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食用としての関わり

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昆虫を食べる習慣は,日本の他,.東南アジアなど各地で見られます.日本ではスズメバチ,イナゴ,カイコ,カミキリムシ,セミ,ザザムシなどが昆虫食の対象とされてきましたが,現在も各地で食べられているのはスズメバチとイナゴの2種類です.

スズメバチの幼虫や蛹を食べる習慣は,北は北海道から南は鹿児島県まで,全国各地で知られていますが,その中心は長野県,山梨県、岐阜県の東濃地方や愛知県の三河山間部などで,す.おもに食用の対象となるのはクロスズメバチ属のクロスズメバチ Vespula flaviceps やシダクロスズメバチ Vespula shidai iなどの小型種で,”ヘボ”,”スガレ”,”ジバチ”などと呼んで親しまれています.

山野に新鮮な餌を配置してそこにやって来る働きバチの行方を追いかけ,地中の巣を見つけて持ち帰り,中の幼虫や蛹を食べます.かっては周囲に海がない山間部での貴重な蛋白源で,一般家庭でも広く食用にされてきましたが,現在では趣味的な要素が強くなっています.秋の恒例行事として毎年テレビニュースなどでもよく紹介されます.

興味のある方は”ヘボの巣コンテスト”をご覧ください.

その他にも,オオスズメバチなど大型のスズメバチ類も対象とされ,蜂の子を食べる習慣のない地方へ, わざわざ採りに出かけることも少なくないようです.オオスズメバチの成虫はそのまま焼酎漬にしたり,蜂蜜に漬けたりもします.この場合,食用となるのは蛹と5齢幼虫が中心で,4齢以下の幼虫は小さくて取り扱いが不便なことや,水分が多くておいしくないためほとんど利用されません.

食べ方は地方により様々ですが,甘辛く佃煮風に煮て食べるのが一般的です.その他には炒めたり煎ったりして食べる他,ご飯に混ぜて炊きあげる”ヘボ飯”やヘボの押し寿司,幼虫をすり潰して五平餅のたれに混ぜた”へぼ五平”などがあります.オオスズメバチなどの大型のスズメバチでは唐揚げにすることもあります.

岐阜県の東濃地方では,秋のシーズンになるとスズメバチの巣盤毎,店頭で販売されているのを見かけますが,1Kg当たり10,000円前後と大変高価です.また長野県などでは土産物屋の店頭でヘボの缶詰を見かけますが,200gが2,500円から3,000円とやはり非常に高価です.


ヘボの入荷を知らせる看板 市場で販売されるクロスズメバチの巣 蜂の子の缶詰
ヘボの甘露煮 へぼ飯 へぼ五平
へぼ入り朴葉ずし オオスズメバチの唐揚げ オオスズメバチの甘露煮

「スズメバチを食べる」−昆虫食文化を訪ねて−(松浦誠著)という本が北海道大学図書刊行会より出版されています.

スズメバチ食に関するさまざまな情報が網羅されており,この本を読めばスズメバチへの興味がさらに深まります.