、学会のシンポジウムで、全例に色素や酢を撒く人は挙手と聞かれて、居並ぶ10数名のシンポジストの中で挙手したのは私ひとり・・・であった。)が、微小なバレット腺癌発見にはきわめて有効な方法である。お酢を撒いて見つけた癌が次の絵である。

 

線状に細く密集し長く延びたピット構造の領域がバレット腺癌。直径約3mm大。

 

 学生諸君は、内視鏡診断はここまでするべきだということをよく理解してください。この絵が命の懸った絵で、アメリカでは10億円単位の価値があります。

 

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2009/10/20  iPL細胞施設見学 

 

  京都の国際会議会館でJDDWが開催された。初日の10月14日から10月17日まで参加したついでに、15日に千葉勉先生のつてで、京大病院のiPL細胞施設を見学してきた。青井貴之先生が案内してくれた。研究施設外様は一言で言うと、東大と同じ。青井先生にいろいろ質問したところ、体内の幹細胞をニッチから叩き出す物質の研究が進行中とのこと。これが進めば、自分の細胞をiPL化して、体内の古くなった幹細胞と入れ替えるなんてことができるかもしれない。つまり、理論的不老化への道だ。

 

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2009/10/15  JDDW2009 第17回日本消化器関連学会週間で、拡大内視鏡による核パターン診断を発表 

 

  京都の国際会議会館でJDDWが開催された。初日の10月14日から参加。15日はシンポジウムで超・拡大内視鏡の最前線で、「拡大内視鏡による核パターン診断の臨床病理学的検討」を発表した。5年前にアメリカのDDWで発表していた内容に、少し追加した内容であったが、日本で発表するのは初めてで、日本人では知らない人が多かったためか、結構反響があった。4年前に論文にまとめておくべきであった。しかし、この世界は妙に面白い。自分の考えていることを誰にも話していないのに、まったく同じアイデアを思い付いているひとがいるのである。(ただし、ちょっとは違うことも多いが・・・・)。学会でそういうことを何度も経験してきたが、今回は何回目だっただろうか?

 今回の拡大内視鏡による核パターン診断の発表ポイントは、簡単にいえば核パターンが「バラバラで大きな丸なら癌」。(核パターン3型=癌)。下の写真は左が拡大内視鏡像で、右がそのあたりの顕微鏡像である。内視鏡的病理診断は実現可能まで、あとわずか。

 この技術で何がわかるのか?拡大内視鏡を見るだけでその病変に癌があるのかないのかが、ほぼ100%わかるのである。その場で正しい治療方針を立てることができる。

 

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2009/10/11   猛威を奮い始めたインフルエンザ。 タミフルは感染初期に飲むのが重要。 再診の方にはタミフルを郵送も可。 

  インフルエンザが大流行し始めている。先月の下旬、中国の大連にいったところ、日本人学校が運動会後にインフルエンザが流行して、閉鎖になった。東京に帰ってきたら、末娘の小学校がインフルエンザにより学年閉鎖。息子の中学校も学年閉鎖。麻布高校も運動会の後、インフルエンザが一気に広まり、学校閉鎖になった。いづれも、新型か季節型なのか、公表されていない。しかし、流行の時期がいつもの季節型とは異なるので、おそらく、新型であろう。

 新型インフルエンザに対する対応策はワクチンやタミフルなどの特効薬などがある。新型インフルエンザに対するワクチンは、来週か再来週に投与が始まりそうである。しかし、厚生労働省はワクチンを投与すべきかどうかの診察は、無料で行うようにと、医師会に要求しており、医師会は反発してもめている。新型インフルエンザは緊急の課題であり、早期に解決してもらいたいものである。

 タミフルは、感染初期に内服することが大切である。タミフルは、インフルエンザウィルスが細胞に付着するときに、ウィルスが取りつく分子をブロックして、インフルエンザウィルスの体内感染、広がりを抑制する。したがって、感染の初期に飲まないと効果がない。ウィルスが体中に広まってからだと、効果が薄いのである。ウィルスに感染したら、神経細胞も肺細胞も最終的には壊れる運命となるからだ。

 タイミング的には、ちょっと寒気がでたり、のどが痛いといった、高熱が出る前のタイミングで飲むのが、タミフル内服の最良のタイミングである。ちょっと前のガイドラインでは、高熱が出てインフルエンザのキットでA型陽性が証明されたら、初めてそこでタミフル投与と言っていた。ところが、先日の横浜で、キットが偽陰性で、タミフル投与のタイミングがさらに遅れて、インフルエンザ脳症が発症してしまう死亡症例がでた。ガイドラインに沿っていて、子供が死んだのである。そこで、日本のガイドラインは変更になり、今やタミフルの早めの投与が勧められている。再診であれば、電話診察でも投与OKとなった。

 我が家でも末娘が学年閉鎖のとき、末娘は高熱がでて学校を休んだ。発熱一日目に、タミフルを飲ませて、発熱は2日でおさまった。定跡どおりの展開であった。そして、その後兄弟に3-4日後、寒気やのど痛の症状が出たとき、すぐに、タミフルを飲ませたところ、結局それ以上症状は悪化せずにおさまった。タミフルを感染初期に飲むのは、作用メカニズムから予想されたように、極めて高い効果であった。

 

 当院では、再診の方には実費でタミフルを郵送します。ご希望の方は、メール(tabuchi@mrg.biglobe.ne.jp)にてご連絡ください。

 

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2009/09/30   癌診療において、アバスチンの自由診療と抗がん剤の保険診療の混合診療の可否をめぐる裁判の行方 

  2007年11月8日の裁判の上告審の判決が昨日あった。結果は、原告の逆転敗訴であった。

 

 一般に、混合診療は、認められるものは個別に政府によって認められており、認められないものは個別に政府によって認められていないのが、現状である。厚生労働省のホームページを読めば、混合診療は個別判断の対象と書いてあり、社会保険法のどこにも混合診療禁止の文字はない。たとえば、人間ドック(自由診療)で大腸内視鏡を行い、切除すべき大腸ポリープがみつかって、そのまま、内視鏡的大腸ポリープ切除術(社会保険診療)で行うことは、通達により認められている。

 今回の判決は、癌診療でアバスチン(自由診療)、抗癌剤(社会保険診療)という組み合わせは認められないということであろう。この問題は、医学的な問題であるとともに、医療経済の問題である。医学的には、併用のほうが延命効果はあるのは疑いない。どれだけお金を払って、どれだけ延命効果があるのかということが判断のポイントとなる。アバスチンの効果は確かにあるが、値段がちょっと高い。癌患者が毎年55万人も新たに発生している我が国の現状からは、値段を安くして、適応を拡大したほうが、みんなのためのように思うがいかがなものであろうか?今後、考慮すべき問題だと思う。

 ちなみに、大腸内視鏡の人間ドック(自由診療)と内視鏡的大腸切除術(社会保険診療)の混合診療を認めているのは、大腸をきれいにするのが、大変で、患者に二度手間をかけさせないという配慮からであろう。

 

 この事件は最高裁に上告されるのであろうか?

 

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2009/09/04   ガイドラインと裏ワザ 何が名医の条件か?

