繋ぎ馬に鞭を打つ。 解釈:繋いである馬に鞭を当てても、馬は走り出せない。無茶なやり方やす ること自体が無理だというたとえ。 綱渡りより世渡り。 解釈:軽業(かるわざ)で見せる綱渡りよりも、世渡りの方がもっと難しい ということ。 常が大事。 解釈:日常の行いが大切であるということ。何か起こったときに、平生の行 動がいい加減であれば、身に覚えのない事でも、疑われたりする。 角ある獣に上歯(うわば)なし。 解釈:角を持つ動物は、上歯(牙)がない。一人で何もかも兼ね備えるとい う訳にはいかないたとえ。 角を折る。 解釈:我侭(わがまま)の角を折るということで、強情を張っていたのが一 転して素直になること。また、閉口すること。 角を出す。 解釈:女性が嫉妬心を起こすこと。能楽などで、女性の生霊(いきりょう) が嫉妬のために鬼女になることに基づいた言葉。「角を生やす」ともいう。 角を矯(た)めて、牛を殺す。 解釈:欠点を直そうとして、かえって全体を駄目にしてしまうこと。牛の曲 がった角を直そうとして、牛を殺してしまうように、末端にこだわって根本を 損なうこと。 類義:枝を撓(た)めて花を散らす。角を直して牛を殺す。葉を掻いて根を 断つな。 唾(つばき)で矢を矧(は)ぐ。 解釈:矢を作るとき、膠(にかわ)の代わりに唾(つば)を付けて誤魔化す こと。いい加減な誤魔化し仕事、また、脆(もろ)いことのたとえ。 唾、万病の薬。 解釈:唾液は薬になるという俗説。昔からいわれて、擦り傷、切り傷などは 舐めて済ませてしまう。 唾も引っ掛けない。 解釈:軽蔑して相手を完全に無視すること。 燕の幕上(ばくじょう)に巣構う(くう)が如し。 解釈:不安この上もないことのたとえ。燕が幕の上に巣を作っているように、 何時落ちるか分からない危険な状態をいう。 壺の中では火は燃えぬ。 解釈:狭いところでは十分に仕事ができない。大きな仕事をするには、それ に見合った場所が必要であるということ。 妻恋う鹿は笛に寄る。 解釈:猟師は秋になると、雌鹿の鳴き声に似せた鹿笛を吹いて雄鹿を誘い、 捕らえる。恋に身を滅ぼすたとえ。また、弱点には乗じやすいという意。 類義:秋の鹿は笛に寄る。笛に寄る鹿、火に寄る虫。 躓(つまず)く石も縁(えん)の端(はし)。 解釈:道で躓いた小石も、沢山の石の一つと考えれば、何かの縁があるのだ という意。些細な事も全て因縁があるのだということ。 類義:一樹の蔭、一河の流れ。袖摺り合うも他生(たしょう)の縁。一村雨 (ひとむらさめ)の雨宿り。 妻の言うに向こう山も動く。 解釈:妻の発言力の強さをいったもので、社会的地位もあり、世間的にはか なり頑固と思われている人でも、家庭内では妻の意見に従っている。 つまり肴(ざかな)。 解釈:予定の時刻に酒宴が終わらず、肴も尽きて、慌てて肴を追加すること。 不手際の挙句、苦し紛れに打った最後の手がまたまた拙(まず)い結果となる ことのたとえ。 罪を悪(にく)んで、人を悪まず。 解釈:犯した罪は憎んでも、その罪を犯した人間を憎んではならないという こと。 活用⇒彼の犯行を憎んでも、彼のことは憎まないように。Do not hate him even if you hate his crime. 爪が長い。 解釈:大層欲の深いこと。 類義:噛(かじ)り爪が長い。 爪を食う。 解釈:恥ずかしがってもじもじすることのたとえ。 爪で拾って、箕(み)でこぼす。 解釈:苦労して蓄えた物を一度に浪費すること。また、収入は僅かなのに、 支出が大きいこと。 類義:針で掘って、鍬で埋める。耳掻きで集めて、熊手で掻き出す。 参考「箕」は穀物を篩って、殻や塵(ごみ)を振り分けるための農具。 爪に火を灯す。 解釈:蝋燭の代わりに爪に火を点ける。極めてけちなことのたとえ。 類義:出す物は舌を出すのも厭。 爪の垢(あか)ほど。 解釈:ごく少量ということ。また、殆んど無価値という意味もある。 類義:薬ほど。塵(ちり)ほど。爪糞ほど。 爪の垢を煎じて飲む。 解釈:優れた人に少しでも近付こうと、その人の爪の垢を煎じて薬と思って 飲む。いま少し向上心を持って努力せよという意味に用いる。 