北星事件簿
〜2000年1月号〜

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 水道が止められ、公園の水で生活。電気が止められ、ロウソクで生活……など、闘っていくためにあえてハングリーそのものの生活を選択してきた楠本(ホントか?)。今回は試合に備えてバイトをし稼いだものの、本日から仕事を休み(辞め?)、試合に集中モードに入った。

 そんななか会長から見せられたのが、NJKFの年間表彰のアンケート結果。どうやら楠本は●●賞をもらえる模様。でも、楠本勝也はもう●●賞をもらうような選手でなく、もっと上を目指すべき選手の筈だ。そこで、私フィニートが

「楠本さん、辞退しちゃいましょうよ」と言ったところ、
「それ、カッコイイっすね」とまんざらでもない感じ。しかししかし、

「あ、でも、あれ2万円くらいもらえるんですよ! 目先の2万円がほしいなぁ!」

 やっぱ生活苦しいらしいです。しかも50枚以上売らなきゃいけないチケットも、10枚ちょっとしかさばけてないらしい。これは緊急事態だ。これまではチケットはオーエンジャイに来てくれる方のみに売っていたが、今後は通信販売にも乗り出すことにした。

 御連絡をくれた方には、チケットを郵送し、激励賞か銀行振り込みで支払っていただければ結構です。どしどし御連絡ください。え〜、住所、氏名、電話番号を教えてください。すぐ、郵送いたします。郵送料は、楠本が持つそウデス。

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 苛酷な特別強化練習で知られる東京北星ジム。これまでも、足腰と動態視力を鍛えあげた「御宿合宿」、「キック界の100人組み手」と呼ばれるほどの苛酷さで大反響を巻き起こした「新宿2丁目トレ」などの模様は、お伝えしてきた。そして、西暦2000年元旦。そんな特別強化練習のなかでも、1000年に1度しか行われないという荒行が行われるという。

 名付けて「ミレニアム・トレ」

 これはレポートしないわけにはいかない。……というわけで、以下は命を賭けて取材した潜入ルポだ。

 99年12月31日午後11時。緊張の面持ちで、戦士達がオーエンジャイに集結しだした。集合前から雑炊を頬張っていた井上玄斗を筆頭に、野崎、石毛、楠本と続々とお馴染みの面々が姿を現わした。そして今回初登場戦士が二名。一名は新谷浩。オーエンジャイによく出場しているので、名前だけはお馴染みだろう。プロデビューを目論む、未来戦士だ。


集合写真

いつものメンバー+新谷浩(右端)

 そしてもう一人。今回の「ミレニアム・トレ」のキーパースンとなる「梅本小学五年生」だ。この梅本小学五年生という名は、ソンチャイ楠本がつけたリングネームであって、本当に小学五年生というわけではない。年令はおろか、性別さえも不祥な謎な戦士なのだ。この梅本小学5年生。社会生活を営めない者が集まるという北星ジムにおいてさえ、ダントツの協調性のなさ、わがままさを誇るというトンデモない戦士なのである。

ホントはもうすぐ大台
謎の少年? 梅本小学5年生


 そうこうしているうちに、遂に時計の針は0時に。

「サワディー・ピーマイ!!」

 「明けましておめでとう」を意味するというタイ語が店内に響き渡り、あちこちで乾杯がはじまった。ちょっと正月ということでぶっとびたい我々も、ドンブリを持ち出し一気を始めた。ただし、量は3分の1ほど。要は、雰囲気さえ楽しめばヨカッタのだ。
 先陣を切って、石毛が飲み干し、野崎が続き、試合前の楠本は飛ばし、新谷の番になった。ところが、ここでいきなり乱入者が入ってきた。玉城良光。いわずと知れた北星ジム会長である。会長は、3分の1くらいしかビールが入っていないドンブリを見ると、「なんだこれは? こんなんで酔っ払えるか!」と言い出すと、なみなみとビールを注ぎはじめた。そして、尚躊躇する新谷に向って一喝!

「酒に勝てないで相手に勝てるか!!!」

 無茶苦茶言うなぁ、とみなさんお思いでしょうが、選手もみんなそう思ってる。かくして、ミーティングが一転、飲酒トレ」に移行してしまったのだ。「自分に勝ち、酒に勝てば、百戦危うからず」といったところか。しかし、新谷はちょっと呑んだだけでギブアップ。その盃を「ノーと言わない男」井上玄斗が飲み干し、北星魂(?)を見せつけた。

横で見上げる新谷の視線が…

 この苛酷な飲酒トレ、何が怖いかと言うと、いつ終わるかわからないことだ。しかも、会長はさっきまで上で居眠りをしていた(つまり年越しは居眠りで迎えたわけ)。スタミナ十分だったのだ。危険信号を察知したわれわれは、次のトレーニングメニューに移ることにした。「初詣でトレ」である。

 行き先は浅草。しかしその前に東武線小菅駅にて苛酷なトレーニングが開始された。「電車に轢かれちゃうかもトレ」である。まず果敢に挑んだのが、試合を控えた楠本勝也。新宿2丁目トレで精神力を鍛え上げ、関博司との激戦を制したのは記憶に新しい。

ちょいと見にくい

線路上でヤンキー座りの楠本勝也

 しかし、今回のトレーニングはすぐ中止になった。なぜなら電車が全然来ないからである。暇な一行は、梅本小学5年生を苛めはじめた。かなり危ない卑猥な言葉が乱れ飛んだが、梅本小学5年生は、性別不祥なので、セクハラにはならない。

 さて、そんなこんなで一行は浅草に着いた。そこで行なわれたのが「おみくじトレ」だ。勝利には運が絶対必要である。いかに運をつかむか、そのコツを会得しようと、一行はおみくじを引いた。結果は、凶を引いた2人を除いてみんな吉。凶な二人は↓こいつらだ。



やけに嬉しそうな二人と拡大図

 続いて行なわれたのが「ボウリングトレ」だ。これはリストの強化、勝負感を養うのに効果が有る。二チームに分かれての団体戦。「石毛、野崎、楠本チーム」対「井上、梅本、新谷チーム」の対戦だ。「石毛〜チーム」絶対優位が予想されたが、意外な伏兵が現われた。新谷浩である。豪快なフォームからストレートをとりまくる(キックのときもこうガンガン行ってほしい)。追い詰められた「石毛〜チーム」だが、一人の少年が勝利の女神(?)となった。そう、梅本小学5年生である。井上、新谷の貯金を完全に食いつぶし、僅差で「石毛〜チーム」の勝利となった。

「敗者には何も与えるな」はこの世界の鉄則だが、苦痛なら別だ。そう、罰ゲームが待っているのだ。場所は、東武線浅草駅のホームへの階段。その階段を手押し車とウサギ跳びで駆け上がれというもの。しかも、巨人の星を歌いながら……。
 こんな荒行にまず果敢に挑んだのが、「ノーと言わない男」井上玄斗。



もちろん巨人の星を歌っている

 次に新谷浩がウサギ跳びに挑んだ。しかし、その跳躍には元気がなく、しかも巨人の星を歌わない。これでは、真の北星軍団とは言えまい。新谷浩よ、一皮剥こうよ。




立つんだ! 新谷!!

 さて、残るは梅本小学5年生だが、さすが北星一の傍若無人戦士。「私は手押し車押したわよ」という顔をして、やりゃあしない。諦めた一行は帰途に。

 ……のはずだったが、私を残した他の面々は初日の出を見にいったらしい。元気だ。というわけで、今年も一年よろしく。

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