  現在は、何でもガイドラインの時代だ。何かするときはこうするのがよいとガイドラインに示されている。しかし、現実は、ガイドラインに従っていても、うまく解決しないことが少なからずある。特に医療の現場ではそうだ。病気が2つあって相克する場合、どう治せばよいのか、3つの病気のときはどうするのか?いちいちガイドラインはない。症例は、多分に例外的だ。こういうとき、役立つのは基礎的な医療知識。知識をもとに病態・生態を理解して、目的を果たす手段を見つける。

 ガイドラインは初診者にはありがたいが、時に、それを決めた人たちに都合がいいようになっている。本質を理解すると、そのせこさが透けて見えることも少なくない。したがって、そんなガイドラインには、もっと簡単な解決方法、俗に「裏ワザ」が存在する。裏ワザに気づくには、知識と意欲と本質を見抜く知恵が必須だろう。

 

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2009/08/30   衆議院総選挙で民主党が圧勝 

 民主党を中心とする新政権には、倒れつつある日本を立て直して、「人の生活と命を大切にする」政治を行ってもらいたい。日本は人口の高齢化に伴い、人々の生存の根本を脅かす癌が、いまや年間約55万も発生している。現場の真理に基づいた効果のある政策がキーワードだろう。

 

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2009/08/23   同級生が大腸癌で死亡 ご冥福をお祈りします 

 危篤の報が入っていた同級生のK氏が大腸癌で8月9日に死亡した。ご冥福をお祈りします。

 自分が半生行ってきた癌予防に改めて思いを巡らしている。助かった人、助けた人、助けても死んだ人、元気に生き抜いている人、はじめから助からなかった人、感謝した人、怒った人、文句を言った人。大切な人を連れてきた人。元気で生きていられるというのは稀重なことだ。合掌。

 

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2009/07/31   同級生が大腸癌で危篤 

 かつて、一時期同じ所で働いていた大学の同級生が、大腸癌で危篤との報が入った。残念だ。残念でならない。

 

 私は28歳の時、「大腸内視鏡を志すなら、自分でも大腸内視鏡検査がどんなものか体験してみなさい。」という先輩先生方のお勧めで、先輩の先生に大腸内視鏡をしてもらった。2mmの白色のポリープがS状結腸に見つかった。検査をしていただいた先輩の先生にティーチングスコープで病変の画像を見せてもらった。先輩の先生いわく、「田渕君、どうしましょうか?君は若いから腫瘍の可能性は低いけどね・・・・」。

 

 当時はまだ、ファイバー内視鏡が主流でピット診断はない時代だった。いまからみれば画像が粗く、腫瘍かどうかは判然としない。2mmだが、万が一、もし癌だったら困る。よく見ると少し張った感じがして目立つ気もする。やっぱり怪しいと思い、ホットバイオプシーしてもらった。病理結果は、中等度異型大腸腺腫。わずか2mmでも癌になる可能性の高い病変であった。爾来、定期的にチェックして、大腸ポリープを切除してきた。

 

 その後の私の研究では、そのような腫瘍性ポリープが癌化する確率は一年で約1.3パーセント。あの時、この病変は小さいから取らなくていいですと選択していたら、私が彼のようになっていた確率は約30%強。彼のことは決して他人事ではない。

 

 去年の秋の癌学会の話によると、今の日本では全死亡者数110万人。55%の人が癌になり、37%の人が癌で死んでいるそうだ。癌の患者の大腸内視鏡検査をすると、大腸腺腫は97%以上の確率で見つかる。つまり、大腸腺腫がなければ癌にならないというわけだ。内視鏡で大腸を隈なくよく見て、小さな病変にも拡大内視鏡を用いて的確にアプローチするということは決して無駄なことではない、むしろ、必須だ。

 

 しかるに、昨今の大腸内視鏡の現状をみると、小泉改革で医療界がいじめられた結果、人々の心が荒廃して、日本中に粗診粗療が蔓延している。日本全体の大腸がん死亡数が、ここ数年、上昇してきたのは理由があるのだ。

 

 彼も35歳ぐらいから、定期的に大腸内視鏡検査を受けて、ポリープを取っていれば、こんなことにはならなかった。

 

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2009/07/11   禁煙のすすめ、たばこ販売の禁止 

 多発性大腸ポリープでフォローアップ中の患者さんのうち、3人が、この一年で肺癌になった。3人とも、喫煙者であった。大腸ポリープが多数見つかって、「あなたは腫瘍体質で癌ができやすいから、喫煙をやめてください。」と勧めたが、たばこをやめなかった人たちである。大腸にポリープが多発してくるのは、決して偶然ではない。体質的に腫瘍ができやすいということなのである。

 タバコの癖が抜けないのは、気の弱い人の性だ。やはり、たばこの販売禁止で喫煙をやめさせるのが、肺がん抑制の決め手であろう。日本では一年に約8万人が肺がんで死んでいる。1日約230人。合掌。

 

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2009/06/29   女子マラソンの草分け 佐々木七恵さん死去

 女子マラソンが初めて五輪で実施された1984年ロサンゼルス大会代表で、日本女子マラソンの草分け的存在だった永田七恵(ながた・ななえ、旧姓佐々木)さんが27日に直腸がんで亡くなっていたことが分かった。53歳だった。岩手県大船渡市出身。葬儀は29日、都内で親族らによる密葬で行われた。関係者によると、約2年前から直腸がんの治療を受けていたという。 (スポニチ記事の一部) 

 また、一人有名人が大腸癌で死にました。日本女性の死因のトップは大腸癌です。いま日本では、毎年、約4万人強が大腸癌で死んでいます。1日約110人大腸癌で死んでいます。50歳になったら、内視鏡による大腸がん検診を受けましょう。定期的に大腸ポリープをとれば、ほぼ100%、大腸癌による死亡を防げます。

 

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2009/06/14   大阪城   

 

 12歳の時、大阪万博が開かれて、親戚の家に泊まりながら、何度も万博に通った。その時から、遠くにそびえ見える大阪城を一度訪れてみたいと思っていた。今日は、東京から新幹線に乗って大阪へ行った。用事が早く済んだので、大阪城に立ち寄ることができた。

 天気は快晴。大阪城公園から入る。ロックバンドが賑やかで楽しい。外堀を越えてから今度は内堀。ぐるぐると30分ぐらい回らされる。大阪城の内堀、外堀の高低差、石垣の高さは、江戸城をはるかに凌いでいた。また、正面の門にある石垣の最大70平米を超えそうな巨石は圧倒的であった。どうやって運んだのであろうか?豊臣秀吉の権勢がしのばれる。この城に立てこもれば確かに安心だったに違いない。落城トラウマのある淀君が、しゃにむに大阪城を離れたくなかったのは、当然だろう。

 

 事実、大阪冬の陣では、徳川幕府の大軍を追い返したのである。しかし、徳川幕府方の巧みな外交戦術に騙されて、外堀を埋められて、砲弾が天守閣まで届くようになり、大阪夏の陣では落城の憂き目にあった。淀君と秀頼公が自害した蔵は、高い石垣の上にあった。いまだに、暗く悲しい雰囲気が周囲に漂っていた。敵の戦略に騙されないほどの、巧妙な知恵がなければ、負けて死に絶えるのも道理だが、基本的には大砲がものをいったのだ。

 ちなみに、明治維新では、維新軍には鍋島公が開発したアームストロング砲があった。その新技術の射程は長く、江戸城に逃げ場はなかった。戦わずして江戸幕府側は開城するよりほかなかったのである。近代の戦争は、科学技術の戦いであり、より強力な兵器を持つ側が勝つ。第二次世界大戦でも、戦闘機・爆撃機の開発、原爆の開発、レーダーの開発、暗号解読技術の開発などなどの競争に負けて、日本は敗戦の憂き目にあった。いくら精神論を説こうとも、竹やりでは機関銃には勝てない。

 医療の戦いも同じ。いい薬ができれば、病気は簡単に治る。問題は治療法のない病気だ。

 

 最近、内視鏡を作るのに、一本一本お役所の認可を取らなければならなくなったらしい。ステンレスの材質をニッケルからクロムに変えるだけで、多くの書類を用意しなければならないそうだ。知見も必要で費用と手間もばかにならないそうだ。また、企業と大学の間での自由な研究的な交流にも、役所が介入してくる。だから、最近は新しい内視鏡が作れないのだそうだ。いい鉄砲(内視鏡)が作りにくくなれば、戦争には勝てない。官僚は、「安心安全の日本」「消費者保護」という標語を逆手にとり、医療機器や薬剤などの規制をますます強くして、外郭団体をさらに増やし、退職後の天下り先を用意するのに躍起だ。不自由になった日本では、技術開発が頓挫して、新薬、新医療機器が無くなっている。認可は外圧のみ?!という現状だ。小泉行政改革は「官僚による官僚のための官僚の政府」を作ったのに過ぎなかった。

 

 いま、病気と闘っている先輩医師のがんじがらにされた姿をみて、これでは無理だと、新兵が外科や内視鏡などの現場系に入ってこないのは当然だ。

官僚と政府が変らなければ、良心が滅び、産業が滅び、国が滅びると本気で感じる。

 

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2009/06/04   パピローマワクチン:アメリカではテレビで盛んに啓蒙活動!日本では認可すらされていない!   

