ピカードとウェスリーが二人きりでシャトルに乗り･･･という状況は「ファイナル･ミッション 新たなる旅立ち」にも見られる。はじめはおそるおそる話していたウェスリーと、子供相手にどう接してよいのか戸惑うピカードだが、しだいに打ち解けていく。ピカードが語る「専門馬鹿にならず、広い視野を持て」という言葉は実生活の上でも重要なことだろう。・「二十数年前はまだクリンゴンと惑星連邦は同盟関係になかった」とピカードの口から語られる。
一方、今までどちらかというとデイタをからかったり、ウォーフを軽くあしらったりするシーンが多かったポラスキーだが、今回のエピソードでは医者として超一流の腕前だということが明らかになる。画面に登場する時間はそれほど長いくはないが、ポラスキーの活躍が描かれているという意味でも非常に印象的なエピソードだった。
ピカードの心臓を刺した異星人は､吹き替えでは「ノーシカン人」になっているが、ご存知の通り、これはアニメの「風の谷のナウシカ」に由来している。 また、問題の二十年前の事件に関しては「運命の分かれ道」で詳細に語られることになる。
のろのろしているが悪知恵の働くパクレド人のモデルは「努力をせずに結果を求める現代人」である監督のLes Lindauはインタビューの中で述べている。
エンタープライズはパルサー星団の調査のためエプシロン第９地区に向かっていた。
ブリッジ。ウェスリー･クラッシャーはアカデミーの試験を受けるため、もうじき第515宇宙基地に向かうことになっていて、艦隊司令部から試験の情報が送られてきた。ライカーたちはウェスリーを励ます。
その頃、医療部ではピカードとポラスキーがなにやらもめていた。ピカードはすぐにでも手術を受けなければならないらしい。彼女は医者の立場から彼に第515宇宙基地で治療を受けるように奨めるポラスキーと、断固と拒否するピカード。それならエンタープライズの医療部で手術を行ってもいいと言われたピカードは「艦長としてそのような姿を部下に見せるわけにはいかない」と答える。ポラスキーが秘密を守ると言うと､ピカードは苦虫をかみつぶしたような顔で医療部から出ていった。
ブリッジに戻ったピカードはウェスリーに自分も第515宇宙基地へ「私用のため」一緒に行くと告げる。ライカーに私用なら自分が行くと言われたピカードは理由を明かさず、作戦室へ下がってしまう。あとを追ってきたライカーに改めて理由を尋ねられたピカードは「プライドの問題だ」と答えた。
通路を歩くウェスリーとジョーディたちはアカデミーの試験について話している。試験自体よりもピカードと二人きりになることが心配のようだ。
ウェスとピカードがシャトルで出発した直後、エンタープライズに救難信が入る。
救難信号の発信源に向かうとポンコツ船にのったパクレド人たちが途方にくれていた。状況を聞き出そうとするが、ただ「助けてくれ」と繰り返すばかりで的を得ない。慣性制御システムの不調らしくジョーディが単身でパクレド船に乗り込み修理することになった。
シャトルの中でピカードは、自分の体に欠陥があることを乗員たちに知られたくないため宇宙基地で心臓移植手術を受けることにしたとウェスに白状する。
パクレド船に乗り込んだジョーディは早速修理に取り掛った。エンタープライズのブリッジにトロイが血相を変えて飛び込んでくる。パクレド人からは何の不安も感じられず、ジョーディーが危険だとライカーに報告する。
修理自体はすぐに終わるが、今度はメインエンジンが故障してしまう。ライカーはパクレド人に宇宙基地で修理をうけてはと提案するが断られ、ジョーディはため息をつきながら再び修理に取り掛かる。
シャトルの中では気まずい雰囲気が流れ、ウェスはピカードに「ライカーと一緒に来たほうがよかったですね、顔に書いてあります」という。しして「ずっと父親のように思っていました」と告げる。
パクレド艦の修理が終わりエンタープライズに戻ろうとするジョーディはフェーザーを奪われ撃たれてしまう。ライカーは彼を回収しようとするが、パクレド艦には強力なシールドが張られ、ロック出来ない。その上、パクレド人たちは一方的に通信を切ってしまう。
シャトルの二人はだんだんとなごんだ雰囲気になってきたようだ。ピカードからなぜ移植を受ける羽目になったのか聞かされたウェスは目を丸くする。
気を取り戻したジョーディはパクレド人たちからフェーザーを複製するのを手伝うよう命じられる。エンタープライズではパクレド人の真意を図りかねていた。
シャトルは第515宇宙基地に到着しようとしていた。時間がなくて前に貰った本をまだ読んでいないと言うウェスにピカードは専門知識以外のことに目を向けることの重要性を説く。
パクレド人から通信が入り、ジョーディの身柄と引き換えにコンピューターの情報を要求して来た。ライカーたちはパクレド人の裏をかく作戦にでることを決定する。そしてパクレド人にジョーディが武器の専門家であるかのように思わせることに成功する。狙い通り彼は光子魚雷を作るよう命じられる。
宇宙基地ではピカードの手術が開始された。だが予想以上に心臓の状態が悪く難航し、急遽呼ばれた生分子学者の手にも負えない。執刀医は匙を投げ、「あの人を呼ぶしかない」と言う。
エンタープライズに宇宙基地からピカード危篤の報が入る。いきなりの知らせに驚くライカー。だがジョーディを見捨てる訳にもいかない。パクレド艦ではジョーディがやっと光子魚雷を完成させ、パクレド人たちは大喜び。ライカーはパクレド艦に最後通牒を出し、カウントダウンを開始する。ジョーディは点検を続ける振りをして魚雷を分解してしまう。カウントがゼロになりエンタープライズから水素コレクターが発射された。ジョーディの演技にまんまとだまされたパクレド人たちはがっくりとうなだれる。エンタープライズはジョーディーを回収し、宇宙基地に向かう。
ピカードの手術も無事終わった。彼が目を覚ますと目の前にポラスキーがいる。「君を巻き込みたくなかった」というピカードに「もう遅いわ」とポラスキーは微笑みかける。