ムーミンの谷へようこそ (1)
【7/23/2005】 Hidden Lake Trail
【7/23/2005】 Hidden Lake Trail
Preface
今回、 夏休みはたっぷり2週間、 のつもりがよく数えてみたら計18日連続も取っていた(いい会社だ^^)。 後半一週間はここ数年夏に通い始めているカナダのコロンビア・セルカーク (Selkirk)山系を一人で歩くとして、 前半の一週間弱は、 この会社に入社して以来10年(ひぇー、 いつの間に)の親しい友人となる、 今はカリフォルニアの事業所で仕事をしているR氏と、 奥様Aちゃん(こちらももう5年のおつきあい)のこの二人を いつかGlacierに案内します、 という1年以上前にした約束を果たすべく、 遂に今夏、 一番花の美しいこの時期を狙って敢行。 実はこれまで敢えて外してきたわけでもないのだが、 これだけ何度も足繁くGlacierに通い続けているボク自身も、 高山植物たけなわのこの季節をまともに時間をかけて歩いたことがほとんどなく、 二人を案内し楽しんでもらうことはもちろんだが、 その実自分自身にとってもかなり楽しみにしていた旅だった。
が、 まずはいきなりまとめから。 今回、 人を案内するにあたり、 色々勉強になったというか、 結論を言うと、 個人的には多少課題を残した一週間となった。 というのも、 ボク自身別に完全なる奉仕精神にて臨んだわけではなかったが、 それでも、 人を案内する以上、 もう少し案内される側の(体力)レベルと要望をしっかり見極めて計画を組むべきだったかも知れないということだ。 車でGTTS走って、 Many Glacier Hotel でコーヒーでも飲みながら景色を眺めて、 Waterton でギフトショップ物色して Prince Of Wales Hotel でお茶しておしまい、 それで満足。 ...のような日程でも二人にとっては良かったのかも知れない。 けど、 ま、 ボクが案内するのだから残念だけどそれはあきらめておくれ。 ここは世界に誇る自然遺産。 自分の足で歩きながら花や森や水の匂いを感じ、 山の風に揺られ、 大地を体感してもらえたら、 という点では、 限られたスケジュールながら、 おそらく彼らに「いつもより一歩踏み込んだ体験」を提供できたとは思ってる。 けど振り回してたら反省します(←あんまりしてない)。 アウトドアがトラウマになったりしてないかな〜? (^^; ボクの方も勝手に盛り上がって、 少し自分自身の要望を通しすぎたかも知れない。 すまぬ。
【後日談】あとできいたところによると、ある意味典型的な in-door girl とも云えるAちゃんは、 やっぱちょっとトラウマが残ったらしい。わははっ(^^;; こりゃ悪かった。
7/23 : Calgary → GTTS、 Hidden Lake Trail、晴
〜花・花・花〜
今回は、 後半も考えてカルガリーをゲートシティにしてのアプローチ。 サン・フランシスコから夜遅い便でやってくる彼らを待つべく、 夕方までに着いた自分は先にホテルにチェックインし、 3時間ほど爆睡。 普段一人だったなら、 おそらく無理してでもその日のうちにGlacierに向けて走っていただろうが、 こうして初日は空港から近場に宿を取り、 長い空旅の疲れと時差ボケを癒すのは、 のちのちのことを考えると正解のような気がする。
夜が明けて、 午前中はカルガリーからひたすらレンタカーで南下。 国境を越え、 一路 St. Mary を目指す。 気持ちのよい天気だが、 風が強い。 St. Mary Lake の湖面が波打つ。 GTTSに入ると早くも道の左右を彩るカラフルな夏の花々に目を奪われる。 そう、 Glacierは今が夏の高山植物最盛期。 この北の大地に、 百を超える種類もの花が一斉に咲き乱れる太陽の季節。 そして湖と空の碧と、眩いばかりに連なる岩山。 みな一様にテンションが上がる。 が、 盛り上がっているAちゃんを横に見ながら、 R氏が一言 「まだ初日の最初だけど、ウチの嫁、 これまでの経験からしても、 多分今がテンションのピーク。」 などとコメントしてて、 わっはっはと笑い合っていたのだが、 どうも彼のこの発言は決してジョークではなく、 自分の伴侶をよく知る者の的確な予言だった...らしい、 ということがあと数日して明らかに。