 ところで、シカゴではテレビで、パピローマワクチンを受けるようにという啓蒙活動ビデオが、毎朝毎晩、何回も流れていた。

 

 最近当院を訪れてくる若い人の初診の内視鏡では、その3分の1くらいの人にパピローマがある。日本の社会保険医療の現場では、抗パピローマ抗体価を調べると、過剰診療と査定される 。したがって、一般に調べられない。そのため、若者に広がるパピローマの実態については日本では誰も知らない。幸い、当院にはFICEシステムの付いた拡大内視鏡があ る。特徴的な毛細血管像を観察することで、パピローマが簡単に診断できる。そのため、そこを組織検査して、パピローマとの診断が得られるわけであるが、それにしても、3人に1人とはすごい頻度だ。そのうち一人には、HIV感染者もいた。

 

 パピローマは、日本でもアメリカ同様、若者の間でキスや性交渉を通じて広がっている。

 

 ちなみに、抗HIV抗体検査、抗パピローマウィルス抗体検査も、社会保険医療の現場では、査定の対象である。1300円の検査代(利益はその20%ぐらいつまり、2-300円)を通すために症状詳記を書かなくてはいけない。また、書いても財務事情で認められない。というわけで、一般には、どの医療機関も赤字を恐れて、誰も調べない。逆にまた、必要があると感じて調べ続けると、過剰医療傾向のある医師ということで、ブラックリスト(ほんとはホワイトリストだと思うのだが・・・)に載り、ますます、査定されるようになる。ほかの項目も。というわけもあって、G7先進諸国の中で、HIVが増えているのは、日本だけというお粗末な事情になっている。

 

 パピローマウィルスもHIVウィルスも 、日本では増加の一途をたどっているが、社会保険医療の現場では査定の対象となっている。

 

 調べてみると、日本では、パピローマワクチンが売っていない。また、政府から認可がないので使えない。パピローマウィルスは、子宮頚癌の原因となるばかりでなく、口腔癌、咽頭癌、食道癌、肛門癌の原因 でもある。日本政府は、インフルエンザウィルスに敏感になるのと同じく、若い世代を守るためにパピローマ対策もしっかりする必要がある。

 

 繰り返し言うが、日本政府は国民を守るために、 パピローマウィルスとHIVウィルス対策を強化する必要がある。パピローマワクチンの早期認可は緊急の課題であろう。

 

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2009/06/04   Chicago 街歩き   

 

   今日は快晴、観光日。シカゴフィールドミュージアムとプラネタリウム、シカゴ美術館をめぐる。

プラネタリウムから望む快晴のシカゴの町並み 、空には宣伝の垂れ幕をひくセスナ機が飛んでいる。

 

 まず、午前中は、シカゴフィールドミュージアムへ。恐竜の3D映画がよかった。館内には、中央ホールには恐竜 とアフリカ象が展示されていた。恐竜は象と同じくらいの高さで、長さは3-4倍ぐらい。 大型トレーラーぐらいか。昔思い描いていた恐竜のイメージと比べて、結構小さい。

 次に、プラネタリウムへ。銀河系や太陽系や地球の3D映画を見るが、解説もなく、いまいちであった。やっぱり、プラネタリウムではプラネタリウムを見るべきであった。

 最後にシカゴ美術館へ。シカゴ美術館は印象派の絵画と浮世絵コレクションで有名。浮世絵の展示場には、お目当ての葛飾北斎の 富岳36景、神奈川沖波裏の版画は、残念ながら展示されていなかった。展示されていた浮世絵は2−3流のものばかりで、ハッキリ言って手抜き展示。それに比べて、印象派の展示は しっかりしていた。貯蔵品は展示品の30倍あるそうだ。いろんな美術館を見たが、展示はかなり下手な部類に入る。

 

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2009/06/03   Chicago DDW 2009 第6日目に参加 再生と癌治療の新しいパラダイム     

 

    シカゴは昨日と打って変わって快晴。だが気温は3月上旬並み。

 

   朝一番で、幹細胞のセッションに参加。京都大学医学部消化器内科学教授の千葉勉先生の講演を聴く。山中先生のiPLのその後の展開についての話であった。ポイントは、基の細胞を繊維細胞から、胃の細胞や肝臓の細胞に変えてみると、より質の良いiPL細胞が得られたということ。iPL細胞の中に残存するc−myc遺伝子の量が減って、腫瘍生成のリスクが低くなったうえに、遺伝子の状態がより、生殖幹細胞に近づいた。iPL細胞の腫瘍生成性は、c−mycにのみ依存し、レトロウィルスには関係しないこと。元の細胞が分化したものであるほど、c−mycの取り込みが低いこと。などを強調しておられた。

講演後質問に答える千葉勉教授。

ちなみに今回、偶然にも同じホテルに宿泊。エレベーターで遭遇し、互いに驚いた。

 

 朝二番目は、miRNAのセッションに参加。特定のmiRNAを用いた試験管レベルの癌治療の研究が発表されていたが、話を聞いていると、10年のうちに、進行状態でも原理的に癌が治る時代が来そうな気がしてきた。

 午後はIBDの癌化のシンポに参加。それにて、今年のDDWは終了。

 

 35年前に山陽放送の巽社長や延原部長、野ア敏生さんなどなどに連れられて、シカゴの街を訪れた際は、黒いすすけた町であったが、今はそんな印象はない。ハイブリッドバスが走り空気はきれいだ。2016年、今から7年後、この町と東京  どっちがオリンピックを開くのだろうか?

宿泊したトランプタワーホテル、92階建てでシカゴ第2の高さ。ここで、バットマン3のロケが行われた。

 

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2009/06/02   Chicago DDW 2009 第5日目に参加 経済の落ち込みの影とデジタル政府の落とし穴  

  

    シカゴは昨日に引き続いて、午前中は雨。

 

 朝ホテルのエレベーターで偶然、京都大学消化器内科教授千葉勉先生と乗り合わせる。千葉先生とは先生が教授になる前、神戸にいらっしゃったころから、何回かお会いしている。海外で偶然出会うのは2度目。この前は、2003年秋のスペインマドリッドのUEGWのときで、ピカソのゲルニカで有名な王立美術館で偶然お会いした。

 

 先生はご夫妻で来ていらっしゃっていて、美術館の中庭で、いろいろとお話しした。その時、すりがいて急に荷物がなくなりそうになるなど、ちょっとした異変があった。しかし、その時は、特にちょっと変だなという程度であった。その後、美術館をでて70−80mご一緒して、先生ご夫妻は地下鉄へ入る階段を降り、私は大通り沿いのマクドナルドへ向かった。私は、そのまま安全であったのであるが、先生ご夫妻は、私と別れて15秒後に、後ろから、柔道でいう絞めをかけられて失神。気がついたら、パスポートも含めて、金目のものはすべて取られていたそうである。(後で日本で先生ご自身から聞いた話)。実は、私もマドリード滞在中に、2度すり未遂にあった。一度は先ほど述べた王立美術館であったのだが、もう一度は、ゴヤのマハの絵があるマドリード中心の美術館近くの広場で、物乞いの形で近づいてきた老婆が、新聞で視線を防いで、胸ポケットに指を入れるという手口であった。すぐに気がついて、36計逃げるにしかず、ということで、体をひねって走って逃げて難を逃れた。

 

 ということで、「先生と会うとちょっとしんぱいだなー」「お気をつけください」という挨拶となった。しかし、ここはホテルの中、何の心配もない。ドアの外でも、マドリードに比べれば、現在のシカゴは安全そう、シカゴの中心街や美術館前にも怪しい浮浪者がほとんどいなかった。2016のオリンピックは東京で開催してほしいと思っているが、もし東京開催がうまくいかなかったとしても、シカゴはまだしも、マドリードだけはぜひ避けてほしいところだ。

 

 アメリカDDWには1999年以来、2003年を除いて、すべて出席している。そして、今回が10回目。今日は、これまで見たこともなかったセッションが3つもあった。1)開業医の縮小の仕方、2)内視鏡室の効率化、3)医師の医療評価。

 

