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Wee Willie Winkie 

Wee Willie Winkie runs through the town,

Upsatirs and downstairs in his night-gown,

Rapping at the window, crying through the lock,

Are the children all in bed, for now it's eight o'clock?

 

ちびのウィンキー 街かけまわる

階段 のぼったりおりたり ナイトガウン着て

窓 たたいて かぎあなから さけぶ

「よいこたち ねたかな? もう8じだよ」

 

【語句】

wee スコットランドでは littleの同義語として用いられる

Willie Winkie 眠りを擬人化した「眠りの精」のこと。winkには'forty winks'という成句で「短い眠り」という意味もある。

 

【解説】

 ウィー・ウィリー・ウィンキーと聞けば、イギリスやアメリカの子供は(もちろん大人も)、ナイトキャップをかぶりナイトガウンを着て、ろうそくまたはランプを持って夜の町を駆け回る子供を想像する。さしずめ「眠り小僧」であろうか。

 この唄は作者がはっきりしており、スコットランドの「子供部屋の桂冠詩人」と呼ばれたウィリアム・ミラーが1841年に発表したものである。

 ミラーがスコットランド英語で書いた原作では、寝る時間は10時になっていた。子供には早く寝てもらいたいという親の願いで、歌詞がいつのまにか変わってしまったのだろうか。この唄はドイツ語にも翻訳され、ドイツでも人気があるという。

【日本では】

日本のわらべうたには、マザーグースほど特定の人名が読み込まれていない。あえてあげれば、最近の童謡だが『北風小僧の寒太郎』が冬の精を歌った歌であろうか。なお、この童謡は次のわらべうたにヒントを得ている。

 おおさむ こさむ やまからこぞうが ないてきた

           江戸後期の『阿保記録』(1803年)に収録 

When good King Arthur ruled this land

When good King Arthur ruled this land,

He was a goodly King;

He stole three pecks of barley-meal

To make a bag-pudding.


A bag-pudding the King did make,

And stuffed it well with plums,

And in it put great lumps of fat,

As big as my two thumbs.


The King and Queen did eat thereof,

And noblemen beside:

And what they could not eat that night,

The Queen next moming fried.

アーサー王が この国をおさめていたころ

彼は りっぱな王でした

プディング 作ろうと

大麦3ペック 盗みました

王さま プディング 作って

プラムたっぷりつめこんで

おやゆび 2本分の

あぶらのかたまり いれました

王さまと女王さま それをたべ

貴族たちも たべました

その晩 たべきれなかった分は

女王さま 翌朝 油で揚げました

Who killed Cock Robin? 

Who killed Cock Robin?

I, said the Sparrow,

With my bow and arrow,

I killed Cock Robin.

 

Who saw him die?

I, said the Fly.

With my little eye,

I saw him die.

 

Who caught his blood?

I, said the Fish,

With my little dish,

I caught his blood.

 

Who'll make the shroud?

I, said the Beetle,

With my thread and needle,

I'll make the shroud. 

 

だれがころした コック・ロビン

わたし と すずめ

わたしの弓と矢で

わたしがころした コック・ロビン

 

だれがみた ロビンが死ぬのを

わたし と はえ

わたしのちいさな目で

わたしがみたの  ロビンが死ぬのを 

 

だれがうけた ロビンの血

わたし と さかな

わたしのちいさな皿で

わたしがうけた ロビンの血

 

だれがつくる 白衣を

わたし と かぶとむし

わたしの針と糸で

わたしがつくろう 白衣を

【語句】

Cock Robin 「雄のコマドリ」。昔コマドリはすべて雄だと考えられていたので、Hen Robin(雌のコマドリ)という例はほどんど見いだすことはできない。

 そして「ミソサザイ(Wren)はすべて雌でコマドリとミソサザイはつがいである」と考えられていた。このことは、次の諺からもわかる。

  The robin and the wren are God's cock and hen,

  コマドリとミソサザイは神の雄鳥と雌鳥である。

この鳥が神の鳥と呼ばれるのは、キリストのいばらの冠の棘を抜き取ったときにキリストの血がかかったからだという。そのため、Robin Redbreast(赤胸のコマドリ)とも呼ばれている。

shroud「(死体を包む)白衣、白布、経帷子」。

【解説】

 全部で14連ある長い唄である。コマドリがスズメの弓矢で殺され、ハエ、魚、かぶとむし、フクロウ、カラス、ヒバリ、ヒワ、ハト、トンビ、ミソサザイ、ツグミ、牛の弔いを受ける、という内容だ。

 18世紀のイギリス首相の失脚を歌ったものだという説もあるが、この唄の起源は14世紀ぐらいにまでさかのぼることができるという。

 この'Who killed Cock Robin?'の一節は、新聞の見出しや小説や映画のタイトルなどいたるところで引用されている。1821年には、詩人バイロンがキーツの死を悼んで次のように歌っている。

 Who kill'd John Keats?      

