追従(ついしょう)も世渡り。 解釈:処世のために人に取り入ることも時にはやむを得ないことである。 朔日(ついたち)毎に餅は食えぬ。 解釈:一度よい事があったからといって、何時もよい事があるとは限らない こと。 類義:朔日毎に餅は搗けぬ。柳の下に泥鰌。 搗(つ)いた餅より心持ち。 解釈:品物よりもその心尽くしの方が嬉しいというたとえ。 活用⇒贅沢品よりも、心のこもった贈り物。Not luxury but hearty present. 類義:食べた餅より心持ち。 杖に縋(すが)るとも、人に縋るな。 解釈:妄(みだ)りに人の助力を当てにしてはならないという戒め。 活用⇒他力よりも自助努力。Depend on others but self-reliant efforts. 杖の下に回る犬は打たれぬ。 解釈:振り上げた杖の下に尾を振って跳び込んでくる犬を、打つことはでき ない。懐(なつ)いて縋(すが)ってくる人に酷(むご)い仕打ちはできない ということ。 類義:袖の下に回る犬は打たれぬ。 杖を挙げて、犬を呼ぶ。 解釈:杖を振り上げて犬を呼んでも、側に来ない。敵意があると、どんなに 親密そうに装っても、人は心を許さないということ。 活用⇒寛容であれば、人は集まる。If it is tolerance, the person gathers. 使い先で下駄を履く。 解釈:使いに出た先で、主人に内緒で自分の利益を得ること。「下駄を履く」 とは、中間で値段を高くして利を取ること。 類義:他人の念仏で極楽詣り。 使い半分。 解釈:使いの者に、持たせた品物の半分までは失敬されても仕方がない。 類義:預り物は半分の主。 使う者は使われる。 解釈:人を使う者は、仕事の段取りや人間関係への心遣いなど心労が絶えな い。 類義:人を使うは苦を使う。奉公人に使わる。 使っている鍬は光る。 解釈:何時も使っている鍬は光っていて、錆びる暇がない。仕事に精出して いる人は活気があって美しいものである。 類義:転がる石には苔が生えぬ。流れる水は腐らない。人通りに草生えず。 付き合いなら、家でも焼く。 解釈:交際は大切だということ。また、義理付き合いにかまけて家事を顧み ないこと。 活用⇒人との交際は、とても大切だ。Association with the person is very important. 類義:お付き合いなら火事にも遭う。 搗臼(つきうす)で茶漬け。 解釈:大は小を兼ねないことのたとえ。どんなに小さな餅搗き臼でも、茶漬 け茶碗には大き過ぎる。 類義:長持、枕にならず。 月と鼈(すっぽん)。 解釈:形は似ているが、実質は比較にならないほど違っていることのたとえ。 類義:雲泥(うんでい)の差。雲泥万里。鯨と鰯ほどの違い。提灯に釣鐘。 月と朱盆(しゅぼん)。 月に叢雲(むらくも)、花に風。 解釈:名月は雲が隠し、花には風が吹く。よい事にはとかく邪魔が入りやす く、思うとおりにはならないという意。 類義:好事(こうじ)、魔多し。寸善尺魔(すんぜんしゃくま)。花発(ひ ら)いて風雨多し。 月の前の灯火(ともしび)。 解釈:立派な物と比較されるので、見劣りすること。名月の下では蝋燭の光 は全然目立たない。 類義:太陽の前の星。月夜の提灯。 月日変われば、気も変わる。 解釈:月日が経つと人の気持や考え方も変わるものだ。 活用⇒時間は、彼の考えを更新した。Since the passage of time, his ideas have been updated. 月日に関守(せきもり)なし。 解釈:年月の経つのは早いというたとえ。時間を止める関所は何処にもない。 類義:光陰(こういん)矢の如し。歳月(さいげつ)、人を待たず。月日の 経(た)つのは早いもの。 月日の経(た)つのは早いもの。 類義:月日に関守なし。 