「赤旗」取材班が調査した 反共謀略本の正体を明らかにしていきます。

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序章
2003年3月4日(火)「しんぶん赤旗」
反共謀略本の出版社・役員、中づり広告担当者ら
名誉毀損などで告訴・告発
東京地検に日本共産党 背後関係含む真相究明を
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反共謀略本・中づり広告について告訴・告発状を提出するため東京地検に入る(左から)井上哲士参院議員、小林亮淳弁護士=3日、東京・千代田区霞が関
 日本共産党は3日、北朝鮮問題を利用して日本共産党の名誉を毀損(きそん)し、「しんぶん赤旗」などからの大量無断転載で著作権を侵害する本を出版した株式会社「未来書房」とその役員らを名誉毀損と著作権法違反の罪で、この本の電車内での中づり広告を認めたジェーアール東日本企画の担当者を名誉毀損の罪でそれぞれ東京地検特捜部に告訴・告発しました。
 同日午前、日本共産党の井上哲士参院議員、代理人の小林亮淳弁護士が東京地検で告訴・告発状を提出。同日午後、市田忠義書記局長が国会内で記者会見し、検察当局が出版の背後関係をふくむ真相を究明し、民主主義を冒涜(ぼうとく)する犯罪者たちを厳重に処罰するよう求めました。
 日本共産党が告訴・告発したのは、反共謀略本『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』を昨年12月末に出版した未来書房と海野安雄同社代表取締役、同社関係者の岡謙二氏ほか編集担当者(氏名不詳)、「稲山三夫」と名乗る執筆者ら。
 告訴・告発状は、未来書房らがこの本や、本の表紙、本の帯で、「殺人加担行為」などと日本共産党が拉致問題、帰国事業などにかかわってあたかも「犯罪者の党」であるかのようにえがき、虚偽の事実を出版・流布し、日本共産党の名誉を毀損したと指摘しています。
 また、ジェーアール東日本企画の中づり広告担当者らは、日本共産党が犯罪者の党であるかのように思わせる広告を2月8日から17日間、山手線、中央線、東海道線などの車内に掲示し、名誉毀損の犯罪行為を助けたこと、この広告内容そのものも日本共産党の名誉を毀損していることを明らかにしています。
 著作権法違反については、この本が全257nのうち、約半分の125nにわたって、「赤旗」と『前衛』など日本共産党の著作物を無断転載している事実を指摘しています。
 さらに、日本共産党が拉致問題をふくむ日朝問題の解決に大きな役割を果たしてきたことを明らかにしながら、いっせい地方選挙をまえに公明党などによる日本共産党への誹謗(ひぼう)中傷がおこなわれるなかでの悪質な犯罪であると強調。告訴・告発状は、未来書房が、もとは休眠状態の会社を社名変更し、登記簿上の本店所在地を東京都立川市の公団賃貸住宅の一室に置き、本には著者の経歴や連絡先、印刷所も記載されていないなどきわめて異常な実態であることを明らかにし、「背後関係に日本共産党を攻撃する政治的勢力」が策動している疑いが濃いとして、厳重な捜査と処罰を求めています。

北朝鮮問題を利用した日本共産党への名誉毀損と著作権法違反についての告訴・告発状
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2003年3月4日(火)「しんぶん赤旗」
北朝鮮問題を利用した日本共産党への名誉毀損と著作権法違反についての告訴・告発状
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 北朝鮮問題を利用した日本共産党にたいする名誉毀損と著作権法違反について、日本共産党が3日、東京地方検察庁に提出した告訴・告発状の全文は次のとおりです。
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 2003年3月3日
 告訴・告発人代理人
 弁護士        松 井 繁 明
             菊 池   紘
             長 澤   彰
