2006年全面改訂版
私が駐輪場問題に本格的に取り組み始めてから、7年もの月日が経ちました。その間、下関市では駐輪場に関して画期的なニュースが入らなかった一方で、北九州市では既存および新設の駐輪場において、様々な新機軸が試みられました。今回の改定に当たっては、そのような情報更新に加えて、調査対象の拡大や評価項目の細分化も同時に行い、いわば全面改訂と言うべきものとなっています。
1:収録対象(取材対象)2005年9月〜2006年2月調査
●下関市
JR山陽本線(下関〜小月)ほか
JR山陰本線(綾羅木〜長門粟野)
●北九州市
JR鹿児島本線(門司港〜折尾)
JR日豊本線(南小倉〜朽網)
JR筑豊本線(若松〜本城)、JR日田彦山線(石田〜呼野)ほか
モノレール(香春口三萩野〜企救丘)、筑豊電鉄(萩原〜西山)
*モノレールの平和通と旦過は小倉駅に近すぎるため調査対象外
*筑豊電鉄の西黒崎と熊西は黒崎駅に近すぎるため調査対象外
2:評価基準
今回の全面改訂に当たって、収録対象の拡大とともに大きく変わったのが、評価項目の細分化です。需給バランスや管理体制だけでなく、駅改札口までの移動距離やバイク対応状況なども評価項目に加えました。それらの評価項目と評点の対応は下記の表のとおりです。
評点 | 総合評価 | 需給調整 | 防犯管理 | 放置対策 | 保管環境 | 移動距離 (徒歩) |
二輪対応 | 一時利用 | 料金設定 |
A | 優秀 | 優秀 | 優秀 | 優秀 | 優秀 | 30秒以内 | 大型二輪OK | 極めて容易 | 大変お得 |
B | 良好 | 良好 | 良好 | 良好 | 良好 | 1分以内 | 400cc以下 | 容易 | お得 |
C | やや不満 | やや不満 | やや不満 | やや不満 | やや不満 | 2分以内 | 125cc以下 | やや困難 | 普通 |
D | 不満 | 不満 | 不満 | 不満 | 不満 | 3分以内 | 50cc以下 | 困難 | やや高い |
F | 論外 | 論外 | 論外 | 論外 | 論外 | 3分超 | 対応なし | 不可能 | 非常に高い |
これら9項目のうち、需給調整、防犯管理、放置対策、保管環境の4項目は「基礎項目」です。駐輪場を設置すべきなのに設置していない駅等についても、基礎項目の評価は必ず行っています。移動距離、二輪対応、一時利用、料金設定の4項目は「付加価値項目」です。その名のとおり駐輪場の付加価値についての評価であり、駐輪場施設ごとに採点しています。付加価値が低いからといって必ずしも総合評価が下がるわけではありませんが、付加価値が公式発表よりも著しく低いと判断される場合は、総合評価に大きく影響することになります。
以下、特に説明が必要と思われるいくつかの項目について、私の判断基準を示します。
●総合評価
基礎項目と付加価値項目の評点をもとに、総合評価を判定します。常駐管理のない駐輪場については自動的に総合評価をC以下としますが、各評価項目の評点が高い場合はC+(BとCの中間)とみなします。なお、総合評価でA評点を付ける条件は、「基礎項目オールAかつ付加価値項目の平均評定B以上」と、非常にハイレベルなものとなっています。
●放置対策
ここで言う放置対策とは、故障等による施設内外への放置に対する対策と、収容能力に余裕があるにもかかわらず指定区域外に駐輪する利用者への指導、以上二点を指します。前者の原因は様々ですが、故障車が盗難品である事例も少なくないことから、警察等に確認を行うなど速やかに処理する必要があります。後者については、利用者全体の公平を保つため、また周辺の通行環境への悪影響を防ぐために必要です。なお、収容能力に余裕がない状況における指定区域外への駐輪は、一般に需給調整の失敗とみなされるため、この評価の対象とはしません。
●二輪対応
ここで言う二輪対応とは、公式発表データと現場対応を比較し、実際の使い勝手を加味して、どの程度の大きさまで対応するかを簡易的に評価したものです。排気量表示はひとつの目安ですが、想定している車体の事例を示すと以下のようになります。あくまで目安であり、特に大型二輪はご注意ください。
表記 | 想定する車種の目安 | 具体的な車種 |
大型二輪 | とにかくでっかいやつ(汗) | スカイウェイブ650、XJR1400、CB1100XX、ZX-12など |
400cc以下 | 一般的な普通二輪 | マジェスティ、フォルツァ、RF400RVなど |
125cc以下 | 一般的な125cc以下のスクーター等 | ブロード、スペイシー、シグナス、ヴェクスターなど |
50cc以下 | 全長1.6m程度の原付スクーター等 | ディオ、ジョグ、レッツその他 |
なぜ125cc以下のなかに50ccのブロードが混じっているのか?その理由は、ブロードが一般的な125cc級スクーターと同等以上の車格を持ち、いわば125cc級の「ものさし」となるからです。(詳細は「スクーター紹介」参照のこと)
●一時利用
一時利用とは、1日単位または時間単位でスポット利用する利用形態のことです。これと対を成すのが定期利用であり、有料駐輪場の多くはこれらの利用形態が並存しています。無料駐輪場はほとんど一時利用扱いです。
●料金設定
無料であれば当然大変お得なのですが、有料であってもサービスが充実していれば、1日100円や150円でもお得と言えます。逆に論外と言いたいほど非常に高く感じる可能性もあるわけで、料金設定に対する評価は他の評価と比較しながら、そして全国的な相場と比較しながら行っています。公営の有料駐輪場は一時利用で自転車100円、125cc以下150円から200円がひとつの相場になっています。(北九州市の公営有料駐輪場は自転車100円、125cc以下150円)
3:参考資料
下関市および北九州市の例規集、統計、公式リリースを参考資料として使用しています。この他、駐輪場に関する各種文献はもちろん、他の市町村で行った現地調査も評価の参考にしています。(京都市、大竹市、松山市、福岡市、那珂川町、久留米市、水俣市など)
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