「赤旗」取材班が調査した 反共謀略本の正体を明らかにしていきます。

2003年3月6日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党が告訴・告発
反共謀略本の正体を追う (1)
大手取次店文書は語る
池田大作本といっしょに

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出版取次店が「創価学会関連」とした昨年12月新刊の6冊
創価学会関連出版物の動向を伝える社内文書

 電話も事務も事務代行会社まかせ。登記上の「本店」は公団賃貸住宅の一室。そんな「出版社」が出版大手も驚く巨費を投じて日本共産党を誹謗(ひぼう)中傷する大々的な広告をうつ――。それがさる3日、名誉棄損と著作権法違反の罪で、日本共産党が告訴・告発した反共謀略本『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』(未来書房刊)《注》の実態です。民主主義を冒とくする犯罪者たちの背後関係を追跡しました。「赤旗」取材班
 「創価学会がいかに出版にかかわっているか判明すると思います」。そんな手紙をそえて本紙編集局によせられた内部告発の資料があります。
 全国の出版流通を仕切る出版取次大手、日本出版販売(日販)の文書コピーでした。

内部告発の文書
 タイトルは「創価学会関連ニュース NO・1」。ことし1月16日の発行。こんな書き出しです。
 「(昨年11月の)支社長会議でご報告致しました“聖教新聞社取扱いシェアについて”の中で、『学会関連情報』を定期的に支店にご案内する旨が確認されました。各支店では『部数確保のために先方の活動内容を良く理解し、定期的な情報交換等で普段からの関係を強化すること』という指示となっています」
 この意味は――。
 出版流通関係者が説明します。
 「創価学会の扱う出版物は学会員が大量に買い取る。取次会社も利益があがるから、学会と交渉してできるだけ多い部数をとりたい。そのために東京で創価学会から学会関係出版物の情報を聞き、支店に知らせるので、地方の学会の書籍部長と関係を強め、部数増を交渉せよ―というわけです」
 この会社が学会と部数を交渉する昨年12月発売の新刊六点が「ニュース」に掲載されていました。そのなかに、なんと日本共産党が告訴・告発した問題の本『拉致被害者と日本人妻を返せ』があったのです。

 6点を紹介しましょう。
 (1)『詩集・人生の旅』池田大作著、初版3万部
 (2)『創作物語 花と少年』池田大作著、初版5万部
 (3)『池田SGI会長 平和への対話』池田大作著、初版4万部
 (4)『青年と宗教』創価学会男子部教学室編、初版3万部
 (5)『暁闇』北林芳典著、初版2万部
 (6)『拉致被害者と日本人妻を返せ』稲山三夫著、初版2万部
創価学会丸抱え
 新刊のうち、創価学会名誉会長・池田氏の著書が三冊、創価学会男子部の本が一冊。また、『暁闇』の著者は、日本共産党の宮本顕治委員長(当時)宅の電話盗聴事件を実行した山崎正友元創価学会顧問弁護士のグループにいた人物で、創価学会との関係を知るのは難しくありません。
 しかし、『拉致被害者と日本人妻を返せ』だけは出版社の「未来書房」、著者の「稲山三夫」ともいっさい創価学会との関係を知ることができません。なのに、池田本と同じ扱い。さらに、この文書は問題の本について驚くべき注釈を書いていました。
 「自民党・公明党の一括採用あり。(直販ルート)。左記採用以外にも公明党から党員への購入指示あり。指示書店は党本部のある地区の一番店が多く見られます。尚(なお)、書籍部長のとりまとめは各地区毎(ごと)の対応となっています」
 ここでいう「書籍部長」とは、地方の創価学会の担当部長のこと。つまり、問題の謀略本は、公明党が一括買い取りし、創価学会が各地方で購入部数の「とりまとめ」をするような本だったのです。
 取材班は、関東のある書店で、創価学会がこの本を依頼し、公明党に200部届けたという証言を得ました。まさに、内部文書と一致します。
 謀略本は創価学会・公明党の丸抱えだった――。内部告発で判明した真相です。では、出版社である未来書房の正体は何なのか。(つづく)
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 <注> この本は、拉致問題をふくむ日朝問題の解決に大きな役割を果たした日本共産党を「殺人加担」などと中傷攻撃し、名誉を棄損したうえ、本の半分のページにわたって「赤旗」など日本共産党の著作物を盗用して著作権を侵害しました。
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2003年2月22日(土)「しんぶん赤旗」
反共謀略本 つり広告費(首都圏)2200万円
どこから資金 電話も事務所もない出版社が…

