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砂田喜昭 2013年1月27日更新  
市設置・管理型浄化槽方式で水洗化促進
綾部市行政視察報告


 市議会産業建設常任委員会は1月17日、京都府綾部市での水洗化総合計画について視察しました。


小矢部市での議論

「散居村では市設置型浄化槽を」


 小矢部市議会は8年前の2004年秋にも、綾部市の市設置型合併処理浄化槽により水洗化を促進する計画(2002年3月制定)を視察してきました。これをふまえて散居村を抱える小矢部市でも公共下水道方式一辺倒ではなく、散居村には市設置型の合併処理浄化槽による水洗化計画を進めるよう議論が繰り返されました。

市内全域水洗化に39年間も
小矢部市の見直し、散居村を放置


 しかし2010年度に見直した小矢部市下水道計画は、散居村でも特定環境公共下水道方式で整備するものとされ、市内全域水洗化は39年先です。浄化槽方式では9年間、43億円で市内全域水洗化ができるのに、公共下水道方式にこだわったために、193億円かけて39年間もかかることになりました。市が建設費と維持管理費を72年間にわたって試算したところ、浄化槽方式は維持管理費が高くつき、比較するとその合計で公共下水道方式が効率的だと判断しました。その結果、散居村ではいつ事業に着手できるかの見通しもないまま放置されています。

市債残高156億円に懸念
決算認定に2議員が反対


 2011年度末には小矢部市の下水道事業と農業集落排水事業の二つで156億円を超える借金を抱え、借金の元利返済に13億円も使いました。この借金の規模は一般会計の118億円の1・3倍にも上ります。このような現状に市議会の中でも懸念の声があがり、2011年度決算に反対する議員が砂田市議を含め2名になりました。


綾部市の経験

 今回の視察では綾部市が新しい水洗化計画によって、どのように水洗化が進行しているのか、財政負担はどうか、浄化槽維持管理費の実際などの経験を教えてもらいました。
 綾部市の水洗化普及率が2000年度末で24%だったものが、2011年度末で64・3%(=整備区域内の9、922戸に住む人口23、212人/行政人口36、120人)にまでなりました。水洗化率は58・1%(=水洗化した戸数8868戸に住む人口20、995人/行政人口36、120人)です。詳細は表参照。

3億円余の市債で
農業集落排水は220戸、
浄化槽は1200戸整備


 市債残高では綾部市の場合、公共下水道90億円、農業集落排水37億円、浄化槽3・7億円で、合計130・7億円でした。綾部市の計画見直しでは農業集落排水を市設置型浄化槽方式(綾部市では特定地域生活排水処理事業と呼んでいる)に変更しました。農業集落排水事業で整備した実績が約220戸規模で約3・2億円の市債増でしたが、浄化槽方式ではこの間に3・7億円の市債で1200戸の整備をしたので、建設費の比較では浄化槽方式を取り入れた効果があったそうです。

建設コスト 浄化槽は一桁安いが
維持コスト 浄化槽で3割増し


 建設コスト、維持コストを比較してもらいました。その結果は次の表「一人当たりコストの比較」の通りです。処理区域内一人あたり建設費は公共下水道が173万円、農業集落排水が245万円に対して、浄化槽は27万円で、一桁違い、断然安くついています。一方維持費は、一人あたり公共下水2万6100円、農業集落排水3万2100円、浄化槽3万3900円で、浄化槽が3割ほど割高ですが、そんなに大きな違いになりません。


 小矢部市が下水道計画の見直しの際に、富山県の指導を受けて72年間を比較したら建設費と維持管理費を合わせると公共下水道の方が安くなると試算しましたが、これがいかに実態からかけ離れ水増しされたものであったかが、このことからも言えるのではないでしょうか。

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