横浜に遊んだ時、山下公園で/1996年

ハンスさんが2022年に亡くなりました。

未だ74歳でしたので、早世と言えるでしょう。最後に会ったのが2011年で、2013年の旅の時は、彼が不在で会えなかったのですが、今となっては悔やまれます。以下の若かった頃の文章は彼を偲んで残しておきます。


ハンスさんは、まゆみさんを通じて知り合った人です。日本が大好き。

日本語はずっと勉強しています。アビトゥアと言う大学入学資格を取るとドイツでは何時でも学生になれます。それを使い、彼はハイデルベルク大学の日本語科にも行っています(2000年の時点で辞めてますが、先生との交流はある様です)。メールも日本語で寄越します。当初、分からなかった日本語も最近は良く分かる様になってきました。私のレストランでしか使えないドイツ語よりは遙かに出来ます。日本に来ると一人旅をして、各地で親切にして貰い、益々日本が気に入っている様です。

漢字はドイツ語に似て、偏と旁の組み合わせが面白いらしく、なまなかな日本人より知識があります。ちなみに彼の名前、Hans Schaftですが、ハンスはJohannesの短縮形、Schaftは英語のシャフトと同じ「軸」「槍の柄」と言う意味があります。/ 2005年追記本人に訊いた所、Geschaeft,geschaeftigから来ているという事でした。辞書には「仕事(をする)」などとありますが、「何かをする事、為遂げる事」と言った意味から来ているとの事でした。

仲良くなるきっかけは、合羽橋の食品サンプルの店を案内した事です。まゆみさんは国立(くにたち)以外は余り知らないので、私が役目を買って出たのです(このころは英語で話していましたが)。お盆の休みで余り店の開いていない時期でした。日本でよりドイツで合羽橋の食品サンプルは有名です。ドイツ人は行きたがる事が多いとか。

我々以外に外国からのお客がいました。その時に店員が仏頂面だったのは休みを取れなかったからでしょうが、ハンスさん曰く

 

「日本ではみんなニコニコして接客するのに、あそこの人は怖い顔して、まるでドイツ人みたいだね。」

げらげら笑ってしまいました。そう言えば、マインツ在住のヴァイオリン奏者、漆原朝子さんが「ドイツでは店員さんが怖い。にこにこと接してくれるのは、日本とアメリカだけなのね」とインタヴューに応えていました。私もドイツに行くと時々愛想の悪い店員にお目に掛かりますね。ミュンヘンで恐ろしく悪いのがいて、人種差別か!と思ったらドイツ人にも酷いので、妙に納得した事があります。

彼のチェロは音が太くて良いんです。ファゴットと二重奏をしても安心して吹けます。自分が大きすぎるかと気にしなくても良いんです。と言うより、もっと大きい音で吹こうと思うぐらいです。だから、二重奏も入れるのです。

演奏会に来て、聴いてみて下さい。ドイツのオケも音楽をする場所も、ベルリンやミュンヘンだけでは無い事が分かると思います。

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