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 北朝鮮問題を利用して日本共産党を根拠なく中傷している反共謀略本(本紙19日付で報道)の広告費用に、首都圏の電車内つり広告だけで約2200万円も使われたことが本紙の調べでわかりました。この本は内容が公明党機関紙とうりふたつで、書店で創価学会・公明党がまとめ買いしているもの。公団賃貸住宅の一室に「本店」を置き、専用電話も事務所もないような出版社がどこから多額の資金をねん出しているのか重大な疑問が浮かんでいます。
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公明まとめ買い
未来書房が入っている公団の部屋の玄関=立川市の公団幸町団地
 この本は『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』(「未来書房」刊)。「しんぶん赤旗」から大量の無断転載をし、著作権上も問題となっています。
 今月八日から、JR東日本の山手、京浜東北、埼京、中央など首都圏の各線の車内につり広告で大宣伝されました。JR東日本の交通広告を扱うJR東日本企画によると、広告掲示は今月24四日までの17日間で、費用は総額約1600万円にものぼります。
 謀略本のつり広告は営団地下鉄、京浜急行でも行われています。営団地下鉄は計6日間で、費用は約480万円。京浜急行でも計6日間掲示され、広告代理店の料金表によると約140万円。
 これらの総計で約2200万円ですが、このほか新聞にも出版広告が出されており、広告費はさらに多額です。
 本は一冊の小売価格が1300円。1万冊売っても販売額が1300万円にしかならない本に、2000万円以上の広告費用を投じるとは「きわめて異常」(出版関係者)。広告自体が目的といえます。
 未来書房は、登記上の本店所在地が代表取締役、海野安雄氏の自宅。自宅は立川市の公団賃貸住宅の一室です。つり広告に記載された所在地も電話も事務代行会社のものという奇怪な会社です。
 未来書房が国際標準図書番号(ISBN)に登録したのは昨年11月。謀略本の出版までほとんど休眠状態にあり、多額の広告資金をどうねん出したのか、背後関係が注目されます。
 謀略本は、「ベストセラー」などと宣伝していますが、組織買いが目立ち、関東のある書店で昨年12月、200部が創価学会の依頼で公明党に届けられています。
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2003年2月19日(水)「しんぶん赤旗」
公党中傷の謀略本広告 規制せよ
日本共産党がJR東日本に要請

【関連記事】
反共謀略本 異常な宣伝/「赤旗」から大量無断掲載 正体隠す出版社/公明・創価学会まとめ買い

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反共ヤミ出版物のつり広告についてJR東日本に申し入れする(左から2人目から右へ)瀬古由紀子衆院議員、富樫練三参院議員。左は小林亮淳弁護士=18日、JR東日本本社
 北朝鮮問題を利用して日本共産党を中傷攻撃する本のつり広告がJR電車内に掲示されていることについて、日本共産党中央委員会は18日、JR東日本にたいし、この広告の掲示を規制するよう強く要請する申し入れをおこないました。
 要請は日本共産党の瀬古由起子衆院議員、富樫練三参院議員、小林亮淳弁護士がおこない、JR側は、北原政雄総務部担当課長が応対しました。
 申し入れは、JR東日本車内に掲示されている『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』なる出版物はいっせい地方選挙前に、姿を隠した政治勢力が書籍発行の形で事実をねじまげ、日本共産党攻撃をおこなう謀略的な政治活動だ、と指摘。JR側が、公党を中傷する広告を出版社の発行物というだけで無条件に認めることは、車内広告が政治的役割を果たすことを避けるとしているみずからの基準を無意味にするものであり、中傷や謀略に加担する役割を担っていると批判しています。
 瀬古議員らが正体不明の出版社の実態や、「赤旗」からの大量無断転用で著作権問題もあることなどを説明し、必要な調査と広告物の自主的規制を要請しました。北原課長は「どういう審査をしたのかや会社の実態については広告を出している子会社に聞いてみたい。審査基準についても調べてみる」と答えました。
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2003年2月19日(水)「しんぶん赤旗」
反共謀略本 異常な宣伝
「赤旗」から大量無断掲載 正体隠す出版社
公明・創価学会まとめ買い