             小 林 亮 淳
 東京地方検察庁検事正上 田 廣 一 殿
 告訴・告発人
 日本共産党
 代表者 志位和夫
 被告訴・告発人
 株式会社未来書房
 代表者 代表取締役
 海野安雄
 株式会社未来書房関係者である岡謙二外同社編集担当者氏名不詳の者
 稲山三夫と名乗る『拉致被害者と日本人妻を返せ、北朝鮮問題と日本共産党の罪』と題する本の執筆者
 株式会社ジェイアール東日本企画の社員で本件中づり広告担当者
告訴・告発の趣旨
 被告訴・告発人らは、告訴人の名誉を著しく毀損し、告訴人の著作権を侵害する悪質な名誉毀損罪および著作権法違反の罪を犯した者であるから、直ちに厳重に捜査の上、厳罰に処すことを求めるものである。
告訴・告発の理由
第一、名誉毀損罪
1、犯罪事実
 (1)株式会社未来書房の代表取締役である被告訴・告発人海野安雄、同株式会社未来書房関係者である岡謙二および同社編集担当者氏名不詳の者、同稲山三夫と名乗る執筆者らは、北朝鮮の拉致問題などに関し日本共産党を誹謗中傷し、その名誉を毀損することを目的として本の出版を共謀して、稲山三夫執筆ということで『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』と題する本(以下本件書籍という)を2002年12月24日ごろ出版し、
表紙で、「拉致被害者と日本人妻を返せ」と大きく書き、あわせて「北朝鮮問題と日本共産党の罪」と記載した上で、帯封で「北朝鮮帰国運動で『地上の楽園』のデマを演出した日本共産党!」と大きく書き、「日本共産党が拉致調査を妨害した『本当の理由』とは!」「拉致調査を“妨害”しつづけた日本共産党」などと記載し、
さらに、本件書籍のなかで、もっぱら日本共産党への誹謗中傷を内容とする反共攻撃を意図して、何人かの虚偽の事実や事実を歪曲して述べている者の話を根拠に、日本共産党を誹謗中傷する内容の記述をしているものであるが、特に、「拉致問題に最後まで“消極的”だった政党が日本共産党であり、その共産党が『拉致疑惑の存在を認めさせ、道理ある解決方法を提案した』などと声高に主張しているのは、この党ならではのハレンチ行為」(2ページ)、拉致問題について日本共産党が「180度、自分の立場を《豹変》させている」などと事実を歪曲し、それは「まさに、詐欺行為としかいいようがない」(49ページ)、「この党は、被害者やその家族の心情など、いっぺんたりともくんだことがない」(49〜50ページ)、とのべ、北朝鮮帰国事業との関連では、「共産党がとってきた“消極的態度”は、はっきりいえば、不作為の罪としての“殺人加担行為”」(82ページ)などと記載し、日本共産党が拉致問題、帰国事業などにかかわって犯罪者の党であるかのようにえがき、虚偽の事実を公然と摘示して、出版流布し、日本共産党の名誉を毀損したものである。
 (2)被告訴・告発人株式会社ジェイアール東日本企画の本件中づり広告担当者は、本件書籍が、上記のような目的で出版され、もっぱら日本共産党の名誉を毀損する内容であることを知りながら、被告訴・告発人海野安雄、同社関係者である岡謙二および同社編集担当者氏名不詳者、同執筆者稲山三夫らの本件書籍の宣伝のための別紙写真記載内容の中づり広告(以下本件書籍の中づり広告という)を2003年2月8日から同月24日の17日間、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の山手線、京浜東北線、埼京線、中央線、東海道線などの各線のJR車両に掲示し、上記(1)の名誉毀損の犯罪行為を幇助したものである。
 (3)また、被告訴・告発人株式会社未来書房代表者代表取締役海野安雄、被告訴・告発人同社関係者岡謙二および同社編集担当者氏名不詳の者、同稲山三夫なる執筆者、同株式会社ジェイアール東日本企画の本件中づり広告担当者らは、共謀して、後記記載の本件書籍の中づり広告で「拉致被害者と日本人妻を返せ」と赤字で書き、「『地獄の凍土』を『地上の楽園』と宣伝し、北朝鮮に1800人の日本人妻を送り込んだのは誰か」「拉致事件、日本人妻問題の真実が今ここに明らかに!」「北朝鮮問題と日本共産党の罪」と大きく記載するなどとし、
