更新2004年5月20日

 

タイ国の税務に関する判例

 

[A]タイの税法に関する判例の概要

 著者 チャイシット・トラチュータム氏
 書籍名 税の問題点を研究する場合(最高裁の判例及び判例理由からの研究)
 発行場所 サターバン・ティ・トレーニングセンター
       バンコク、スティサン、ソイインタマラ 30/346 Tel2761282
       (500バーツぐらい)

  

 上記の本の翻訳(翻訳が間違っていることがあるかもしれませんし、ここに出ている判例と正反対となる新しい判例が出ているかもしれませんので、必ず現地の専門家に確認してください)及び自分のコメントがあります。なお、発行年月日は記載されておりませんでしたが、2000年1月に購入したとき新刊となっていました。従って現在の法律の改正前の率等で記載されているところも多くありますので注意して下さい。
 「法律の条文やその解説を勉強するだけでなく、最高裁の判決も勉強するのがよい。それは、その根拠理由が公表された判決であればあるほど、その効果が大きいから。」事案の詳しい内容がわかればもっと役に立ちますが、ここでは簡単な概要と解説そして私の意見を紹介します。
 判例については、一般の方が現実に直面する問題(裁判に持ち込む前提となる法律が求める証拠書類をいかに揃えるか、日常業務においてどのように対処すればよいかという問題)と距離があり、実務を行う人には現実性に欠け、あまり役に立たないと思われ、まるでざるで水をすくっているように見えるかもしれません(タイでの実務経験に欠けますので、これが私のできることかな。)。
 条文は基本となるものです。基本を知らないと応用は効きません。そのため、判例がただ条文を読んでいてもわからない法律の解説、背景、運用を知るために何らかの形で参考になればうれしく思います。
 日本では、将来予想される税金を少なくするため、合法的になるように手間をかけ税金を少なくする(課税庁の許容範囲内)対策をしております。しかし、一部の方が、第3者から見て通常ではしない行為(明らかに租税回避のみの目的)を行なうことを聞きます。法律主義が強い(法律もその性格上、現実の後追いで万能ではなく、法律に規定されていないことは罰則できない。従って、法律による判決は何かおかしいと思うことが、最近では多々あります。租税回避については、一つ罰則されない方法を作ると莫大な利益が上がるそうです。逆にこのようなことのできる人は、余程条文を読みこなしている人でしょう。頭がよい人とお金のある人にますますお金が残るようになる。)ほどその傾向が強いと思います。(世の中の変化のスピードの速いときに、コンスタントに一定の利益を上げていくことはたいへんなことですから、短期完結型租税回避商品を開発し一発当てたいと思っていますが、如何せん開発する頭と度胸がありません。)タイにおいても「なぜそのような行為をするのだろう」と思うことがありますが、法律を知ることによりわかることもあると思います。また、事業を行って税金を納めている政治力を持たない中間層の知り合いのタイ人は、イレギュラーな方法を使うと金銭がかかることを意識しており、待てるときは多少遠回りしても法律に適合させようとしているように感じます。 
 なお用語についてはタイ語の言葉と日本語の言葉は一致しませんので統一されていない部分が出てきます。例えばタイ語の単語は同じであるのに違った日本語の単語を使用することやタイ語の単語は違うのに同じ日本語の単語を使用することがあります。邦訳を続けていくうちに、日本語の法律用語を使うとかっこよく自己満足に浸れ、そのときはよいのですが、別のときにつじつまが合わなくなってしまうことがありましたし、時がたち日本語化した邦訳だけを読むと条文の持つ意味や日本との考え方の違いがわからなくなってしまうこともあります。それに日本の条文も同じですが、修飾語の掛け方、句読点を置く位置によっても意味が違ってきますので注意が必要となります。誰だったか忘れましたが「本を書くことは自分の辞書を作ることだ」と言っていました。今は、私も邦訳しホームページで公開することにより自分の辞書を作っている途中です。
 翻訳した文章を見ると、言葉の使い方、視点などから現在の自分のレベルが見透かされているようで恥ずかしく思います。

 判例の概要の翻訳は、今回の更新で終了しました。足掛け4年かかりましたが、さらにこの4年の間にいろいろな判例も出ていると思いますので、新しいものが手に入り次第、不定期になりますが追加したいと思います。これからは、判例の概要の翻訳に使った言葉と法令との整合性のため、法令等の翻訳はやはり避けて通れませんので、法令等の翻訳を中心に毎月1回を目途に公開していきます。(2004年5月20日)

タイの判例 所得税(2004年5月20日終了)

 

タイの判例 法人税(2002年2月1日終了)

 

タイの判例 付加価値税(2002年7月27日終了)

 

タイの判例 税務裁判を行うこと(2003年2月20日終了)

 

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