雑記15：勘違い系（1998.10.20）


先日こんなことがあった。

「ちわーっす、まいどー」威勢よく出入りの業者の担当者が事務所に入ってきた。
「これがこの前の注文のやつで、で、こっちが伝票です！まいど！」
あいかわらず元気がいい。もう４０を過ぎたおっちゃんであるが、２０代の佐○急便のセールスドライバー並みの元気良さだ。

で、このおっちゃん、いつもなら「それじゃぁ、またよろしくお願いしま〜すっ！」と言って帰るのだがなぜかその日は私の机まで足を運んできた。
「表の赤い車、お兄さんの？」
その日私は車で出勤していて、事務所の表に駐車していたのだ。
「そうだけど、どうかしました？」
私が答えるとおっちゃんは
「あれ、オペルじゃろ？オペルって日産？」（方言きつい人です）
？？？私は何を言っているのか分からなかった。確かに私の乗っている車はオペルのアストラワゴンだが、それが日産とどういう関係があると言うのだろうか。
私が考え込んでいると、さらにおっちゃんは
「サニーのバンバージョンじゃろか？」
と意味不明なことを口走っている。私は『サニー？あっ、もしかして....』と思い当たるところがあって聞いてみた。
「もしかして、前に付いてるマーク見た？」
おっちゃんはうなずきながら、前にサニーに乗っていたからあのマークはよく知ってることを説明してくれた。
オペルのマークとサニーのマークを両方知ってる方は「はは〜ん」と思うだろうが、知らない人のために一言言っておくと、オペルのマークを表裏反転させてから反時計周りに４５度回転させるとサニーのマークに瓜二つとなる。

そう、おっちゃんは勘違いしているのだ。ただ、このおっちゃんの凄いところは、車を見てオペルであることまで分かっているのに、そのオペル社の車を”日産のか？”と聞いているところだ。
このおっちゃんに言わせればベンツはトヨタの車とでも言い出しそうである。そうするとＢＭはホンダあたりか？

とにかくすごい勘違いをしていることは確かだ。私はオペルはドイツの会社で日産とは関係ないし、ましてやアストラワゴンはサニーの商用車タイプでもないことを説明した。

おっちゃんは一応「なるへそ」（懐かしい言葉だ）とか言いながらまた新たな質問をしてきた。
「で、お兄さんは北海道からきたんでぇ？」
？？？またまた何のことか分からない。私のどこに北海道を連想させるものがあるというのだろうか？
「なんで北海道？」
不思議に思いながら聞いてみた。すると、
「車のナンバー見た」
というのだ。私はますます訳が分からない。なぜなら、私の車のナンバーは”尾張小牧”なのだ。
”尾張”、あの徳川家康の第九子義直からはじまる御三家のひとつがあった”尾張”だ。”尾張名古屋”という言葉を聞いたことが無いのであろうか？
そして”小牧”、これも交通の要所としてちょっとは有名なはずである。東名高速道路、名神高速道路、中央自動車道も小牧ＪＣを起点（終点）としているし、名古屋空港は”小牧”と呼ばれているではないか（って、地元民しか知らんかな？）。
「ナンバーって、尾張小牧のこと？」
おっちゃんは大きく肯いた。また何か勘違いしているらしいが、結局何をどう勘違いしているのかわからなかったので、とりあえず尾張小牧は愛知県の”名古屋”、”三河”、”尾張小牧”、”豊橋”と４つあるナンバーのうちの一つであることを説明してお引き取り願った。
帰り際に「そうかー、お兄さんは中日ファンかー」と言いながら帰っていったが、
if 出身地＝名古屋 then
　begin
　　あなたは中日ファン
　end;
というルーチンが書き込まれているようだ。恐ろしい思い込みだ。きっと”関西人＝阪神ファン”というルーチンも存在するんだろう。
関係ないことだが、私はＧ党である。


さて、おっちゃんが帰った後私はしばし考えた。なぜおっちゃんの頭の中に”尾張小牧＝北海道”というルーチンがコンパイルされていたかを。で、答えはきっとこうだ。
尾張の張→夕張の張
尾張小牧の小牧→苫小牧の小牧
うん、これに違いない。すばらしい連想だ。このおっちゃん、一歩間違えれば大発明家になっていたかもしれないぐらい型破りな発想をするようだ。
そういえばドクター○松も一見あぶない人に見えると思うのは私だけだろうか？


このおっちゃんが次に来た時には何をどう勘違いするのか楽しみだ。

おしまい。