  また、毎日発行しているDDW新聞には、「現在の経済の落ち込みを受けて、オバマ大統領は、消化器病に関する医療単価の見直しを来年までに行う予定」と書いてあった。このような社会情勢を受けて、学会がこれらのテーマを選んだのであろう。1998年の山一証券の破綻の少しあとのころ、日本消化器病学会がDPCについてセッションを開いたことがあるが、社会的セッションをこれほど多く開いたことはない。2)と3)が同時に開かれていたので、3)に出席。

 ある演者が、デジタル化したレセプト内容を、医師の医療評価の材料とする説明をしていた。まさに、日本政府が今、目指している全レセプトの電子化である。その中で、「実は、上院のコンピューターの中にすべての レセプトデータがあったのであるが、ハックされて、「viky」がすべて「biky」に書き換えられた。結果、被害は数千億円に上った。」とコメント。この前、日本でも、国交省と厚生労働省のホームページがハックされて書き換えられた。しかし、「休みであったので2−3日放置された」ことがニュースになっていたが、行政のデジタル化は、ちょっと危険そうである。デジタル化を進めるにあたっては、システムを相当慎重に構築する必要がありそうだ。

 

 あとは、老化防止の抗酸化物質を併用すると、大腸がんに対するオギザロプラチンの薬効が上がったとか、大腸腫瘍・ポリープの鋸歯状の変化はDNAのメチレーションや、BRAFが関係していて、RASがメインの大腸腺腫とは別の癌化ルートだとか、磁石板でカプセル内視鏡の姿勢を制御するとか、コンフォーカル内視鏡で菌が大腸粘膜のなかに入り込む像とか、結構面白い内容であった。

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2009/06/01   Chicago DDW 2009 第4日目に参加 認知されつつある陥凹型大腸腫瘍 

 

 行くところが、悪いのだろうが、本日の目新しいことといったら、さまざまな大腸や小腸の挿入のための補助機器ぐらいだった。らせんのスパイラルをつけたチューブと、内視鏡に装着するダブルバルーン挿入補助装置。

 大腸のセッションでは、アメリカの先生が陥凹型大腸腫瘍の発表をしていた。日本の学会で、陥凹型大腸腫瘍が認知されて、その臨床的特徴が議論されたのは、1980年代後半から1990年代前半であった。アメリカの学会は陥凹型大腸腫瘍の存在を長年にわたって無視していた。しかし、日本からアメリカへの留学生が臨床で見つけたり、ヨーロッパ学会がその存在を2000年代の前半に認めたことなどの経緯があって、どうやら、アメリカでも陥凹型大腸腫瘍という概念を認知し始めたようだ。しかし、いろいろな発表を聞いていると、一部の施設を除いて、陥凹型大腸腫瘍の存在が雑誌や学会でわかっていてもそんなに見つからないというのが、今の彼らの現実のようだ。ちょうど1980年代後半の日本と同じであろうか。

 ポスター展示では、アメリカの退役軍人病院から、男性の肥満が大腸腫瘍とリンクしているという発表があった。私の長年の大腸腫瘍のデータベースを基に、3-5年前に北山丈二先生と解析して、発表した内容とほとんど同じだったので驚いた。

 

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2009/05/31   Chicago DDW 2009 第3日目に参加 富士フィルムのブースで私の写真を発見 

 

 5月の学会のついに最後にして最長の学会に突入。成田からJAL便に約12時間乗って、午前9:30頃にシカゴにやっと到着。時差14時間で日本からみると地球の裏側だ。今回は、新型インフルエンザ騒動で、急遽、渡米を取りやめた先生方も多い。70−80%ぐらいはやめたのではないだろうか。去年までは、アメリカ消化器病学会員は参加費無料であったが、昨年の秋の金融危機以来の不景気で、企業の協賛金が少なくなり、今年からは、1.5ないし2万円ぐらいの参加費がかかるようになった。

 Friedman 会長の言によると、経済状況のみならず、共同・協賛研究を縛る法律の制定もあって、各種の協賛・共同研究が減っているということである。

 

 フジノン(アメリカ富士フィルム)の展示ブースに行ってびっくり、11年前の1998UEGW、ウィーンのサテライトシンポで私が発表した写真が、 下図のように、また使用されていた。こちらも経費削減か?!それとも原画が相当に評価されたか? ブースにはいつも見かける日本人先生方の顔は誰一人としてなかったが、ブラジルのTEIXEIRA CLAUDIO先生がいた。 彼は、ポルトアレグレに住み、3人の子持ちで開業医。日本留学(広島大学)が5年ぐらいで、日本語も達者である。興味の対象が拡大大腸内視鏡で、国際学会ではよく遭遇する。

幻の高画素式拡大内視鏡EC485ZHの画像を囲んで、

パネルのこの写真は1998年8月に私が撮影したもの

右  TEIXEILA先生、左  田渕正文

 

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2009/05/28   第9回日本抗加齢医学会総会 第2日目に 参加 長生き遺伝子 サーチュイン 

 

 餌を8割しか与えないと、生き物は約1.4から1.9倍程度に長生きする。なぜか? カロリー制限により、染色体のアセチル化を防ぐなどの働きがある、サーチュインという遺伝子が活性化される からだそうだ。

 

2009/05/27   第9回日本抗加齢医学会総会 第1日目に 参加 

 

 5月はまだまだ学会が続く。大腸ポリープを多く持つ人は、がんになり易く、また、加齢による内科的な問題を抱えている場合も少なくない。というわけで、日本抗加齢医学会に参加。日本抗加齢医学会は単に見た目の美容の問題だけでなく、老人の問題も取り扱って いる。それに、異種分野の学会は結構刺激的で、面白いアイデアも浮かぶきっかけとなる。今日おもしろかったのは、

1)京都府立医大消化器内科グループ(吉川敏一先生・古倉聡先生)の「がんワクチンの話」(パラフィン包埋組織から作成)

2)慶応大学、鶴岡研究所、冨田勝先生の「がん細胞の代謝、フマルサン呼吸」癌細胞は低栄養・低酸素のもとでは、寄生虫と同じ呼吸代謝をしている!

3)東京都老人総合研究所の鈴木隆雄先生の後期高齢者医療不要論。彼は「最近の日本では癌も含めて疾患別死亡率曲線がゴンペルツ曲線に似てきたので、75歳以上人には医療は不要だ。」と述べた。それに対して、それが招請講演であったにもかかわらず、フロアーの北里大学の先生からきつい反論があり、また、座長もきつい皮肉を浴びせた。私も、鈴木隆雄先生の考え方は、原因と結果の分析の仕方 を間違えていると思った。治療しているので、疾患による死亡が減り、ゴンペルツ曲線に近似してきたのだと思う。疾患死が減ったからと言って治療をやめていいという理屈は通らないでしょう。彼の考え方は結論ありきの詭弁と言わざるをえない。(やっぱり、こういう太鼓持ちの人でないと東京都のお役人になれない・・・?!)

 

 

 

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2009/05/25   大腸癌新患 1日4人 

 

 5月は学会が続く。学会の間は大変忙しいものだが、今日は予想通りの忙しさであった。しかし、驚いたのは、何と、大腸癌の新患が4人もいたことだ。うち3人は進行がんの可能性が高い。一日でこんなに癌患者が来たのは、ここ数年 来初めてのこと。4人中3人は、大腸を予め内視鏡などでチェックしていなかった。一人の患者さんは「健康を過信していた」と言った。

 やはり、以前から何度も言っているように、大腸癌の予防のためには、何の症状もないうちに内視鏡検診を受けるべきである。インフルエンザや乳がんも怖いが、今や日本女性の死因のトップは大腸癌。 日本全土で一日約120人の方が、大腸癌で死亡している。

 

 マスコミや政府に対して一言注告。「新型インフルエンザをこれだけ騒ぐなら、大腸癌についてももっと騒ぐべき。大腸癌は完全に予防できる病気なのだから。」

 

 ちなみに日本全土で、肺がんは一日約200人、胃がんは一日約160人、肝臓癌は一日約120人の方が死んでいる。肺がん、胃がん、肝臓癌については大腸がんほど完全ではないが、現状を改善できる、それなりの新たな予防策はある。それぞれの学会は、予防策をずっと提示し続けてきている。しかし、その予防策を、日本政府はことごとく採用していない。まったく、情けないことだ。

