粋(すい)が川へ嵌(はま)る。
解釈:上手な者が寧ろ失敗することの意。
類義:河童の川流れ。猿も木から落ちる。粋が嵌る。
水火(すいか)の争い。
解釈:水と火のように性質が正反対で仲が悪いこと。
水火の苦しみ。
類義:塗炭(とたん)の苦しみ。
西瓜(すいか)は土で作れ、南瓜(かぼちゃ)は手で作れ。
解釈:西瓜を作るには敵地に作ることが大切で、南瓜を作るには手入れが
大切であるように、それぞれ作り方があるものだ。
粋(すい)が身を食う。
解釈:花柳界などでその事情に通じ、粋(いき)な客ともてはやされるよう
になると、深入りし過ぎて結局身の破滅を招くことになる。
類義:芸は身の仇(あだ)。鳴く虫は捕らえられる。
水火を辞せず。
解釈:水に溺れ火に焼かれるほどの苦痛をも厭(いと)わず働くこと。
水魚(すいぎょ)の交わり。
解釈:魚と水のように、離れることのできない親密な交わり。本来は君臣の
関係について言ったが、今は夫婦・友人などの関係に用いる。
類義:魚水の契り。水魚の恩。水魚の親。
推敲(すいこう)。
解釈:詩や文章の字句を何度も練り直すこと。中国唐(とう)の詩人賈島
(かとう)が洛陽(らくよう)の街路で「僧は推す、月下の門」と「僧は敲
(たた)く、月下の門」とどちらの句がよいかと悩んでいるうち、長安(ちょ
うあん)の知事で文豪の韓愈(かんゆ)の行列に突き当たり、訳を話すと、韓
愈は「敲」の字の方がよいと教え、二人で詩を論じ合ったという故事による。
水晶は塵を受けず。
解釈:清廉潔白(せいれんけっぱく)な人は、たとえ少しの不正でも受け入
れないということ。
酔生夢死(すいせいむし)。
解釈:酒に酔ったり、夢を見ているような状態で一生を生き、かつ終わるこ
と。ただ漫然と一生を過ごすこと。
反義:朝(あした)に道を聞けば、夕(ゆうべ)に死すとも可なり。
垂涎(すいぜん)。
解釈:ご馳走を見て涎(よだれ)を垂らすことから、物を欲しがること。
参考:「すいえん」は誤り。
好いた同士は、泣いても連れる。
解釈:互いに好き合って夫婦となった男女は、泣くような辛い目に遭っても、
添い遂げる。
類義:好き連れは、泣き連れ。
好いた目からは、痘痕(あばた)も靨(えくぼ)。
解釈:人を好きになると、その人の醜い痘痕でさえ、靨に見える。客観的に
見れば欠点でも、愛している人の場合には長所に見えるというたとえ。
類義:惚れた女は痘痕(あばた)も靨(えくぼ)。
水中に火を求む。
解釈:水の中で火を探しても見つからないように、求めても得られないこと。
類義:木に縁(よ)りて、魚を求む。
翠(すい)は羽を以て自ら残(そこな)う。
解釈:長所が逆に災いとなる。翡翠(かわせみ)は美しい羽を持っているが
故に、人に捕らえられる。
類義:孔雀は羽故(はねゆえ)人に捕らる。山木は自ら冠す。
推輓(すいばん)。
解釈:人の車を後ろから押したり(推)、前から挽いたり(輓)することか
ら、人を引き立てること。推挙すること。
酢いも甘いも噛み分ける。
解釈:酸っぱい物も甘い物もよく分かるように、深い経験から人情の機微
(きび)や世間を知り抜いていること。
類義:酸いも甘いも知り抜く。酸いも辛いも御存知。
数奇(すうき)。
解釈:「数」は運命、「奇」は時代に合わないこと。幸せでないこと。不遇。
参考:「さっき」とも読む。
末重き物は、必ず折る。
解釈:枝や葉が重過ぎると幹が折れる。下の者が強過ぎると上手く統御(と
うぎょ)できないたとえ。
類義:末盛んなれば、則ち本(もと)虧く(かく)。
末始終より、今の三十。
解釈:ずっと後に沢山手に入れるより、たとえ少しでも今手にいれる方がよ
い。
類義:明日の百より今日の五十。末の百両より今の五十両。
据膳(すえぜん)食わぬは男の恥。
解釈:膳を据えられて手を付けないのは、男の恥である。また、女の方から
誘ってくるのに、受けないのは男の恥である。
類義:据膳と河豚汁(ふぐじる)を食わぬは、男の内ではない。
末(すえ)大(だい)なれば、必ず折る。
解釈:枝葉が茂り過ぎると幹が折れる。転じて下の者の勢いが強くなり過ぎ
ると統率が執れなくなるという意。
類義:末重き物は必ず折る。尾大掉(ふる)わず。
末の露、本(もと)の雫。
解釈:多少の差はあっても、結局は消えていくもの。人の命もまた儚(はか
な)いものであるたとえ。
末は野となれ山となれ。
解釈:結果がどうなろうと構わないという意。
類義:後(あと)は野となれ山となれ。
姿は俗性(ぞくしょう)を現す。
解釈:人の姿を見れば、その立居振舞(たちいふるまい)から凡その素性
(すじょう)が分かるということ。
