歳時唄:2月14日       

 バレンタインにちなんだマザーグース

Roses are red,

Violets are blue. 

Sugar is sweet,

And so are you.

ばらは あかい

すみれは あおい

おさとうは あまい

あなたも すてき

  キャンディに書かれた素敵な詩      

 2月14日のバレンタインデーにちなんだ愛の唄として有名だが、卒業のときに交換するサイン帳に、記念の言葉と共にこの唄を書き込んだりもするという。唄の3行目の sugar が、honey や gillyflower(アラセイトウ)になっている版もある。よく知られた詩なので、当然あちこちで引用されている。(このマザーグースは、ビートルズの歌でも、引用されています。)

 2003年5月に英語の授業でも、この唄の替え唄を作りました。(生徒が作った替え唄へ

 さて・・・このホームページでもおなじみの『大きな森の小さ な家』(1932)では、幼いローラが初めて町に連れて行 ってもらう場面に、この唄がそのまま出てくる。

 11キロの遠い道のりを馬車に揺られて、やっと町に 着いたローラは、店に物があふれかえっているのを見 て、大いに驚く。以下は、ローラたちが店の人にキャ ンディをもらう場面である。

 Both pieces of candy were white, and flat and thin and heart-shaped. There was printing on them, in red letters. Ma read it for them. Mary's said: "Roses are red, Violets are blue, Sugar is sweet, And so are you."  Laura's said only: "Sweets to the sweet."

 二人のキャンディは、どちらも白くて平べったく、 薄いハート形だった。キャンディの上には、赤い文字 でなにか書いてあって、母さんが読んでくれた。 メアリーのには、こう書いてあった。「ばらは赤い。 すみれは青い。お砂糖は甘く、あなたもすてき」  ローラのには、たったこれだけ。「すてきな子に甘 いお菓子を」

 ローラは、優等生の姉メアリーに対して何かと劣等感を抱いてたらしく、このときも、姉のキャンディに すてきな詩が書いてあったので、ずいぶんうらやましく感じたようだ。

      いじめっ子の替え唄にも       

 この唄の替え唄も多い。ローラの娘ローズの養子ロ ジャー・リー・マクブライドが書いたシリーズの続編、『大きな赤いリンゴの地』 In the Land of the Big Red Apple (1995)は、ローラの一人娘ローズの少女時代を描いた作品で、ここにも唄のパロディが登場して いる。

"Roses are red, violets are blue," Elmo Gaddy, the class bully, taunted Vernice. "Asfettidy stinks, and so do you." Then he laughed roughly. Vernice's face puckered up to cry.

 「ばらは赤い。すみれは青い」クラスのガキ大将の エルモ・ギャディが、ヴァーニスをからかった。「アスフェティディはくさい。おまえもくさい」と言って、大声で笑った。ヴァーニスの顔はひきつって、泣き出しそうになった。

 病気にかからないように、臭いの強いアスフェティディ(植物の樹脂)の袋を身につけていたヴァーニスを、いじめっ子のエルモが替え唄でからかう場面であった。

 同様の「嫌がらせ」替え唄をもう一つ。スティーブン・キングが26歳のときに発表した第一作『キャリー』Carrie (1974) にも、落書きの文句として、この唄のパロディが出てくる。

 Graffiti scratched on a desk in Chamberlain Junior High School:

  チェンバレン中学のある机に刻まれた落書き:         

   


Roses are red, violets are blue,
Sugar is sweet,but Carrie White eats shit.


ばらは赤い。すみれは青い。砂糖は甘い。
でも、キャリー・ホワイトはうんこを食べる。
 

 この作品は、1976年、ブライアン・デ・パルマ監督 によって、シシー・スペイセクとジョン・トラボルタ主演で映画化された。ただし、映画の中には、この落書きは出てこない。

     映画にも替え唄がいっぱい

 シシー・スペイセクといえば、彼女が主演したラブロマンス『すみれはブルー』<Violets Are Blue> (1986.US)では、今回の唄がタイトルに使われていた。また、『ミッドナイト・スキャンダル』(1993.US)の原題は、<Roses are Dead> (1993.US) であった。

 他にも、さまざまなジャンルの映画で、主に替え唄として登場している。

 たとえば、シャーリー・マクレーン、アン・バンクロフト、ミハイル・バリシニコフ主演の『愛と喝采の日々』 <The Turning Point> (1977.US)では...。


Divorce is a bummer. Violets are blue.
Tchaikovsky is great, and so are you.


離婚は苦く、すみれは青い。
チャイコフスキーは偉大で、君もすばらしい。
 

 離婚経験者のジョーは、唄にさりげなく自分の気持ちを託して、シャーリー・マクレーン扮するディー・ディーに愛を告白している。チャイコフスキーがでて くるところが、音楽家らしい替え唄であった。

 アリッサ・ミラノの『言いだせなくて』<Little Sister> (1991.US)では、恋をした純情な少年が、図書館でこんなメッセージをカードに記している。


Roses are red. Violets are blue.
Oh, do I have a surprise for you!


ばらは赤い。すみれは青い。
あなたに驚きの事実を!
 

 アル・パチーノの『シー・オブ・ラブ 』<Sea of Love> (1989.US)のおとり捜査で作った詩は、トンデモ ナイ唄だったが、ちゃんと韻をふんでいた。


Roses are red. Violets are blue.
I got one yea long and it's all for you.


ばらは赤い。すみれは青い。
俺のモノはホントにでかくて、おまえのものさ
 

 また、韻をふんでいない替え唄もいくつかある。 『おつむてんてんクリニック』<What About Bob?> (1991.US)では、ビル・マーレー演じる患者が、大勢の精神科医を相手に、こんなジョークをとばしている。


Roses are red. Violets are blue.
I'm a schizophrenic and so am I.


ばらは赤い。すみれは青い。
そして僕は精神分裂症。
 

 schizophrenic といえば、『麗しのサブリナ』にオードリー・ヘップバーンを起用したビリー・ワイルダーが、「彼女は schizophrenia というややこしい単語を綴れるんだ」と言ったことが思い出される。 schizophrenia は、アメリカ人にとっても、難しい単語なのだろう。       

 そして...オードリーといえば、ミュージカル映画 『パリの恋人』<Funny Face> (1957.US) がある。


Roses are red. Violets are blue.
The dress is got to be shown.


ばらは赤い。すみれは青い。
ドレスは見せなきゃ。
 

 フレッド・アステアが、オードリーの元へ行こうとするシーンで軽快に歌われた唄で、作詞作曲はガーシュインであった。映画や小説を見る限り、この唄の替え唄は、バレンタインデーだけでなく、さまざまな場面で引用されているようだ。   

         

 バレンタインといえば、日本では、もっぱら女の子がチョコを贈る日となっているが、欧米では、この唄にちなんで、男の子が女の子に赤いバラを贈ったり、家族や同性の友達同士でカードを交換したりすることも、覚えておきたい。 下のイラストは、2年生の作品です。

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バレンタイン・デーの由来

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