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2009/05/23   第77回 日本消化器内視鏡学会 第3日目に参加 

 

 今日は 3日目。午前は、胃の拡大観察のワークショップに参加。司会の先生も述べておられたが、胃がんの拡大診断はこの2年で格段に進歩している。毛細血管パターンとホワイトゾーンのパターンを基本情報とした胃癌の拡大内視鏡診断が完成されつつあるようだ。午後は、エンドサイトスコピーとconfocal endoscopy のワークショップに参加。超拡大観察も少しずつだが、前に進んでいる。内視鏡による病理診断の夜明けを感じる一日であった。

 

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2009/05/22   第77回 日本消化器内視鏡学会 第2日目に参加 

 

 2009年5月21日から23日まで、名古屋国際会議場で第77回日本内視鏡学会が開催されている。

 

 今日は 2日目。まず、大腸ESDのセッションに参加した。私のこれまでの実績では、大腸EMRで3.5cmぐらいまでの病変は、穿孔率2000分の1以下で、5分もあれば切除できる。なのに、大腸ESDで有名なY先生のデータを見ても、対象は平均2.7cm平均切除時間は50分。穿孔率2−3%。この技術が皆から賞賛されている。理由は、EMRでは難しい40mm以上の病変の一括切除ができるからである。30mmより小さな病変は、きっと大きな病変をとれるようになるための練習なのであろう。ESDの名人いわく、「私はスネアが怖い。究極のブラインド操作だから」・・・・?!・・・・だからと言って、たった3cmぐらいの病変に1時間近くも時間をかけていいのかな??

 

 あとは、超音波エラストグラフィーをみて、自走式カプセル内視鏡の動物テストをみて、CTによる大腸表面型腫瘍の描出の試みをみて、注腸の前処置としてのニフレック・シサプリド方法を聞いた。

大阪医大第二内科と龍谷大学理工学部のコラボによる自走式カプセル内視鏡の原理の図

 昼一番は、ゲノム解析で有名な中村桂子先生の講演をきく。彼女いわく「生きるということは、・・・。つまり、人生とは・・・、つまり、ライフステージとは・・・、いえいえ、このライフステージという言葉は、私が初めて用いたのですが、それがあちこちで利用されて・・・いまでは一般的な言葉となっていますが・・・(なんだァそれが言いたかったのか。) もとは、ライフサークルという言葉だったのですが、ちょっと変だと思い、こう 呼んでみました・・・ライフステージとはこんなのものです。」といって、下図を出してきて、「今のお医者は、生き物を扱っているという感じがしない。この生きるということを深く理解して、愛でてほしいものです。この場合、愛というのは理性的な愛、フィロソフィのフィロです。」とおっしゃった。しかし、この説明図、皆さん、何かおかしいと思いませんか?

 私はこれをみて思わず唸った。大きなものが欠けている。生物に必須のもっとも大切なもの。日本社会を揺るがしている大問題。なるほど、この人がもてはやされる日本では、出生率が下がるのは当然のことかと感じた。失礼ながら、中村桂子先生は子供を何人生んでいらっしゃるのであろうか?人生には生むと育てるのステージがある。私は、やっぱり、人生とはライフサイクルなのだと思う。それでなければ、生き物は時を越えて存在できない。家族を大切にする愛の心こそが、未来へのパスワ―ド・・・。 民族存続のキーワードである。

 

 午後からは、難治性の潰瘍性大腸炎のガイドラインを超えた新しい治療に参加。

1)メサラジンの大量投与一日4グラム(これは、昨年12月から保険収載)

2)ステロイドを使う前の顆粒球除去療法

3)アザチオプリン不耐症に対するメルカプトプリンの投与

4)clostridium difficile や fusobacterium などを理論的背景とした抗生剤投与。

5)酢酸ナトリウムの注腸療法。

6)タクロリムス(臨床第3層試験の結果)。

7)インフリキシマブ

 いろんな治療法が活発に討論されていた。潰瘍性大腸炎の難治症例の治療は結構大変で難しいのである。難治性を決める因子の一つとして、サイトメガロウィルス感染があるが、フロアから社会保険で、サイトメガロウィルスの血液検査すら認められないとの声があった。難病治療の戦いを、社会は支援してほしい。

 

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2009/05/21   第77回 日本消化器内視鏡学会 第1日目に参加 

 

 2009年5月21日から23日まで、名古屋国際会議場で第77回日本内視鏡学会が開催されている。

今日は、6:50の新幹線に乗って品川から乗って、9:00丁度に会場に到着した。昭和大学横浜北部病院の工藤進英教授の教育公演を拝聴。その後の大腸拡大観察のセッションに参加。最後、抜け出して、芳野純治会長の会長講演を拝聴。ランチョンセッションはまたまた、工藤先生の「de novo癌」。午後は大腸ESDのセッションに参加。

 大腸腫瘍データベースを万の単位で持っているのは、日本では、私と工藤教授と広島の先生ぐらいか・・・・?

 

 工藤進英教授の講演で、私の万単位の大腸腫瘍データベースからみて賛同できる点は、

1)大腸がんの発育進展ルートには、マウンテン型と陥凹型があること

2)マウンテン型はK-RAS突然変異陽性で、陥凹型は陰性であること(これは、私のとった材料で、藤盛先生の教室が世界で初めて見つけたこと)

3)陥凹型早期大腸癌が平均約7mmで、粘膜下に浸潤すること

4)大腸癌検診で、便潜血反応は、陥凹型大腸癌発見に有効でないこと

5)リビアの砂漠の写真を見て、結節型側方発育型を連想すること

6)内視鏡や外科などの苦しい臨床現場に、新米医師が来ないこと

 

 工藤進英教授の講演で、私の万単位の大腸腫瘍データベースからみて賛同できない点は

1)長廻紘、藤盛孝博、田淵正文らの業績を一切語らない点、そのほか他派の研究も同様に語らない点。

2)小さな3L型の大腸腫瘍は、とらなくてもいいという点。(小さな3L型の大腸腫瘍は年1%程度癌化すると私の研究からは予想される。小さな病変を無視する風潮が粗診粗悪な内視鏡検査につながる。)

3)大腸癌検診を内視鏡で行った時、の効果についての発表がいままでないと述べたこと。(1997年ごろに、職域大腸がん検診で内視鏡を用いて、大腸の腫瘍をすべて取って、癌死が0になったという私の発表が、当時の朝日新聞で取り上げられた。)

4)陥凹型大腸癌を de novo癌と主張する点。(陥凹型の大腸腫瘍の中にも、異型度ピラミッドがあり、陥凹型大腸腺腫が少なからず存在します。また、陥凹型大腸癌のピッとパターンが必ずしも一様でないことから、陥凹型大腸癌の一部は陥凹型大腸腫瘍から異型度進展したものがある)

5)隆起型の大腸腫瘍切除が、大腸がん予防に結びつかないと主張する点。(私のクリーンコロンの研究からは、大腸隆起型腺腫の一年後の癌化率は1.3%(1996胃と腸)。また、その数の多さから、マウンテンルートは大腸癌全体の約7割、陥凹型ルートは約3割(これは先生も参加していた1994−1996の厚生省武藤班の結論でもあった。)したがって、小さな隆起型の大腸腫瘍も、お経を唱えるように、地道に切除するべき。77回唱えれば、次の年の癌発生が一つ減る。)

6)リビアの砂漠で陥凹型を連想した写真は、そこが丸くて平らなところがないので、陥凹型癌というよりも、バイオプシー後の接線観察といった感じ。

7)大腸ポリープ切除の内視鏡の点数が高いと主張する点。これ以上安くなれば、この3Kの内視鏡世界に参入してくる若手医師がますます減ります。先生の主張する大腸内視鏡による内視鏡検診も難しいものになると思います。

 

 芳野先生の講演で興味深かったのは、日本原子力機構と共同で開発している、ファイバー型内視鏡。原理は昨年のアメリカDDWでハーバード大学からのeye on the tip of fiber、と同じだが、同心円二重構造で、レーザー治療もできるという点である。その技術を応用して、師の星原芳雄先生がかつて行っていた、ファイバーグレーティングによる病変の長さ計測をレアルタイムで連続画像で成功しておられた。また、氏のライフワークである超音波内視鏡では、高出力型の30MHzの粘膜構造写真がきれいだった。