昼過ぎに Logan Pass に到達するも、 さすがハイシーズンの週末の昼時、 駐車場は満杯で入れて貰えず、 仕方がないので別の所でランチを食べてから、 戻ってきたら丁度入ることが出来た。 今日は足慣らしも兼ねて、 いつもの Hidden Lake Trail の木道を歩き始める。 昨冬は雪が少なかったらしく(だってGTTS も5月半ばには開通してたからね)、 この時期にあって Hidden Lake Overlook までのルート上はおろか、 ルートから見える範囲にもほとんど残雪がない。 とすると、 残念ながら一面のGlacier Lilyの大群生には若干タイミングが遅かったことになるが、 それでも Paintbrush, Shrubby Penstemon, Shrubby Cinqufoil, Alpine Laurel, Mountain Heath, Monkeyflower, Spring Beauty, Pink Spiraea, Fringed Grass-of-Parnassus, 云々... 数え切れないほどの花が僕らを迎えてくれる。
トレイル脇で悠々と草を食む Mountain Goat のお母さん。 そしてそのすぐそばで安心して昼寝をしている子ヤギが可愛い。
- 「見てみ、 母親はすごい賢いから。
何も考えてないように見えて、
実は必ずボクらと子ヤギの間に自分が割って入って、
さりげなく子供を守ってるんだよね。」
- 「はー、なるほど。 だから微妙にこの立ち位置を保ちながら草を食べてるんすね。」
- 「そうそう。賢いやろー。」
- 「あれ? しかし草を食べ進むうちに、 どんどん子ヤギから離れていってないすか?」
- 「あらら...」
- 「あら、今ならボクら十分そこでうたた寝してる子ヤギを襲える位置 になっちゃいましたねぇー。」
- 「...。」
- 「はー、なるほど。 だから微妙にこの立ち位置を保ちながら草を食べてるんすね。」
〜ようこそムーミン谷へ〜
そして、 Hidden Lake Overlook を過ぎたあたりから、 例の白い綿帽子のような Beargrass が 湖に向かって谷を覆うように群生をしている。 その景色は、 どこかしらお伽話のようで、どこかしら童話か漫画のようで、 どこかしら夢の中のようで、 とにかく非現実的なことこの上ない。 ベタといっちゃベタだが、 やっぱりこれはニョロニョロだよね。 顔はついてないけれど。 ムーミントロールの谷へようこそ。
いつものようにまずはとにかく湖畔までは降りてみる。 しかし残念ながら、Outlet から先は Grizzly Bear が出没中ということで、 エリア閉鎖となっていた。 とは云え、 本日は脚慣らし&様子見でもって、 昼過ぎから半日ハイクのつもりで歩き始めたのだから、 それで特に問題なし。 少し風が強かったものの、 天候も良く、 美しい色彩に溢れた景色を堪能した初日となった。
宿は GTTS を西に抜け、 Lake MacDonald 最西端の Apgar Village にて、 Apgar Village Lodge に日本から予約を入れておいた。 電話で部屋を取った時、 「追ってすぐにConfirmation Message をメールで送るから」と言われ、 間違いのないように電話口で数回メールアドレスの確認をしたにも拘らず、 ついぞ何も送られてこなかったという一抹の不安はあったものの、 行ってみたらちゃんと予約は入っており、 ほっとする。 一人で巡ってたら、 どこかで車中泊でもキャンプでも何とでもなるんだけど、 お客さん同伴だとどうしてもその日その日の宿の確保にはそこそこ気を遣う。 とは云えもう一晩延長を頼んだら、期待とは裏腹に「満杯」と言われてしまい、 次の日は夕方 Kalispell まで車を走らすことになるのだが...。