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スズメバチ誘引トラップ


ファネルトラップ手作りトラップと市販のトラップ世界のトラップ誘引トラップによる捕獲調査結果

ペットボトルを利用した手作りのトラップを仕掛けて,越冬を終えた女王バチを誘引捕殺し,営巣密度を低下させようとする試みが各地で行われています.以前から,国有林等で働く林業関係者の刺傷被害を防止する目的で,トラップによる捕獲調査が行われてきましたが,十分な成果を挙げるまでには至っていないようです.

春先にトラップを設置すると多数の越冬女王バチが捕獲されます.1頭の女王バチの捕獲は1個の巣を駆除したことになりますから,相当な駆除効果があるように思われがちです.しかし,女王バチの単独営巣期には,女王バチが途中で死亡し,廃巣になる割合が極めて高いことが知られています.これは毎年多数の女王バチが羽化,越冬するにも関わらず,実際の営巣数がはるかに少ないことからも裏付けられます.

捕獲された女王バチは,仮にトラップに捕獲されなくても,大部分は何らかの理由で営巣途中に死亡してしまう可能性が高く,実際の駆除効果は見かけよりずっと低いと考えられます.そのため,よほど多数のトラップを高密度に設置しない限り,その地域に生息するスズメバチの営巣密度を低下させるほどの効果は期待できません.また,毎年同じようにトラップを設置しても,女王バチの捕獲数は年次変動が大きく,捕獲効果の判定は困難です.

オオスズメバチは生態系の上位者として,他のスズメバチの巣の生存率に大きな影響を与えています.トラップにはオオスズメバチが多数捕獲されますが,その結果,オオスズメバチによる捕食圧が弱まり,コガタスズメバチやキイロスズメバチなど都市環境に適応した種が,逆に多発する可能性も考えられます.


調査に使用したファネルトラップ トラップ内部の様子 ペットボトルを利用したトラップ

発酵糖液(乳酸飲料と水を等量混ぜ合わせたもの)を使用して,市内4定点で実した調査結果を少し詳しく見てみましょう.2005年と2007年ではパターンが少し異なるものの,5月〜6月を中心に7月にかけて女王バチが捕獲されています.その後は9月をピークに多数の働きバチと少数のオスバチが捕獲されますが,新女王バチはほとんど捕獲されません.

働きバチの捕獲数は年度やトラップの設置場所により大きく異なっています.巣からトラップまでの距離が捕獲数に大きく関係していると考えられ,トラップと巣の距離が極めて近いと,多数の働きバチが捕獲されることがあります.ただし,樹液に依存する傾向が低いキイロスズメバチではこうした傾向は認められませんでした.



1994年〜2007年まで14年間の総捕獲数は18,084頭で,名古屋市内に生息するスズメバチの全種が捕獲されています.捕獲数は,最優占種であるコガタスズメバチが34.0%を占めて最も多く,以下,オオスズメバチ,モンスズメバチ,ヒメスズメバチの順になっており,樹液に依存する種が多く捕獲される傾向があります.名古屋市内ではオオスズメバチ,モンスズメバチ,ヒメスズメバチ,コガタスズメバチの4種を樹液でよく見かけます.キイロスズメバチとクロスズメバチは樹液に対する依存性が低く,ほとんど見ることはありません.

興味深いのは営巣規模が小さいヒメスズメバチが多数捕獲されることです.本種は性質も温和で,閉鎖空間に営巣することもあって駆除依頼は多くありませんが,トラップ調査の結果から,市内に多く生息していることが推測されます.捕獲数から見た種構成は,駆除結果とは大きく異なっており,それぞれの地域におけるスズメバチ相を知る上で有効な調査方法です.

スズメバチ以外のハチはあまり捕獲されません.アシナガバチではキアシナガバチとムモンホソアシナガバチが少数捕獲されます.その他には、エントツドロバチ,ギングチバチの仲間が捕獲されることがありますが,ミツバチはほとんど捕獲されません.

チャイロ,シダクロは捕獲数が極めて少ない.