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薬用としての関わり

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 漢方では胡蜂(スズメバチ)や黄蜂(アシナガバチ)の巣を幼虫と一緒に生薬として利用します.”雨露に当たった巣の方が良い”ということから露蜂房(正式名称は蜂房)と呼ばれ,殺菌解毒作用や血液凝固促進作用,利尿作用,鎮痙・鎮静作用,抗炎症作用など様々な効果があるとされています.

粉末にしたものや黒焼きにしたものを,そのまま服用したり煎じたりして利用しますが,毒性があるので多量に内服してはいけないとされています.また,煎じたものを皮膚に塗ることもあるようです.主成分は蜜ロウ,樹脂,精油分などと書かれています.巣材である樹皮の他に,幼虫,幼虫の糞,巣作りに使われた成虫の唾液等の成分が一緒に含まれているので,当然効果は期待できそうです.

一般にはオオスズメバチやキボシアシナガバチの巣を指すようですが,この2種以外でも特に問題はなさそうです.岐阜県各務原市川島町にある”くすりの博物館”にはクロスズメバチ属の巣盤が露蜂房として展示されていました.

日本でも民間療法として様々な形で利用されており,巣だけでなく成虫も薬用になります.成虫を生きたまま焼酎などに漬け込んだ”スズメバチ酒”が,滋養強壮効果に効果があると言われています.刺された時に塗ると良いという話も聞きますが,効果の方はいかがなものでしょうか?

インターネットで検索すると,露蜂房を原材料に含む健康食品がいくつか見つかりますが,結構高価なものが多いようです.また,薬用ではありませんが,スズメバチの分泌する成分を研究,応用した商品がスポーツドリンクや健康飲料(清涼飲料水)として販売されています.


本草綱目啓蒙 国立国会図書館デジタルコレクションより転載   和漢三才図絵 国立国会図書館デジタルコレクションより転載

*露蜂房:ろほうぼう

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