山雨(さんう)来たらんと欲して、風(かぜ)楼に満つ。 解釈:山から雨が降り出す前に、高楼に風が吹き込んでくる。何事かが起こ ろうとする前に、穏やかでない様子が漂うこと。 三界(さんがい)に家なし。 類義:女は三界に家なし。 三月の花見虱(はなみじらみ)。 解釈:春先の暖かさに虱が湧くこと。三月とは旧暦の三月のこと。 類義:三月虱に羽生える。虱の花見。 三月比目魚(ひらめ)、犬も食わぬ。 解釈:旧暦三月頃のヒラメは、味が落ちるという意。 類義:三月比目魚、貰っても食えぬ。 三寒四温(さんかんしおん)。A cycle of three cold days and four warm days. 解釈:寒い日が三日続くと、その後暖かい日が四日続くというように、寒暖 を繰り返しながら春が訪れる。 三顧(さんこ)。 解釈:目上の人が下の者に礼を尽くして仕事を頼むこと。中国蜀(しょく) の劉備(りゅうび)が三度(みたび)孔明(こうめい)の廬(いおり)を訪ね て、軍師として招聘(しょうへい)した故事による。 用例:三顧の礼をとって迎える。 三国一(さんごくいち)。 解釈:天下第一。昔の人は、日本・唐(中国)・天竺(インド)の三国で世 界が成り立っていると考えていた。その中で一番という意。 用例:三国一の花嫁。 三五(さんご)の十八。 解釈:見込み違いのたとえ。勘定が合わないこと。 類義:三五の二十五。 三歳の翁(おきな)、百歳の童子(どうじ)。 解釈:年をとっていても愚かな者もいれば、年は若いが老巧な者もいるとい う意。 三尺去って、師の影を踏まず。 解釈:師匠や先生を尊敬する意味の言葉で、歩くときでも三尺下がって、先 生の影さえ踏まないように心がけるべきであるということ。一尺は約30p。 類義:師弟となって七足去る。七尺去って師の影を踏まず。七足隔つ師弟の 礼。 三舎(さんしゃ)を避く(さく)。 解釈:相手を恐れ憚(はばか)って避けること。相手を自分より上と見て、 謙(へりくだ)る。「一舎」は中国の軍隊の一日の行軍の距離で、三日分だけ 退くという意。 三十九じゃもの、花じゃもの。 解釈:人生今が盛り、四十になる一歩手前の働き盛り花盛りということ。 類義:三十は男の花。 三十後家(ごけ)は立たぬ。 類義:二十(はたち)後家は立つが、三十後家は立たぬ。 三十にして立つ。 解釈:孔子(こうし)の体験から出た言葉で、三十歳になって初めて学問・ 道徳の基礎ができたということで、十五歳で学を志すに始まる有名な句。 参考:「論語一日一言」[守] 三十の尻括り(くくり)。 解釈:人も三十歳になるとしっかりして堅実な生活が営めるようになる。 類義:三十は男の花。 三十振袖、四十島田。 解釈:女性が年不相応な格好をすること。 類義:四十新造(しんぞう)、五十島田。 三十六計(けい)、逃げるに如(し)かず。 解釈:謀(はかりごと)もいろいろあるが、敵わないと思ったら、逃げて身 を全うするのが兵法の上での最善策である。困った時は逃げるのが最もよいと いうこと。 類義:三十六計走るを上計となす。逃げるが一の手。逃げるが勝ち。 算術(さんじゅつ)の不身代(ふしんだい)。 解釈:計算の知識は豊富である筈の算術の先生が貧乏な生活をしている。知 識や職業と実際の生活は別物のたとえ。 類義:医者の不養生。学者の不身持ち。 山椒(さんしょう)は小粒でもぴりりと辛い。 解釈:身体が小さくても、才能が優れていて侮ることができないたとえ。 活用⇒容姿は小柄であるが、優秀である。Is a petite figure, is excellent. 類義:山椒は小さいほど辛い。小さくとも針は呑まれぬ。 反義:大男、総身に知恵が回りかね。 山椒目の毒、腹薬(はらぐすり)。 解釈:山椒は興奮する成分が含まれているので、目にはよくないが、逆に回 虫駆除にはよく効く。 類義:山椒は血の毒目の薬。 三寸の舌に、五尺の身を亡ぼす。 解釈:僅か三寸しかない舌から出る言葉が、災いを招き一生を狂わすことが 多いという意。一寸は約3p。 類義:一寸の舌で、五尺の身を損ず。舌三寸の囀(さえず)りに、五尺の身 を果たす。 三寸の舌を掉う(ふるう)。 解釈:弁舌爽やかに大いに雄弁を振るうこと。 類義:三寸の舌を以て、百万の師より強し。 三寸の見直し。 解釈:物事の一寸した違いによる不体裁など見直せば、目立たなくなるとい うこと。容姿も見慣れると、さして苦にならないたとえ。 類義:三寸は見直し。 三寸俎板(まないた)を見抜く。 解釈:ずばりと見抜く先見力、卓越した見通しの鋭さ。俎板の下まで見通せ るほどの力。 類義:三寸見通し。 三省(さんせい)。(論語) 解釈:自分自身のことを一日に三度省みる。昔、孔子(こうし)の弟子が一 日に何度となく自分の行為を反省したという故事による。 