コガタスズメバチの営巣場所

コガタスズメバチは全て開放的な場所に巣を作ります.名古屋市の例では,約80%が樹木(樹枝)に,約20%が家屋に巣を作っています.



樹木営巣

営巣した樹木の種類は100種以上と多岐にわたっていますが,特定の樹木に高い割合で巣を作る傾向がみられました.サザンカが14.0%と最も多く,以下ツバキ,ツツジ,キンモクセイの順で,これら4種で全体の38%を占めています.

これらの樹木は樹高が中程度で枝を密に出す常緑の広葉樹である点で共通しています.巣を保持したり風雨を避けるのに適している他,外部から巣を隠すのにも都合が良いと思われます.また,当地方では生け垣や庭木に利用されることが多いことも営巣が多い理由として考えられます.



家屋営巣

家屋営巣では軒下に巣を作る事例が大半を占め,その他,外壁面や開放的な小屋などの天井に巣を作りました.巣の多くは上部および背面で建物に付着しており,クギや電線などの突起物を利用している事例が多数見られました.



営巣場所の高さ

樹木営巣の場合は,高さ1m以上2m未満に営巣する事例が最も多く,平均は1.9mとなっていますが,まれには10m以上の高さに営巣することもあります.

家屋営巣の場合は、2m以上3m未満に営巣する事例が最も多く,平均の高さは2.8mとなっています.樹木営巣よりも高いのは,建物の軒下に作ることが圧倒的に多く,営巣場所の高さがほぼ一定しているためと考えられます.