【関連記事】
公党中傷の謀略本広告 規制せよ/日本共産党がJR東日本に要請
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未来書房の「本店」になっている公団賃貸住宅=東京都立川市幸町
 「しんぶん赤旗」からの大量の無断転載。公明党・創価学会のまとめ買い。出版社の徹底した正体隠し…。そんな謀略手法で出版された日本共産党攻撃の本が電車内のつり広告で大宣伝されています。内容は公明党機関紙とうりふたつで、正体隠しの謀略手口も公明党・創価学会の手法とそっくりです。
 この本は『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』(「未来書房」刊)。内容は公明新聞と同一の根拠のない日本共産党への誹謗(ひぼう)中傷です。
 たとえば、公明新聞が「拉致解明を妨害した日本共産党」「88年の共産質問が初めて、と大宣伝するが」などと書けば、本は「拉致調査を“妨害”しつづけた日本共産党」「初めて国会で取り上げたというが…」とするなど言葉づかいも似ています。これらの中傷にいかに根拠がないかは日本共産党のグリーンパンフ「北朝鮮問題 『反省』すべきは公明党ではないのか」がくわしく明らかにしているとおりですが、本の手法も問題です。
 257nのうち、約半分の123nが「資料集」と称する「赤旗」からの無断転載。「赤旗」の著作権に属するものを大量に無断転載するのはきわめて重大な行為です。
 電車のつり広告は「各地でベストセラー 緊急増刷」などと宣伝していますが、組織買いが目立ちます。関東のある書店では、昨年12月に創価学会から依頼があって、200部を公明党に届けたといいます。書店を通じて大量買いすると一気に「ベストセラー」にすることができるからです。
 この本を出版した株式会社未来書房の正体も奇々怪々です。
 まず本(初版)に記載された住所である「東京都新宿区新宿7の16の12」には未来書房という会社そのものが存在しません。記載の電話番号にかけると「未来書房です」と名乗るものの、用件を取り次ぐだけの事務代行会社でした。
 つり広告では、出版社所在地が「東京都新宿区西新宿7の16の12」と“訂正”されましたが、これは前出の事務代行会社の住所。この代行会社は未来書房と契約を結び、電話や郵便などを取り次ぐだけだと説明します。
 本には国際標準図書番号(ISBN)が記載されており、これから出版社所在地、電話、登録日がわかります。
 未来書房の所在地は本には記載されていない東京都立川市幸町4―52―一にありました。部屋番号を訪ねるとそこは公団賃貸住宅。表札には「海野」「未来書房」などとあります。
 確かに会社登記をみると未来書房の代表取締役は海野安雄氏。「本店」も海野氏の自宅。つまり、未来書房は、居宅用の公団賃貸住宅に「本店」を置く「出版社」というわけです。
 ISBNで登録された電話にかけると「移転のため電話番号が変わりました」と前出の事務代行会社の電話にもどる仕掛け。つまり未来書房は、大々的なつり広告を出す一方で、専用の電話も事務所もない――。そんな奇怪な「出版社」なのです。
 本紙は唯一の手がかりである海野氏宅を繰り返し訪問して取材を申しこみましたが、家人は「(海野安雄氏は)いない」と繰り返し、編集局の電話番号を伝えても何の返事もありません。
 また、本には著者の経歴や連絡先、印刷所などもいっさい記載していません。
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2002年11月6日(水)「しんぶん赤旗」
「携帯」の通話記録盗み出し
創価大グループ3被告有罪
東京地裁