 

 大腸ESDのセッションでは、症例のかなりのものは、EMRなら2−3分でとれるものを、訓練のためか、わざわざ、20−60分かけて、とっているという印象を持った。胃癌とはちがって、大きなものでもpEMRで十分長期予後がよいので、わざわざESDする臨床的価値について、今後十分検討する必要があるだろう。 

 

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2009/05/14   カプセル内視鏡を導入。全小腸が苦痛なく検査できます。小腸ドックを開始しました。 

 

 カプセル内視鏡は、2000年、今から9年前5月、アメリカ、サンディエゴDDW2000で初めて発表された。発表者はイギリス人、P.Swain博士。彼自身による自作のカプセル内視鏡で、無線による画像の送信という画期的な技術で、当時、内視鏡医の間で大いに話題になった。私も、じかに彼の発表を聞いてとても驚いた。以来、アメリカでは、2002年ごろから盛んに臨床使用された。日本でも治験を経て導入されたが、先進諸国の中では、例によって一番遅く、2007年に漸く、販売の認可が下りた。カプセル内視鏡は、直径約10mm長さ28mmの小さな電池仕掛けのカメラで、画像を電波で発信するように作られている。角はなく、飲み込み 易い、滑らかな形をしている。小腸全域を観察するのに適しており、各国で一定の臨床的評価を与えられている優れものである。小腸の腫瘍や、潰瘍の発見などには、極めて効果的である。ただし、胃や大腸についての評価は微妙。

 

アスピリン内服による小腸潰瘍  :  右画面をクリックすると動きます。

 

 現在の社会保険診療では、胃内視鏡、大腸内視鏡を行っても、原因が特定できない「消化管の出血」に適応が限られている。

 

 一方、自由診療では、小腸が細くなっている以外、とくに適応制限はない。

 

 アスピリンなどを長期に飲んでいる方は、小腸に潰瘍や炎症ができているケースが多く、潜在的な出血があったりして、要注意です。

 また、原因不明の腹痛で悩まされている方や、

 腫瘍家系の方にはお勧めです。(小腸にも時々癌ができます。昭和天皇陛下の死因が小腸癌と発表されたのは、記憶に新しいところです。また、現皇太子殿下も、近年、小腸腫瘍を内視鏡で切除なさいました。)

 

 カプセル内視鏡による小腸ドックをご希望の方は、メールにてご連絡ください。

 

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2009/05/08   第95回 日本消化器病学会総会に参加。大腸癌の予防法 

 

2009年5月7日から5月9日までの3日間、第95回日本消化器病学会総会が桜満開の札幌で開催されている。連休から続いての3日間で、休みが長くなり、休み明けが怖い。会長は、浅香正博北海道大学教授である。もう20年ぐらい前だが、氏がまだ講師の時、彼に招かれて、北大で「大腸病変のピットパターン診断と内視鏡挿入法」の講演をしたことがある。思えば、あれからずいぶんと年月が経ったものだ。

 

 

今学会では、氏の発案で「がんの予防」ということがテーマとなっている。学会では、たくさんのセッションがあり、どれに参加するかいつも迷う。会長の考えに従い、午前は、「大腸がんの予防」に参加した。「大腸癌はポリープを全部とると、癌の芽が摘まれ、がんの発生のほとんどが予防できる」(2次予防)のである。てっきりその事かと思っていたら、今回は、「どんなことが大腸癌の発生と関係あるか」といった(一次予防)と、がんの発生を予防する薬やサプリメント(1.5次予防)が話題の中心であった。

大腸癌は、大腸腺腫や大腸ACFaberrant crypt foci)(微小な大腸腺腫や大腸過形成結節や、化生性ポリープのこと)を前がん病変とする。そのため、研究対象を大腸がんそのものから、それらの前がん病変に対象を取り換えた発表が、ほぼ全部であった。ちょっと、物足らない。大腸癌と大腸腺腫は完全に同じではない。ちょっと違うものであり、次回のときには、この点も考慮に入れた企画を考えてほしいものだ。

大腸腫瘍発生と関連した生活上の因子として、年齢、飲酒、たばこ、家族歴、野菜不足、運動不足、高脂血症などが指摘されていた。nが1000を超えた発表は川崎医科大学から出た1演題のみで、私も出しておけばよかったと後悔した。n=9000ぐらいはコンピューターの中でデータベースになっているはず。しかし、大昔に発表したときと、変わらない内容になりそうだ。

大腸腫瘍発生を抑制する薬やサプリメント(chemoprevention)として、話題に上ったものは、効果の強そうなものから順に、スリンダック、緑茶ポリヘノール、エトドラッグ、アスピリン、ブロッコリーの芽(スルフォラファン)、機能性乳酸菌製剤、葉酸、グルタチオン、ω3脂肪酸、オリーブオイルなどであるが、私の経験に基づいて考えると、最初の2つぐらいしか、効果は実感されない。目新しいところでは、アディポネクチン、メトフォルミン、TACEinhibitorTAPI−2(TACEADAM17EGFRのリガンドamphiregulinを放出し、EGFRを刺激する)、イソ酪酸などが、発表されていた。また、大腸腫瘍発生を抑制する分子メカニズムとしては、AMPkinaseなどが紹介されていた。逆に、大腸腫瘍発生を促進するものは、牛脂、ω6脂肪酸、また、分子メカニズムとしては、従来のCox2以外に、jnk、mTORADAM17、βcatenin、などが紹介されていた。

 

薬やサプリメントでの大腸腫瘍発生抑制を希望の方は、受診してくだされば、個人の体質に合わせた薬を処方します。(社会保険が利かない薬やサプリメントの場合、自由診療になる場合もあります。)

 

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2009/04/05   目黒川の桜 満開。大橋ジャンクション見学。 

 

 

 例年のこととであるが、今年も桜の季節となった。桜の名所、中目黒の目黒川沿いは、クリニックから100mのところ(徒歩2分)にある。3月中旬には暖かい日が続いて、すぐにでも桜が咲きそうな勢いであったが、3月下旬に寒い日が続いて、開花が遅れた。先週の木曜日4月の2日ぐらいには8分咲きになり、この週末は満開であった。花見でそぞろ歩きしていると、大橋ジャンクションの見学会をしていたので参加。

 

 

 大橋ジャンクションは、首都高速の山の手線と3号線の交差部にあたる。来年3月の開通予定で、おおむね、出来上がっている。高速道路が楕円形に渦巻いている。9階建ての高さで、階段であがって、屋上に出る。屋上は、スロープになったいて、内側は、大きく楕円形にくりぬいてかれている。その一部に、換気棟があって、なんだか、ローマのコロセウムに似ていた。大きさは、コロセウムのちょうど倍ぐらいか。結構大きい。 鷲羽山からの瀬戸大橋をはじめてみたときも、高さと大きさに驚いたが、今回は、その半分くらい、驚いた。

  

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2009/04/04   土曜日の夕方の診療時間 

 

 土曜日の午後の診療時間は、午後6:00までですが、新患の受付は5時までにお願いします。

  

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2009/04/02   医療のIT化 保険証のインタネット確認とレセコン・電子カルテの配布を、オンライン請求の前に行政は行うべきだ。

 

 レセプトのオンライン請求の義務化が問題になっている。紙でなく、電子情報で請求してもらったほうが、何かと便利らしい。しかし、どうも理由は判然としない。IT政府を目指すといえば、かっこいいのだが、内実はどうなのか、やっぱり判然としない。データが保存しやすいからであろうか????同級生が、支払基金で審査委員をしているのだが、電子請求のほうが、審査に時間がかかるという。理由は、めくる時間が電子レセプトのほうが遅いのである。おそらく、その時間に、電子情報をデータを画面に見やすく表示するためにソフトが走るのであろうが、それが、一枚の紙をめくる時間の2倍かかるそうだ。よって、処理スピードは半分に落ちたそうである。

