8、1968年 マザーグース豊穣の年(その1)
2月、ビートルズはインドへ瞑想に出かけ、この旅を機にビートルズは精神性を重視したシンプルな音作りへと作風を変化させている。ジョンはこの旅を「いい息抜きになった。体重も落ちて、大人になった」と評している。この年には、マザーグースをモチーフとした歌が5曲も発表されている。
G Lady Madonna (1968年2月 rec.) ポール・マッカートニー 意図的引用
赤ん坊に乳を飲ませるアフリカ人女性の写真にヒントを得て作った作品で、ポールは、
@ Lady Madonna, children at your feet
Wonder how you manage to make ends meet
「子供が多く家計が苦しい」という一節から、次のマザーグースが連想される。
There was an old woman who lived in a shoe,
She had so many children she didn't know what to do;
She gave them some broth without any bread;
She whipped them all soundly and put them to bed.
お靴にすんでた おばあさん
子供が多すぎて どうしたらいいかわからない
パンをやらずに スープだけ
むちでうっては ベッドにいれた
A Monday's child has learned to tie his bootlace
脚韻の踏み方も、次のマザーグースと同じである。なお、ポールは歌を作ったときには、土曜日が抜けていることに気づいておらず、のちになって「さすがのレディ・マドンナも土曜日はパーティーなんだ」と言い訳している。
Monday's child is fair of face, 月曜の子供は かわいいお顔
Tuesday's child is full of grace, 火曜の子供は 品がいい
Wednesday's child is full of woe, 水曜の子供は 悲しみいっぱい
Thursday's child has far to go, 木曜の子供は 遠くへ行く
Friday's child is loving and giving, 金曜の子供は 気前よい
Saturday's child works hard for his living, 土曜の子供は はたらきもの
And the child that is born on the Sabbath day 安息日の子供は
Is bonny and blithe, and good and gay. かわいくほがらか やさしく陽気
B See how they run
この一節は、ジョンのI Am The Walrusでも用いられていた次のマザーグースからの引用。
Three blind mice,see how they run! 3匹の盲目ネズミ 走りっぷりをみろよ
They all run after the farmer's wife, 農家のおかみさんを おっかけた
Who cut off their tails with a carving knife, おかみさん包丁でしっぽ切り落とした
Did you ever see such a thing in your life, こんなこと 見たこと あるかい
As three blind mice? 3匹の盲目ネズミ