ムーミンの谷へようこそ (2)
【7/24-25/2005】 The Loop - Grantie Park Trail、 Flathead River Water Rafting
【7/24-25/2005】 The Loop - Grantie Park Trail、 Flathead River Water Rafting
7/24 : Grantie Park Trail (The Loop - Grantie Park)、晴時々曇
初日(昨日)、Logan Pass からお馴染み Hidden Lake Trail を湖面まで往復し、 脚慣らしの様子を見たところ、 まぁペースは遅目だが特に問題なしと判断、 明日は「休足日」の予定なので2日目の今日は、 もう少し「歩きがいのある」 コースを設定。 GTTS西ルートのつづら折れポイントである The Loop から、 連綿と続く Garden Wall を間近に仰ぐ、 Grantie Park Chalet まで歩こうというもの。
〜わお、景色が違う!〜
このルート、 前半は森林の中を抜け、 後半高度を上げるに従ってだんだんと景色がひらけ、 目の前に壁が迫るルートだったが、 歩き始め、 のっけから景色が違う!! ナント、 山火事で森が一掃されていたのだった。 2003年秋、おそらく落雷をトリガにして燃え広まった山火事により、 このあたり一帯はすっかり燃えてしまったらしい。 しかしこれも森林再生のサイクルの一つ。 実際、 林立する黒焦げの幹の合間から降り注ぐ太陽の光を一杯に浴びて、 新しい下草が一斉に咲き競っている。 fireweed もイチ早くこの地に進出して、 さすがの存在感をアピール。 立ち枯れた(中身はまだ生きているかも知れないが)黒い森から Heaven's Peak も綺麗に望める。 これもまた、 「明るい森の焼け跡ウォーク」という普段とは違った体験である。 しかし...
〜えーっ、まだ登るのおー?〜
最初の一時間を過ぎたあたりから、 Aちゃんの機嫌が夏山の午後の天気のようにみるみると曇ってくる。 一つ、 登り道が終わらない。 そしてもう一つ、 疲れたと言って足の動きが止まると、 それ来たとばかり虫が集まってくる。 まずハエ。そしてアブの類。ハエはたかってくるばかりで、 うっとおしいもののさほど害はない。 アブは油断していると刺してくる。 刺す時に一瞬ツンッと痛みが走るのでわかる。 しかし、 おそらくは一番面倒なのは、 ―日本でも変わらないが― これらハエ・アブに紛れるようにしてそっと血を吸い、 気付いた時には腫れと痒みを残して去ってゆく蚊だろう。 夏のアウトドアには避けて通れないこの小動物、 ここGlacierでも「夏のハイキングは蚊が多いので注意」という呼びかけは、 Visitor Center で貰える資料や、 幾多のガイドブックでもよく書かれていること。 しかし、 ボク自身、 この季節にこの地をあまりじっくり歩いたことがなかったせいもあってか、 これまで気になるほど攻撃に遭ってきた経験がなかった。 ...が、 今は夏も盛りの花の季節。 湿度も高目である。 そして、 花の季節ということは即ちこれ虫の季節なんである。 R氏は言う。 ハエはとにかく振り払われるだけなのに、 それよりたかってくる数が少ない蚊は、 バンバン叩かれて殺される。 これは蚊にとっては重大な種の存続問題ではないのか。 今後彼らが生き永らえていくためには、 刺して血を吸っても痒みを残さない、 今後そういう方向に進化をしないとこの厳しい自然界の生存競争に耐えらえないのでは?? ...と。 なるほど。 そうすれば血を吸う蚊にもハッピー、 吸われる僕らにもハッピー(?)の Win-Win の関係が築けるではないか。やったぁ。 (ま、 ボクは蚊だろうがハエだろうが体のどこかに一旦とまったら、 容赦なく叩き落としてたけどね。)
しかし、 蚊達はと云えば、 R君の余計な心配やボクら側の都合をよそに、 彼ら自身で実はすでにその問題をしっかりクリアしてしまっているのである。 つまり、 「叩かれて殺されても絶滅しないくらいの個体数をキープする」、 これに尽きるのだ、 残念ながら。(^^)
ところで、 ここは国立公園。 そして世界遺産指定地。 基本的には園内のあらゆる動植物・生物の殺生は禁止のはずである。 とすると、 これらうっとおしくたかってくるハエ・アブそして蚊の攻撃も、 本来ならばボクら来訪者は甘んじて受けるしかないのか? という疑念がいつもつきまとう。 これに関しては、 Glacier ではないが、 やはり蚊の多いことで有名なフロリダの Everglades National Park で、 レンジャーにこの質問をしてみたことがある。 その時の答え。
話を元に戻す。
ある程度標高も高くなり、 周囲の木々や灌木の高さもかなり低くなってきた頃、
そろそろAちゃんにとっては肉体的、 というよりは精神的に限界のようで、
「大丈夫、 あともうちょっとだから」と
『もうちょっと』の定義を濁し濁し(笑)励まして来たのもそろそろ信用されず、