 創価大グループによる携帯電話の通話記録盗み出し事件で東京地裁は五日、3被告全員に電気通信事業法違反、窃盗などの罪で有罪判決を言い渡しました。
 有罪判決を受けたのは創価大学学生課副課長の根津丈伸(41)、同大剣道部監督の田島稔(40)、同大出身でドコモ・システムズ社員の嘉村英二(26)の各被告(いずれも事件発覚後に解職)。
 判決によると、女性友達と別の男性の「不倫」を疑った田島被告が2人の通話記録の「調査」を根津被告に相談、根津被告がかねてから親しい関係にあった嘉村被告にそれを依頼しました。依頼を受けた嘉村被告が今年4月25日夜、東京・江東区のNTTドコモ情報システム部の料金明細システムの端末機を不正に操作し、2人の携帯電話の通話月日、通話開始時刻、通話先番号、通話時間を記載したデータを持ち出し、翌日JR三鷹駅付近で根津被告に渡しました。
 根津被告はこれを、田島被告にメモさせた上で裁断。その後田島被告が、被害者の男性に記録を持っていることを伝えたことで事件が発覚し、電気通信事業法違反(通信の秘密侵犯)と窃盗(嘉村被告)、同教唆(根津、田島被告)で起訴されていました。
 公判で被告側は、事実関係については争わず、加藤学裁判官は嘉村被告に1年6月(求刑同)、根津被告に1年3月(求刑1年6月)、田島被告に1年(求刑同)をいずれも執行猶予3年つきで言い渡しました。
 被告側は「私的で一過性の事件」という主張に終始しましたが、被告弁護人には、創価学会副会長をつとめる福島啓充、松村光晃、築地伸之の各弁護士らが顔をそろえて注目されました。
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マスコミへの広告力介入への態度
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2002年12月28日(土)「しんぶん赤旗」
商業新聞 創価学会・池田氏の宣伝
マスコミ界からも批判や疑問

「2年間連続掲載」で拡張キャンペーンをする「神奈川新聞」販売店のチラシと千葉県の創価学会が配った池田氏署名記事の新聞買い取り申込書
 創価学会と池田大作名誉会長礼賛報道や池田氏の署名記事が新聞やテレビに相次いで登場。特定の宗教教団に対する破格の扱いにマスコミ内部からも批判や疑問の声が起きています。
 全国紙では「朝日」が昨年五月に池田氏の署名記事を掲載したのに続き、「読売」「毎日」「産経」もインタビューを大きく載せました。地方紙も池田氏の名誉称号受賞記事や署名記事を掲載。掲載紙は昨年5月に40紙を超し、その後も増えつづけています。
 とくに池田氏は今年、「日中国交正常化30周年」をテーマにした署名記事を各地方紙に掲載。国交正常化を「提言」したのは自分だとし、故周恩来首相との親交を誇示しました。
 一教団の指導者を特別扱いするやり方に、新聞社内部からも「掲載経過が不透明」「不偏不党の理念に照らしてどうか」などの声が出ており、この問題の討議資料をつくる労働組合もあります。
 元NHK記者の川崎泰資椙山女子大教授はそうした討議資料に「広告から記事へ、紙面ジャックで深まる『学会汚染』」という文章を寄せ、「各社とも創価学会の広告や受託印刷による金権支配に屈し、言論の自由、編集の自由より、営業の自由を優位に置くメディアの腐敗に他ならない。これでは選挙の公明党票ほしさに、主義主張を捨てて創価学会に擦り寄る政治家と新聞社は何ら変わるところがないではないか」と指摘しています。
 聖教新聞等の印刷委託で“特別の関係”をつくる学会戦略はかねてから有名でした。
公明党の政権参加(九九年)ころから目立つのは、定期的な巨大広告や池田礼賛記事の増加。「池田大作先生の講演要旨を来年(03年)1月より2年間特集掲載します!」(神奈川新聞販売所)とキャンペーンする地方紙も出ています。こうした記事について「一種の記事広告的扱いで、業務局が担当」(千葉日報)と、実態として広告収入目当てであることを認める新聞社もあります。
 これらの記事に共通して目立つのは「(日中)国交正常化をいち早く呼びかけた」(東奥日報)など池田氏への破格の評価。前出「産経」インタビューで池田氏は、創価学会・公明党が起こし、自ら謝罪講演までした言論出版妨害事件(69、70年)を、事実に相違して「侮辱の作り話などに反発し、怒るのは当然」などと発言。こんな歴史偽造発言もそのまま掲載されています。
 一方、千葉県の創価学会組織部は、記事掲載の「千葉日報」買い取り申込用紙を作成、「友好対策、学会理解の拡大に活用」するよう、県下の学会組織に指示しています(「友好」は選挙での集票準備でもある)。昨年12月の学会本部幹部会で正木正明東京長は「先生の記事が掲載されるたびに…聖教啓蒙(拡張のこと)、折伏・弘教の快進撃につながった」(聖教新聞01年12月15日)と、このメディア戦略が布教活動に直結していることを明らかにしています。


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