雑記14:カモになった日(1998.10.16)


先日「言いたい放題のコーナー」で”書くよ”と宣言した、きれいなお姉さんとおデートした時に入った店のメニューについてのお話である。

その店はとあるビルの2階にあり、”木”の電柱をカラフルに着色し柱や梁に使っている、新しいのか古い(懐かしい)のかわからないようなイメージで売っているお店だ。

そんな店に入った私とお姉さんがカウンターに腰を下ろすと、元気のいい面白そうな店員さんがカウンターの中から「まずお飲み物の方からお伺いしますと元気よく聞いてきた。

私はあまり好んでアルコールを飲む方ではないが、ビールは別というぐらいビールが好きである。ということで、当然のように例のフレーズを口にした。
とりあえず、生。」
で、お姉さんは私の期待に反して※1ノンアルコールの”烏龍茶”を注文した。
※1
誤解しないように言っておくが、別に酔わせて何かしようという企みではない。ただ、一緒に”いい気分”になりたかっただけである。”いい気分”になった後何が起こるかは2次的な副産物でしかないのだ.....(って、苦しい?)
二人が注文し終わると店員さんは威勢良く厨房に向かって叫んだ。
「ハイッ、とりあえず、生、烏龍茶入りましたーっ
これを聞いて私は「おぉ、この店員も思わず”とりあえず、生”って言ってるぞ。」”とりあえず”という言葉の威力に感心した。

ところがである。この”とりあえず”、実はここの店のメニューのうちの1つだったのだ。

飲み物の注文の後、私とお姉さんが何を食べるかメニューを覗き込んであれがいいこれがいいとやってると、さっき注文したビールと烏龍茶がでてきた。と、注文したのはこれだけだったはずなのに、それに加えて”とりあえず”が出てきたのだ。

当然「何、これである。で、「何、これと聞いたらその店員
「”とりあえず”ですよ、注文されましたよね
???と私が思ってると、お姉さんがメニューの中に”とりあえず”を見つけた。私は店員に
「ちょっと待ってよ〜、これは反則だよ〜。」
と泣きそうな顔(嘘)で訴えるとその店員、「ハハハ、冗談ですよ。」と言って”とりあえず”を下げた。


しかし、これはなかなかうまい手である。だって居酒屋で注文する時は大抵の人は
「○○と××と**と□□と△△と・・・・・”とりあえず”、それぐらいかな」
って頼むでしょ。その”とりあえず”メニューとしてあるのだから。しかも、適当に揚げだし豆腐とかつくねとか手羽先とかに”とりあえず”って名前付けてるんじゃなくて、”鳥のから揚げを酢と和えたもの””とりあえず”って銘々してるんだから。


結局この”とりあえず”事件は、面白そうな店員が客を引きつけるためのお芝居だったのだ。我々はまんまとにはまり、あとはその店員の言うがママに注文するというカモ状態になってしまった。

その店員の手口はこうだ。
誰もいない厨房に向かってわざとらしく「とりあえず、生、烏龍茶入りまーす」客に聞こえるように言って”とりあえず”を客に出す。そして「頼んだでしょ?」ととぼける。で、「実はこんなのもあるんですよ〜」他のメニューを紹介する。
確かに”とりあえず”というメニューがあるのは本当なのだが、よくよく見ると厨房には誰もおらず、その店員が料理を作っていたのだ。

まあ、店員も当然のことながら悪い人ではないし、その店のおすすめメニューや人気メニューを適度に出してくれたので、店も我々もお互い得をしたので結果的には良かったのだけれども.....。


他にこの店にあった似たようなメニューを紹介すると、”あしからず”(下足の唐揚を酢漬けしたもの)、”なすがまま”(茄子を使った料理だったけど詳細は失念)なんてのがあった。他にもあった気がするのだが、なんせメニューを見る必要が無かったのでこれぐらいで勘弁願おう。

ちなみに、名古屋市天白区にある(あった?今でもあるのかなぁ)「あいうえお」というスパゲッティ屋さんのメニューにはこんなのがあった。
”いつものやつ”
初めて来た客でも「いつものやつ」って注文するとホットコーヒーが出てくる。そう、”いつものやつ=ホット”なのである。


ネーミング一つでお客の印象に残ることがご理解いただけたであろうか。
ということで、近々”いろいろなネーミング”について取り上げてみたいと思う。

.....おしまい。


P.S. 名古屋近辺に在住の方、「あいうえお」について追跡調査してくれたらありがたいんだけど....。天白区にあって、小さな川の近くで、208種類のパスタメニューが自慢のお店だったんだけど。