交換機の進歩も早いもので、入社当時はクロスバー交換機が主流でした。ガチャガチャと結構うるさいと思っていましたが、その音を聞いてどこがおかしいか解るのでびっくりしました。
徐々に電子交換機に変わっていき、小さなリレーの音とファンの音しかしなくなりました。当然音では修理できません。大きさもものすごく小さくなり事務所の片隅に設置できるものもあります。クロスバーの時代は専用の通信機械室とか書庫の中に設置してありました。交換手さんが更衣室によく使われていたので出くわすことが再々あり、下着姿でおはようとか言われても若い私は恥ずかしいばかりでした。結構おばちゃんばかりでしたけど。
工事はクロスバーの頃には内部の布線が沢山あり数ヶ月におよぶものでしたが、今ではハード的な工事は数週間で済んでしまいます。データのほうが大変ですけど。私はソフトの方を主にやっていました。朝から深夜までパソコンとにらめっこして視力がどんどん低下していきます。工事が終わったときには、0.9ぐらいになっていました。(通常は2.0)
交換機の役目は電話をかける、電話を受ける、転送する、だけでしたが、今では沢山の機能が有りすぎて工事屋も使う人も解らないまま使っています。ここでは主なものを取り上げてみたいと思います。
局線の着信方式 専用線の種類 トランクの種類 内線クラス 配線用図記号
パケット交換方式
通信データを一定の長さのブロックに分割して、ヘッダをを付加したものをパケットといいます。ヘッダには相手先、データの順番等の情報が入っています。大きな情報を細切れにし、それぞれに相手先とデータの順番を付けて送る方法です。受信側は受け取った情報を順番通りに並べて引っ付ければ元の情報になります。
受けたパケットの途中が無かったり、データが壊れていれば、送信側に何番目のパケットを再送するよう要求を出して再度受け取ればいいわけです。パケットは交換機で一旦蓄積され中継線の空いている時に相手に届けられるため、複数の通信が可能です。また端末機の速度、通信方法の違っても通信が可能です。
パケット交換の特徴
- データが有るときだけ回線を占有するので低密度な通信(連続してデータが流れない通信)に向いている。
- 端末機と交換機、交換機と交換機の間(リンクバイリンク)でそれぞれエラーチェックが行われるため、高品質な伝送が可能。
- 蓄積交換方式のため異手順、異速度端末との通信が可能。
- パケット多重が可能。(ヘッダに複数の宛先を指定することで仮想的に1対多の通信が可能)
接続クラス
- 常に相手が固定されている相手固定クラス(PVC)
- ダイヤル手順により不特定と接続できる相手接続クラス(VC)
パケット交換網の構成
- パケットの組立・分解機能(PAD機能)があるパケット形態端末(PT)
- 上記機能の無い非パケット形態端末(NPT)
- パケット多重化装置(PMX)
PMXはNPTにPAD機能を提供トラヒック制御
輻輳を抑えるための制御にはフロー制御と輻輳制御がある。
- フロー制御にはウィンドウ制御方式と契約バッファ方式があり、ウィンドウ制御方式は連続送信できるパケット数(ウィンドウサイズ)を決めておき相手から送信許可が来るまではパケットを送れない方式で、契約バッファ方式は端末毎に受信できるパケットの数(契約バッファ)を決めておき、受信パケット数がこの数を超えたら発信側に入力規制を行う方式です。
- 輻輳制御は輻輳を検出すると網内に入るパケット量を規制するため、端末毎に入力規制を行う方式です。検出方式には共通バッファ使用率オーバとCC使用率オーバの判定方式があります。
ルーティングと順序制御
パケットは同一の宛先であっても一番空いている経路を通るため、受信側でパケットの順番の逆転、重複、紛失が発生する可能性が有ります。そこでヘッダに送信シーケンス番号P(S)、受信シーケンス番号P(R)を付加し、順序制御や送達確認を行っています。
パケット交換プロトコル
パケット通信のプロトコルはX.25で規定されレイヤ1〜3の階層に区分されています。またPAD・PT間のプロトコルはX.29、調歩式非パケット形態端末・PAD間はX.28があります。
- 物理レイヤプロトコル(レイヤ1)
接続コネクタの形状、ピンの配列、電圧・電流回路等- リンクレイヤプロトコル(レイヤ2)
ノードまでのデータリンクコネクション。HDLC手順のフレーム単位の転送が規定されているのでフレームレイヤとも呼びます。- パケットレイヤプロトコル(レイヤ3)
パケットの接続制御手順およびパケットの転送手順。(パケットのフォーマット、論理チャンネルの設定・解放、パケットの通達確認、フロー制御等)回線交換方式
- キャラクタダイヤル
電話のダイヤルと違いパケット端末ではキー入力で行います。- コールプログレス信号
選択信号送出後、相手端末ビジー、着信拒否、輻輳等により接続できない場合、発信端末に対して相手端末、交換局の状態等接続できない理由を伝えてきます。- 接続制御手順
Xシリーズの接続制御手順はX.20およびX.21で規定されています。X.20は調歩式端末に関するもので、DTEからDCEには相互接続回路の回路T、DCEからDTEには回路Rを用いて情報の伝達を行います。X.21は同期式端末に関するものでDTEからDCEは回路TとC、DCEからDTEは回路RとIを使用します。
DTE −T→ DCE → 送信 ←R− → 回線 −C→ ←I− ←S− ← 受信 −G− ← 回線
T:送信データ
R:受信データ
C:制御(コントロール)
I:表示(インディケーション)
S:信号エレメントタイミング
G:アース
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