墨絵の谷へ(2)
【4/23-4/27/2003】 Iceberg Lake Trail
【4/23-4/27/2003】 Iceberg Lake Trail
4/24: Iceberg Lake Trail、曇時々晴・曇時々雨霙
本日木曜。 日曜(正確には月曜早朝まで)にはSeattleまで700マイル(1,120km)の大移動をせねばならないことを考えると、 今日から実働3日しかないのだ、実は。 しかも予報では天気はずっとパッとしないという。
朝、 起きてみればまぁまぁの晴間。 が、 山は暗雲が立ちこめている。 今日の目的地は Many Glacier。Swiftcurrent Pass Trail か願わくば Iceberg Lake へ。
〜入国トラブル〜
ここはカナダ側。 Cardstone で食料等調達して、一路南下、国境。 ここで予想外の事態発生。 トラブったわけではないのだがUS入国審査に何と30分近く費される。 原因はどうも、 パスポートにSSN(Social Security Number: 社会保障番号)のカードを狭んであったかららしい。 お前はJapanから来たのに何故SSNを持っているのか。 幸い古いパスポートも持っていたのでそこに貼ってあるL1ビザを見せ、 法的に正しくUSで働いていた経歴を説明し、 社員IDを見せてその会社の社員であることを証明し、 そして何故ビザ記載の社名とIDの社名が全く違うかを説明し (ウチの会社は社名が変わったのだが、 それについてはすぐに納得してくれた。 余談だが、 古い社名の方はさすが超有名アメリカ企業だけあって、 こんな辺境の審査官も知っていたが、 新社名の方はやっぱり知られていなかった(泣)) そして帰国後から今日までのボクのUS入国記録のリストを持ってこられ、 一つ一つ、 確認を求められ...って、 やっぱり一回一回入国記録ってデータベースに入れられてんだね。 そうなんだ。
審査中は、 特にものものしい感じではなかったけれど、 やっとSSNを持つに至った経歴を確認できたのち、 さすがに時間をかけて悪いと思ったのかどうか、 審査官の一人のおじさんが世間話を始めた。 こちらとしては早く解放して欲しいんですけど。
なんでもトーキョーに行った(滞在した?)ことがあるらしく、 その時に清里にも行ったんだそうな。 京都にも行ったらしいが。 京都ならコーベからそんな遠くないよ、 などと応えると、
ところで。
今カナダ側に宿取ってるから、 多分明日も明後日もココ通過するんですけど、
毎回こんな時間かけられるの?
以上、余談。
〜そしてまた再入国〜
さて、 トラブルは Many Glacier に着いてクロカン板の準備を始めたところで発覚。 にゅわんと、 スキーブーツをモーテルの部屋に置いてきてしまったのだった(ってバカ!!)。 さすがツメが甘いと言われるゆえんココにあり。 今日はクロカン諦めるか数分悩んだ挙句、 ブーツをカナダに取りに帰ることにした。 USへ再入国時、 さすがに審査官の顔ぶれは変わらず、今度は顔パス状態だった。 理由を告げたらさすがに笑われたけど。
てなわけで、 10時半過ぎにはクロカンスタートできるはずが、 結局1時間半以上遅れ、 昼になってしまった。 雲は多いがギリギリ晴れているのが幸い。
〜日本人初の偉業?〜
とはいえ、 せっかくの機会だから、 予定通り Iceberg Lake Trail に挑戦。 景色の美しい夏場の人気トレイルにして、 最初を除けばさほどキツい登りもなく、 距離も片道4.5miles(7.2km)と妥当。 歩けば片道2時間程度。 という記憶を頼りにスタート。
で、 結果からいうと、 さすがこの雪の季節、 楽しかったが思っていたほど楽々でもなかった。 最初の30分ほどは、 雪があったりなかったりでその都度板を履いたり脱いだり。 さすがアルパイン帯は一面が雪の斜面と化しており、 これではどこが本来のトレイルだかわからないという不安や、 何より要注意なのが雪崩である。 実際、 そこかしこに雪崩の形跡があるし、 標高が上がり、 岩壁が近づくにつれ、 先方で実際に大規模ではないが雪崩が発生しているのが見えるんだなぁー。 やだよやだよ。 そしてその都度谷に轟く雷鳴のような音。 皆さん、 雪崩の音って聞いたことあります? いつ聞いてもイイもんではないです。
トレイル位置を大体予想しながらあまり岩壁に近づかないようにルートを取るが、 途中どうしても数ヶ所雪崩跡をまたがねばならない。 壁から時折滝のように雪が落ちる。 あの下にいたら死ぬな。 雪崩は遠くから見物するに限る。
Iceberg Lake。
当たり前だがこの時期、 "Iceberg" どころではない。 単なる雪原である。 面白いことに、 湖面であるはずの雪原表面には、 よくよく見るとテントウ虫(やその他の虫)が点在している。 どこから飛んできたのか。 しかも何のために?
湖面を真っ直に突っ切り(冬場ならでは)、 夏場じゃ普通行くことの出来ない奥端の断崖真下に到達したところでランチ、 といきたいところだったがやはり雪崩がちょっと心配なので、 Lake のほぼ真ん中まで戻り、 食事。 有史以来、 Iceberg Lake「湖上」でランチを食べた「日本人」 はおそらくいないのではないか? この偉業は、後世に永く語り継がれていくに違いない。 ...ってどこにだよ。ここ?
山向こう(Swiftcurrent Valley)の方からゴロゴロ雷鳴が聞こえてくる。 すごい雪崩が起こっているに違いない。 しかも一度や二度ではない。 随分とまた派手だなと思っていたら、ほどなくこちらの谷でも鳴り始めた。 頭上である。あら? こりゃ本物の雷鳴だ。 見れば駐車場の方面は既に真っ暗な雲に覆われており、 こちらにも立ちこめ始めている。 天候急変の模様。 風は大したことないが、 霙(みぞれ)が一面に降り始める。 そしてまた頭上で雷鳴。 しかし雨風は良いとして、 この状況、 雷はかなりヤバいのではないか? ここはアルパイン、 一面雪斜面のオープンエリアである。 段々と冒険らしくなってきた。 プチ冒険。 焦ってコケる。 足早に森林地帯まで退散。 ちとこわかった。
- Eweの群れ(数頭): Many Glacier
- Columbian Ground Squirrel: Many Glacier
- Ramの群れ(数頭): Iceberg Lake Trail 遙か上
- 相変わらずすごい斜面にMountain Goat が群れとる、 と思っていたが、後日写真判定によりBighorn Sheep であることが判明。
- Ptarmigan: Iceberg Lake Trail
- 今回、冬仕様の Ptarmigan(ライチョウ)を見たい、 という希望が強くあったものの、 出会ったライチョウはしっかり夏と同じ茶色だった。 冬毛は真っ白ちゃうんかーい。話が違うやんけー。