月満つれば則ち虧く(かく)。 解釈:月は満月になると、やがて欠けていく。物事は盛りに達すると、今度 は衰えていくものであるということ。 類義:月夜半分、闇夜半分。満潮ごとに退潮あり。 月雪花(つきゆきはな)は一度に眺められぬ。 解釈:よい事全部は、一度に揃うことはあり得ないということ。 月夜に釜を抜かれる。 解釈:明るい月夜に釜を盗まれる。油断の甚だしいことのたとえ。 類義:月夜に釜を盗(と)られる。 月夜に米の飯。 解釈:何時も月夜で、毎日米の飯を食べられるなら、こんなよい事はない。 また、飽きることがないというたとえ。 月夜に背中炙る(あぶる)。 解釈:不適切なやり方、また、回りくどくて効果がないことのたとえ。月の 光には熱がないので、幾ら背中を炙っても暖を取ることはできない。 類義:天の火で尻を炙る。灯明で尻を炙る。灯籠の灯で尻炙る。火打箱で飯 を炊く。火打箱で焼き味噌。 月夜に提灯(ちょうちん)。 解釈:不必要で、無駄な事のたとえ。また、ぼやけてはっきりしない事のた とえ。 類義:月夜に提灯、夏火鉢。昼の行灯(あんどん)。 月夜に提灯も外聞(がいぶん)。 解釈:実際には不要の物事でも、見栄や外聞のために必要なときもあるとい う意。 月夜の蟹。 解釈:月夜に捕れる蟹には身が少ないといわれるところから、頭の中が空っ ぽの人のことをいう。 月夜も十五日、闇夜も十五日。 解釈:世の中はよいときもあれば、悪いときもある。徒(いたずら)に悲観 したり、有頂天になって油断してはならないということ。 類義:月満つれば則ち虧く(かく)。 月を指せば、指を認む。 解釈:月を指さして教えると、指先を見て月を見ない。道理を説明しても真 意を理解せず、文字や言葉にこだわって詮索することをいう。 付焼刃(つけやきば)はなまり易い。 解釈:一時凌(しの)ぎの誤魔化しは直ぐぼろが出るたとえ。 類義:付焼刃は剥げやすい。鍍金(メッキ)は剥げる。 参考:「付焼刃」は粗悪な刀身に刃の部分だけ焼きを入れた鋼(はがね) を付けた刀。一時は切れ味がよくても、直ぐなまったり、刃が落ちたりする。 辻褄(つじつま)を合わせる。 解釈:縫い目の筋や褄を合わせて着物を仕立てるように、何とか筋道を付け、 前後首尾に矛盾がないように取り繕(つくろ)うこと。 活用⇒ばらばらなものを、工夫して整理する。Various the one is straightened by devising. 土一升に金(かね)一升。 解釈:目抜きの繁華街などで、地価が非常に高いこと。 類義:寸土寸金。 槌で大地を叩く。 類義:大地に槌。 槌で庭掃く。 解釈:前触れもなく大切な客が来たときなどに、大慌てでもてなしの準備を すること。 類義:才槌(さいづち)で庭を掃く。杓子(しゃくし)で芋を盛る。擂粉木 (すりこぎ)で庭掃く。 土に灸(きゅう)。 解釈:やってみても何にもならないこと。効き目のないこと。 類義:石に灸。石に灸(やいと)の仇煙(あだけむり)。擂鉢(すりばち) へ灸する。糠に釘。 土仏(つちぼとけ)の水遊び。 解釈:土でできた仏像が水遊びをすれば、溶けていくように、先を考えず身 を滅ぼすことのたとえ。 類義:土でこの水遊び。土人形の水遊び。土仏の水なぶり。雪仏の水遊び。 槌より柄が太い。 解釈:不釣合いなほどの大袈裟なことのたとえ。 筒井順慶(つついじゅんけい)を決め込む。 類義:洞(ほら)が峠を決め込む。 突掛者(つっかけもの)の人もたれ。 解釈:何もかも人を当てにして、投げやりで無責任な怠け者のこと。 鼓(つづみ)を鳴らして攻む。(論語) 解釈:大声で罪を言い立てて、公然と相手に非難攻撃すること。中国周公 (しゅうこう)の臣下の季氏(きし)が税を誤魔化して、周公よりも富裕だっ たとき、孔子(こうし)が弟子たちに「公然と彼を攻撃してよろしい」と言っ た故事から。 |