氏名(イニシャル) |
E 性別 |
男 |
年令 |
職業 |
学生 |
身長・体重 |
176cm 65s |
嗜好 |
特になし |
趣味 |
特になし |
主 訴 (医師による診断名) |
アトピー性皮膚炎
医師による診断・治療を受けている |
その他の愁訴 |
特になし |
病 歴 |
中学生のころから本疾患になりステロイドを含むいくつかの治療を受けてきた。高校を卒業し大阪の専門学校に進学したが、本疾患を理由にたびたび郷里に帰り学業もおろそかになっていた。就寝中に皮膚をかきむしりベッドが血でいっぱいのことも多いらしい。当初は整体によるアトピー治療を希望したが、我々の勧めもあって心理カウンセリングで治療することになった。 |
診 察 |
顔・頚部・肘部を中心にほぼ全身にアトピー性の湿疹が認められた。臍部のスパズムと圧痛は軽微ながら認められた。先日本疾患を理由に帰省したが、それだけでかなり改善していたらしい。心理面では一つの物事を内向的に探求することは得意且つ好きであるが”負けを体験したくない”という理由で他者と物事を競い合うことに嫌悪感を示し、「体調の不調でそのストレスから逃げられる」という結果学習を経験している様だ。
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治療・経過 |
3ヶ月に亘り10回のカウンセリングを行った。1〜2回目は自己の心理的状況について話し合い、3回目に「敗北の恐怖を避ける」というライフスタイルである、という結論で一致した。4回目では「他者との協調の仕方がわからない→自分のことしか考えていない」という洞察へと導かれていった。5回目では「今までは自分は何もせずに他者が変わるべきだ」と考えていたことを暴露し、その後「自分は何をすれば他者に貢献できるのか・・・」というテーマで話し合っていった。6回目以降はその具体的な貢献内容を身内や友人に対して実践・練習していった。この頃から痒みが改善していき、掻把することが以前の五分の一まで減少した。普段の生活では他者から”たのまれ事”を受けることが増え、それが楽しく鳴り出していた。夢の内容も変わり、夢を見た後は気持ちの良い気分のことが多くなった。カウンセリング終了時前後は日によってアトピーの具合は少し変動していたが、終了後約1ヶ月目には完全に消退していた。 |
治効理論・根拠 |
アトピー性皮膚炎はIg-E産生型Bリンパ球とヒスタミン類を多量に含んだ肥満細胞そして抗原の3者が関係するT型アレルギーといわれている。肥満細胞は通常血管内壁の自律神経付着部に定着し、同神経からSPが分泌されることで組織に遊離しBリンパ球=抗原と反応しやすくなると考えられている。詳細は不明だか、「ある種の精神的ストレス=不必要な活動電位は血管への自律神経からSP(サブスタンス-P)分泌を促進させT型アレルギー誘発を助長するのではないか・・・」と考え心理カウンセリングを試みた。
≪アトピー体質になりやすい「病前性格」についての研究論文は卒業論文の項を参照ください。
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