趣旨

 緊急事態が収まった後から、1か月間に行なうべき意思決定を疑似体験するワーキングスタイルの図上演習。
 復旧活動に入る段階で発生する様々な問題点を捉え、何を優先的に取り上げ、どのように対処すべきかを考える。
 緊急時対応の後の、事業継続に向けた取り組みの重要性、優先順位のつけかた、時間の経過と課題の変化を学ぶ。
 社員の防災意識の向上や、BCP教育に。 
内容
・第1部(図上演習T)を体験した後、第2部として行う。
・想定企業、参加者のグループ分けは、第1部と同じ。
・地震発生からの時間経過を3つのタームに分ける。「3日以内」「1週間以内」「1か月以内」。
・それぞれのタームに発生する問題点が10項目、提示されるので、そのうちの重要度の高いものを5つ選んで、その対処方法を決定する。
・ディスカッションタイムが終了したら、グループごとに結果をボードに提示し、発表。
・会場全体の意見交換でお互いの対応を批評しあう。
・各タームごとに同じ作業を繰り返す。。
対象者
経営幹部、防災担当者、一般社員
所要時間
3時間〜3時間半
   全体ルール説明      10分
   第1ターム
     説明        5分
     ディスカッション 20分
     グループ発表  25分
   第2ターム
     説明        5分
     ディスカッション 20分
     グループ発表  25分
   第3ターム
     説明        5分
     ディスカッション 20分
     グループ発表  25分
   全体の振り返り   10分
  (随時、途中休憩を入れる)   
人数
8人以上(2グループ以上)
20人〜40人が最適。
会場
グループワークができる会場
必要備品
ホワイトボード、グループごとに模造紙が掲示できる壁面、マイク音響設備

企画・監修
平野喜久(中小企業診断士)

制作・著作

ひらきプランニング(株)
hiraki@mub.biglobe.ne.jp
 演習のご依頼、お問い合わせは、お電話または電子メールにて承ります。

ひらきプランニング株式会社

<京都事務所>
〒600-8102
京都市下京区五条通河原町西入
本覚寺前町821
TEL 075-366-6871
hiraki@mub.biglobe.ne.jp

<本社>
〒443-0021
愛知県蒲郡市三谷町九舗18

※お問い合わせは京都事務所にて承ります。
事務所不在の場合は、メールまたは携帯電話まで。




――この演習プログラムを開発した動機は何ですか。

 この演習プログラムは、第1部の地震シミュレーション訓練に続く第2部として開発しました。
 地震シミュレーション訓練は、地震発生後1時間を体験するものでした。
 地震直後の緊急事態をどのように乗り越えていくのかということに重点がありました。
 しかし、企業の事業継続ということを考えた時、 地震直後の対応ができればそれでいいというわけにはいきません。
 緊急事態が収まった後は、どのように事業を復旧させ、継続させていくかということがクローズアップされてきます。
 第1部の参加者の方から、復旧活動のシミュレーション訓練も受けたい、とのご要望があり、このたび、開発することとなりました。

――第2部の演習はどのような内容になるんですか。

 第2部は、第1部とずいぶん様子が変わります。
 第1部は、地震後1時間をリアルタイムで体験していただきましたが、復旧段階をリアルタイムで体験していただくと、時間がかかり過ぎてしまうからです。
 第2部では、時間経過を3つのタームに分けています。
 第1ターム:3日後まで
 第2ターム:1週間後まで
 第3ターム:1カ月後まで

 それぞれのタームでさまざまな問題(課題)が発生します。
 最初に10項目の課題が提示されます。
 その中から、重要度の高いもの、緊急性の高いものを5つ選びます。
 そして、選んだ課題に対してそれぞれ解決策を考えます。
 結果をボードに貼り出して、グループ発表します。
 これを3つのタームそれぞれで行います。

