雑記22:非常に気になるお店<4>(1998.11.19)
初の
シリーズ2連チャンである。ただ単にネタが無いというのが本音であるが....。
それは私がとある田舎町に住んでいた時のことだった。
私は休暇を実家で過ごした後、高速を飛ばしてとある田舎町へ戻る帰路についていた。
事件が起こったのは、目的のインターで高速を下り残り40分の道程を気持ちよく運転している最中のことだった。
目の前に広がる景色は子供たちが凧上げするには持って来いの
見渡す限りの水田跡(稲を刈り終えた田んぼ)であった。とは言っても多少の民家や木立などはあるし、それ以前に今時
”凧上げ”をする、いや知っている子供などいるのであろうか
?
まあ、そんなことはどうでも良い。要は
電柱(電線)すら無いような超田舎道を走っているところを想像してもらえれば良いのだ。
私はいつもこのような道を走っていると
「ここらの子供たちはどこの学校に通っているのだろう?」と人事ではあるが気になってしまう。だって、見渡す限り学校らしき建物は見当たらないんだから。
小学校行くのにいきなり下宿?ってなことは無いだろうけど....。
そんな感じの田舎道、当然○○商店というような田舎にありがちな何でも屋もなければ密集した民家地帯も無い。
あるのは土の香りのする田んぼだけだ。それも見渡す限りそういう景色なのだ。今私が車で走っている地点からの最短距離にある民家まで歩けって言われても
「いやだ」と言うであろうほど人口密度が低い。
オーストラリアも真っ青になり裸足で逃げ出すほどだ。
そんなところを何気なく転がしている時だった。珍しく
道沿いに建物が見える。しかも今の風景に全く似つかわしくない外観である。一見すると喫茶店かと思ってしまうような建造物だ。
「な〜んだ、こんな所でも喫茶店ぐらいはあるんだ。やっぱ農作業の合間に近所の人達が憩う田んぼの中のオアシスなんだろうなぁ。」
と思いながらその喫茶店の前を通過した。当然、通過しながら
”どんな名前だろう?”と気になって確認してみた。面白い名前ならウェブネタにしてやろうという魂胆見え見えである。通過しながら確認した名前はこうだった。
「晴れたり曇ったり」
なんか
”ふ〜ん”としか反応しようのない名前だった。私が期待したのは
「こしひかり」とか
「休耕地」とか
「喫茶二毛作」なんて名前だったのだが、意外とそれらしい名前だったのでちょっと驚いた。
私は
”な〜んだ、つまんねー”と思ってまた前を見て先を急いだ。とその時、
フラッシュバックのように先ほどの
「晴れたり曇ったり」のネームプレートが私の脳裏に浮かんだ。そしてそこに
信じ難い言葉を改めて発見したのだ。
”キキーッ!”
真っ赤なオペルアストラワゴンは急停車した。実際はABSが付いているので
”キキーッ!”とはならないが、私にはそう感じたのだ。
田舎道で良かった。後続車などいない。もちろん対向車もいない。私は道路のど真ん中で
カッコ良くスピンターンを決め先程の現場に戻るべくギアを入れ直した(ホントはゆっくり慎重に切り替えしながらUターンしたんだけどね(^^;)。
思ったとおりだ。私の脳裏に映ったものは間違っていなかった。あらためてネームプレートを見上げる。そこにはこう書いてある。
「コインランドリー」
「!!!こ、これだーっ、私が捜し求めていたものはーっ!」たとえようの無い衝撃が体を突き抜ける。
なんとその見渡す限りの田んぼの中に一軒建っている喫茶店風の建物、それは
コインランドリーだったのだ。しかも名前は
「晴れたり曇ったり」。私は車の中で一人ほくそ笑んだ。
「ふっ、やってくれるな。」
しかし田んぼの中のコインランドリーなんて一体全体誰が利用するのだろうか
?
当然学生街があるわけじゃないし、単身者用のアパートやマンション、下宿があるようなところではない。それどころか歩いて行ける近隣には民家すら無い。そんな場所にコインランドリーである。
コイン精米機なら納得するんだが.....。
しかもそのネーミング、
「晴れたり曇ったり」である。
”洗濯”から
”晴れ”という言葉は容易に想像できるので前半の
”晴れたり”は許すとしよう。問題は後半部分、
”曇ったり”である。
”雨”ほどではないが
”洗濯”の大敵であることにかわりはない
”曇り”という言葉をなんの躊躇も無く使っているのだ。一体どういうことだろうか
?
ここの乾燥機は調子が悪く、
うまく乾く時もあれば(”晴れたり”)
半乾きのまま所定の時間が経過してしまう時もある(”曇ったり”)ということであろうか
?
謎が謎を呼ぶ不思議な名前だ。
非常に気になる。だが
”コインランドリー”である。そうそう簡単に確認することはできない。一瞬今履いている靴下を洗って確認してみようかとも思ったが、そんなことをしていたらいつ家に辿り着けるか分からないのでやめることにした。
よく
離島なんかでは島で育った子供が島から出た時に交通信号機を見たことが無かったら困る(危険だからね)という理由で
なんで?というところに交通信号機を設置しているなんてことがあるようだが、もしかしたらこのコインランドリーも、その地区の自治会で
「子供たちが高校や大学行くのに下宿した時にコインランドリーの使い方が分からなかったら困るから.....」
なんていう誰かの一言で建設されたのかもしれない。
よく探すと他に
”公衆電話”とか
”自動改札機”とか
”ユニットバス”なんてのが
田んぼの真ん中に突然あるのかもしれない。
今度暇な時に探検してみよう。
おしまい。