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Simple Simon met a pieman 

Simple Simon met a pieman,

Going to the fair;

Says Simple Simon to the pieman,

Let me taste your ware.

Says the pieman to Simple Simon,

Show me first your penny;

Says Simple Simon to the pieman,

Indeed I have not any.

(中略)

He went for water in a sieve

But soon it all fell through;

And now poor Simple Simon

Bids you all adieu.

まぬけなサイモン パイ売りに会った

市へいく途中

まぬけなサイモン パイ売りに言った

「パイのお味見 させてくれ」

 

パイ売り まぬけなサイモンに言った

「さきに お金を見せてくれ」

まぬけなサイモン パイ売りに言った

「じつは お金はもってません」

(中略)

ふるいで水を くみに行った

でもすぐに もれてしまった

これで あわれなまぬけのサイモン

それじゃ みなさん さようなら

【語句】

ware 「商品、品物」。ここではパイのこと。

【解説】

 15連ある長い唄であるが、現在では最初の5連がよく知られている。まぬけなサイモンは、鯨を釣ると言ってバケツに釣り糸をたれたり、あざみの枝にスモモがなっていないかと見に行ってとげで指を突き刺したりと、失敗ばかり。

 この唄から、'Simple Simon'は「おろかな男、だまされやすい人」といった意味で使われるようになった。

Sing a song of sixpence 

Sing a song of sixpence,

 A pocket full of rye;

Four and twenty blackbirds,

 Baked in a pie.

 

When the pie was opened,

 The birds began to sing;

Was not that a dainty dish,

 To set before the king?

 

The king was in his counting-house,

 Counting out his money;

The queen was in the parlour,  

 Eating bread and honey. 

The maid was in the garden,

 Hanging out the clothes,

There came a little blackbird,

 And snapped off her nose.

 

うたおう 6ペンスのうた

袋いっぱいのライ麦

くろつぐみ 24羽

パイの中で やかれた

 

パイを あけたら

とりがうたいだす

なんてすてきな お料理

王様に

 

王様 かねぐら

おかねの かんじょう

女王 おへやで

パンに はちみつ 

女中は お庭で

洗濯物 干していた

そこへ ことりがおりてきて

女中の鼻を もぎとった

 

【語句】

a song of sixpence 「6ペンスの唄」。ここでは「なんてことはない唄」といった意味だろう。

dainty dish「おいしい料理」。

 

【解説】 

 女中の鼻がもぎとられたままではかわいそうということで、このあとにもう一連付け足して、王様の侍医が女中の鼻を上手に縫いつけるというようにハッピーエンドになる形も伝わっている。

 また、シェイクスピアの『十二夜』に'Come on, there is sixpence for you; let's have a song.という一文がでてくるが、この唄に関連があるものと思われる。

 アガサ・クリスティの『ポケットにライ麦を』 A Pocketful of Rye では、この唄の筋にそって次々と連続殺人が起きていた。

このマザーグースは、ビートルズの歌でも、引用されています。

Solomon Grundy

Solomon Grundy,

Born on a Monday,

Christened on Tuesday,

Married on Wednesday,

Took ill on thursday,

Worse on Friday,

Died on Saturday,

Buried on Sunday.

This is the end

Of Solomon Grundy.

ソロモン・グランディー

月曜日に 生まれた

火曜日に 洗礼うけて

水曜日に 結婚した

木曜日に 病気になって

金曜日に 重くなった

土曜日に 死んで

日曜日に 埋められた

これで おしまい

ソロモン・グランディー

【語句】

Born on a Monday アーサー・ラッカムの本のように Born on Mondayとなっているものもあるが、ほとんどの版には"a"がついている。

【解説】

 Solomon Grundyとは架空の名前だが、Solomonは旧約聖書にでてくるイスラエルの賢明な王、Grundyは18世紀末の喜劇に登場した口やかましい人物をイメージさせる。

 つまり、Solomonで「人間の賢さ」、Grundyで世間体を気にする「人間の愚かさ」を象徴していると考えられる。1945年の英国貯蓄委員会の広告にも、この唄の替え唄が使われたという。

【なぜだろう】

"Born on a Monday"だけなぜ"a"が付くのでしょうか?追手門学院大学の安藤幸江教授に教えていただきました。

 「この歌の1行の音節を数えてみると、"Worse on Friday"を除いて、すべて5音節になっています。そしてそのリズムは強弱弱強弱です。この音節の数とリズムを合わせるために、"Monday"の前に"a"を入れたと考えられます。

 また、例外の"Worse on Friday"ですが、"worse"には"worser"という語も使われていたことがあり、語尾の "e"を、昔は発音していた可能性があります。その場合は、この行も5音節で、強弱弱強弱のリズムとなり、例外ではなくなります。」

Star light, star bright

Star light, star bright,

First star I see tonight.

I wish I may,

I wish I might,

Have this wish I wish tonight.

 

あかるいおほしさま かがやくおほしさま

こんや さいしょのおほしさま

わたしのおねがい かなえてね

こんやのおねがい かなえてね

 

【解説】

 一番星を見つけたときに唱える唄。一番星や流れ星に願いをかける習慣は世界各地にある。

 ディズニー映画の『ピノキオ』では、ゼペット爺さんはピノキオが本当の人間になるように、星にお願いをしている。それを聞いた星の精がピノキオに魔法をかけるという筋である。

【日本では】

 1797年の『諺苑』に次のような唄が収録されている。

 

一つ星を見つけたら、長者にならうな。

(夕方一番星をさがしあってうたう)

 

なお、この一つ星とは宵の明星(金星)のことで、一つ星を先に見つけると福が授かるという俗信が昔からあったらしい。