Little Lovers SHE SO GAME

99年9月発売   発売元  日経映像/NTT出版

全体的な感想


Lの次はLLですかとかいうツッコミはおいといて先行きましょう。しかし自分で考えるギャグはどうしてこうもツマランのだ

 

購入動機

このゲームが発表されたときは全くもって気にもとめなかったのですが、それが「買い」の方向に動いたのは電撃G’sマガジンに連載されたオールカラーのコミックでした。連載前から「シナリオはいい」ということは聞いていたものの、例えば冬月あや編の

あなたは本当にひとりの女の子の
悲しみや痛みを、
全て受け止めるだけの勇気があるのですか?

とか、あるいは日向さゆり編の

そうさ僕らのクラスの委員長は…
僕らのアイドルだったんだ。

とかいうセンテンスが心にグサグサ突き刺さって「こりゃ買うなあ」という雰囲気になっていきました(キャラクターについては後述)。恐るべし、メディアの力。

理由のもう一つとしては、このゲームのジャンルが「高校生活テーブルトークRPG」と銘打っているところ。過去に一年ほど実際のテーブルトークRPG(以下TRPG)をかじったことがある私としては、コンピューターゲームにおいてテーブルトークの部分――どこまでキャラクターを演じられるのか、キャラクター間の掛け合い、選択肢の自由度など――がどこまで再現できているかにも興味がありました。しかし今考えてみると長ったらしいジャンル名だなー(TRPGについて知りたい人はここに行くと説明があるかも)

 

予備知識

キャラクターなどで元になっているのは「Little Lovers(以下、LL)」というパソコン用ゲームです。これはパソコンの中に少女を住まわせて会話をしつつストーリーが進んでいくリアルタイム型のコミュニケーションゲームです。家庭用ゲームでいうなら「ROOMMATE」シリーズみたいなもんでしょうか。このゲームをプレーした感想を書いたページを読んだのですが、プレー期間が一年間と非常に長い、数日間会わなかったら家出されるらしい、選択肢のやり直しが聞かない、一年間続けたからといってご褒美として服を脱いでくれるわけではない、などと、プレーしていてかなりの忍耐力が必要だったそうです。まあ私は毎日パソコンを起動する方ですのであまり苦にはならないかもしれませんが。ただ長期旅行に出たら一巻の終わりかも(笑)。現在は続編の「Little Lovers 2nd ゆい」が出ています。(この段落はさゆりす党党首の克英さんよりご指摘頂き、一部を訂正致しました)

で、本ゲーム「Little Lovers SHE SO GAME(以下、LLシーソー)」はLLに登場した3キャラにオリジナルの3キャラを加えたボード型のゲームになっています。さらにナビゲーター役で「2nd」のゆいが出演していてLLファンにはたまらないソフトかもしれませんが、まあ私にとっちゃどうでもいいですな(ひでえ言い草だ)

一部システムの項とも被りますが、本作品は1人のヒロインを4人が奪い合うという、なかなか変わった設定です。1人が2股3股かけ放題の従来のゲームとは違っていて、より現実味が増した作りになっています。でも高校3年間ずっと付き合いもせず1筋という人いるのかなあ。俺は随分変わったが(笑)

また発売元のうち、NTT出版は主に攻略本を作っている会社として有名です。よってこのゲームの公式ガイドも当然NTT出版から出ていたりするのでした。

 

キャラクター

神藤 ゆりか(しんどう ゆりか)

本名神藤優里香。じゃあなぜ本名ではなくゲーム中ではわざわざ平仮名表記する?始め別の高校に通っていたがとある事情によりプレーヤー達の高校に転校してくる。雑誌のグラビアモデルを務めるほどの美人。だからいじめられたりするのである。

桜井 ゆきえ(さくらい ゆきえ)

野球部のマネージャー。野球部エースの山崎に憧れており、ときどき弁当を作って来たりする(味については敢えて書かない)。本人は結構天然入っているところが多い。体育祭では障害物競走のネットに絡まってくれます。縄プレイ(違う)。

萩原 なな(おぎわら なな)

本名荻原奈々。じゃあなぜ(以下略)。母親のジャズバーを手伝ううちに音楽的才能に目覚め、本格的にプロミュージシャンを目指している。そのため学校には冷めた対応しかしない。

冬月 あや(とうげつ あや)

本名冬月綾。じゃあ(以下略)。中学の卒業式の日に両親と恋人を失い、心を閉ざしてしまった少女。途中で心を開き性格も明るくなるかと思ったら、声は最後まで暗いままでやんの。しかし性格とか名前からどうしてもエヴァ思い出します

松浦 くるみ(まつうら くるみ)

ハイジャンプに燃えるスポーツ少女。二年連続インターハイ出場を果たす。また勘がよく、マークシートのテストでは好成績を残す。平成の竹下景子(古過ぎ)。

日向 さゆり(ひゅうが さゆり)

成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能の正統派ヒロイン。プレーヤーとは二年生で同じクラスになり、クラスの委員長を努める。二年三学期に「委員長エンコー」の噂が広がったときは不節操にも一人でバカ笑いしてました。だってあまりにもどこぞの関西弁委員長と似ていたもんで。
あと彼女の36番目のCGがアルバムで見られない理由はここに書いてあるけど、これ絶対サギだ

 

ストーリー(ネタバレはしません)

6人分ものシナリオを解説している暇なんてありません(待てコラァ!)