――どうして、3つのタームに分けてあるのですか。

 地震後は、置かれた状況が刻々と変化します。
 発生する問題点も時間とともに変わってきます。
 当然、優先すべき事項も時間とともに変わるはずです。
 その時間経過により、取り組むべき重要ポイントも変わってくるという点を実感していただくためです。
 普通の防災訓練や地震対策では、時間経過を考慮に入れた対応策を検討することはあまりありませんでしたね。
 でも、BCPでは、この概念は非常に重要なのです。
 BCPは、緊急事態を乗り切ればいいというものではなく、その先の完全復旧に至るまでの長い時間尺で考えなくてはいけないからです。
 「1カ月後の復旧を目指して、いま何をすべきか」という視点が常に問われることになります。

――具体的には、どういうことをする訓練なのですか。

 第1部の地震シミュレーション訓練を行なった後に、第2部を行います。
 想定の架空企業も、第1部と同じです。
 グループ分けも、第1部と同じです。
 各タームごとに区切って、グループディスカッションします。
 最初は、地震から3日後まで。
 はじめに、この間に発生した問題が書き込まれたカードが10枚渡されます。
 そのなかから、3日以内に対処しなければならない重要度の高い項目を5つ選んでもらいます。
 そして、選んだ項目にそれぞれ解決策を考え、カードに書き込みます。
 ディスカッション時間が終了したら、5枚のカードをボードに貼り出して、グループ発表です。
 これを3回繰り返します。

――実際にやってみると、どんな感じになるのですか。

 第1部とやり方が違うので、最初は戸惑うかもしれません。
 10個の問題カードから5個を選ぶというところが非常に難しいです。
 どのカードも重要なものばかりで、簡単に優先順位が付けられないからです。
 はじめは、どのような基準で優先順位をつけたらいいのかが分からないために、グループ内の議論も錯綜しがちです。
 でも、この混乱は非常に重要なんです。
 1つ1つの問題カードの内容に目を奪われていると、いつまでたっても決められません。
 ある基準を設定して、それにのっとって順位づけをすると、グループ内の合意形成がしやすくなります。
 ここに気付くかどうかが、この演習のポイントです。
 第2ターム、第3タームと進んでいくうちに、時間の経過とともに基準も変わってくることに気付くようになります。
 第1タームで議論が混乱していたグループも、第3タームでは、議論がスムーズに進行するようになっているはずです。
 こうなれば、この演習の効果が十分発揮されたことになります。

――この演習で学ぶべきポイントは何ですか。

 明確な基準を設定して優先順位の検討をすべきこと。
 時間の経過とともに、判断基準が変化してくるということ。
 完全復旧への道のりを先読みして、今の課題に対応しなくてはならないこと。
 この3点が学ぶべきポイントです。

――このプログラムも、唯一の正解はないということですか。

 その通りです。
 選んだ5枚のカードは、各グループでバラバラです。
 それは、選ぶ基準がグループによって違うからです。
 でも、どの基準が正しくて、どの基準が間違っているということではありません。
 どこに基準を置くかは、最終的に経営者の判断によります。
 要は、基準を明確にし、その基準にのっとって重要課題を選び出すことができたか。
 そして、その課題に対して適切な対応策を打ち出せたか。
 ここが重要なのです。
 この演習でも、答えがどうだったか、ということよりも、その答えに至ったプロセスや考え方の方を重視しています。








平野喜久(ひらの・よしひさ)
中小企業診断士
ひらきプランニング株式会社
代表取締役
企業のリスクマネジメント、BCPの策定支援、ビジネスパーソンのリスクリテラシー開発をテーマに、講演、研修、執筆、e-ラーニング教材の企画・制作など、意欲的に活動を展開。
NPO東海リスクマネジメント研究会副理事長。
著書『天使と悪魔のビジネス用語辞典』
経済産業大臣登録:中小企業診断士 
日本リスクマネジャー&リスクコンサルタント協会認定:BCMリスクマネジャー、上級リスクコンサルタント


















 
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