世界のトイレ事情
トルコ−イスタンブールのトイレ事情
1.トルコ公共トイレ協会
イスタンブールの人口は約1500万人である。人口の98%はイスラム教徒であるが、「建国の父」ケマル・アタチュルクによって政教分離が貫かれてきた。飲酒などの習慣にも寛容で、イランのように生活の隅々まで宗教が支配するという堅苦しさは全く感じない。 しかし、トイレの習慣はイラン同様にイスラムの教えにしたがって、男性の小用もしゃがんで行い、排泄のあとは水で浄める。ただ、公共トイレには小便器もあるので、イランほど厳格にこの慣習が守られているわけではなさそうである。 トルコでも若者の清潔志向が強まっており、トレイについても衛生面、清潔面から改善のニーズが高まっている。 トルコの公共トイレ事情について、1994年に政府や衛生機器企業で設立されたトルコ公共トイレ協会(Turkish PublicToilet Association)会長のImdat Habip氏は次のように述べている。(‘96とやま国際トイレシンポジウム資料) 「西欧の文化、メディア及び旅行などにより触発された若者は高度な清潔さを要求するようになった。現在では、教育関係者がトイレを清潔に保つことの必要性を教え込むのに大きな役目を果たしている。数年前に、ある地方委員会(local council)が公共トイレを設置し、その維持管理を委員会自身で行おうとした。しかしコストがかかる上に管理が難しいことと破壊行為によって施設はたちまち悪化してしまった。そのため地方委員会が自らトイレを管理することは長く続かなかった。この業務は地方政府から公共施設を借り受ける個人に引き継がれた。借り受けた人は、作業員を雇い、料金を徴収したり清掃して、水道代や電気代を支払う。」 トルコ公共トイレ協会は、障害者用のトイレや赤ちゃんのおむつ換えのための設備等の普及や、夏期の水不足に備えてトイレのための安定的な水供給のためにトイレにタンクを整備し、衛生状態の維持に取り組んでいる。 |
2.イスタンブールの有料トイレ
イスタンブールの市内ではいくつか特徴的な公共トイレを見かけた。グランドバザールのトイレは、有料であった。バザールのはずれにトイレへの通路があり、トイレは地下に設けられている。入り口には男性がテーブルの前に座り、テーブルの上にはレジが置いてある。料金はトイレから出るときに支払う。チップではなく、「定価」が決まっている有料のトイレで、料金は20,000トルコリラ(約20円)である。レシートも発行される。
(グランドバザール有料トイレの料金所)
トイレの内部は思ったより広く、器具や設備が古いためにそれほど快適とは言えないが、日本の古い公共トイレよりはよほど清潔である。トルコ式便器の個室には水道の蛇口がある。ドアの方を向いて用を足し、水道の水を容器に受けて洗う。トイレブースの外にはドラム缶が置いてあり、たっぷりと水がためてある。プラスチック製の手桶があった。ブース内には水道があるので、これは立ち小便用かもしれない。 イスタンブール市内には1700のモスクがある。そのすべてにトイレが設置されているという。そのほかに、バザール等にも多数の公共トイレがある。イスラム教では排泄の姿を人に見られることを戒めているため、トイレは目立たない場所に置かれている。外からは見えないように、壁で囲っているため、旅行者には不便だ。旧市街からガラタ橋を渡り、タクシム広場に向かう新市街のメインストリート・イスティクラル通りには、ところどころトイレのサインが掲示されているが、サインにしたがって脇道に入ってトイレをさがしてもなかなか見つからない。 |
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