はじめに
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このページでは,鉄道に関連して東北地方の駅に設置されている「駅名標」のフォントの使われ方を見ていきます.かなりマニアックな内容となっています. なお,最初にお断りしておきますが,このページの作者は全くの素人であり,デザインの専門教育などは一切受けていません.したがって,記述には間違いや思い違いなどが多数見受けられると思います.指摘はメールでお願いします. また,このページは,フォントを制作している企業や出版社などとは一切関係がありません.したがって,このページの内容に関して各企業に問い合わせることは絶対にしないでください. さて,何気なく見たり使ったりしているフォントですが,実にさまざまな種類のものがあります.このページをご覧になっているあなたのコンピュータにもいろいろなフォントがインストールされていると思います. 本文で用いられる和文フォントには大きく分けて「明朝体」と「ゴシック体」があることはご存知と思います.明朝体は主に書籍・雑誌などの本文に,ゴシック体はその見出しに使われます.また,街を見回すと看板や標識にはゴシック体が多く使われていると思います.しかし,例えば,同じ明朝体でもさまざまな種類があります.下はその一例です. 上から,「MS 明朝」「平成明朝体W3」「ヒラギノ明朝体3」「リュウミンL-KL」「太ミンA101」「小塚明朝L」です.特にひらがなにそのフォントの特徴がよくあわられると思います.ゴシック体についても見てみましょう. 上から,「MS ゴシック」「平成角ゴシック体W5」「ヒラギノ角ゴ5」「中ゴシックBBB」「JTCウインS4」「小塚ゴシックM」です.それぞれのフォントから受けるイメージが異なると思います.もし,その違いに意義を見出せない方は,恐れ入りますがこの先を見てもつまらないと思いますので,他のページをご覧ください. これより先は,この微妙な違いについて東北地方で見られる主な駅名標を例に見ていきます.なお,新陽社製の電照タイプのものは,地域性が希薄なため現在のところここではふれません. 駅名標は駅のホームには必ず1箇所は設置されています.写真はあきた白神駅です.待合室横にある,当駅および隣接駅の駅名などが記載されている看板がそれです.
以前は看板屋さんの手書きでしたが,最近では切り文字が多く用いられています.設置形態や記載内容については他のページに譲ることにして,このページでは使われている書体に焦点を当てます.まずは,その概要や歴史について簡単に触れておきます. 切り文字が使われるようになったのは,おそらくJRになってからと思われます.当時は使える書体が限られていたためか,また当時の流行もあってかモリサワのゴシック体(見出ゴ)が多く用いられていました.この時期に仙台支社管内で整備したようです.秋田支社や水戸支社もそれに続いて一斉に整備した模様です.秋田,水戸両支社のデザインは,有人駅に整備されている新陽社製の電照タイプに準じています.それを再現してみました(これは架空のものです).
使われている「見出ゴ」は,古くから定番のゴシック体で落ち着いた雰囲気が特徴です.ローマ字も和文のものを使っています. 出版業界などではDTPが主流となり,モリサワの「新ゴ」に代表されるように,モダンなゴシック体が爆発的に普及しました.それを反映して,その後に整備された駅名標にもモダンゴシックの流れが訪れました.東北地方では新ゴを使った駅名標はごく一部に止まっていますが,JTCウインSは秋田支社を除く各支社で採用されています.ローマ字はHelvetica Boldです.
見出ゴのものに比べて垢抜けた雰囲気になったと思います.ローマ字部分は欧文フォントを使ったほうがバランスはよく見えますが,仙台支社のものだけと少数派です.これからはこのタイプの駅名標が増えていくと思われます. それでは,東北地方で見られる駅名標を各支社ごとに見ていきましょう.このページでの「地域区分」はこちらに従っています.なお,駅名標の写真をクリックすると,大きな(幅500ピクセル)写真でごらんいただけます.戻るときは,ブラウザの「戻る」をお使いください. |