本件広告を見る者をして、あたかも日本共産党が拉致問題、帰国事業などにかかわって犯罪者の党であるかのように思わせる、虚偽の事実を摘示した同広告を2003年2月8日から同月24日の17日間、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の山手線、京浜東北線、埼京線、中央線、東海道線などの各線のJR車両に掲示し、日本共産党の名誉を毀損したものである。
2、罪名および罰条名誉毀損罪
 刑法230条1項、刑法60条、刑法62条
第二、著作権法違反の罪
1、犯罪事実
 (1)被告訴・告発人である株式会社未来書房の代表取締役である被告訴・告発人海野安雄、同株式会社未来書房関係者である岡謙二外同社編集担当者氏名不詳の者、同稲山三夫と名乗る執筆者らは、北朝鮮の拉致問題などに関し日本共産党を誹謗中傷し、その名誉を毀損する目的で本の出版とその本に資料として告訴・告発人日本共産党の「しんぶん赤旗」『前衛』など同党の著作物を無断で盗用することを共謀して、上記第1記載の本件書籍において、全頁257ページのうち約半分の125ページを「資料集北朝鮮と日本共産党」と題して日本共産党の著作物である「赤旗」「しんぶん赤旗」『前衛』などに掲載された別紙の資料集目次記載の各著作物を、無断で転載したうえ、本件書籍を2002年12月24日ごろ出版し、告訴・告発人日本共産党の著作権を侵害したものである。
 (2)また、被告訴・告発人株式会社未来書房においては、被告訴・告発人海野安雄が同社の代表取締役として、さらに同社編集担当者氏名不詳の者は同社社員として、同社の業務として、前記記載の著作権を侵害したものである。
2、罪名および罰条著作権法違反の罪
 著作権法119条1項違反、同法124条1項1号、刑法60条
第三、情状について
 1 告訴・告発人日本共産党は、北朝鮮の拉致問題を先駆的に国会で取り上げてきた。また、拉致問題の解決などのためにも、北朝鮮との政府間の交渉ルートを無条件に開くことが重要であるという提案をおこなってきた政党である。1988年日本共産党の橋本敦参議院議員(当時)が、拉致問題をまとまったかたちではじめて国会で取り上げ、当時の政府から「北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚」(梶山静六国家公安委員長)という答弁を引き出し、1990年には日本共産党の諫山博参議院議員(当時)が、1998年には木島日出夫衆議院議員が、それぞれ拉致問題で政府を追及するなどの活動をおこなってきた。1999年1月には、不破哲三委員長(当時)が、北朝鮮政権が国際社会におけるルールについてわれわれと共通の常識をもたないことを明確にしつつ、軍事的対応の悪循環を断ち切るためにも、当時皆無であった正式の政府間の対話ルートを確立する努力をおこなうことを提案した。
 さらに同年11月、不破委員長は、あれこれの問題の解決を前提条件とせず、無条件に交渉ルートをひらき、交渉のなかで拉致問題をふくめた日朝間の諸懸案の解決をはかるべきだと提案した。
 この提案が、同年12月の超党派代表団の派遣につながり、さらに、日朝間の国交正常化にむけた交渉の再開、昨年9月の日朝首脳会談につながったのである。
 このように、拉致問題をふくむ日朝問題の解決のために、日本共産党が大きな役割を果たしてきたのは動かすことのできない事実である。
 また、在日朝鮮人の北朝鮮帰国事業は、あくまで居住地選択の自由にもとづく人道的事業で、日本政府も閣議了解し、日本赤十字が主体となっておこなったものである。この事業を人道的立場から支援したものは、日本共産党だけでなく、自民党、社会党など超党派である。被告訴・告発人らが、帰国後の40年以上の経過のなかで顕在化した北朝鮮内部の否定的現象によって生まれた帰国者と日本人妻にたいする責任を、人道的問題として帰国事業を支持した日本共産党に転嫁し、「殺人加担行為」などと攻撃をするのは、まったく虚偽の議論である。