トレイルが曲がる毎に先の見通せぬ登り坂にショックを隠せない様子。
実際あと15分も歩けば目的地の Grantie Park Chalet に到達しそうな途上で、
とうとう「お昼にしようか」ということに。
ランチ後、 なんとか Chalet までは登り切るのだが、
余力があったら連れていこうと思っていた Grinnell Glacier Overlook Trail
も当然中止。
あとから考えると、
この日の行程がどうも彼女の気持ちを急速に萎えさせてしまい、
残りの旅程への意欲にも影を残してしまった(らしい)ことを思うと、
まぁボクもガイドとしてちょっと見通し甘かったかなこりゃ。
ちょっと失敗。反省します。
ちなみに The Loop からスタート後、(途中でランチ休憩を入れたとは云え) Grantie Park Chalet まで 3時間半もかかったのは、 ある意味新記録であろう。 逆にボクも、 今後人を案内する時には、 このくらいかかる可能性も考慮に入れて計画を組まないとアカンということで、 勉強させていただきました。
〜Swiftcurrent Lookout にも登ってみました〜
さて、 Grantie Park Chalet に力尽きた二人を残し(とはいえダンナの方は本当のところどこまで消耗してたのかは知らんが)、 わがままとは思いつつ、 申しわけないが二人のお許しを得て、 これまで何度か近くまで来ながら機会がなく登頂できなかった Swiftcurrent Lookout へ、 一人で特急ハイクを敢行。 Chalet から片道距離にして約3.2mi(5km)、標高差約540m を登りピッタリ1時間、 下り40分という猛ペースにて(普段のペースだったら多分上り1時間半くらいはかかることだろう)。 というのは、Chalet に二人を待たせていたというのもあるが、 まぁChalet までの登りのペースがムチャ遅だったんで、 Aちゃんには申しわけないけど、Chaletまではワタシ全く疲れてなかったんですよ。
まずはSwiftcurrent Pass へ向け登り始める。 Pass はまさに大分水嶺の真上にあたるため Garden Wall はより近く、 そしてトレイル脇を彩る花もひときわ美しい。 Pass からの分岐は、 ただ黙々とそこそこの急斜が山頂まで続く。 植生がまた亜高山性から高山性のものにみるみる変化し、 そしてじき Garden Wall の裏側の景色がひらけてくる、 なかなかの絶景ルート。 広いU字谷の向こうに見えるは Many Glacier の Swiftcurrent Lake、 そして Garden Wall に張りつく Swiftcurrent Glacier の眺めも目の前に広がる。 Lookout に一歩一歩近づくにつれ、 何故か遠くなるような錯覚。 しかし、 急がねばならない理由が実はもう一つあった。 Many Glacier 側から接近する雲がみるみるうちに発達し、 今登っている Swiftcurrent Mountain を飲み込もうとしている。 あと30秒で Lookout に到達という時、 中から常駐のレンジャーさんが出てきて 「まずは早く写真を取って、 それから中へ入ってこい。 急げ!!」
まさに間一髪。 ボクが Lookout に到達して、 それから1分もしないうちに Lookout からの絶景はあっという間に白い雲に飲み込まれてしまった。 途中で追い抜いてきたパーティは残念ながら今頃雲の中を登っているのだろう。
中には、 夏場この狭い Lookout に常駐して、 山火事の状況やその他の観測を行っている Johnさんというレンジャーが色々観測器具を見せてくれる。 GPSレシーバーなんかもあったと思うが、 他は詳細地形図と測量用の目盛りや器械照準など、 意外とローテク。 しかし、 6日いて3日下山、 とかそんなサイクルだったっけな、 忘れてしまったが、 なんというか退屈そうな仕事だなあ。 レンジャーになるのはやっぱやめとこうかなぁ(笑)。
〜その頃二人は〜
その頃、 残された二人は Grantie Park Chalet 脇のベンチで高原のそよ風にあたりながら昼寝なんぞしつつ疲れを癒していたそうな。 あー、雲が山を飲み込もうとしてるなぁ、 というのも見えたとか。 ボクも彼らも、 雲のせいで雨に降られたりしなかったのは良かった。 二人には「16:30までに戻らなかったら、下山を開始してて。」と言っていたのだが、 かくしてボクが Chalet に戻ったのは約束から5分遅れの35分。 二人は当然ながらもうそこには居ない。 Chalet で一人記念撮影をして、 そそくさと下り始めると15分くらいで追いついたかな。 下りはまぁ、 そこそこのペースで。 特にAちゃん、 ホントにお疲れ様でした。 よくよく考えると700mくらいの高低差あったんだよね。 さすがに彼女にはちょっとしんど過ぎたかな。
というわけで、 明日は足休めに昼頃からラフティングやりまーす。 朝ゆっくり起きて、 まずは買い出しから。 デハ。