掲示板のほうで播磨灘さんより、二つの質問がありました。ここで答えたいと思います。
A 魔裟斗vsビンスフィリップス戦をどう予想するか? そもそもビンスフィリップスって誰?
B なんでK−1には、ジョンウェインやヨーデーチャーやフィクリやチャンプアックが出ないのか?
という二点です。
まず、A。
ボクシングにはスーパーチャンピオンっていうわけのわからん制度があります。WBAが他団体との統一チャンピオンをスーパーチャンピオンってのに、認定。別格扱いにしたのです。そのなかの一人にWBA、WBC、IBFのスーパーライト級統一チャンピオンであったコスタヤ・ジュー(もしくはコンスタンチン・チュー)という選手がいます。その選手に唯一の黒星をつけた相手が、ビンスフィリップスだそうです。
強いのは間違いないでしょう。いや、強かったのは間違いないというべきでしょうか。何せ、ジューを倒してタイトルをとったといっても、それは97年のこと。たしか、わしのプロデビューの歳です(笑)。
そしてこのビンスフィリップス、現在40歳。ここ数年目立った活躍をしていないことを考えれば、現在の状態は容易に想像がつくところです。準備期間を考えても、キックにはまったく対応できないでしょう。また、スーパーライト級(63.50kg)の選手ですから、70kgのK−1に出るのは、なめてるんでしょう。
ただ、そうはいっても、単なるパンチの打ち合いでは魔裟斗選手より上でしょう。過去ザンビディスや村浜武洋選手といった「ほぼパンチオンリー」の選手には、魔裟斗選手は「ほぼムエタイスタイル」で迎撃しています。パンチの届かない、ミドルキックや前蹴りの距離でペースをつくり、ヒザでダメージを与えています。これがパンチをもらわない、最も安全な闘い方でしょう。事実、日刊スポーツの記事では、「左の蹴りで相手の腕を潰すか、右の蹴りで脚を潰すか」という趣旨の魔裟斗選手のコメントが載ってました。とても頭のいい選手なので、そのあたりは余裕でわかっているでしょう。ヌアトラニーもいますし。
ただ同時に、「行けると思ったら、パンチの打ち合いにもいく」とも言っています。
【参考 スポナビ】
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/column/200310/1030sn_02.html
おそらく客席が一番望んでいるのは、魔裟斗選手が、パンチでボクシング王者を倒す展開でしょう。要は、どのタイミングで「パンチでもOK」と思うかでしょうね。あんまり早い段階でパンチで応戦してしまうと、思わぬパンチをもらいかねません。十分痛めつけてからです。ローも、最初は危険だとは思います。カウンター合わされやすいので。
結局、ファンが何を望んでいるかが問われる試合だと思います。「キックボクサーがキックボクシングの技を駆使して、ボクサーを完璧に封じる」ことに、拍手をおくれるかどうか。絶対に、「プロなら相手の土俵に入って打ち合え」という大馬鹿者が出てくるはずです。個人的には、完璧に相手の持ち味を消して、「異種格闘技戦などナンセンス」だということを、満天下に知らしめてやってほしいと思います。
一つ気になっているのは、ワンマッチなのに3分3Rというところ。これはキック系の選手には不利ですね。ますますボクシング化がすすみそうです。
では、質問B
どうして、ジョンウェインやヨーデーチャーやフィクリを、K−1に呼ばないのか? という質問です。わしも不思議です(笑)。正直わかりません。こっちが教えてほしいくらいです。欧州の帝王ライアン・シムソンも、まだ現役なんですよね?
考えられるのは
1 プロモータレベルの交渉で決裂してしまっている。
2 実力的にも見栄え的にも、出場に値しないと判断されている。
3 強すぎるから、出したくない。
4 単に知らない
この4つくらいでしょうか。
まず1。
選手が出る出ないで、もっとも障害になるのは、これでしょう。しかし、この団体の常で、出て欲しい選手はすぐ記者の前で言っちゃいますから、本当に出て欲しかったら、名前くらいは出ているでしょうね。ガオランの件を持ち出すまでもなく、先走りは得意ですから。少なくとも、フィクリは「リングはどこでもいい。魔裟斗とやりたい」と発言しています。
次に2。
ジョンウェインは、ベリーハンサムです。スタイルは地味かもしれませんが、スター性は抜群です。ヨーデーチャーは、K−1ルールならガオランより上でしょう。サゲッタオーとはどうなんでしょう? 次元が違うような気はしますが、よくわかりません。スタイル的にもK−1でセンセーションを巻き起こせるだけのものを持ってます。フィクリはその両方があります。
ただ、これを判断するのは、おそらくテレビ局の人間です。彼らの価値観は理解不能 ですから(笑)、ダメという判定を下しているかもしれません。
次に3。周囲のキックボクサーたちでは、この説が通説になっています。K−1ミドル級の設立趣旨は、「日本人のK−1王者をつくりたい」というところにあるのは間違いないと思います。したがって、強すぎる外国人に出てもらうと困ることは事実でしょう。ただ魔裟斗選手という立派な世界王者が生まれたわけだから、そろそろと思ったのですが、、、、、次のテーマはK−1対ボクシング。
谷川Pの発言を聞いていると、二言目にはボクシングという言葉が出てきます。とにかくアメリカ市場を開拓したい、それにはボクサーを巻き込まないとどうしようもない、ということでしょう。アメリカでは、格闘技=ボクシングかレスリングという認識がまだまだありますから。
最後に4。これも「あるかもしれない」って思ってます。とくにTV局が大幅に介入
しているのなら、そもそも素人だから、ありうるでしょう。
以前、森S野さんも書かれてましたが、K−1はボクシングを目指すかと思いきや、プロレスを目指してしまっています。ならば、「キックはボクシングをめざそう」と、わしはつねづね言っているわけです。
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