反義:姿は作り物。馬子にも衣装。
姿は作り物。
解釈:人の姿は化粧や衣服への金の掛け具合によって、美しくも立派にもな
るものである。
類義:公卿(くげ)にもつづれ。馬子にも衣装。
好かぬは得(え)せぬの唐名(からな)。
類義:嫌いは知らぬの唐名。
酢が戻る。
解釈:酢は酸味が無くなれば、価値が無くなる。鋭さが衰えること。年を取
って鈍くなること。
類義:箍(たが)が緩む。螺子(ねじ)が緩む。
頭寒足熱(ずかんそくねつ)。
解釈:頭は涼しく、足は暖かいのが健康な状態。健康を保つには、頭を冷や
して、足を暖めるのがよい。
類義:足寒うして、心を痛む。
好きこそ物の上手なれ。
解釈:好きなことは懸命に努力するから、益々上達するものである。
類義:好かば心得よ。好きこそ上手。好きは上手の元。道は好む所によって
易し。
反義:下手の横好き。
過ぎたるは猶及ばざるが如し。(論語)
解釈:程度を過ぎたことは、足らないのと同じようによくないの意。よい事
でも度を越すと害になり、共に中庸(ちゅうよう)の徳に至らない。
類義:薬も過ぎれば毒となる。過ぎたるは及ばざるに如(し)かず。
参考:[中庸]はじめに/正義の実践と深さ。
好き連れは、泣き連れ。
解釈:好き合って一緒になった夫婦は、上手くいかなくても、誰のせいにも
できず、泣き泣き一生を過ごす。
類義:好いた同士は泣いても連れる。
反義:好き連れ泣き別れ。好きで好き連れ、末泣き別れ。
好きな事には騙され易い。
解釈:好きな事は好奇心が旺盛であるから、つい深入りして人に騙される羽
目に陥る。
類義:過ちは好む所にあり。好く道より破る。
好きな物に祟りなし。
類義:好物に祟りなし。
好きには、身をやつす。
解釈:好きなことなら、体が痩せるほど苦心しても、苦にならないものであ
る。
類義:好きの道には薦(こも)被る。好きは身を通す、辛子は鼻を通す。
空腹(すきばら)に不味い(まずい)物無し。
解釈:空腹(くうふく)のときには何でも美味しく食べられること。
類義:飢えたる者は、食を選ばず。ひもじい時に不味い物なし。
参考:Hunger is rhe best sauce.(空腹は最上のソースである)
隙間風(すきまかぜ)は冷たい。
解釈:隙間風は冷たくて寒いものである。転じて、義理の間柄は、親子兄弟
のようにはしっくりしないことがあるという意。
頭巾(ずきん)と見せて、頬冠り(ほおかむり)。
解釈:頭巾を被っているような見せかけても、端(はた)から見れば頬冠り
と変わらないというように、見掛けは体裁を保っているが、実際は異なること
のたとえ。
木兎(ずく)引きが、木兎に引かれる。
解釈:捕った積もりが、逆に捕らえられてしまうこと。鳥は木菟(みみずく)
が昼間目が見えないことを知って、突きに来るが、囮(おとり)にひっかかり、
黐竿(もちざお)に掛かって人に捕まってしまう。
類義:人捕る亀が人に捕られる。木乃伊(みいら)取りが木乃伊になる。
好く道より破る(やぶる)。
解釈:好きな道で、寧ろ失敗することのたとえ。
類義:川立ちは川で果てる。好きな事には騙され易い。善く泳ぐ者は溺る。
杜撰(ずさん)。
解釈:中国宋(そう)の詩人杜黙(ともく)の詩が自由奔放で規則に合わな
いものが多かったとの故事から、誤りの多い著作のこと。典拠(てんきょ)が
正しくないこと。転じて、いい加減で大雑把なことをいう。
雀、一寸の糞ひらず。
解釈:物にはそれ相応の規模があるということ。
雀、海中に入って蛤(はまぐり)となる。
解釈:物の変化が著しいたとえ。中国の俗信で、雀が晩秋に海辺で群れをな
し騒ぐことから、蛤になると考えられていた。
類義:鷹、化して鳩となる。山の芋が鰻(うなぎ)になる。
雀の千声(せんこえ)、鶴の一声(ひとこえ)。
類義:鶴の一声
雀の角(つの)。
解釈:弱い相手が武器を得たとしても、恐れる必要がないことのたとえ。弱
い雀が角を生やして武装しても、ちっとも怖くない。
雀の涙。
解釈:Chicken feed. It is very small.
類義:姑の涙汁(なみだじる)。蜂の涙ほど。
雀百まで踊り忘れぬ。
解釈:人間は幾つになっても、幼い時の癖が直らないものだ。雀が死ぬまで
飛び跳ねるのと同じ。多くは、浮気の癖が直りにくいことをいう。
類義:頭禿げても浮気は止まぬ。産屋(うぶや)の癖は八十まで治らぬ。
裾取って肩へ接ぐ。
解釈:一時の間に合わせの手段で、その場を切り抜けること。遣り繰り算段
を繰り返して、問題を根本的に解決しないこと。
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