コガタスズメバチによる刺傷被害

コガタスズメバチは攻撃性,威嚇性共5種の中では弱い方ですが,巣を刺激すると激しく攻撃するため,剪定作業中などにしばしば刺傷被害が発生しています.巣に振動を与えたり,急な動きをしなければ1m〜2m程度まで近づいても攻撃されることはありません.しかし,ひとたび刺激を加えると一斉に攻撃してくるので注意が必要です.特にハサミでパチンと切る振動には敏感に反応します.


刺傷被害の発生状況

名古屋市におけるデータでも,刺傷被害の発生率(それぞれの駆除件数に対する被害の発生件数の割合)は,7.0%とキイロスズメバチの23.6%やオオスズメバチの23.7%と比べても低い値となっています.巣に物理的な刺激を加えなければ,かなり近くを繰り返し通行しても人間に関心を示しませんから,営巣場所の状況次第では十分共存が可能です.




刺傷被害の発生時期

刺傷被害の大半は9月をピークとした8月〜10月の3ヶ月間に集中し,この3ヶ月間に全体の80%が発生しています.被害の発生件数はコロニーの発達状況とよく一致しており,巣が大きくなり活動が活発となる時期ほど危険です.



刺傷被害の原因

刺傷被害は,樹木に作られた巣が原因となって発生する場合が大半で,庭木の手入れなどで誤って巣に触れたり,枝などを揺らして巣を刺激した結果刺されたケースが半数以上を占めます.被害が発生した巣の平均の高さは1.8mと大人が手を伸ばすと届く高さでした.その他には駆除作業中に被害に遭うケースや,子どものいたずらにより被害が発生しています.また,近くを通行しただけで被害に遭うケースもありますが,これは本人が無意識に巣を刺激してしまったケースや, いたずらなどでハチが興奮状態にある時に近くを通行して被害にあったケースだと考えられます.