バナー2007年6月3日号本文へジャンプ
砂田喜昭 2007年6月2日更新  
総務常任委員会の行政視察報告

 市議会総務常任委員会は5月28日千葉県市川市、29日埼玉県草加市を視察しました。いずれも東京23区に隣接する自治体です。砂田喜昭市議も参加しましたので、その概要を紹介します。

市川市

市民活動団体を住民税1%で支援



 市川市では住民税の1%活用事業について視察しました。桜井市長の公約はこの実践がもとになったとのことです。
 納税者の8割がサラリーマンという市川市は、「市川都民」と言われるくらいで、市川市での活動よりも都知事選に関心が集まるところだそうです。そこで、市川市民が自らの納税額、税の使われ方に関心を持ってもらいたいと、この制度をつくったそうです。
 市民は多様な要望を持っていますが、行政だけでこれに応えきれなくなっています。その一方で福祉や社会教育、文化・スポーツの振興などをボランティアで行っている市民活動団体があります。
 「市民活動団体支援制度」は、個々の納税者が納めた住民税の1%を、その納税者が応援したいとして選んだ市民活動団体に支援金としてまわすものです。その団体の維持運営に関する経費は対象外で、その団体が取り組む事業に対する経費の2分の1を上限とします。
 市民活動団体は、その年に実施する事業と希望支援額を市に届け、市は審査会で審査し、パスしたものを広報で市民に知らせます。今年度は85団体が支援対象団体となりました。市民はこの中から支援したい団体を選択し、市役所に届けます。
 2006年度の実績では、98団体が支援対象団体となり、総額2570万円の支援希望額が申請されました。市民の選択届出総数は7千人弱で全納税者の3.1%でした。その結果、支援金交付決定額は合計で約1519万円(このうち団体を特定しない基金積み立てが324万円)でした。もっと多くの納税者が選択届出に参加すれば、この支援金交付額はもっと増やせる仕組みです。各団体はそれぞれ選択届出に参加する市民を組織する努力もしているそうです。
 この制度についての市民からの意見には、「自分の税金について考える良い機会」というものから、「1%分、税金を少なくしてくれた方がよい」というものまでいろいろとあったようです。
 事業にはいろんなものがたくさんあり、「図書館友の会」「知的障害者の水泳療育事業」「健康麻雀説明会(賭けない、飲まない、吸わない)」「野鳥観測友の会」から「響け!平和のうたごえ」「平和が好きin市川市民の会」まで、実に多彩でした。
 市川市の担当者は、行政でこれだけ多彩な事業をやるのは大変だが、市民自身が自主的に取り組むことで、まちづくりに大いに効果があると力説していました。

太田市の住民税1%まちづくり事業視察報告


自治体間の格差を痛感
 草加市を視察して


 草加市では、自治体が行っている事業を見直し、民間で行うべきもの、国が行うべきものなどの事業仕分けをすることについて視察してきました。
 ここでも東京からの移住者が多くを占め、東京23区の豊かな財政力に比べて、はるかに少ない税収で行政サービスを行わざるを得ない格差の存在が、事業仕分けに取り組む動機の一つのようでした。税収面では、隣の足立区では固定資産税に相当する都区財政調整交付金が約900億円、草加市の固定資産税は約130億円と、大きな開きがあります。その上支出面でも、消防や下水道は都が実施しているので特別区の負担が少ないそうです。その分、東京23区には福祉サービスにまわす財源があるとのことで、草加市では市民に、「満足」してもらえないが「納得」してもらいたいと語っていました。
 それでも小矢部市から見ると草加市は大変豊かな財政で、国の補助金を余り当てにしないで行政運営ができていました。草加市の人口は、1958年の市制施行時の3万4千人から、今では合併したのではなく東京からの移住者で23万人を超えています。
 このような自治体間の格差を是正する役割を持っているのが地方交付税ですが、自民党・公明党政府はこれを削減したので、格差が広がっています。この肝心の問題を解決することこそ本筋だと感じました。


 トップへ戻る
砂田喜昭(Yoshiaki Sunata)のホームページへ戻る