……えーシナリオに関してですが、6人のシナリオがそれぞれ独立しています。他のヒロインがそのヒロインのシナリオに大きく関ってくることはありません(たまにチョイ役で出たりしますが)。各ヒロインにはそれぞれ重要なサブキャラクターが用意されていて、これにプレーヤー4人を足した6人でお話は進んでいきます。

各学期の終わりには大きなイベントがあり、そこで重要なストーリーが語られるようになっています。ただこれに関しても場合によっては見ることが出来ないことがあり、下手をするとそのヒロインのストーリーが十分に語られないままエンディングを迎えることもあります(この辺りの不具合に関してはプレー人数の項を参照)。

 

サウンドとか

なぜかサントラを買ったので、その話中心で行きましょう。

曲の数、多いです。なんで多いかというと、ヒロイン1人分につきアレンジバージョンも含めて4種類のテーマ曲が用意されています。しかし1ヒロインにに対し4種類のテーマ曲ですから、4人になった天津飯の如く1曲ごとの印象がやや薄。期末試験や通常のルーレット画面での曲のほうがよっぽど印象に残っています。

サントラでは、一部の曲が「立体音像」と題され、3D SOUNDになっているそうです。なんかスピーカーの角度をああしてこうしてすると聞こえるらしいですが、全く分かりません。ていうか、そもそも3Dサウンドと2Dサウンドの違いが分かっていません。聞き分けるだけの耳もないので、まったくの豚に真珠です。

サウンド全体はピアノを基調にして演奏され、ピアノソロ好きの私の心をくすぐる曲が幾つかあります。


オープニング曲はあや、くるみ、さゆりの声優さんによるアップテンポな曲、エンディング曲はさゆりの妹役を演じていた高橋美佳子さんのスローテンポな曲です。相変わらずサクラ大戦から続くギャルゲー曲の伝統を受け継いでいます。


全体として、レベルは決して低くないと思いました。ただピアノ曲が多いことからどうしても曲全体の迫力に欠け、他のギャルゲーの曲と比べて印象に残りにくいと思います。

 

システム

まずプレーヤーは4人でなくてはなりません。例えば人間が私1人の場合はCOMキャラを3人選ぶことになります。このCOMキャラも成績優秀な奴、スポーツバカ、万能タイプ、偏差値50タイプ、ギャンブルが全ての奴などいろいろいて楽しめます。基本的に弱い奴を入れておくといいのかというと、全くそういうわけではありません。というのも、1人1人が稼ぎ出したプレーヤー4人の好感度の合計値が重要らしいのです。ですから1人くらいは強い奴を入れてそいつに好感度を稼いでもらうというのも作戦ですし、他キャラクターがヒロインと接触するのを阻止ばかりしていても好感度の合計値は伸びません。

ゲームをスタートするとヒロインを1人決めます。3年間を賭けて他の3人と対戦し、ヒロインに告白をOKしてもらおうというのが目的です。今までのギャルゲーでは「2股3股かけ放題」でしたが、このゲームでは1筋でいかなくてはなりません。開発側は「画期的」とか言ってますが、本来そうあるべきなんですよ

実際のプレーは、「高校生活TRPG」となっていますが、実際のところはボードゲームです。1本の時間軸上に日付ごとに各イベントがあります。ルーレットを回し止まったマスによってパラメータアップ、クラブ、ヒロインと会話などの小イベントが起きます。パラメータは知性、体力、芸術、人徳、感性とあって、各学期ごとに指定された数値に達していないとヒロインと会話が出来ないという足切りも起こります。ヒロインごとに重視するパラメータは変わりますが、重視しないパラメータもある程度は上げていかないといけません。

面白いのは、この時間軸が4人一緒に進むということ。つまり自分がルーレットを回した後、再び自分の番がくるまでに他の3人が同じルーレットを回しているのです。ルーレットの出目は1〜6ですから、次に自分が止まるマスは前回から20日くらい経ったマスになります。自分が止まりたいマス(例えばヒロインの誕生日とか)に止まるには、かなり前から下準備をしておかねばなりません。

一部強制イベント(試験、運動会など)は強制的に停止です。強制マスに止めた人がもう1回ルーレットを回すことが出来ます。
あと当然ながら、休業期間中はルーレットは回しません。イベントはありますが

移動したら毎ターンカードを買えます。値段が高いので買わない選択も出来ます。カードにもヒロインをデートに誘えるカード、パラメータアップカード、邪魔系カードなどあります。5枚までしか持てないというのはやや少ない感じがしました。