爪を立てるところもない。 解釈:爪先立っていることもできないくらい、ぎっしり塞がって余地が無い こと。非常に狭いことのたとえ。 類義:爪も立たぬ。立錐(りっすい)の地無し。 強い者勝ち。 解釈:無理な事でも、強い者が力ずくで押し通してしまうこと。 活用⇒強い者は、全てに勝つ。A strong person wins everything. 類義:勝てば官軍、負ければ賊軍。弱肉強食。 面(つら)の皮の千枚張り。 解釈:厚かましさを「面の皮が厚い」というが、その面の皮の千枚張りであ るから、ずうずうしい限りの人。 活用⇒彼の顔の皮膚は厚い。The skin of his face is thick. 類義:厚顔無恥(こうがんむち)。鉄面皮(てつめんぴ)。面張牛皮(めん ちょうぎゅうひ)。 面の皮を剥ぐ。 解釈:何食わぬ顔をしている厚かましい人の悪行を公衆の前で暴いて、面目 を失わせること。 活用⇒私は皆さんへ「彼が悪者である」をお知らせします。I inform you of "He is a twicer". 類義:面皮(めんぴ)を剥ぐ。 面は顔。 解釈:言うまでもない当然の話。当然過ぎて面白くも可笑しくもないこと。 類義:雉子(きじ)の雌鳥ゃ女鳥。 面火(つらび)が燃える。 解釈:恥ずかしい思いで赤面すること。 類義:顔から火が出る。 釣り合わぬは不縁(ふえん)の基(もと)。 解釈:地位や財産、環境などが違い過ぎる者同士の結婚は、如何に愛し合っ ていても破綻することが多い。 類義:不釣合いは不縁の基。 釣り落とした魚は大きい。 解釈:釣り上げる直前に落とした魚は大きく思い勝ちなように、手に入れか けて失った物を惜しむ言葉。 類義:逃がした魚は大きい。逃がした物に小さい物なし。 剣(つるぎ)の刃を渡る。 解釈:非常な危険を冒して物事を行うたとえ。 類義:刀の刃渡り。刀の刃を渡るが如し。 弦(つる)無き弓に、羽(は)抜け鳥。 解釈:弦のない弓では射る(=居る)ことができない。羽抜け鳥では飛び立 つ(=立つ)ことができない。居ても立ってもいられない焦慮を表すたとえ。 鶴の粟、蟻の塔。 解釈:鶴が粟粒を一つずつ啄(ついば)み、蟻が砂を一粒ずつ運んで蟻塚を 築くように、少しずつ積み重ね、徐々に蓄えること。 類義:鶴の粟を拾う如し。 鶴の脛(はぎ)も切るべからず。 解釈:鶴の脚はそれなりに長い脚が必要な訳で、勝手に切り縮めることはで きない。物にはそれぞれ持ち前の性質があって、過不足は無いことのたとえ。 類義:鷺(さぎ)に尾がないとて、足切手接がれもせず。 鶴の一声(ひとこえ)。 解釈:あれこれ議論をしても決まらなかった事が、権威者・権力者の一言で あっさり決定してしまうこと。 類義:雀の千声、鶴の一声。 鶴は枯木に巣をくわず。 解釈:大人物といわれる人は、自分に相応しくない詰まらない所には、身を 寄せないというたとえ。 類義:大魚は小池に棲まず。 鶴は千年、亀は万年。 解釈:昔から鶴と亀は長寿の代表とされ、縁起を祝うときなどに用いられる 言葉。 釣瓶縄、井桁を断つ。 解釈:些細な事でも繰り返し続けていれば、大きな事ができる。根気よく続 ければ成功するというたとえ。 活用⇒小さな事でも、それを長く続ければ、大きな業績になる。When a small act keeps long time, it becomes a big achievement. 類義:雨垂れ、石をも穿つ(うがつ)。点滴、石をも穿つ。 弦(つる)を放れた矢。 解釈:再び元に戻らないことをいう。 連れがあれば三里回らん。 解釈:道連れがあれば、少々の回り道は苦にならないこと。旅行は道釣れが いた方が楽しいし、心細くもない。 類義:旅は道連れ、世は情け。連れがあれば三里。 連れがよければ熊野詣でする。 解釈:気の合った道連れと一緒なら、伊勢詣りのついでに、熊野権現にも詣 って行こうという意。 聾(つんぼ)の早耳。 解釈:耳の遠い人は、肝心の話は中々聞こえないのに、自分の悪口などは不 思議によね聞こえるものだということ。また、聞こえないのに聞こえたかのよ うにして早合点すること。 類義:聞かずの横耳。聾の早合点。 |