 "I", says the Quarterly,

 So savage and Tartarly;

 "'Twas one of my feats,"

 誰がジョン・キーツを殺したのか?

 「私」と季刊誌が言う

 辛辣な酷評で

 「それは私の手柄の一つ」

【日本では】

 日本でも、この唄は数多くの小説や漫画で引用されている。小林信彦の『唐獅子株式会社』には、新しくハイカラな商売を始めたヤクザがマザーグースを大阪弁で訳す場面がある。

 

      だれが駒鳥いてもうた?

      わいや、と雀が吐きよった

      私家(うっとこ)にある弓と矢で

      わいがいてもた、あの駒鳥(がき)を

 

 次の二つの漫画では、この唄をモチーフにして殺人事件がおきる。 

 萩尾望都の『ポーの一族』(小学館)の中の『小鳥の巣』

 由貴香織里の『少年の孵化する音』(白泉社)の中の

      『誰がこまどり殺したの?』 

 また、魔夜峰央の『パタリロ!』(白泉社)では、「だーれが殺したクックロービン」というギャグが第5巻から第21巻にかけて約30回も使われている。

 この漫画がテレビ化されたときに、『クックロビン音頭』はテーマソングとなり一躍有名になった。 

【覚えておこう】

この唄から転じて'Cock Robin'が「被害者」、'the sparrow'が「殺人犯」そして'Fly'が「目撃者」という意味で使われることがあるので、覚えておきたい。


2006年のエコノミストに「誰が駒鳥を殺した?――新聞没落論」という記事が掲載されましたが、その記事に関するブログです。 
「阿部重夫ブログ」

この唄の翻訳は、以下のサイトで比較して読むことができます。

「tomokilog-うただひかるまだがすかる」

 

Will you walk into my parlour? 

"Will you walk into my parlour?"

Said the spider to the fly.

"'Tis the prettiest little parlour

That ever you did spy.

The way into my parlour

Is up a winding stair;

And I have many curious things

To show you when you're there."

"Oh, no, no," said the little fly;

"To ask me is in vain;

For who goes up your winding stair

Can ne'er come down again."

 

「ぼくのお部屋に おいで」

クモがハエに いいました。

「あなたが 今まで見たことがないような

すてきな ちいさな お部屋です

お部屋に はいるには

らせん階段 のぼるのです

いっぱい めずらしいもの ありますから

きたら おみせしますよ」

「いえ、いえ」ちいさなハエは いいました

「わたしにいっても だめですよ

らせん階段 のぼって

おりてきたひと いませんから」

【解説】

 作者のはっきりしている唄。イギリスのメアリー・ハウィットが1834年に発表した詩がもとになっている。

 5連もある長い唄だが、出だしは実例のようにCome into my parlourとなっているほうが多い。この最初の2行はよく引用されるので覚えておきたい。

 最終連は「クモとハエの話を教訓にして、女の子は男の甘い言葉にのらないように」という言葉で終わっている。ハエはクモの甘言にのって部屋へ入りクモに食べられてしまうからだ。

 『不思議の国のアリス』の第10章にもこの唄のパロディが載っている。

Wynken, Blynken and Nod 

Wynken, Blynken and Nod

 Sailed off in a wooden shoe,

Sailed off on a river of crystal light

 into a sea of dew.

"Where are you going, and what do you wish?"

 The old Moon asked the three.

"We have come to fish for the herring fish.

 They live in this beautiful sea;

Nets of silver and gold have we."

 Said Wynken, Blynken and Nod.

 

ウィンクちゃんとパチクリちゃんとコックリちゃん

海へでました 木のお靴にのって 

きらきらかがやく 川 くだり

しずくの海へ

「どこへ なにしに いくんだい?」

お月さま 3人に ききました

「ニシン つかまえに いくんだよ

ニシン きれいな海に すんでいる

金と銀のあみで つかまえるんだ」

ウィンクちゃんとパチクリちゃんとコックリちゃんは いいました

【解説】

 作者がはっきりしている唄で、アメリカの詩人ユージーン・フィールドが1889年に書いたものだ。全部で4連ある。最終連でなぞときがなされている。

 Wynken and Blynken are two little eyes,

 And Nod is a little head,

 And the wooden shoe is a wee one's trundle-bed.

 つまり、ウィンクちゃんとパチクリちゃんは二つの目、コックリちゃんは頭、木靴はベッドだったのだ。夜の海へ舟をこぎ出すというモチーフはPussy-Cat and Owlの唄と似ている。とても幻想的な唄である。