北星ジムの夏合宿が行なわれるという。北星軍団の強さの秘密が垣間見られる、地獄のような合宿だそうだ。私フィニートは、迷わず同行することにした。
オーエンジャイ興行を終えた日の深夜12時、一行はオーエンジャイを出発した。メンバーは、楠本、井上、野崎、石毛、そしてドライバーとして無理矢理連れてこられた練習生、ドクター長沼で構成された。
一行は、「まだ早いからフィニートさんちに寄っていこう」とフィニート宅へ。掲示板へ好き勝手なことを書き込み、午前3時過ぎ、ようやく合宿地へ出発した。長沼カーにて出発したのだが、車酔いのひどい石毛は、ゲロ袋を固くにぎりしめていた。
車に乗ること約2時間、われわれは目的地に到着していた。よく考えると、わたしはどこに行くのかもよく聞かされていなかった。車外を見ると、ここは山ではなく海らしい。「砂浜で走り込むのだろう」と私は合点した。
そして次に見えてきたのがラクダ……ラクダ? いったいここはどこなんだ? サハラ砂漠か? パスポートを持っていない私は、つかまりはしないかと焦った。
しかし、ここは国内と聞いて安心した。御宿と言うところらしい。なにやら「月の沙漠」という歌の舞台になったらしく、それでラクダがいるらしい。なんとも人騒がせなところだ。
言っておくがまだ朝6時前だ
●メニュー1 足腰の鍛練と瞬発力養成
到着すると早々に、練習が開始された。飛んでくる円盤をダッシュして取る、という練習らしい。足腰の鍛練や瞬発力の養成に効果があるらしい(世間ではフリスビーというようだ)。
これを延々と1時間半。海の家に円盤が乗ってしまい、ジ・エンド。ベルトを取り損ねた男・楠本は、まだまだ練習を続けたそうなのが印象的だった。復帰への執念が感じられた。
練習後の晴れやかな笑顔
●メニュー2 集中力の養成
続いて集中力の養成トレーニングに入った。皆が敬遠する、地獄のようなトレーニングのようだ。トレーニング内容については、写真を見て判断していただきた。
水着ギャルが4人並ぶ。一番人気は右から2番目だった
石毛は一人居残りトレをする熱の入れよう
●メニュー3 インスピレーションの養成
続いてのメニューはインスピレーションの養成だ。海のさざ波を見つめると、新しい技が思い浮かぶのだそうだ。「個性豊か」と言われる北星の選手の試合はこびだが、このトレーニングがその礎となっているのだ。
練習の邪魔をする楠本。相変わらず元気だ
この後「見えた!」らしい
●メニュー5 判断力の養成
とにかく無差別に泥をぶつけ合う。誰を味方にするのか、誰を攻撃するのかを瞬時に判断しなくてはいけない。見かけ以上に高度なトレーニングなのだ。
特技は「後輩いじめ」の楠本
判断を誤るとこうなる!
取材後記それにしても目についたのは、選手諸氏のタフさだ(特に楠本・最初から最後まではしゃぎっぱなしだった。日常生活でそんなにストレスがあるのだろうか?)。何せみな徹夜だ。石毛、野崎は数時間前まで試合をしていたのに、このハードなトレーニングメニューをこなしていた。いやいや、感服。
8月の愛知県安城市大会のカードが決定した。
中島 昇(大和) 対 アラビアン・ハセガワ
新美友恒(大和) 対 石田智史(東京北星)
内堀清貴(大和) 対 石毛慎也(東京北星)石田が久々の復帰戦を迎える。5回戦昇格後勝ち星に恵まれていない石田だが、そろそろ勝たないとホントに試合が組まれなくなる。まさに選手生命を賭けた一戦となる。
一方、石毛は、6戦6勝4KOと売り出し中の内堀が相手。…ということは、5回戦昇格! この内堀は先輩・井上玄斗をKOしている選手。練習では、石毛は井上に歯が立たない。新人賞をとって波に乗る石毛だが、これまた選手生活最大のピンチを迎えたといえる。