 一昨日、夜の12チャンネルの番組を見ていたら、医師会の要求で、自民党担当部会にてオンライン義務化は骨抜きになることになったそうだ。それに対して、アナウンサーや、コメンテイターは、かなり批判的なコメントをしていた。お爺さん先生たちも新しいことに協力しろ!とかなんとか言っていた。また、景気対策のために、オンライン化が必要だとも行っていた。しかし、実際の現場、クリニックサイドでは、オンライン請求はほとんどメリットはない。むしろ、導入のためには、手間と費用がかかるばかり、時間とお金の無駄遣いである。やっぱり、厚生労働省のお役人は俺たちをいじめることしか考えていない!ということになるわけだ。便利にならないうえに、お金もかかる。爺さんでなくても、気が進まないというものだろう。

 景気対策をかねて、医療のIT化を目指すなら、まずは、保険証をIT化してもらいたい。紙の保険証ではそれが有効かどうか、窓口ではわからない。現況では、申告に基づいて、IDを確認しているに過ぎず、いちろうちゃん事件(健康保険に入っていない兄が健康保険に入っている弟の保険証を使って受診し、最悪、死亡診断書の名前までもが間違ってしまいそうになった事件)はいつでも起こりうる状態が続いている。IT化で窓口ですぐに、有効で正しい保険証かどうか、専用の機材にかざせばわかるようにして欲しいものだ。

 次に、オンライン請求にこだわるなら、コンピューターとレセプトプログラムを各クリニックにに配布してほしい。レセプト業者の話では、現在、日本で市販されているレセプトソフトは84種類だそうだ。みんなが同じ課題を別々に対応している。私も、これまで、2種類使ってきたが、決して使いやすいとはいえない

。お隣の国、韓国では、日本とほぼ同じ健康保険制度なのだが、なんと、レセコンは政府が配布しているのだそうである。

 

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2009/02/14   日本消化管学会 2月12日・2月13日と東京の京王プラザホテルで開催 

 

 第5回日本消化管学会が平成21年2月12日13日と、2日間にわたり、日本医科大学の坂本長逸教授の主催で、東京新宿の京王プラザホテルで開催された。討論のテーマは、小腸に関するものが多かった。カプセル内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡など、小腸に直接迫るモダリティがここ数年で急速に臨床応用できるようになったからであろう。

 小腸、特に終末回腸には、潰瘍性病変が結構多い。クローン病による潰瘍、NSAIDS潰瘍、各種感染(結核菌、非定型抗酸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、病原性大腸菌、エルシニア菌、キャンピロバクター菌、・・・・)による潰瘍、アミロイドーシスによる潰瘍、各種膠原病(ベーチェット病、結節性動脈炎など)による潰瘍、腫瘍(小腸腺癌、悪性リンパ腫、悪性筋肉腫瘍、GIST など)による潰瘍などなど、いろいろとある。しかし、原因不明、分類不能な潰瘍も多く、また、クローン病など病気の根本的病因は今なお不明なものが多く、治療に難渋することが多い。

 2日目の最後に行われた、「診断に難渋する小腸潰瘍症」のセッションでは、2時間で8例の症例が提示された。もともと難しい症例が提示されたのではあるが、八尾教授、清水先生、松井教授、田中教授をはじめ、全国の専門医をもってしても、わからない症例が約半数もあった。

 普段の大腸内視鏡検査で私は、ほぼ100%終末回腸を観察してきた。もう既に4万例ほど見てきて、詳しく集計していないが、7〜10例に1例は、小さな小腸潰瘍が見つかったような印象がある。若い人にも結構多い。これらは、重大な病気の前兆であることもある。新たなモダリティを駆使して、新たな疾患概念を確立して、分類不能な小腸潰瘍症例を減らしていきたいものである。

 

 ところで、今回は、消化管学会なのに、あのiPS細胞で有名な山中伸弥教授が招待講演をおこわれた。これには、ちょっとびっくりした。寺野彰理事長の挨拶によると、坂本先生と山中先生が共に神戸大学出身、同門の関係ということで実現したそうだ。講演内容は、「iPS細胞の可能性と課題」であったが、主に、c−mycについて、iPS細胞を誘導するのに、c−mycを使うのがいいのか悪いのか、について多くの時間が割かれていた。2006年〜2007年にiPS細胞ができて報告されたばかりなのに、米国での研究進展も急で、企業を巻き込んで、凄まじい競争が繰り広げられているようだ。アメリカでは、化学物質だけで、iPS細胞が誘導されたらしい。

 

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2009/02/10   大腸癌のルール <鳥越俊太郎さん  直腸がん、肝臓へ転移、手術へ?> 

日刊スポーツの芸能ニュース

「鳥越俊太郎氏、がんが肝臓に転移し手術へ」
 ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(68)が9日、コメンテーターを務めるテレビ朝日系「スーパーモーニング」で「がんが肝臓に転移していることが分かったので、明日から休みます」と報告し、手術を受けるとした。鳥越氏は、05年10月に直腸がんで、開腹手術ではなく、腹腔(ふっくう)鏡下手術を受けた。その時に医師から、肺と肝臓に転移する可能性があると言われていたという。07年には右肺を切除し、左肺も一部切除した。 今回の転移について鳥越氏は「『肝臓がん』ではない。いよいよあいつはダメかと思われちゃうけど、そうじゃない。(転移、手術は)できれば避けたかったが」と話した。2009年2月9日11時54分

 

 大腸癌の手術に見かけ上(肉眼的に)、成功しても、癌が再発してくるというのは、珍しいことではない。鳥越さんのような直腸進行がんでは、再発部は、直腸の局所、肺、肝臓である。血液の流れから、直腸は肛門部の静脈を通じて下大静脈に入り、肺にがん細胞が流れていく場合と、下腸間膜静脈から門脈本管に入り、肝臓に転移する場合がある。2007年の肺の切除が、肺転移の切除であったとすれば、今回転移したがん細胞の転移活性は強く、今後の治療は結構厳しいと予想されて、心配である。

 

 肝臓転移も単発性なら手術で治る見込みがあるが、多発性散発性の場合は、手術では姑息的な治療しか得られない。根治を目指すなら化学療法が治療の中心となる。すでに、標準的な化学療法を行っていて、再発したのであれば、なにか新たな化学療法治療薬を考えるべきタイミングであろう.。また、化学療法を行っていて、それが好く効いて、転移癌が小さくなり、癌が取りきれるほど小さい形になってきたのであれば、手術も明るい見込みがある。なんとか助かってもらいたいものだ。

 

 鳥越俊太郎さんの健康は窮地に追い込まれたが、どうすれば、このような窮地に陥らずに済んでいたのであろうか?

 

 鳥越俊太郎氏、がん手術を電話報告
<2005年10月3日付日刊スポーツ>より抜粋
 ジャーナリストの鳥越俊太郎さん(65)が直腸がんのため今週中に手術することが2日、分かった。この日、コメンテーターを務めるテレビ朝日の情報番組「スーパーモーニング」(月〜金曜午前8時半)に電話出演し、明らかにした。鳥越さんは「思い浮かべたのは、14年前に直腸がんで手術した渡哲也さん。元気に仕事している姿に勇気付けられ、私もがんとけんかしてきます」と話した。この日から都内の病院に入院し、約2週間で退院予定。
 番組の冒頭で電話出演した鳥越さんは「実は直腸がんが見つかりました」と淡々と告白した。さらに「自分なりに闘う姿勢を示し、同じ境遇にいる人に『ああすれば治るんだ』と思ってもらえれば、私の心の支えにもなる」と話した。スタジオで心配そうな表情の作家吉永みち子さんに「あまり緊張しないでよ」と声を掛けるなど、終始落ち着いた様子だった。
 鳥越さんはこの日、都内の病院に入院。直後に日刊スポーツの電話取材に応じた。9月下旬、3年ぶりに人間ドックの検査を受けたところ、検便の潜血検査で異常が見つかった。9月30日、直腸の内視鏡検査でがんと判明した。鳥越さんは「何も見ずに医者からがんと宣告されたら落ち込んだかもしれないけれど、内視鏡で自分の目でがんを見ていたからね。こいつとけんかするのか、闘っていくのかって、落ち込まずに淡々と受け止めることができた。不安や心配とかの気持ちはない」と打ち明けた。

 今回転移した直腸がんも、そのはじめは小さなポリープであった。小さなうちに「ジュー」と焼き取れば、簡単に治る。粘膜内に癌が留まれば、ほぼ100%転移なしである。4年前の2005年の報道によれば、鳥越さんは3年ぶりのドックの便潜血反応をきっかけに、大腸内視鏡を行って、進行癌が見つかった。その三年前の検診、つまり、2002年(61歳)には、大腸がんはあったのか?