三代続けば、末代(まつだい)続く。 解釈:三代目が家や事業の分岐点で、これを乗り越えれば末長く続くという 意。 山中(さんちゅう)の賊を破るは易く、心中(しんちゅう)の賊を破るは 難し(かたし)。 解釈:山の中に籠った敵を打ち破るのは簡単だが、自分の心の中に巣くって いる邪念を克服するのは困難という意味から転じて、修養の難しさを言ったも の。 山中、暦日なし。 解釈:世俗を離れて山の中で静かに暮らしていると、時間が過ぎていくのを 忘れてしまう。 三度の火事より一度の後家(ごけ)。 解釈:火事に三度も遭うのは不幸だが、それよりたった一度、夫に死なれた 方がより不幸である。 三度の飯も、強(こわ)し柔らかし。 解釈:一日に三度炊く飯でさえ、強かったり柔らかかったりする。まして世 の中の事が思うようにいかないのは当然だ。 類義:猫の飯も強し柔らかし。 三度目の正直(しょうじき)。 解釈:何事も一回や二回では当てにできないが、三回ともなれば信じてよい。 類義:三度目は定(じょう)の目。 三度目は馬の鞍。 解釈:人は二度災厄(さいやく)に遭うと、三度目を予想してちゃんと心構 えをする。しかし、その三度目は意外に早くやってきて、馬に鞍を置いて逃げ る暇(いとま)も無く、対策の立てようもない。 類義:三度の目には、馬の鞍も置き合わされぬ。二度目は馬の鞍。 三度目は定(じょう)の目。 解釈:三度目の正直。 三人子持ちは笑うて暮らす。 解釈:子供を持つなら三人が丁度よい。 類義:負わず借りらず子三人。子供持つなら三人持て。足らず余らず子三人。 三人市虎(しこ)を成す。 類義:市(いち)に虎あり。 三人知れば世界中。 解釈:三人が決めたことは、それがたとえ秘密だといっても、三人も知って いるのだから、もう秘密は保てない。 類義:三人寄れば公界(くがい)。 三人旅の一人乞食。 解釈:三人で一つの事を始めると、一人が貧乏籤(びんぼうくじ)を引いた り、仲間外れにされやすい。 類義:一人旅するとも、三人道中するな。 三人虎を成す。 解釈:単なる噂や、根も葉もない嘘でも、多くの者が口にすれば、聞く人は 信じてしまうたとえ。 類義:市の虎あり。三人寄れば金(かね)をも溶かす。市虎三伝(しこさん でん)。 三人寄れば金(かね)をも溶かす。 解釈:事実無根の悪口でも、大勢の人が口にすると、それが本当のことと思 われてしまって、弁解の余地が無くなる。 類義:三人虎を成す。衆口(しゅうこう)金を溶かす。 三人寄れば公界(くがい)。 解釈:三人が集まれば、表向きの話となり、喋ったことは秘密でも何でもな くなる。「公界」は公の場所。 類義:三人知れば世界中。 三人寄れば文殊の知恵。Three people have the wisdom of Monju. 解釈:知恵の無い者でも何人か集まって相談し考えを出し合えば、よい方法 が出てくる。「文殊」は知恵を掌(つかさど)る菩薩(ぼさつ)。 活用⇒二人よりも三人の考え。Three heads are better than two. 類義:三人にして迷う事なし。三人寄れば師匠の出来。 反義:三人寄っても下種(げす)は下種。 三年経てば三つになる。 解釈:どんな物事でも同じ状態で留まっていることはない。年月が経てば変 化や成長がある。 三年飛ばず鳴かず。 解釈:世に雄飛する機会をじっと待っていること。好機を窺いながら、今は 静かにしていること。 三年学ばんより、三年師を選べ。 解釈:自分で闇雲(やみくも)に勉強するより、時間をかけてでもよい先生 を捜した方がよいということ。 類義:千日の勤学より、一時の名匠。千日の勤学より一日の学匠。 三年三月(みつき)。 解釈:長い期間のこと。 類義:三年三月九十九日。 三拍子揃う。 解釈:条件が全て揃うこと。「三拍子」は本来能楽の囃子。小鼓・大鼓・太 鼓又は笛の意。 三遍回って煙草にしよう。 解釈:夜警などが、一服(いっぷく)するのは後回しにして、まず念には念 を入れて見回ろう。休むことばかり考えずに、仕事に手落ちの無いようにせよ という戒め。 三宝(さんぼう)の捨て者。 解釈:救いようのない愚かな人間。「三宝」とは仏・法・僧のことであり、 仏と経典と布教する僧の三つをいう。 類義:三方の捨て者。 三面六臂(さんめんろっぴ)。 解釈:一人で何人分もの働きをする意味。顔が三面あって腕が六本の仏像か ら転じている。 類義:八面六臂。 山門から喧嘩見る。 解釈:高い安全な場所から騒動を見物すること。 類義:対岸の火事。高見の見物。 算用十八、手六十。 解釈:算盤(そろばん)は年が若いうちに短期間で上達するけれども、習字 は長年かかる。 類義:算用十六、謡十年、手六十。 算を乱す。 解釈:乱れてばらばらになること。「算」は教えるための竹の棒。 類義:算を乱して逃げる。 |