ハイデルベルクはフランクフルトの南約100キロ、ドイツの中央南西部の都市です。州はバーデンヴィルテンベルク。人口は13万人強、大都市の少ないこの国では中都市です。ドイツで最も古い大学がある事で知られています。フルトヴェングラーの墓があり、テニスのグラフも住んでいます。今は古城街道(Burgen Strasse) の一つに数えられています。観光の町で日本からのツアーは必ず来ると言っても過言ではありません。綺麗な城があり川(ネッカー)が流れ、山があり遊歩道にケーブルカーと日本人の大好きなロケーションですから。でも、文化の面もなかなか。テアターではオペラ、バレエ、演劇が常に上演されています。夏には城で「セレナーデ」という屋外演奏会も開かれます。最近は「ハイデルベルクの春」と言う音楽祭も5月にあり、Schloss Fest(お城の音楽祭)も夏に開かれます。観光の傍らテアターにも足を運んでみてはどうでしょう。

テアターのオーケストラの練習

テアターの地下の練習場です。家族のための演奏会(Famierien Konzert日本なら親子演奏会)の練習中。演奏会の題は「音楽世界巡り」色々な曲を練習していました。

チェロのトップを弾いているのがハンスさんで、長谷川さん第一ヴァイオリンの2プルトです。このオケには、現在3人の日本人ヴァイオリン奏者がいます。この時はまだ2人。

オーケストラは60数人規模で正式名称は「ハイデルベルク市立フィルハーモニーオーケストラ」。テアターの仕事以外にコンサートも多く、なかなか忙しいオケです。

オケのピットの中

黒シャツでネクタイ!マフィアか!いえいえ、最近夏場は燕尾服では無く、このスタイルが定着しています。日本より涼しいので、空調が利きません。でも、最近は暑い日が多く必然的にピットではこうなりました。

私がバイロイトを見に行った時です。ワグナーは暗い話が多いのですが、マイスタージンガーは珍しく明るい話です。終幕はライトがまぶしい。途端に客席も温度大上昇。サウナ状態。死ぬかと思いました、オペラは素晴らしかったんですが。

ファゴットセクション

Famierien Konzertの練習から。曲はオネゲルの「パシフィック231」。なかなか充実した音がしていました。この時は入団前ですが、1人の日系ドイツ人(ファゴットです!女性)の団員がいます。ファゴットが上手で日本人の良さを持っている人だって。ただ、残念ながら日本語は出来ないのだそうです。何と姓は違いますが、名前が私の師匠と同じで「Hitomi Makabe」さんと言います。私もまだ直接には会っていません。

追記/結婚してHitomi Wilkeningと言うドイツ人になったそうです。その代わり日本人が入りました。Mitsuo Kodamaさんと言う若い人です。面白いのはふたりともソロファゴットなのですが、Halbe stelleとあります。半期契約とでも訳しましょうかHitomiさんが子育て中なので、そうなったらしいのですが。経済的にドイツも大変ですよ。

テアターの入り口

入り口が狭いのです。入るとそうでも無いのです、クロ−クもしっかりあります。600人収容ですから、小さくはありません。コンサートホールと異なりテアターとしては中程度と言えます。1000人を越えるのは大劇場です。これは、オペラが物と人の為に、後背地が必要だからに他なりません。

二階客席の入り口

二階(ドイツ式だと1階)左右はボックス席になっていて、各ボックスのドアが閉めると壁になる設計です。何かトイレの並んだドアの様にも見えます。オペラは一回券で12〜53マルクで見られますし、定期会員になれば一回券の半額程度で12回分買えます。それに、定期会員には最も良い席が確保されています。

安いのは公共の物だからで、税金が多く使われています。不況の昨今テアターも経営は大変です。

天井の美しい装飾

古い劇場ですからなかなか味があります。この天井など実に華麗です。下から眺めると劇場全体がドームに見えるのです。尤もこの位置に天井が見えるのは3階で、ここの左右後ろの席は舞台が半分しか見えません。上演中は立っているので疲れます。当に天井桟敷。

楽屋口

正面入り口の丁度1ブロック裏の通りです。いかに細長いか分かるでしょう?ミュンヘンの州立劇場(Nationaltheater)など100メートルくらいありますからね。テアターは色々な物が必要なのです。テアターの内部については、Ulm(ウルム)を取り上げる時に詳しく。

町のテアターなので近所に住む人も多く、自転車で来る人も。チェロを携えて自転車に乗っている人にはびっくり!

カンティーネて何?

カンティーネ(Kantiene)はもともと軍隊の売店、酒保の事です。地下の売店と言う意味もあるので、まさにそれです。

舞台が跳ねるとここで一杯。社員食堂の様なもので一般の人は入れません。

これはその入り口。反対側に楽屋口と別の裏口があります。

 

 
上機嫌!?

このテアターのカンティーネはホントに穴蔵です。建物の内部がほとんど地下通路で、慣れないと迷います。このカンティーネは半分に切った土管を2本埋めた形です。蒲鉾になった気分。上の真ん中は長谷川さん。左はコンサートマスター(フランス人)です。

こう言うくつろいだところを見ると、楽隊はいずこも同じだなあ、と思います。

 

如何でしたか?私はこうした町に密着した音楽、舞台と言ったもの、そこでしか聴けないものが大事だと考えています。もちろん良いもので無くては、話になりませんが。

私は自分の住む松戸(人口46万人、ハイデルベルクの3倍強)に、こうしたものを作りたくて模索しています。もちろんテアターは無理ですが、ハイデルベルクから友人を招いてアンサンブル松戸・ハイデルベルクとして演奏会をするのも、マスコミに登場するものだけが良い訳では無いと証明したいのです。フルスヴァルト合奏団も地域密着型アンサンブルになれないかと始めました(最初は違ったのですが)。このHPを御覧の皆さん、是非演奏会に来て下さい。応援をして貰いたいのです。

2005年も8月21日(日)松戸・森のホール21で行います。残念ながらこれが最後の演奏会です。松戸の状況は個人の奮闘では何ともならないほど酷いですね。今度やる時は松戸では無く東京のどこかになるでしょう

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