Two Medicine 侮るなかれ 〜 Glacier紀行2000・夏(後編) (2)
【9/2-9/4/2000】
【9/2-9/4/2000】
Day-8 (9/02) : Two Medicine, East Glacier、小雨ときどき晴れ
雪化粧をまとった稜線の山々が美しい初秋の朝、 テントは昨夜の豪雨で泥だらけ。 近くの流れでザブザブ洗い流す。
曇空、 小雨パラつく中、 ゆっくり Two Medicine Campground に戻る。まだ昼だ。 左足の鍵が少し痛む。
撤収後、 East Glacier に宿を確保し、 Glacier Park Lodge のラウンジで昼食。 ポテトクリームスープが四肢にしみるうまさ。 午後3時くらいまで窓の外を眺めていた。
少し天気が回復してきたようなので Two Medicine に戻るが、 足を使いたくないのでボートに乗る。 $8.00。 わかっちゃいるが高い。
駐車場から歩いて数分の Red Eagle Falls を見る。 Trick Falls といわれるだけあり、 穴から水が落ちるヘンな滝。
んでもってその夜。
Glacier Park Lodge Hotel にて、 ギター講談(?)のショーを観る。
ギター弾き語りの兄ちゃんがスライドを使いながらの
Lewis & Clark 探険隊の西部遠征の話をする。 けっこう面白い。
$7.00 でこんだけ楽しめりゃ云うことなし。
曲ちょっとダサいがカントリーチックで悪くない。
- ハイク本日分:5.0mi 計:91.7mi(146.7km)/8days
Day-9 (9/03) : Scenic Point Trail, Swiftcurrent Valley、曇時々晴
〜 Two Medicine 侮れず 〜
Two Medicine 最終日。
午前中は Scenic Point Trail に挑戦。
初級者向けサブアルパイントレイルといった感じで、
あともうちょっと楽なら「なんちゃってハイカー向けコース」に紹介したいところ。
ものの20分ほどでサブアルパイン領域に出る。 早っ!
とても風が強い。 しかし幸い天気はどんどん回復に向かっている。
白骨林と化した景色の中のトレイルを登ると、 どんどん Two Medicine の景色が拓けてゆく。 なるほど、 それで"Scenic" か。 と思っていたらこれはまだプロローグに過ぎなかったことにあとから気付く。 目の前の灌木の陰から3羽のPtarmigan(ライチョウ)が飛び立つ。
2時間も登ると、 なんとロッキーの東に広がるモンタナの大平原地帯遥か、 東の地平線が見られる High Plain に到達。 こここれが Scenic Point の名の由来か。 すばらしい。なんか一昨日から Two Medicine には圧倒されっ放しだ。
余談。 トレイルで会った中東顔のハイカー。
〜 冥想中。 〜
午後4時、 Two Medicine を昼過ぎに去った自分は、 Moose に会いたいがためにもう一度 Many Glacier の Swiftcurrent Pass Trail を歩き始める。 途中 Bullhead Lake 手前でレンジャー率いるハイカー集団とすれ違った時、 湖奥のトレイル沿いの草地に一頭の大きなMooseが昼寝しているとの重要な情報を入手。 気がはやる。 Lake を抜け、 茂みを抜けちょっとした Meadow にさしかかった時... いたっ、これはデカいオスの Moose。
時おりその水掻きのような大きな大きな角、 というか頭をゆらりゆら〜り動かしながら、 それはそれは気持ちよさそうに寝ている。 しかもだ、たまにムニムニフゴフゴと寝言をいっているではないか。 夢でも見てるんだろうか? 犬は夢を見るらしいが。 感動じゃ。
結局彼が起き上がって草を食べ始めるまで、 1時間15分もボクはトレイルからこいつの寝顔を見ていたことになる。 眠りから覚めた直後もなんかユーモラス。 フッと頭を起こし、 「何してたんだっけ?」 といった風情で周囲をボ〜ッと見回したのち、 えーとどうしようかな、 とりあえず草でも、 と寝ぼけまなこでフゴフゴ食べ始める。 人間と一緒やな。 なんかマンガチックな牧歌的風景であった。
Many Glacier Hotel 講堂にて Evening Slide Program を見る。 司会は昨シーズンに一度レンジャーハイクでお世話になった Dianne Steele さん。 美しいスライド写真と共にGlacier設立の歴史が語られてゆく。
この風景を、 あなたの子供、 孫、 孫の孫、 孫の孫の孫、 そしてそのまた孫の代までずっと残してあげたい、 という締めの言葉が胸に響く。