また、このゲームはアクション性も重視されます。年に五回ある定期テストは○△□×ボタンの4択早押しだし、体育祭の100M走や水泳の50Mは連打能力が要求されます。その他ミニゲームでもアクションは重要です。一位になると好感度やパラメータがアップするので多人数でも本気になります。

そんなわけで、久々に戦略を考えるギャルゲーに出会いました。

 

1人でプレーすべきか、多人数プレーか

本来ボードゲームは多人数でプレーするものです。このゲームでも多人数プレーの方が絶対に得です。なぜか? 先程ストーリーの項で書いた「大まかなストーリーしかわからない」という弊害がなくなるからです。学期末イベントに関しては「好感度が4人の中で最大でないと見ることが出来ない」というイベントが多々あります。もちろんCOMキャラが好感度トップの場合、イベントは見ることが出来ません。これらのイベントをすべて見て、なおかつ4人の中で勝者になろうというのはかなり難しいことです。常に先行逃げ切りでなければなりません。

また、通常のヒロインマスにおいてもストーリーの一部が語られます。勿論1人で全てのヒロインマスに止まるのは絶対に無理です。ここでもストーリーの一部が語られないことになります。

もう一つ、アルバムCG集めの問題があります。このゲームでは学期ごとに5つずつデート場所が設定されています。そのうち2〜3の場所でイベントCGを見ることが出来ます。ところが、1人のプレーヤーが3年間でヒロインとデートできる回数は多く見積もっても5回程度。全てのCGを埋めるには何回プレーすればいいのか、頭が痛くなります。

その点4人でプレーすれば必ず学期末イベントを見ることが出来ますし、先行逃げ切りする必要もない。4人で頑張って全てのヒロインマスに止まることも可能です。デート場所も分担すればオッケー。さらにR2ボタンで「ブーイング」L2ボタンで「ヒューヒュー」と掛け声が出せるので盛り上がること間違いなし(本当か?)

ただ多人数プレーにも弊害はあります。小さいことですが、メモリーカードへのセーブ時です。このゲームはブロックを3使用するのですが、私の予想としてはゲームデータに1、キャラクターデータに1、アルバムデータに1使っていると思われます。問題になるのはキャラクターセーブ時とアルバムセーブ時です。このときにメモリーカードを該当する差込口に入れなおさなくてはなりません。まあ本当に小さいことなんですが

「1人で複数人数分プレーすればいいやんか!」という予想されるツッコミに対しては、私はマルチタップも持っていないし(3人以上の時はマルチタップ必須)コントローラーも1つしかないという答えを返しておきます。いや、金ないもんで

 

TRPGの視点から見ると

というわけで今までに7+α回プレーしました(各ヒロイン1回ずつ、さゆりリベンジ1回、ゆきえ三年二学期からやり直し)。そのうちエンディングを見れたのはゆきえ、あや、くるみ、さゆりの4人。まだ完璧ではないんですが、この時点でのコンピューターゲームにおいてTRPG度がどこまでできているかチェックしたいと思います。チェック項目は上に書いた三点ということで。

どれだけキャラクターを演じられるのか

これは残念ながらほとんどできません。デート時においてデート前に「さあ、今日はどんな自分で行こうか」という選択が出るくらいです。それも「演じる」系のカード(例えば、「爽やかにカード」「男らしくカード」)がないといけません。ここで、手持ちカードが5枚までとなると、高々数回しかないデートのために取っておくのも馬鹿馬鹿しく、捨ててしまうことになってしまいます。「演じる」系カードがなくてもデートは出来るわけですし。

キャラクター間の掛け合い

TRPGの面白さの中に「各キャラクター間の掛け合い(それもどうでもいい突っ込み)」があると思います(私だけかな、これって)。この点はかなり面白く書かれています。キャラクター間の突っ込みはもちろん、製作者からの「天の声」もあり、なかなか楽しめます。また通常のテキストにもボブディランのネタがあったりと渋いところもついてきます。

選択肢の自由度

コンピューターゲームです。所詮は3択なんです。プログラムに沿ってプレーするしかないんです。ある程度は覚悟していましたが、やっぱり残念ですね。でも、例えば「演じる」系カードを普段の生活から使えるようにしておくと選択肢が違ってくるとか、そういった工夫が欲しかったと思います。

 

最後に

しかしイベントの度にいつも4人で行動する彼らって、ハタから見るとめっちゃ怪しいと思うんだが。

 

個人的且つ主観的評価
キャラクター及び声:82点
シナリオ:84点
サウンド及び歌:80点
システム:85点
TRPG度:65点
総合:81点

 

(最終更新2003,1,4)

リプレイプロローグへ  リプレイ一年へ  リプレイ二年へ  リプレイ三年へ  リプレイエピローグへ


ゲームのページへ

トップページへ