3.地方分権

私が訪れたのは、スウェーデンのレクサンド市と、デンマークのオーフス市でした。都市の大きさに差はありますが、両国の行政マンから聞いた行政組織の在り方や分権についての考え方には共通のものがありました。

国と県・市の関係は決して上下関係ではなく、対等な関係だといいます。県と市は、各々役割分担をしており、医療・県道等は県が受け持つが、福祉・教育・住宅・市道・上下水道・消防等は、より市民に近い市に責任と権限をおいており、国はこれらに口出しをしません。また、両国とも市民団体の代表による各種委員会や公的施設の利用者委員会が組織されており、県や市が意思決定する際に直接的な大きな影響力を持っています。

市の財政は地方税収入が1/2、国からの交付金と利用料が1/4。支出においては、教育・福祉・保育関係に8割が使われ、その7割が人件費であるといいます。

レクサンド市事務総長のラース氏の印象的な話をしましょう。
「スウェーデンでは、コミューンを小さな自治区に分けている。各々の自治区で独立した裁量権を持って行政をするという分権システムになっている。こうすることで、住民が巨大都市でも疎外感を感じずに自分たちの政治に関われる。ストックホルム市は、70万人都市だが、来年から3万人の自治区に分割しようとしている。一般的に5000人規模の区に分割するのが、最近の傾向だ。しかし、分割されても権力行使が市中央にあるならば、人々は自治区の政治に参加しないだろう。
かつて共同体が担っていた、福祉や保育等の仕事を市職員が専門的に管理することになって、行政は市民から離れて行った。しかしスウェーデンでは、財政危機によって市民が自ら町を作り上げようと、見直しが始まっている。例えば、市民が利用する施設を住民管理にし、市は財源の一部を提供する。このことで、住民の直接参加が生まれる。公共が責任を持ってやる・公共にお任せでなく、民主主義の観点からも、平等に男性も女性も積極的に参加する形が必要だ。
そこで、当市では一般市民が政治家としてでなく市政に参加するために、利用者協議会を作って利用者の立場から意見を反映するような仕組みを用意した。」

私は、市民の市政参画とそれを保障するシステムこそ、今の市行政に必要であることを両市から学びました。

 
  1. スウェーデンの福祉
  2. スウェーデンの教育
  3. 地方分権
  4. デンマークの福祉
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