雑記21:非常に気になるお店<3>(1998.11.15)


それはとある地方都市の中核駅(JR線)前での出来事であった。

そこは人口48万人というそこそこ大きな都市で、駅を出たすぐ左手にみかんを模った電話ボックスがあるというほどみかんを売りにしているところである。懸命な読者ならもうピンときているだろう。


その時の私の状況は、特急電車(1時間に1本)に乗るべく空港からタクシーですっ飛ばしてきたけど間に合わず、仕方なく次の電車を待つ、しかもまだ夜の8時半時頃というのに喫茶店の1軒も開いてないという状況だった。

もちろん知らない町で1時間弱の時間を潰すために次の特急に乗り遅れる覚悟をしてまで開いてる喫茶店を探そうとは思わなかった。
そこで、駅の前にあるバス停の長椅子(青色のベンチ)に座ってじっと待とうと決心し、実際ボーッと待ったのだった。


私は暇な時は常にあちこちをキョロキョロと眺めているか、前を行き交う人々を注意深く観察している。本を読んだりウトウトしたりなんていうもったないない時間の使い方はしないのだ(どっちがもったいないかはその人の価値観に依るんだけど....)。

そんな充実した(?)時を過ごしている時だった。それまでは前を行き交う人をかなり注意深く観察していたのだが、如何せん8時半に喫茶店が開いてない町であるので人通りも極端に少ない
本当に人口48万人もいるのだろうかと疑いたくなってしまう。県をあげて国勢調査をちょろまかしているのであろうか○○四県の中で最大の都市であることを目論んでいる(ライバルは○松市)ため、十分考えられることだ(んな訳ねーだろっ!)。


脱線した。そんなわけで、今度は辺りの建物をチェックすることにした。もちろん先述のみかんを模った電話ボックスはとっくに調べが済んでいる。
調べた結果は特筆するようなものではないので省略する。どうしても知りたい人はその旨のメールをここから送って欲しい。もう一度見に行って詳細に報告しよう(ただし年末までしかこの町にはいないから、あと1月ほどしか猶予はないが...)。


さて、そうこうして辺りを観察し始めて間もなくとんでもないものが目に飛び込んできた。

とんでもないもの、実はバス停の長椅子に座る時に何気なく見てはいたのだが、まさかそんな正体だったなんてその時は知る由も無かったものだ。

それはとあるお店で、黄色いテントの上に緑色の服を着て赤い帽子をかぶった妖精のような女の子の絵を組み合わせた文字でこう書かれている。
メルヘン
バス停に座った時は喫茶店かケーキ屋かファンシーショップ(っていう言葉あるのかな)かなにかそんなもんだろうと漠然と思っていたのだが、よくよく見てみると”メルヘン”の文字の上に小さくとても信じ難い言葉か書かれている。
「やきとり・おでんの店」
はあ?私は自分の目を疑った。しかし、どう見てもそれは”やきとり・おでん”と書いてある。こんな衝撃は久々だ。そう、例のカクテルと同じ衝撃だった。

メルヘンやきとり・おでん。この両者を結び付けるようなニューロンの経路は私の頭の中には存在しない。当然ながらシナプスも出ていない。いくら”カクテル”の出現によって超特殊な信号伝達経路が形成されているとはいえ、そうそう応用が利くほど使いこなされた経路ではない。
注)ニューロンシナプスって何と思った人は早速調べようう〜ん、NHK教育チャンネルのようなページだなぁ。
これは非常に気になる。しかし、しかしである。私はあと15分足らずで特急電車に乗らなければならないのだ。これは悔しい。ビール好きの私が、”メルヘン”という男一人で入るにはちょっぴり恥ずかしいような名前ではあるが、その実焼き鳥屋に入って15分以内に出てこられる訳が無い。
「電車を1本遅らせればいいじゃん」
悪魔のささやきが聞こえる。確かに、もしこの状況で私が一人でいるならなんの躊躇も無く”現地踏査”を実行している。しかし、実はこの時私は例のきれいなお姉様と一緒だったのだ。なんでお姉様と一緒に空港から帰ってきたのかは聞かないで欲しい。おそらくご想像どおりだ。


ということで、”疲れきって早く家に返りたいお姉様””メルヘンという名の焼き鳥屋”との板挟みで大変困ってしまった私だったが、結局お姉様を選んだ(って当たり前?)のだった。そして私もやっぱり普通の男だったんだと自分で安心したのだった。


が、結局”メルヘン”のホントの正体はまだ不明のままだ。店内がどうなっているのか、客層はどんな感じか、店の主人はどんな人かなどなど調査すべき謎は沢山残されている。
いつの日にか必ずやこの謎や疑問を解決する日が来るであろうことを信じてやまない今日このごろである。


おしまい。


P.S.
なんんか落ちも無く中途半端に終わってしまって申し訳ない。だって、その時はそれ以上確認しようが無かったんだもん。今度確認しに行って事後報告するからみなさん許してね