"スパークNo221" (2001.10)
待ったなし!
本気で無償残業を根絶すべき
八月下旬の取締会で「労働時間管理の適正化」が話し合われたそうです。その中で以前からのルールであった夜十時以降業務の事前届出制をきちんと守ること、および深夜十二時以降の仕事の原則禁止、夜十時頃の部次課長による交替での職場巡回が決まったそうです。デンソーでは今までにみられなかったまじめな内容です。しかしただ単に、「言われたことはやっています」という労基署向けの見せかけのポーズに終わらないようお願いしたいものです。
守衛は泥棒?
手紙@
左のような手紙が九月下旬スパーク発行責任者宛に届けられましたので原文のまま紹介します。
スパークを読んだ仲間の感想「スカッとしました」
先月号のスパーク(無償残業などの記事掲載)を読んだデンソーの仲間の方からe−メールが届いたので紹介します。
はっきり言ってスカッとしました。
同じ意見を持った人たちが沢山いるんだなーと思いました。
実際僕は、デンソーの社員ですがヤッパリサービス残業は有ります。各個人ごとの仕事負荷も片寄っており本当に上司は部下の事を考えているのかなーと疑問に思います(上司の出世の為にやらされている気がする)
さらに僕は、上司に自己啓発の為サービス残業もやらなければいかんと言われ…
会社を辞める気は無いけど、これからやっていけるのかが不安です。
愛知あっち、こっち
人を減らして、利益をためこむ!これ正常な資本主義?
愛知県に本社をおく上場企業の従業員減少と内部留保のベストテンを示します。デンソーは二位と三位につけています。日本列島はどこも、こんなことが当り前のようになされていますが、とても正常とは思えません。解雇規制法制定の必要性が叫ばれるのは当然です。
日立製作所(尾張旭市の情報機器事業部)のタダ働きを是正、約六百人が対象、数十万円支払いの人も
日立では八月末の給料日にタダ働き分の賃金が支払われました。とくに開発設計部門では深夜に及ぶ残業が常態化しています。七月に若い従業員が残業中職場の窓から飛び降り自殺するなど、一年間で二十代の若者が三人も在職死亡しています。日立の労働者有志が労基署や労組にくり返し、サービス残業根絶を働きかけてきました。
トヨタ系でもテロの影響で生産減
織機ではフォークリフトや繊維機械のキャンセルがでているそうです。そのため残業もなくなっています。トヨタ自動車でも残業どころか定時割れで一時間の教育やミーティングをしている職場もあるそうです。テロに対して、テロの軍事報復では報復合戦で泥沼化してしまいます。グローバル化した経済がガタガタにならないよう、国際法にのっとり、各国が協力しテロリストを国際法廷にかけることがテロ根絶の近道です。
閉鎖になった三菱自動車大江工場では…
・「大江に残りたいので」と職種を変わって出向したのに、職場ごとアウトソーシングされ、若い人も含め、「全員移籍」=解雇とは、結局、首か!余りにもエゲツナイ扱いだ」という声が挙がっている。
・希望退職応募して断られた人が七百人程居るが、今後のいじめや差別扱いが心配だ。遠距離配転で結局辞めることに追いやられるのではないか、などの声。
・健康問題も深刻で、管理者の中での精神疾患が増加しつつある。組合との協議の場でも議題になっている。
五ヵ月に一人ずつ労災死亡、住友軽金属
・二千億の赤字は、酒田と東南アジア進出の失敗のツケ。現状の利益は、住友系銀行からの借入利息の返済に。利率は世間並みの三倍の利息支払い中。
・三八〇〇人が五年で二二五〇人に減少。本工を首になり、子会社に移籍され、そこから来ている。不安定雇用労働者が増加。本工と同じ仕事で賃下げ。派遣されてくる人には家庭が不安定の人(×いち、ホームレス寸前の人など)が多く、マナーが低下、ケンカが多発。飲んで道路に寝ていて車にひかれ八十メートル引きづられて死んだ者もいる。会社は、「別会社の人、知らない人」という態度。
・労災、健康破壊は引き続きひどい。五ヵ月に一人ずつ労災死亡。労基署などから改善の指摘次々受ける。やっと施設改善にお金を投入したが焼け石に水。
904号法廷傍聴記
――前デンソー労組幹部の郵便局員贈賄事件の真相―― 連載C
真相は全ト労連の公職選挙法違反、贈賄事件は検察と安部被告の取引か!
