田淵正文院長の業績

 

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 業 績 の ま と め

平成1年1月3日

1987年に大腸内視鏡挿入法として、無送気注水挿入法(別名ストレイト法)をオリジナルで発案した。その方法は、ほとんど痛みがなく、楽に検査が受けられると患者の皆様に大変好評となり、爾来、多数の症例を経験することができた。これまでに(2004年2月現在)約34,000例の内視鏡検査、約2,260個の大腸癌、約130,000個の大腸ポリープを経験してきた。ちなみに、無送気挿入法の評判を聞いて、多数の医師が見学に訪れた。後輩の後小路世士夫君、後藤利夫君、鈴木雄久君や草場元樹君をはじめ、特に熱心だった7−8名の医師が、私からこの技術学び、マスターした。彼らはいまや、大腸内視鏡の名医として活躍中である。

 

1988年ごろから、発見しにくい平坦陥凹型腫瘍を、自ら開発した近接型深焦点深度型高解像電子内視鏡と色素二重染色法を用いて、多数発見してきた。この時代は、陥凹型腫瘍を多く発見する内視鏡医は全国でも限られていた。多田正弘先生の開発したストリップバイオプシー(現在は内視鏡的粘膜切除術:EMRと呼ばれている)を大腸に始めて応用し、多数の陥凹型大腸腫瘍を完全な形で内視鏡的に切除した。これらの当時貴重であった標本を用いて、1992年には陥凹型腫瘍が隆起型腫瘍とは異なる遺伝子変化のパターンを持つことを、藤盛孝博先生のグループとの共同研究で世界で始めて証明し、国内外で大変注目された。
 

1992年には、世界で初めて、生体内で電子内視鏡をもちいたピットパターン診断・腫瘍の鑑別診断に関する論文を発表した。
 

1994年には武藤徹一郎先生の推薦で、厚生省の研究班(大腸腫瘍性病変の発育進展とその遺伝的解析に関する研究)の協力員となった。その中で、数多くの症例とコンピュータによるデータ解析から、陥凹型癌が隆起型癌よりすばやく浸潤することを定量的に証明した。

陥凹型大腸早期癌・腫瘍や大腸内視鏡の挿入術、大腸癌の予防について、北海道大学、札幌医科大学、八戸胃腸会、東京都衛生局、目黒区保険局、木曜会などで、講演やライブデモをおこなった。多数の著書や学会発表を行い、陥凹型大腸早期癌、内視鏡的色素診断、拡大内視鏡診断などを中心に、当時の医療レベルの向上に貢献した。
 

1996年には破れた大腸を内視鏡で逢着することに成功し、その成果は国内・国外で注目されて、広く広まり、その後のより広い範囲の内視鏡的癌切除術(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)の開発に結びついた。

さらに、大腸ポリ―プ患者の長年にわたる経過観察から、「大腸に腺腫のできる患者は他の臓器にも癌が発生しやすい」ことがわかってきた。特に、食道癌、胃癌、肺癌、前立腺癌などは注意が必要であった。初期のころは、私は大腸のみ診ていたが、大腸ポリープ切除後の患者が食道癌や胃癌に倒れる姿を多数みて、1996年ごろより、上部消化管にも重点を置いて研究しはじめた。これまでに約2万例の上部消化管内視鏡検査、約2500例のピロリ菌除去を行っている。

 

大腸で磨いた技術と色素拡大内視鏡の技術を用いて、ピロリ菌感染の胃の拡大内視鏡所見の特徴の解明や固有筋層由来の粘膜下腫瘍の内視鏡的切除法、小さなバレット腺癌の発見方法について、成果があった。とくにバレット癌に関するものは国際的に注目され、2002年にはスタンフォード大学のヴァンダム教授により、アメリカ消化器内視鏡学会に教育講演された。

 

陥凹型大腸早期癌と色素拡大内視鏡に関する講演を、2001年にはソウル、高麗大学(日韓大腸疾患シンポジウム)で、2002年には台湾、高雄市厳総合病院(日台大腸疾患シンポジウム)でおこなった。また、2003年には、チェコ東部のフライデクーミステク市で、市後援のチェコ消化器病学会の支部会で、講演と拡大色素大腸内視鏡のライブデモを行い、国際的な内視鏡医療の向上にも貢献している。

また、2003年には、苦痛のない内視鏡を行うために、最も高貴なご夫婦の消化器内視鏡検査の担当者に特に選ばれ、重責を果たし、成功して、感謝していただいた。

 

2004年秋、日本のDDWで脂質と大腸癌、大腸腺腫の関係について学会発表した。その内容が、「ミノモンタ」さんがお昼の番組の中で引用し、日本全国に放映された。また、2004UEGWにて 2003年のチェコ講演のあと、チェコの内視鏡レベルが向上したことが報告された

 

2005年秋、欧州消化器病週間で、拡大色素内視鏡による核パターンの内視鏡診断を口演報告した。

 

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