 今年の3月、4月におこなわれるいっせい地方選挙を前にして、日本共産党の前進を阻もうと、公明党などによって全国各地で北朝鮮の拉致問題と帰国事業で、日本共産党にたいしてその社会的評価をおとしめようとする虚偽の誹謗中傷を内容とするビラなどが多数撒かれるという異常な状況が生まれている。本件書籍の出版や中づり広告は、このような一連の日本共産党にたいする誹謗中傷の一環としておこなわれているもので、きわめて悪質であり、公正、公明な政治活動を汚す、民主主義にとって許されない行為である。
 2 被告訴・告発人の株式会社未来書房は、本件書籍(初版本)に記載された住所である東京都新宿区新宿7の16の12には同社自体が存在しない。本件中づり広告で、出版社所在地を東京都新宿区西新宿7の16の12と訂正広告しているが、その住所には用件を取り次ぐだけの事務代行会社が存在するだけである。未来書房の登記簿上の本店所在地は、立川市の公団賃貸住宅の一部屋で、「海野」の表札が出されており、同社代表者の自宅とみられるもので、そこに会社事務所が置かれている様子もない。しかも、同社の電話は、事務代行会社にかかる状態である。そのうえ、同社は、本件書籍の出版直前の昨年の9月15日に現在の代表者らが就任し、10月に登記がされた会社であり、どうも休眠状態であった法人登記をつかって会社をつくったと見られるのである。本件書籍の出版の直前に本の取次ぎの取引をはじめている様子で、本件書籍が最初の本の出版であるが、日本共産党の名誉をおとしめる本件書籍出版のために会社として動き出したと思われるものである。このように専用の電話もきちんとした事務所もない出版社である被告訴・告発会社が、本件の中づり広告のように本件書籍について大々的な広告を出しているのである。中づり広告の費用は、JR東日本の関係だけでも、総額約1600万円だとされており、1万部売っても1冊の本体価格1300円で合計で1300万円にしかならない本に、1600万円の広告費をかけるということはきわめて異常なものといわざるをえない。また、本件書籍には、著者の経歴や連絡先、印刷所などもまったく記載されていないということも異常である。
 これらの事実から、本件書籍の出版とそれを利用し、本の宣伝を口実とし、狙いは政治的に日本共産党をおとしめる宣伝という本件広告の役割が、そこから透けて見えてくる。本件書籍の出版は、日本共産党の社会的評価をおとしめようとすること自体が目的だということは明らかである。また、前述のような会社が、多額の広告費をどう捻出しているのか、背後関係に日本共産党を攻撃する政治的勢力が策動している疑いが高い。検察当局が、鋭意捜査し、背後関係を含む事の真相を究明し、民主主義を冒とくする犯罪者たちを厳重に処罰するよう強く求める。
 3 さらに、被告訴・告発人株式会社未来書房およびその関係者らは、本件書籍の257ページのうち、約半分の125ページを「資料集北朝鮮と日本共産党」と称するものとし、そこに「赤旗」『前衛』など日本共産党の著作物からの大量の無断転載をおこなっている。出版された本の半分は、無断転載した内容で占められたものを出版発行し、それを臆面もなく販売するという悪質きわまる著作権侵害の犯罪行為である。
 4 また、被告訴・告発人株式会社ジェイアール東日本企画の社員で本件中づり広告担当者の行為は、本件書籍が日本共産党の名誉を毀損し、その著作権をも侵害する悪質な日本共産党を特定して誹謗中傷する本であることを十分知りながら、しかも、東日本旅客鉄道株式会社との広告業務委託契約書で、広告内容が、「特定の政治活動のためにするもの」「特定の個人または団体等を誹謗し、名誉または信用を傷つけるもの」などは掲出してはならないことになっているにもかかわらず、日本共産党を誹謗し、その名誉を毀損する内容で、本の宣伝をよそおって、日本共産党の社会的評価をおとしめる反共政治活動をするための広告であることを承知しながら、あえて広告を掲出したもので、悪質かつ重大な犯罪行為である。日本共産党は、本件のようなかたちでもっぱら日本共産党の社会的評価をおとしめるために公共機関であるJRの車両の広告がつかわれることのないよう、このような悪質な広告の掲出に手をかした関係者を厳重に処分するよう求める。
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