真実を語りはじめた元郵便局員の証言で、もろくも崩れた検察のシナリオ
今までのあらすじ
去る二月十五日、前全トヨタ労連副会長(デンソー労組出身)の安部修は直嶋正行参院議員の選挙用郵便料金を不正に割引いてもらう代償に、郵便局員にワイロを贈ったとして逮捕されました。そして、会社からも懲戒解雇されました。裁判の結果、七月六日に懲役八月、執行猶予三年、罰金十五万円の判決が言い渡されました。一方郵便局員の方は同じ日に判決が下される予定でしたが、一転して弁護士も交替し、審議が続行されることになりました。被告人にはまだ主張することがあるようです。
今回は四回目(八月三日)と五回目(九月十二日)の二回の公判で明らかになった点を報告します。
一言で言って、「やっと裁判らしくなってきた」という感じです。郵便局員の方が本音を語りはじめたからです。特に第五回目の公判での弁護士の被告人質問はリアリティと迫力に満ちたものであり、真相が一気に明らかになりつつあります。
まず弁護士を交替させ、審議の続行を主張した理由について、郵便局員の被告人は、「自分はそんなに使いこんでいないのに、検察から多額の横領を認めさせられた。父親と兄弟に強く勧められた」ことをあげました。また最初の自分の弁護士は警察の方から紹介されたと述べています。そう言えば、この弁護士は法廷で何回も自分が今、弁護している被告人の名前を間違えて発言し、裁判長から注意を受けていました。被告人が言うには私的に流用した郵便料金の一部を補てんしようと、共済会から借りた百万円はこの弁護士への報酬に消えたそうです。安部の弁護士もこの弁護士も法廷での仕事ぶりは真剣味に欠け、だらけた印象を受けていました。
新たに選任された弁護士は今からの審議で次の三点について反論したいと述べました。@ 横領した全額は検察の主張する額ほど多くない。他の郵便局から依頼されて切手などを買ってやった分が相当ある。A 全ト労連の郵便物への割引減額については、上司である課長の許可を得ていた。但し、この点については今回は争わない。B 安部から受け取った六十四万円はワイロではなくお礼であると思っていた。
以下、こういう観点での弁護人の被告人質問で明らかになった点を具体的に述べます。 イ.被告人の個人口座への郵便料金振込みは全ト労連から持ち出された。「なぜ個人口座が都合が良いかと言うと、選挙中に大きなお金が動くと好ましくない。ほとぼりが冷めるまで支払時期をコントロールしやすいからだ」と安部は言っていた。
ロ.安部は「この郵便物は公職選挙法にふれる可能性があるので、だまっていてくれ」と言っていた。郵便局員も実物を見たら、選挙で投票してくれという内容だった。
ハ.郵便物は選挙違反だと安部さんから聞いていたが警察から「あれは選挙違反ではない」と何回もしつこく言われた。何か取引きがあったのか、被告人にはわからなかった。 ニ.郵便料金の差額である二%をワイロとして受取ったと言われているが、これは不可能である。安部は知らない。安部が贈賄を認めたのは、公職選挙法違反を不問に付すという検察との取引きがあったのではないか。安部も贈賄を認めたからお前も認めろと一番きつく言われた。「認めないとどうなるか知らんぞ」と言われた。最初の弁護士からも収賄を認めるよう言われた。
弁護士から「一番つらかったことは」と質問された被告人は三十秒ぐらいの沈黙の後、涙声で「父親も母親も嫁さんも、子供だけ残してパクッてやると警察から言われたことです」と答えました。家族への思いをつづっていた日記をみつけた刑事がそれを読んで、こんなひどいことを言ったのでしょうと被告人は続けて答えています。さすがに、この時は法廷内はシーンと静まりかえり、傍聴席の被告人の家族からはすすり泣きが聞こえてきました。被告人は事件後、離婚しました。
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