Many Glacier Campground に舞い戻るも、 テント(洗ったので)濡れてて中で寝たくないので、 車中泊。 キャンプサイト使用料はもちろん払ってます。
- ハイク本日分:13.0mi 計:104.7mi(167.5km)/9days
Day-10 (9/04) : Siyeh Pass Loop Trail、晴れ時々曇
〜 サーイィ 〜
稼働最終日なのでゆっくり荷物をパッキングし直し、 昼前に Sunrift Gorge 着。 車を止め、 ヒッチハイクで Siyeh Bend まで行きたいが、 車は簡単につかまらない。 10分ほどでレンジャーの運転するバンが止まってくれありがたや。 このネイティヴアメリカンのレンジャーさんによると、 "Siyeh" は「シエイ」ではなく「サーイィ」と発音するらしい。
森を抜け、 青空に浮かぶような Piegan Mtn. を斜め後ろに快適ハイク。 ガレ場で勾配がキツくなるものの、 Passに到達すると High Saddle, Paramount Snowfield そしてU字谷が圧倒、 しかもPassから数分歩くと、 斜め前方に 巨大な Sexton Glacier がどど〜んと。
本来のルートではないが、 primitive trail が氷河へいざなうので歩いてみた。 ものの10分ほどで Sexton Glacier の目の前まで行きそうな雰囲気だったが実際歩いてみるとトンでもない。 氷河までの距離は予想以上だ。 Goatの群れがこっちを不思議そうに見下ろしている。 すごい迫力のGlacierを真近に見下ろすモレーンの稜線上を歩き、 本来のトレイルに戻ってきたら、 1時間近く経過していた。
その後は高山植物の揺れる subalpine meadow の斜面をひたすら下る。
かなり降りてきた頃(トレイル終点から30分手前頃)、
ミシガンから来た大学生二人がものすごい勢いで登ってきた。
お〜い、 今からじゃ遅すぎだよ。
Passまで2時間以上かかるよ、 戻ってきたら夜10時近くだよ、
と言ったら、 行けるところまで行ってみる、
とダッシュで登っていった。若さだね。
...とか言ってたら終点に着いた頃、 彼らが猛ダッシュで下りてきた。
彼ら、 ボクと同じ頃にボクと同じくGTTS沿いの Siyeh Bend を出発したのだが、 森の中の分岐点で方向を間違えてしまい、 GTTSに降りてきたんだそうな。 ご愁傷様。
〜 夜間競泳 〜
これで最後、 の夜、 ボクが選んだのはビーバー観察。 Apgar Village の例のポイントをターゲットに、 橋の上に夕方から張り込み開始。 張り込むこと1時間、 やっと巣から出てきたものの、 水中遊泳だけですぐにまた家に戻ってしまう。 更に1時間ほど粘り、 かなり暗くなった頃、 月明かりに照らされた川面にとうとう頭を出した..... あれれ?? 3頭もでてきた。 この半年のうちにいつの間にやらルームメイトができていたらしい。 泳いだり潜ったり枝かじったり。 写真を撮るのは若干遠すぎしかも暗すぎ、 と思ううち、 そのうち2頭が橋の下まで泳いでくるので壊中電灯をあててフラッシュ撮影を試みる。 うまく撮れているといいが。 更に1時間くらい見ていただろうか。
心ゆくまでビーバー達を眺めたあと、 Kalispellへと戻る。 明日、 早朝フライトなので、 宿を取らず24時間スーパーなどで時間を潰す。
- ハイク本日分:11.7mi 計:116.4mi(186.2km)/10days - これにて打ち止め。
【付記】
帰国してから分かったのだが、 8/28 Stoney Indian Pass Trail 登高中、 カメラを誤ってどこかに強くぶつけたらしく (はっきりしないが、 なんとなくそのあたりで地面に落としたような曖昧な記憶がある) その時にどうもフォーカス用メカがずれてしまったらしい。 その後の写真はある条件を除いてはことごとくピンボケで、 特にちょっとでもズームして撮った写真は全滅であった。 9/3 には Bullhead Lake 近く(Swiftcurrent Valley, Many Glacier) 巨大なオスのMooseと感動のご対面、 トレイル上で1時間以上粘り、 10数枚のズーム写真を撮ったがことごとくダメ、 9/4夜にはApgarで夕闇の中2時間待ち、 Beaver数頭のしぐさを存分に堪能できたがその時に狙った数枚の写真も全滅であった。
これはこちら側の過失で破損ということになるのだが、 カメラ購入後一年未満なのでもしや「いやーなんかピンボケなんすよ」 と言ってメーカーサーヴィスセンタに出したら保証が効くかもと思ったが、 さすが向こうも百戦錬磨、 すかさず、 「このファインダーの部分欠けてますね、 強くぶつけてますね、 ここにも同様のキズがありますね。」 と指摘され、 結局無料修理は勝ち取れなかった (^^;)