 2005年に転移のリスクな高いレベルまで発育していたと考えると、2002年、直腸がんはおそらくポリープのレベルであっただろう。しかし、そのときの便潜血反応は陰性。癌があるのなら、ひっかかって欲しかったのだが、残念ながら、便潜血反応では、早期がんはあまり引っかからない。とくに、直腸癌は結腸癌に比べて、陽性になりにくい。残念ながら、これが自然が定めた大腸がんのルールである。

 

 50歳を超えたら、大腸内視鏡でしっかりと検査をする。そして、癌関連病変をすべて切除する。日本では社会的にいろいろと抑制されるが、やっぱり、これが予防の切り札である。自然の定めたルールは、権力者といえども変えられない。「便潜血さえしていれば大丈夫」というのは、財布の事情や医療レベルの低さが語らせる「うそ」なのである。自然のルールを無視した日本システムの犠牲者が、また1人・・・・・しかも、社会を正してきたジャーナリストであったとは・・・・・。

 

 ちなみに、両陛下は毎年、内視鏡による消化管ドックをきちんと受けて、消化管癌を予防なさっています。みなさんも、内視鏡消化管ドックを受けましょう。両陛下が受けていらっしゃるのと同じレベルの内視鏡ドックを、当院では提供することができます。

 

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2009/01/31   アルコールと食道癌 

     柿沢弘治さん 食道癌で死去 <食道癌は拡大内視鏡で確実に予防できるのに残念!>

 

 

  <訃報>柿沢弘治さん75歳=元外相
1月27日17時16分配信 毎日新聞「元衆院議員で、羽田内閣の外相を務めた柿沢弘治(かきざわ・こうじ)さんが27日、食道がんのため東京都内の病院で死去した。75歳。」 

 

 我々の世代には、有名な政治家であった柿沢さんがお亡くなりになった。ご冥福をお祈りします。

 

 日々、食道癌を拡大内視鏡検査で予防しているだけに、惜しいと思う。内視鏡の開発が進み、最近では、拡大内視鏡を用いると、食道癌が初期から確実に診断できるようになっている。癌によるIPCLの特徴的な拡張像が拡大内視鏡で観察できるようになったからだ。

 

 食道癌が心配な方々には、しかるべきレベルの先生に拡大内視鏡で食道をきちんと見てもらうことをお勧めします。

 

 ところで、食道癌の危険因子は、私が学生のころ、「アルコール、たばこ、50歳以上、男性」といわれていた。最近では、女性も酒を飲む時代になり、酒のみの女性の食道癌も結構見かける。また、近年の研究で、「アルデヒド脱水素酵素の活性が低い人が、アルコールを飲むと、食道癌になりやすい」こともわかってきた。つまり、元々、酒に弱い人が無理して酒を飲んでいると、食道癌になりやすいわけだ。

 

 私のクリニックを訪れた食道癌の人たちは、たしかに、ほとんどが酒好きであった。接待にかこつけては飲む商社マン、閉店と同時にワインを1本あけるレストランの経営者、打ち合わせと称して酒をあびる放送業界マン、対官僚・対政治家接待が好きな仕事だった社長さん、ストレスを酒で紛らす弁護士さん、その他、元来の酒好き、酒びたり・・・・・。

 

 ちなみに、大腸にとってもアルコールはあまりいい影響はない。大腸ポリープや大腸癌もアルコールで出やすくなる。

 アルコールで膵炎も悪化するし、膵臓がんも出やすくなる。

 C型慢性肝炎もアルコールで肝硬変になるまでの期間が短縮して、原発性肝臓癌が出やすくなる。

 ピロリ菌退治による胃癌発生の減少効果も、アルコールで弱まる。(アルコールを飲まない群では10分の1程度と好成績であるが、アルコールを飲む群では3分の1程度しかない。)

 

 酒文化は人生を豊かにしてくれるが、短くもしてくれる。上手なお付き合いが必要だろう。

 

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2009/01/19   医療と社会経済   

 

  治す方法がわかっていても、その方法を購入する財力がなければ、病気を治すことはできない。財力に見合う治療法しか、選択できない。この事実を回避したいのであれば、知恵を絞ることも大切であるが、基本的には、医療の進歩を上回る経済力を持たなければならない。これは、自由診療では勿論のこと、ともに助けあう社会主義的な保険医療でも、同じである。

 昨年2008年秋、アメリカ発の金融危機が日本に襲来した。日本の財力の約33%が、この金融危機で消滅した。多くの資産が消滅した日本経済には、今や暗雲が立ち込めている。この危機をチャンスに変えて、生き抜くには何が必要なのだろうか?洞察力、 技術力、行動力、独創力、組織力、知識力、知力、努力、・・・・・、健康、・・・・、運。

 

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2009/01/06   厚生労働省が作成した不完全な傷病名マスターファイル   認知されていない「多発性大腸ポリープ」と「A型胃炎」 

 

  レセプト電算義務化を控えて、傷病名マスターファイルが2006年に社会保険庁のホームページから配布されている。約2万1千個強にも及ぶ傷病名がコード化されている。それだけあれば、すべての病名が網羅されているように思うが、そうではなかった。

 なぜか、糖尿については、えらい細かい。なんと194個にも細分化されて、コード化されている。これを決めた人はきっと糖尿病の専門家に違いない。

 ところが、私の専門である消化器病名は、いたって手薄である。まず、「多発性大腸ポリープ」という傷病名がない。大腸ポリープと大腸ポリポージスはある。大腸ポリープといえば、学問的には、普通、ポリープが一個だけあったことを意味する。大腸ポリポージスといえば、学問的には100個以上のポリープがあることと定義されている。大腸ポリープが2個から99個までの状態については、「多発性大腸ポリープ」と呼ぶのであるが、その傷病名コードがない。ほんとうにびっくりした。

 また、A型胃炎という傷病名もない。A型胃炎とは、胃の細胞に対する自己抗体ができて、胃に炎症が起こる自己免疫性胃炎のことであるが、これがない。また、それに相当する自己免疫性胃炎という傷病名コードもない。ちなみに、B型胃炎とは、自己抗体のない胃炎を指し、現実には、ピロリ菌による胃炎のことだ。さすがに、「ヘリコバクター・ピロリ胃炎」というコードはあった。ただ、学問的には「ヘリコバクター・ピロリ胃炎」という用語よりも、「ヘリコバクター・ピロリ起因性胃炎;Helicobactor pylori induced gastritis」という用語が一般的だ。「ピロリ胃炎」、わからなくはないが、しろうとっぽい。

 そういえば、厚生労働省に多くの技官を送り込んでいる某K大学医学部を受診したことがある患者さんが変なことをいっていた。「先生は私のこと「A型胃炎」っていっていたけど、某K大でそのことを話したら、そんな病気なんて聴いたことないと言われました。いったいどういうことなんですか?!・・・・・・」

 ・・・・・・・「いったいどういうことなんですか?!」とは私のせりふだ。ルールを作成するお役人には、しっかりとした医学的知識がある人になってもらいたいものだ。

 

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2009/01/01   あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 

 

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2008/12/31   今年の感想 

 

 個人的には、いろいろと大変で残念な事が続いたが、家族全員が大きな病気にかかることもなく生き延びたのは何よりで、天に感謝している。

 クリニックには、毎年のこととはいえ、手遅れ気味の大腸がん患者が数名見つかり、大腸がん予防の啓蒙活動の社会的不足に嘆く。また、慢性胃炎のピロリ菌退治や、抗がん剤、各種治療や診断の制限などなど、社会保険診療枠の後退が悪影響をもたらした数々の患者を目の当たりにして、医師として、人間として、憤りと諦めを感じる日々であった。

 

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