アリスの見たガイフォークス・デイ

 ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』は、夏の戸外から物語が始まるが『鏡の国のアリス』は、冬の室内の描写から始まっている。対比を好むキャロルらしい手法である。

 では、暖炉のそばで毛糸玉を巻くアリスのおしゃべりを聞いてみよう。ただし、おしゃべりの相手は黒猫のキティである。(下の挿し絵参照)

 "Do you know what tomorrow is, Kitty?" Alice began.      (中略)

"I was watching the boys getting in sticks for the bonfire -- and it wants plenty of sticks, Kitty! Only it got so cold, and it snowed so, they had to leave off. Never mind, Kitty, we'll go and see the bonfire tomorrow."

 「明日が何の日か知ってる?ねぇ、キティ」とアリスは始めました。(中略)「たき火にする枝を男の子たちが集めるのを見ていたの。キティ、ほんとにたくさん、木がいるのよ!でも寒くなったし、雪もひどくなったから、やめなきゃならなかったみたい。心配いらないわ、キティ。明日、たき火を見に行きましょう

 アリスの「明日たき火を見に行きましょう」の言葉から、この日が Guy Fawkes Day 前日の11月4日だったということがわかる。

 数学者キャロルが47年間を過ごしたオックスフォード大学のクライスト・チャーチ学寮中庭では、毎年11月5日に大きなたき火をたいて祝っていたので、学寮長を父に持ったアリスも、たき火を何度も見物したに違いない。 

 

英国人にはピンとくるタイトルだけど・・・

 この11月5日をそのままタイトルにした映画がある。<The 5th of November>(邦題『怒りの日』だ。

 1976年製作のアメリカ映画だが、舞台はイギリス。主演は『夜の大捜査線』でアカデミー主演男優賞賞を取ったロッド・スタイガー。

 デモ鎮圧の英国兵の無差別銃撃で妻子を失ったIRA党員ヘネシー(R.スタイガー)は、復讐のため、エリザベス女王以下の政府要人を11月5日の国会開院式の日に議事堂もろとも爆破する計画を立てるが、スコットランドヤードに阻止される、といった内容。

 エリザベス女王の実写フィルムが挿入され、イギリスで上映中止となったいわく付きの作品である。

 イギリス人なら、このタイトルを見ただけで映画の内容を察することができるだろう。しかし日本では、邦題を『11月5日』とするわけにもいかず、ド・ゴール大統領の暗殺計画を扱った『ジャッカルの日』('72)やケネディー暗殺秘話『ダラスの熱い日』('73)などに便乗して『怒りの日』というタイトルに落ち着いたのではないだろうか。

 また、『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』第一章のタイトルもThe Fifth of November。Guy Fawkes Day の花火と共に、流れ星のように空からメアリーが降ってきて、花火を打ち上げた子供たちは大喜びで彼女を歓迎するのであった。(表紙絵は、花火とともに降ってくるポピンズ)

           

 恐ろしい陰謀事件を起こそうとした Guy Fawkes でしたが、今では、お祭りの人形として、イギリスの人々に親しまれています。それと・・・guy(やつ)という語が Guy Fawkesに由来するということも、ぜひ覚えておきたいですね。

 最後に、ガイフォークスデイをもっと知りたい人に役立つサイトをご紹介します。

ガイ・フォークス・デイ

  ガイフォーク・デイが出てくる映画がたくさん紹介されています。

UKを知ろう

 ロンドン憶良さんのサイトで、イギリスのことが詳しく載っています。「ガイフォークス」のページでは、事件の背景が詳述されており、勉強になります。すてきな挿し絵つきなので、わかりやすいです。